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労務管理をコンサルタントに任せることでどのようなメリットがあるのか

資金調達2021/11/08

会社経営で人を雇用すれば、必ず必要となる労務管理について、今のやり方でよいのか迷ったときにコンサルタントに相談したいと考える経営者もいることでしょう。

会社や事業を拡大させる上でも従業員の労務管理は重要な課題といえますが、具体的にコンサルタントにどのようなことをサポートしてもらえるのか把握できていなければ相談しにくくなります。

そこで、労務管理とはどのようなことを行うのか、労務コンサルタントとは何をしてくれるのかなどご説明します。

 

労務管理を専門とするコンサルタントを頼りたい理由

一般的にコンサルタントと耳にすると、経営コンサルタントのようなアドバイザーを想像する方がほとんどでしょう。

会社経営に詳しい専門家が、これから企業をどのように運営していけばよいのかアドバイスやレクチャーし、円滑に問題を解決できるヒントを与えてくれることが特徴です。

たとえば素人に会社経営についてアドバイスをもらっても聞き入れることはできないものでしょう。しかし会社経営の専門であるコンサルタントから助言してもらえば、少しでも儲けを増やすためにも聞き入れようとするものです。

労務管理についても同様に、いくら第三者から今のやり方は好ましくないと助言されても聞き入れることはできないものですが、労務管理を専門とする労務コンサルタントの意見なら取り入れようと思うものでしょう。

 

労務コンサルタントとは

労務コンサルタントとは、人事や雇用などについて確認しアドバイスをしてくれる専門家ですが、二の次になってしまいがちな労務関係の管理への意識を高めるためにも相談してみるとよいでしょう。

近年では働き方改革などが進められている動きもあり、労務コンサルタントの需要は高まることが予想されます。

名ばかりの就業規則に不備があれば、従業員から訴訟を起こされるリスクも高くなります。労務コンサルタントはこれらに不備はないか確認し、問題を対処していくことが仕事です。

他にも、

  • ・採用関係
  • ・賃金の未払い問題
  • ・研修制度
  • ・人事制度
  • ・労働契約書

などにおいても法律に沿った内容となっているかなど確認し、もし問題点が見つかれば正しいやり方へ修正してくれます。

 

そもそも労務管理とは何をすることなのか

従業員を雇用し、社内で能力を最大限発揮してもらうためには、快適に働いてもらえる環境を整備することが必要です。

そのために欠かせないのが労務管理であり、使用者である会社・経営者と、労働者の間で結ばれる約束事労働条件などに関連する施策や制度を取り扱います。

具体的に労務管理で行うことは、

  • ・求人・採用
  • ・配置・異動
  • ・人材育成
  • ・人事評価
  • ・賃金
  • ・福利厚生
  • ・労働時間

など様々なです。

高いパフォーマンスを発揮してもらえるよう、快適に働くことのできる環境整備を行うと同時に、企業活動を円滑に進めることができる体制を作るためにも必要といえます。

 

労働契約書に記載する項目とその内容

一言で労務管理といっても、必要な業務は多岐に渡ります。

そのため現在行っている業務が法律に沿った内容となっているか把握しておくことが必要であり、もし法律に違反する状態であるのなら早急に正しく修正することが必要です。

労務管理は従業員を雇用した段階からスタートしますが、雇用した従業員と会社の労使間で労働契約を締結します。

本来であれば労働基準法15条にある通り、労働条件の明示で足るものの、後のトラブルを避けるためにも労働契約書という書面に残し双方が保管しておくことが望ましいといえます。

労働契約書に記載する項目は、

  • ・労働期間
  • ・労働時間
  • ・労働の対価(賃金・賞与など)
  • ・業務の内容

などです。

それぞれ詳しくご説明します。

 

労働期間

いつからいつまで雇用するのか、その期間について明記しますが、いつまでという期間の定めがある場合には延長の有無についても知らせることが必要です。

退職に関する規定も通知するようにしてください。

 

労働時間

労働する曜日や時間、休日や休憩時間などを明記します。

シフト制の場合には、シフトのパターンなどを記載しておくようにしましょう。

 

労働の対価(賃金・賞与など)

