資金を調達する方法として、銀行から融資を受けるのではなく「補助金」を申請するケースも少なくありません。
補助金はそれぞれ目的・対象・仕組みなどが異なっており、申請するときには支援の対象となる経費や割合・上限額など確認しておくことが必要です。
また、返済不要の資金を調達できる方法ですが、審査があるため申請すれば必ず補助金を受け取ることができるわけではないことも認識しておく必要があります。
そこで、補助金を申請し受給できるまでのステップや、中小企業におススメの支援制度などについて紹介していきます。
目次
補助金の目的
補助金は、国や自治体の目指す姿(政策目標)に合わせていろいろな分野で募集されています。
中小企業など事業者の取り組みを支援することを目的として資金の一部を給付する制度のため、補助金ごとの目的・趣旨を確認し事業とマッチする補助金を選ぶことが必要です。
そして申請すれば必ず支給されるわけではなく、全額補助されるわけでもありません。
融資を受けるときにも銀行などで審査が行われますが、補助金でも審査があります。
補助されるか、どのくらいの金額が支援されるかは、事前に行われる審査と事後の検査で決まります。
前もって補助対象となる経費や補助の割合、上限額など確認しておくことも必要であり、原則後払いによる支給となることを踏まえた上で、先に立て替えるための資金はどうするか検討しておくことも必要となるでしょう。
補助金と助成金の違い
中小企業をサポートする返済不要の資金調達の方法には、補助金だけでなく「助成金」もあります。
どちらも国・地方公共団体・民間団体などから資金が支払われることとなり、原則、返済しなくてもよいお金が支給されます。
ただ、補助金は予算が決まっているため最大何件までという決まりもあり、抽選や先着順である場合もあるなど、申請しても受け取ることができないこともあります。
しかし助成金は厚生労働省が雇用を増やすことや人材育成を目的として実施しているため、受給要件を満たせばほぼ支給されます。
補助金のほうが助成金よりも受給できる要件が厳しいと感じる方もいるでしょうが、次のことを押さえた上で申請を検討するとよいでしょう。
- ・補助金の特徴
- ・補助金を申請するときの注意点
- ・助成金の特徴
- ・助成金を申請するときの注意点
それぞれ詳しく説明していきます。
補助金の特徴
補助金の主な特徴として挙げられるのは、
- ・助成金より種類が豊富にあること
- ・助成金より支給額が大きい制度が多い
- ・経費の適用範囲が広い
などです。
補助金を申請するときの注意点
補助金の場合、公募は年に数回のみという場合や、その期間も短いことがほとんどであることに注意しておきましょう。
また、事前に予算が決まっているため、申請しても高い倍率を切り抜けなければならないことも留意しておく必要があります。
さらに支給されるまで1年など時間がかかることや、補助率や上限金額が制度によって異なることも事前に確認しておきましょう。
助成金の特徴
助成金の場合、原則、通年に渡り申請できます。
業種や従業員数など、一定の条件を満たすことでほぼ支給される難易度の低さも特徴といえるでしょう。
助成金を申請するときの注意
人気のある助成金の場合、発表されてから2か月程度で受付が終了されることもるため、早めに申請したほうがよいでしょう。
ただ、自治体によって異なるものの、通常であれば年度末(3月末)まで受け付けている制度が多いといえます。
補助金の申請後受給できるまでの5つの流れ
補助金を申請した後、実際に資金を受け取るまでの流れは次の5つです。
- どの補助金に申請するか決める
- 補助金を申請する
- 採択事業者が決定される
- 事業をスタートする
- 補助金が交付される
それぞれの内容について説明していきます。
1.どの補助金に申請するか決める
補助金は国の政策・分野ごとに募集されるため、目的や仕組みが異なります。
そこでまずは、自社の事業とマッチする制度を探すことが必要です。
さらに1か月前後など申請期間が限定されること、募集期間や回数は補助金ごとに異なる点にも注意してください。
2.補助金を申請する
申請したい補助金を見つけた後は、制度ごとの公募要領・申請書を確認し、申請書を含む必要書類一式を事務局へ提出してください。主に必要となる書類は、申請書・事業計画書・経費明細書・事業要請書などです。
ただし補助金によって提出方法は異なるため、事前に確認しておきましょう。
3.採択事業者が決定される
採択事業者が決定されると、その結果が事務局から通知されます。
自社の事業が採択された場合には、補助金を受給するための交付申請が必要になり、申請が認められることで交付が決定します。
