資金繰りの適切な管理方法|資金繰り表を活用すること

2018/09/01
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事業を運営していくにあたって、資金繰りの悩みはできれば避けたいものですが、それでも経営困難や何らかのトラブルによって手持ちの資金が脅かされるリスクが存在します。そのため、資金繰りの悪化を予防するのではなく、万が一発生した場合にいかに修復するかがキーポイントになっていきます。悪化した資金状況を立て直すことは事業再生にもつながるので、ピンチだと捉えすぎずに客観的に改善点を探していくことをおすすめします。

そこで今回は、資金繰りの適切な管理方法について、資金繰り表の活用方法と一緒にお話しします。

困難に対応できてこそ、事業展開への可能性は広がります。ぜひこの記事を参考に、ご自身の事業をさらに大きくしていきましょう。

まずは資金繰り表を用意すべし

資金繰り表は将来的なキャッシュフロー(お金の流れ)を予測するためにあります。
多くの企業は損益を気にしてしまっています。確かに損益計算書も重要です。会社として利益が出ていなければ、儲けが出ていない、ということになってしまうからです。

しかし考えてもみましょう。そもそも売上があったとしても、その売上金が100%入金することになるでしょうか?会社を経営している方なら経験があるとは思いますが、売掛金などの入金に遅れが発生することも珍しくありません。最悪なのが回収不能になってしまうようなケースです。

取引先が倒産をしてしまえば、売掛金や受取手形が入金してこないことになります。売上が良いのに、重要な取引先からの入金がなければ結果として資金がショートしてしまいます。

要は損益計算書だけではキャッシュフローはわからないわけです。だからこそ資金繰り表を作成してキャッシュの管理を徹底しなければなりません。言い換えれば「キャッシュの管理方法の一つが資金繰り表」なのです。

次に「月次資金繰り表」「日繰り表」「キャッシュフロー計算書」の3つをご紹介します。

【もっとも一般的な「月次資金繰り表」】
月ごとの資金状況をまとめた「月次資金繰り表」は、数あるタイプのなかでももっとも一般的なものです。さまざまな種類の資金繰り表がありますが、月次のものはぜひ用意しておきたいところです。

月次資金繰り表はご自分での作成も可能ですが、最近ではインターネット上でテンプレートをダウンロードすることもできます。また、金融機関のホームページからも入手できるので、ぜひ活用してみましょう。最初はテンプレート通りに作成し、慣れてきたらご自分の事業に合わせてのカスタマイズをおすすめします。

【資金繰りが厳しい場合には「日繰り表」】
資金繰りが極めて厳しい状態にある場合には月次資金繰り表だけでは不十分なので、「日繰り表の作成」も試しましょう。

例えば売り上げの入金が月末に集中し、毎月25日に給与の支払いをしている場合は、結果的には残高がマイナスになっている期間があります。その場合には月だけでなく日ごとの残高も確認し、毎日の資金状況も確認しましょう。

【「キャッシュフロー計算書」も有効】
資金繰り表を作成する目的は入出金の確認だけではなく、資金繰りにおける問題点の改善も含まれます。そしてそのようなときに対し、「キャッシュフロー計算書」が役立ちます・

キャッシュフロー計算書とは、一定の期間におけるキャッシュの増減をそれぞれの活動ごと区分表示する表です。これによって営業による収支、投資収支、財務収支における会計期間におけるキャッシュの増減を営業活動、投資活動、財務活動ごとの資金繰り状況がわかるので、状況確認だけでなく現状の改善点もより明確に把握できます。

これらの資金繰り表をご自身の事業の状況に合わせて活用し、資金繰り悪化の打開策に役立てていきましょう。

資金繰り表の分析方法|経常収支について

・経常収支がプラスであるケース・・・本業や回収がうまくいっている
・経常収支がマイナスであるケース・・・本業や回収がうまくいっていない

経常収支とは売上金の回収や手形の入金などがプラスとして表記されます。
一方で仕入れにかかった費用や買掛金の支払い、さらには賃金の支払いやその他の経費などをマイナスとして表記していくのです。

経常収支に関しては、会社の本業にかかってくるものでもありプラスということは「比較的ビジネスが上手くいっている」という状態になるわけです。マイナスである場合には、会社の経営に何かしらの問題があるかもしれません。どこに問題があるのかをしっかりと突き止めなければならないわけです。

・経常収支がマイナスである場合はどうすべきか?

