大企業との取引をしている中小企業も多いでしょう。しかし大企業相手の取引については非常に難しい部分もあります。資金繰りが悪化しているときでも、融通を利かせてもらえない、ということが多くなっているのです。
確かに大企業との取引には安心感もあるかもしれません。しかし問題点もあるのです。
こちらではもし大企業と取引中に資金繰りが悪化してしまった時の対策方法を「仕入れ単価の下落」を中心にお伝えします。
大企業と仕入れ価格の交渉に失敗してしまった経験がある、という方は必見です。
目次
「特定の商品の仕入れを大手企業に一本化する」との提案を実施する
・大手企業側にもメリットがあるので仕入れ単価を下げてくれる可能性あり
大手企業にとってもメリットがある場合には交渉に乗ってくれる可能性があります。同じ商品をいくつかの企業から仕入れている、という企業もあるでしょう。そういった場合に特定の大手に対し「仕入れを一本化するので単価を安くしてほしい」と持ちかけるのです。
確かに大手企業としては利益率が低下してしまうかもしれません。しかしより多くの商品を売却できるので、利益額としては上昇するわけです。
大手企業とし店舗取引拡大になるので、メリットが無いわけではありません。よって交渉に応じてくれる可能性があるわけです。
自社としては特定の商品の仕入れを一本化するにしても大きなデメリットはありません。仕入れ単価が下がるわけであり、さらに交渉の結果仕入れ総額もダウンする可能性が出てきます。資金繰りの改善につながってくるのです。
・欲は出さないこと
10%や20%の仕入れ単価のダウンを狙っている、という方もいるかもしれません。しかし10%や20%価格下落にはさすがに大企業でも応じられません。利益率が著しく下がってしまうからです。
大企業の利益のことも考え、仕入れ単価の下落率は数%程度で交渉してみましょう。数%であれば利益がある程度は確保できるので大企業としても受け入れられやすいです。
・仕入れ一本化のデメリット
仮に大手がその商品の取扱を中止してしまうようなことになると、大きな影響が発生する可能性があります。他の同商品を取り扱っているところを探さなければなりません。
仮に仕入先を一本化するのであれば、前もって同商品を取り扱っている業者を探し出しておきましょう。そのうえで一本化すればリスクは最小限に抑えられます。
支払いサイトを短くする
・60日であったものを45日にする
・45日であったものを30日とする
支払いサイトを短くすることで、仕入れ価格の単価を大企業に引き下げてもらえる可能性が出てきます。
大企業としても資金繰りは極めて需要です。支払いサイトが長い場合には、売上があってもそれだけ入金されるまでに時間がかかってしまいます。売れてもなかなか資金が入ってこないので、資金繰りに問題を抱えてしまうわけです。
支払いサイトを交渉にて短くする提案を実施し、その見返りとして商品単価を下げてもらうわけです。大企業側としてもメリットのある提案なので、受け入れてもらえる可能性が出てきます。
ただし余裕のある経営を行っている大企業であれば支払いサイトについてはそれほど気にしていません。交渉にならない可能性もあるので、その点は覚えておきましょう。
・支払いサイトの短縮化におけるデメリット
支払いサイトが短縮されることで大企業側はメリットが得られます。しかし自社としては大きな問題に直面するのです。
資金がすぐに出ていくことになるので、資金繰りが悪化してしまいます。現状で資金繰りが悪化している場合には、こちらの方法は採用しないでください。資金十分にあり将来的な資金繰りを考えて行う対策方法としてはおすすめですが、すでに現金が足りなくなっている企業では行ってはならない対策法なのです。
現在の資金繰りが悪化していても、将来を考えてどうしても支払いサイトを短くして対処したい、というのであればまずは資金調達を実施してください。資金調達をして資金がショートしない環境を作った上で支払いサイトを短くして交渉しましょう。
いずれは支払額が下がるわけなので、資金繰りも安定してくるはずです。
資産を増やした上で交渉を実施する
<会社の資産例>
・土地
・建物
・現金預金
・定期預金
・有価証券など
交渉をする準備も必要になってきます。
大企業は取引先の信用調査を定期的に行っています。経営状態を調べて取引をしても問題がないかを確かめているのです。
仮に信用がない企業と判断されてしまった場合には、取引が停止になってしまったり取引が縮小されてしまったりすることもあります。多額の売掛金が貸し倒れてしまえば、大企業としても経営に問題が発生してしまうのです。
交渉を成功させるためには、まずは自社の信用を高めることです。信用を高めるのに重要になってくるのが、資産です。資産が大きければ大きいほど企業としての体力がある、ということになります。仮に売掛金の入金がされなかったとしても資産を売却して返済に当ててくれる可能性もあります。大企業としても資産が大きい企業との取引は安心なのです。
ただし資金繰りが悪化している状況で資産を増やすのは容易なことではありません。土地や建物を増やすにしても資金が必要です。有価証券を購入するにもお金がかかってくるわけです。
そこで注目すべきは親族です。親族からの資産提供を受けて自社の信用度を高める、といった方法があります。土地や建物の提供を受けたり、資金提供を受けたりと言ったことも検討しておきましょう。
資産が増えた状態で仕入れ価格の交渉に臨むわけです。信用調査で良い結果が出ているのであれば、交渉に応じてくれる可能性が出てきます。資産が多ければある意味では担保を提供されているのと同じことになります。担保が提供されているのであれば、貸し倒れてもある程度は回収できるので大きな問題に発展することはありません。
・資産増加によるデメリット
資産の維持に資金が必要になる事も考えられます。
特に不動産に関しては固定資産税が毎年かかってくることになるので、資産の増加が今後の資金繰りを悪化させる原因になってしまうかもしれません。資産増加の対策については、増加させたあとのシミュレーションも重要になります。
また資産を増加させたとしても信用調査が行われなければ交渉に反映されない、といったデメリットもあります。資産増加のメリットがすぐに得られるわけではありません。よってこちらの方法は長期的なものとなっているのです。早急な資金繰り対策にはなりません。
まとめ
対大企業向けの資金繰り対策としては交渉が重要になってきます。商品の仕入れ価格などを下げることで、会社から出ていく資金を減らすのです。しかし交渉は簡単ではありません。大企業もうまみがなければ交渉にはのってこないのです。
こちらでは3つの交渉術を掲載しました。
・仕入れを大企業に一本化する
・支払いサイトを短縮する
・資産を増やして信用度を増す
この3つの交渉術に共通するのは、大企業にも何らかのメリットがある、ということです。自社だけが得をするような交渉はしても意味がありません。双方ともに利益がある交渉を実施しなければならないわけです。
仕入れを大企業に一本化すれば大企業としても利益が増えることになります。支払いサイトが短縮されれば、入金スピードが早くなり資金繰りが改善します。取引先の資産が増えれば大企業としても安心できるわけです。
交渉は双方がWin-Winでなければなりません。自社のことだけを考えてはダメなのです。
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