新型コロナウイルス感染拡大の影響により、働く場所を失ったことで思い切って起業しようと考える方もふえているようですが、起業家を支援する制度をうまく活用しましょう。
ベンチャー企業など、比較的若い世代の方が起業家として活躍することが多いですが、中高年齢の方でも支援制度を活用することで起業することはできます。
そこで、中高年の方が起業するときや、同じように職を失った中高年齢者を従業員として雇用するときに支援してもらえる制度についてご紹介します。
目次
中高年齢の企業を応援するための支援制度とは?
年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことにより、定年を延長したり継続雇用したりなど、60歳を超えても働き続けることのできる環境が必要となりました。
ただ、定年を迎えた後で再雇用してもらっても、給料が大幅に少なくなるなど待遇に不満を抱えることも少なくありません。
そのため定年退職をきっかけに思い切って起業しようと考える方も少なくありませんが、生涯現役として中高年齢の方が働き続けるための支援制度として「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」が創設されています。
「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」の特徴と助成内容
「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」とは、これから起業する方や事業を開始して間もない法人事業主・個人事業主を対象とした助成制度です。
助成されるのは、
- ・雇用創出措置助成分
- ・生産性向上助成分
の2つです。
雇用創出措置助成分では、40歳以上の中高年齢者が起業することで自身の就業機会を創出し、事業運営のため必要な中高年齢者などの従業員を雇入れるときにかかった雇用創出措置(募集・採用や教育訓練の実施)費用の一部を助成します。
生産性向上助成分では、雇用創出措置助成分の助成金を受け取った後の一定期間経過後、生産性が向上しているときに別途助成金が支給されます。
雇用創出措置助成分の受給要件
①起業基準日から起算して11か月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること
②事業継続性の確認として、次の4事項のうち2つ以上に該当していること
a.起業者が国・地方公共団体・金融機関などが直接または第三者に委託して実施する創業に係るセミナーなどの支援を受けていること
b.起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有していること
c.起業にあたって金融機関の融資を受けていること
d.法人または個人事業主の総資産額が1,500万円以上あり、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること
③計画期間内(12か月以内)に、対象労働者を一定数以上新たに雇い入れること
※一定数とは、
60歳以上の者1名以上、40歳以上60歳未満の者2名以上または40歳未満の者を3名以上(40歳以上の者1名と40歳未満2名でも可)
④支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと
⑤起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者数を超えていないこと
などです。
生産性向上助成分の受給要件
- 支給申請書提出日において、「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」における事業が継続していること
- 雇用創出措置助成分の支給申請日の翌日から生産性向上助成分の支給申請日までに、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇していないこと
- 「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出した日の属する会計年度とその3年度経過後の会計年度の生産性を比較して、その伸び率が6%以上であること
などが必要です。
このほかにも、雇用関係助成金共通の受給要件などがあるため、労働局やハローワークなどに問合せして確認することをオススメします。
雇用創出措置助成分の受給額
雇用創出措置助成分の受給額は、起業するときの次の年齢区分に応じ、計画期間内の雇用創出措置にかかった費用の合計に次の助成率を掛けて計算します。助成率をかけて算出した額に1円未満の端数が出たときには切り捨てます。
- 起業者が高年齢者(60歳以上)の場合…助成率2/3 助成額の上限200万円
- 起業者が上記以外の者(40歳~59歳)の場合…助成率1/2 助成額の上限150万円
費用ごとの上限額
助成対象費用について、次のように費目ごとに定める額を助成対象経費の上限額としています。
- ・「民間有料職業紹介事業の利用料」…95万円
- 「求人情報誌、求人情報サイトへの掲載費用」「募集・採用パンフレット等の作成費用」 の合計額…75万円
- ・「就職説明会の実施に係る費用」「採用担当者が募集・採用のために要した宿泊費」「採用担当者が募集・採用のために要した交通費」「支給対象事業主が実施したインターンシップに要した費用」の合計額…35万円
- ・「就業規則の策定、職業適性検査の実施その他の支給対象事業主に雇用される労働者の雇用管理の改善の取組みに要した費用」…40万円
- ・「対象労働者に対し、その者が従事する職務に必要な知識又は技能を習得させるための研修及び講習等に要した費用」…10万円
- ・「対象労働者が移転した際、支給対象事業主が負担した場合の費用」…30万円
- ・「対象労働者が求職活動を行っていた間の経費について、支給対象事業主が負担した場合の費用」…15万円
生産性向上助成分の受給額
生産性向上助成分では、雇用創出措置助成分で支給された助成額の1/4分が別途支給されます。
たとえば雇用創出措置助成分で100万円助成金として支給されていれば、その1/4である25万円が別途、支給されるということです。
起業のときに支援制度を申請するメリットとデメリット
起業するとき、助成金や補助金など支援制度を活用することのメリットはとても多いですが、デメリットもあるためどちらも理解した上で申請することをオススメします。
起業するときに支援制度を活用するメリットとデメリットは以下のとおりです。
起業で支援制度を活用するメリット
返済しなくてもよい資金を受け取ることができる
助成金と補助金、どちらも支援により受給できた資金を返済する必要はありません。
これらの制度による原資は、雇用保険料や国税・地方税などであり、要件に該当する個人や会社は受け取る権利があるともいえます。
返済不要であることが約束された状態で受け取ることができるため、創業のときに必要な様々な費用に充てることが可能です。
第三者から意見を聞くことができる
助成金や補助金など支援制度を申請するには、事業計画書を作成しなければなりません。
作成の過程では、起業により行う事業のビジョンや目安となる売上高など明確にすることができ、審査を受けることで第三者から事業に関する意見も聞くことができます。
外部から信用を得ることができる
助成金や補助金を受給できたことは、国や地方公共機関から事業計画を認めてもらえたことの証となるため、金融機関などの外部から信用を得ることへつなげることができます。
起業で支援制度を活用するデメリット
受給要件や審査をクリアしなければならない
返済不要の資金を受け取るためには、一定の要件や審査をクリアしなければなりません。
単に申請すれば必ず受給できるというわけではないため注意しましょう。
原則後払いの資金を受け取ることができる
助成金・補助金はどちらも原則、後払いとして受け取ることができる資金のため、審査が通ればすぐに支払われるわけではありません。
早急に資金が必要なときには対応できないため、金融機関などからの融資や他の資金調達方法を検討することが必要となります。
書類作成の時間や手間がかかる
事業計画書の作成だけでなく、審査を通過しても資金使途などを報告書として提出することが必要です。
期間の定めがある場合もある
支援制度の中には、公募期限が決まっているものもあるため、期限を見逃すと申請することができなくなるため注意しましょう。
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