入金サイトや支払いサイト対策が必要になります。
経常収支がマイナスになる要因として、支払いサイトが早く入金サイトが遅い、というものがあります。要は支払いが先に来てしまうからこそ資金繰りが悪化してしまうわけです。

取引先などと交渉して入金サイトを早くするか支払いサイトを遅くするなどして対処しましょう。

また手形や売掛金を多く持っているのであれば、手形割引やファクタリングで対処するのも一つの方法です。売上債権を早めに現金化することでも、資金繰りはだいぶ楽になるはずです。

ちなみに損益計算書もマイナスであった場合には、抜本的な対策が必要になります。損益計算書がマイナスであれば、売上自体が少ない、ということになるのです。販売力を高めるための対策が必要になってきます。またコストを引き下げるような対策も行わなければなりません。

資金繰り表の分析方法|財務収支について


・経常収支とともに考える必要あり

財務収支に関しては単体でチェックしても意味がありません。
財務収支とは借り入れによる資金のプラスと返済によるマイナスを表したものとなっています。

財務収支に関しては単体でマイナスになっていたとしても問題はありません。返済を進めた、ということになります。一方でプラスになっているということは借り入れを行ったことを示しているのですが、業務を拡大するためといったような前向きな調達を行ったのかもしれないわけです。

財務収支だけでは会社の資金繰りの状況をうまく判断できないわけです。

そこで経常収支が出てきます。
経常収支と財務収支をあわせてプラスになっている場合は問題ありません。要は本業でしっかりと財務収支をまかなえている状態なのです。企業として健全な状況にある、といえます。

一方で経常収支と財務収支を合わせてマイナスになっている場合には注意しなければなりません。要は経常収支で借り入れの返済に対応できていないわけです。いずれは資金がショートする可能性もあります。

・経常収支と財務収支をあわせてマイナスになっている場合の対処法

借り入れの返済が負担になっている場合にはリスケを実施してください。返済期間を伸ばすなどして、月々の会社から出ていくキャッシュの量を減らすわけです。

ちなみに借り換えなどを検討する方もいますが、なるべく避けてください。取引先銀行から評価を落とされることになってしまいます。

経常収支にメスをいれることも考えましょう。売上をアップさせたり、コストダウンを図ったりすることも大切です。

資金繰り表の分析方法|投資活動による収支について

・投資がうまくいっているかを確認すること

会社では投資を行っていることもあります。例えば有価証券や不動産などを取得して利益をあげよう、と目論んでいる会社もあるわけです。

資金繰り表では投資をした場合にはマイナスと表記されます。資金を使って投資をしているからです。
一方で投資したものを売却するとプラスとなります。売却して資金を回収したからです。

・投資活動がうまくいっていない場合はどうすればよいのか?

目論見が外れて投資が失敗に終わることもあります。
そのようなケースに関しては、投資したものを売却して資金を回収する、といった方法もあります。確かに損失は出てしまうかもしれません。「有価証券売却損」などを計上してしまうことになるわけです。

しかし資金繰りに関しては、投資性資産を売却すればキャッシュを得らえるわけです。資金繰りが改善する、ということになるので、思ったような利益が上げられないと判断したら、早急に撤退することも一つの選択肢となります。

「いつかは利益が出る」と思って長期保有をしてしまうと、かえって損失が大きくなることもあります。十分に注意しなければなりません。

資金繰りが悪化している場合の改善方法3選

資金繰り表を確認して状況の悪化が見られる場合は、早急な対策が必要です。「融資・出資」、「経費の見直し」、「支払い条件の改善」などで打開策を練っていきましょう。

・融資や出資などを利用する
ある程度の時間的な余裕がある場合には、融資や出資などが有効です。長期的かつ十分な資金提供を受けられるので、当面の資金状況を心配せずに事業に打ち込めます。ただ、特に融資では返済の義務が発生するうえに審査が必要となりますので、返済計画と事業内容の明文化を忘れずにしましょう。

・経費の見直し
普段から経費をかけすぎている場合には、一度見直してみることで資金状況の改善が期待できます。この場合売り上げが増えることにはつながりませんが、出費が減ることから利益の拡大は十分に期待できるため、実際にそれだけでも現状は大きく好転していきます。

・支払い条件の改善
取引先との支払い条件を確認した結果、事業者側にとって明らかに不利な条件が見られるのであれば、改善を申し出ましょう。こちら側に不利な要求を続ける取引先は長期的に見てもデメリットにしかなりません。新しい取引先を探しつつ、資金繰りを悪化させる相手とは徐々に手を着るようにしていきましょう。

ご自身の事業を冷静かつ客観的に俯瞰するのは経営者の義務です。資金繰り表から分析を重ね、現状打開のための対策を実践していきましょう。

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