時給・日給・固定給など賃金形態、通勤交通費の支給の有無、各種手当などを明記します。

また、給与の締め日と支払日、支払い方法なども記載しておいてください。

 

業務の内容

どこで働くのか、どのような業務を行うのか明記します。雇用した時点でまだ業務内容が決まっていないときには、事業部名などを記載しておいてください。

 

労務管理の基本は法定三帳簿で

法定三帳簿とは、

  • ・労働者名簿
  • ・賃金台帳
  • ・出勤簿

の3つの帳簿のことです。

労務管理では大変重要な役割を果たす帳簿であり、3年間は保存しておくことが義務づけられています。

なお保存期間はすべて3年間と一律ではなく、

  • 退職金に関するもの…5年間
  • 雇用保険の被保険者資格に関するもの…4年間
  • 安全衛生に関するもの…一定期間

と内容によって保存する期間が異なります。

社会保険や雇用保険の手続などで必要になる帳簿なので、いずれも廃棄せず保管しておくようにしてください。

それぞれの帳簿の内容は以下のとおりです。

 

労働者名簿

従業員について情報をまとめた名簿であり、それぞれの従業員について次の項目を記載することが多いといえます。

  • ・氏名
  • ・生年月日
  • ・性別
  • ・住所
  • ・雇用した年月日
  • ・業務の種類
  • ・異動などの履歴
  • ・退職した年月日とその理由

 

賃金台帳

従業員の賃金の支払い状況をまとめた帳簿で、記載される内容は従業員それぞれの次の項目です。

  • ・氏名
  • ・性別
  • ・賃金の計算期間
  • ・就業日数
  • ・就業時間
  • ・残業時間
  • ・深夜残業時間
  • ・休日労働時間
  • ・基本給
  • ・手当

 

出勤簿

従業員が実際に出勤した状況を記録した帳簿ですが、タイムカードを使っているときには出勤簿として代用することもあります。

労働日数、労働時間、時間外労働などを確認するときに使用します。

 

労務管理で特に注意したい労働時間や休憩などの勤怠状況の管理

労務管理では正しい労働時間で従業員が働いているか確認しますが、労働基準法に規定されている法定労働時間1日8時間・週40時間までです。

法定労働時間よりも多く働いてもらうためには労使間で36協定(サブロク協定)を結ぶことが必要であり、残業や休日出勤分は別途賃金を支給することになります。

 

社会保険の加入手続も必要

従業員を雇用すると社会保険・雇用保険の加入手続も必要となりますが、社会保険は雇用から5日以内、雇用保険は雇用日の翌月10日までに所轄の年金事務所やハローワークで行います。

短時間勤務労働者でも、正社員の4分の3以上の労働時間であれば社会保険に加入することになります。雇用保険は週20時間以上の労働時間であれば対象です。

なお、社会保険は大企業または中小企業で労使間での合意があれば、労働時間週20時間以上または1か月の賃金が一定以上などの条件を満たすことで適用されます。

 

労務管理では従業員の健康管理も必要

労務管理は労働条件だけ管理すればよいのではなく、従業員の健康管理も含まれます。健康管理は身体だけでなく心のケアも含まれますが、いずれも業務を円滑に行うために必要なことです。

労働安全衛生法では、年に1度、従業員に健康診断を受けさせなければならないと義務づけられています。健康診断を周知し、受診してもらうよう手配も必要です。

健康保険組合の実施するインフルエンザ予防接種の案内や、労働者が50人以上いる事業所の場合には年に1度ストレスチェックを行うことも義務とされています。

 

ハラスメントへの対策も重要

職場でセクハラやパワハラといったハラスメントが起きると、従業員は不要なストレスを抱えることとなり、事業発展の妨げにもなるといえます。

もしハラスメントを受けたときの相談窓口を設置することも労務管理では必要なことといえるでしょう。

パワーハラスメントとは、

  • ・上司が部下に大声で怒鳴ったり暴力をふるったりする行為
  • ・仲間外れ
  • ・仕事の押し付け
  • ・飲み会への強要

など、権力を行使した嫌がらせを指しています。

合理性のない要求で、社内いじめに悩む従業員を作らないよう、しっかりと対策をしておくことが必要です。

セクシャルハラスメントは性的な強要や嫌がらせのことで、男性から女性に対するだけでなく、女性から男性に対して行われるものも含まれます。

他にも産休や育休を取得する女性従業員に対するマタニティハラスメントなども起こらないよう、どのような行為がハラスメントに該当するか周知しておくことが必要といえます。