このとき必要となる書類は、選定結果通知書・補助金交付規程・交付申請書・交付決定通知書で、交付申請書・経費の相見積もりと合わせて提出しましょう。
4.事業をスタートする
交付決定された事業をいよいよスタートすることになりますが、もしも事業内容を変更しなければならないときには。必ず計画変更申請を提出するなど所定の手続を行うようにしてください。
補助対象となる経費の領収書や証拠書類など、すべて保管しておくことも必要です。
5.補助金が交付される
スタートした事業の内容や経費を報告し、正しく実施されたと認められれば、確定した保持金額が支払われます。
なお、事業終了後も5年間は、補助金の対象となる領収書や証拠書類を保管しておくことが必要となるため、廃棄しないようにしてください。
また、定期的な事業状況報告や収益納付なども必要になることがあります。
事業内容や経費などを報告するときには、実績報告書・経費エビデンス・請求書などが必要です。
補助金申請や活用する上での相談先
補助金の申請や活用について詳しく知りたいときには、
- ・認定支援機関
- ・よろず支援拠点
などに相談するとよいでしょう。
それぞれどのような機関か説明していきます。
認定支援機関
認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、中小企業を支援するために必要な専門的知識や実務経験が認められ、認定を受けた税理士・税理士法人・公認会計士・中小企業診断士・商工会・商工会議所・金融機関などです。
よろず支援拠点
よろず支援拠点とは、中小企業や小規模事業者が抱える経営上の様々な悩みについて、何度でも無料で相談対応する国の設置した機関です。
なお、国の支援制度は、中小企業庁のミラサポPLUSの「制度ナビ」から検索できます。
自治体も含めた支援情報を探すなら、「J-NeT21支援情報ヘッドライン」で検索するとよいでしょう。
中小企業におススメの3つの補助金
中小企業・小規模事業者向けの補助金はいろいろな種類がありますが、
- ・売上拡大
- ・生産性向上
- ・販路開拓
- ・人手不足解消
など目的に合った制度を選ぶことが必要です。
種類の多い補助金の中でも、次の3つの制度は中小企業に多く活用されており、現在も公募中なので対象でるなら申請を検討するとよいでしょう。
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
これら3つの補助金は、「生産性革命推進事業」として通年公募となっていますので、それぞれどのような制度か簡単に説明します。
1.小規模事業者持続化補助金
持続的な経営に向けた経営計画に基づいて、小規模事業者などの地道な販路開拓や業務効率化の取り組みを支援することを目的とし、かかった経費の一部を補助する制度です。
たとえば次のようなケースで申請するとよい補助金といえます。
- ・商品を宣伝したいとき
- ・ホームページを開設したいとき
- ・展示会を出店したいとき
2.IT導入補助金
中小企業・小規模事業者などが、自社課題やニーズに合ったITツールを導入するときの支援制度です。
日々の業務を効率化させたいといきや自動化するために必要なITツール導入を支援します。
たとえば次のようなケースで申請するとよいでしょう。
- ・ITを導入し経営状況を見える化したいとき
- ・ITを導入し業務を効率化したいとき
- ・ITを導入し働き方改革したいとき
3.ものづくり補助金
中小企業などが生産性向上に向けて革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行う設備投資を支援する制度です。
ものづくりやサービスの新事業を創出することを目的として、革新的な設備投資やサービスや試作品を開発することをサポートしてくれます。
たとえば次のようなときに申請するとよい制度といえるでしょう。
- ・新事業に挑戦したいとき
- ・生産ラインを増強したいとき
- ・サービスの質を向上させたいとき
まとめ
中小企業や小規模事業者が活用できる補助金はいろいろありますが、制度ごとに目的や必要書類など異なるため、必ず事前に確認した上で申請するようにしてください。
また、補助金は後払いの精算方式で支払われるため、立て替えに必要な資金を準備しておくことも必要です。
もし補助金支給までの間の資金調達に困ったときには、売掛金を現金化するファクタリングなどもうまく活用することをおススメします。
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