 

休職・退職する社員が出たときに行う労務管理

何らかの事情で退職したいという従業員から退職届を受け取ったときには、社会保険の資格喪失手続の他、源泉徴収票の発行なども必要となります。

退職金の支払いがある場合には、退職金を計算し退職所得の源泉徴収票の発行も必要です。

また、社員証・名刺・貸与品などを回収するのも労務管理の1つといえます。

産後休業・育児休暇など取得するときや、傷病による休職などの場合も、就業規則に記載のとおり手続を行いましょう。

出産一時金・育児休業給付金・傷病手当金などの確認も必要となり、さらに結婚や出産で扶養親族が増えたときや苗字が変わったとき、住まいを変更するときなども変更内容を従業員に申請してもらうことが必要です。

 

多岐に渡る労務管理を正しく徹底して行うためにコンサルタントが必要?

労務管理で行うことは多岐に渡る上に、法令に関することも複雑なため、知らない間に法律に違反しているといったケースもめずらしくありません。

気がつかず会社を運営していると、従業員などから法律違反だと訴えられることになりかねないため、労務コンサルタントに一度相談して適切な管理を行うことができる体制をつくったほうが安心といえます。

中小企業では就業規則のない会社もあるため、まずは会社のルールとして作ることが必要といえるでしょう。

その上で何が問題なのか、経営者が求める組織へと近づけるためには何をすればよいいか検討していくことが必要です。

将来は株式上場を目指すという場合には、上場する上で必要な審査の基準をクリアしなければなりません。労働条件を見直すこともその1つですが、先導してもらうためにも労務コンサルタントに相談してみるほうがよいでしょう。

また、労働条件の見直しは資金繰りにも影響を与える部分のため、人事制度なども踏まえて適切に整備しながら解決させることが必要です。

経営者にとってはコンサルタントに相談すればコストが増えると考えてしまうがちですが、現在のやり方が間違っており、損害賠償請求されることになれば大きな損失を被ることになります。

早い段階でリスクを削り、石橋を叩きながら安全策を取るためのプロセスとして、しっかりコンサルタントに屋台骨を支える存在としてサポートしてもらうとよいでしょう。

なお、経営コンサルタントは必要とされる資格がなく、中小企業診断士などの専門家が対応することが多いといえます。労務コンサルタントも同様に、保有していなければコンサルタントとして名乗ることができないとする資格は特にありません。

労務関係の専門家といえば社会保険労務士や税理士などがメジャーですが、これらの専門資格を保有していなくても労務コンサルタントとしてコンサルティング業務を行っている専門家はいます。

資格を保有しているコンサルタントのほうが安心できるといえますが、資格保有者だから知識が豊富で実績も多くとは限りませんので注意してください。

最近では資金調達など専門とするコンサルタントもいるため、労務管理の見直しで資金繰りが悪化してしまったときには、あわせて資金面で頼れるコンサルタントに相談することもお勧めします。

 

まとめ

労務管理は会社経営において欠かせない業務ですが、従業員が安心して仕事をするためにも職場環境や労働条件を正しく整備することは必要です。

従業員の労働時間や賃金、福利厚生など労務管理が適切に行われていなければ、従業員のモチベーションも上がらず会社の発展の妨げにもなりかねません。

労働力を提供してもらう対価として賃金を適切に支払うことは大切なことですし、働いた時間分の賃金を正しく計算することも必要です。

労働時間や休憩時間も過労にならない範囲で法律による定めがされています。休暇も適切に取得してもらうことが必要であり、不要なストレスを抱えない状態をつくることが必要となります。

従業員のワークライフバランスに影響を与えることのないよう、適切な労務管理を心がけ、不安な部分があるときにはコンサルタントなどに相談するようにすることも方法として検討しましょう。

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