個人事業主や中小企業が利用できる創業支援の融資制度とは?

2021/10/25
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コロナ禍で創業は厳しいと考えていた方でも、アフターコロナに向けていよいよ始動することを決意したとき、融資制度など支援を受けることができれば必要な資金を確保しやすくなります。

そこで、現在利用できる融資にはどのようなものがあるのか、創業を支援してくれる制度についてご紹介します。

 

日本経済で創業支援が必要な理由

日本だけでなく、世界で流行した新型コロナウイルス感染症により、中小企業だけでなく大企業でもその影響を受けています。

過去を振り返れば2008年のリーマンショックに2011年の東日本大震災など、景気が冷え込む事件や災害もありましがた、現在はコロナ禍で事業継続が厳しくなりコロナ関連倒産件数も増加傾向にあります。

資金繰りが悪化し、負債が資産を上回る債務超過状態が続き、資金が枯渇すれば会社は倒産してしまうからです。

さらに問題なのは休廃業と解散件数が増えていることです。その背景には、先行きが見えない状況で後継者に事業を引き継がせることができず、資産が負債を上回る資産超過状態事業停止するしかなくなったことや法人格を消滅させなければならなくなることが関係します。

いずれにしても日本の9割以上は中小企業が占めているため、経済のプレイヤーが消滅していくことは日本経済や地域経済に悪影響をもたらすこととなるでしょう。

国や自治体でも優良企業が廃業してしまわないように、M&Aの市場規模を拡大させていますが、実際には企業の承継に対してはあまり機能していません。

高齢化する経営者が引退していくことは避けられませんが、M&Aによる事業承継が難しいケースもあるため、地域経済を維持できるよう創業で若い企業を増やしていくことが必要であり、そのための支援も必要とされています。

 

 

創業を支援する補助金制度

創業したくても手元の資金が十分でなければ苦戦してしまうため、創業を支援するネットワークや制度も多くあります。

有効活用できる補助金制度など利用したい場合には、地域の商工会や商工会議所、中小企業支援センターのある自治体などに相談することが必要です。

公的な支援機関の中には、有望な創業計画に対し特定創業支援の認定を出すところもあり、認められれば民間コンサルタントや金融機関と連携し国から創業支援補助金が下ります。

会社設立のときには登録免許税が半額になり、創業関連保証制度を利用することで創業資金の融資を受けるときの保証限度額が1,000万円から1,500万円に増えることがメリットです。

認定を受ければ地域経済の未来を担う存在と期待されることとなり、地域でも重点的に支援されることになるでしょう。事業が軌道に乗るよりも前から、地域経済の輪に入ることができるため、非常にメリットが高いといえます。

 

補助金がダメでも融資制度がある

創業するときに補助金で資金を調達できれば、返済不能の資金を手にすることができるため、事業が軌道に乗るまでの間、資金面の不安を抱えることはなくなります。

しかし誰でも補助金を利用できるわけではなく、公募している期間なども限定されていることもあるため、タイミングを逃せば申し込むことさえできません。

この場合、補助金ではなく融資制度を利用すると資金を調達できます。

融資制度はお金を借りることになるため、返済義務は発生しますが設定される金利が低めなので、資金繰りに影響を及ぼしにくいことがメリットです。

ただし申し込みに必要な書類などの準備や、一定の要件などクリアしなければならないなど、誰でも申請できるわけではありません。

これから始める事業に合う融資制度を活用し、開業に必要な資金を調達できるように事前準備を進めておくことも必要です。

 

東京商工会議所創業支援融資保証制度

「東京商工会議所創業支援融資保証制度」とは、東京商工会議所と東京信用保証協会が提携して行う支援制度です。

最大で2,500万円を原則、無担保で借りることができる支援制度で、独自で作成は難しいと考えられる計画書も東京商工会議所がしっかりフォローしてくれます。

起業後のフォローアップまで支援してくれ、信用保証協会が提携先の金融機関に融資をあっ旋する仕組みとなっているため、安心して任せることができます。

・融資対象 融資の対象となるのは、次の①または②に該当し、さらに③の要件を満たす中小企業者で信用保証協会の対象要件に該当する方です。

  1. 創業前に融資を受けたいときには次の要件すべてを満たすことが必要です。
    ・事業を営んでいない個人であること
    ・融資を受ける金額と同額以上の自己資金があること
    ・1か月以内に新しく個人、または2か月以内に新規法人設立により、東京都内で創業する具体的な計画があること
    ・原則、事業に必要な許認可などは取得していること
  2. 創業後に融資を受けたい場合は、創業後5年未満の個人または法人であることが必要です。個人で創業し同一事業を法人化した方の場合には、個人で創業した日から5年未満の方を含みます。
  3. 次のいずれかに該当する方

・東京商工会議所が実施する創業計画審査会で、創業計画の認定書の授与を3か月以内に受けた方

・東京商工会議所の「創業ゼミナール」を受講し修了証を授与されて原則1年以内の方

 

融資条件

資金使途 運転・設備資金
融資限度額 2,500万円(ただし上記の融資対象で①に該当する方は自己資金の範囲内まで)
融資期間 運転資金7年以内(据置期間1年以内)・設備資金10年以内(据置期間1年以内)
貸付利率 固定金利
責任共有利率の場合1.7~2.3%以内
全部保証利率の場合1.5~2.1%以内
返済方法 元金均等分割返済(元金据置期間は1年以内)
信用保証料率 保証協会所定の料率
保証人 個人は原則不要(ただし経営者が他にいるときは連帯保証人とすること)・法人は代表者
物的担保 原則不要
申込み方法 東京商工会議所窓口(本部創業支援センター)

 

東京商工会議所創業支援融資保証制度

新たに事業を開始する方の事業計画を審査し、無担保・無保証で開業資金を貸し付ける制度が「東京商工会議所創業支援融資保証制度」です。

東京商工会議所の創業支援センターで事前相談が必要となります。

対象業種 金融業・投機的事業・一部の娯楽業など以外のほとんどの業種
融資の対象 次の項目ごとの要件に該当する方が資金貸付の対象となります。

  • ・対象者の要件…新しく事業を開始する方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
  • ・自己資金の要件…新しく事業を開始する方。事業開始後税務申告を1期終えていないの場合、創業時に創業資金総額の10分の1以上の自己資金として準備している方。

資金使途 設備資金・運転資金
貸付限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
貸付利率 令和3年10月1日現在の基準利率は2.36~2.85
返済期間 各種融資制度で定める期間以内
保証人・担保 原則不要(代表者個人に責任が及ばない制度ですが、法人で代表者が連帯保証人となる場合には利率が0.1%低減されます。)
問合せ先 日本政策金融公庫 国民生活事業

 

日本政策金融公庫 新規開業資金

新たに開業するときに必要となる資金や、開業後、7年以内の方に事業資金を貸し付ける制度が日本政策金融公庫の「新規開業資金」制度です。

相談先は日本政策金融公庫の国民生活事業の窓口となります。

対象業種 金融業・投機的事業・一部娯楽業などを除くほとんどの業種
融資の対象 新たに事業を始める方、または事業を開始して7年以内の方
資金使途 設備資金・運転資金
貸付限度額 7,200万円以内(うち運転資金4,800万円)
貸付利率 令和3年10月1日現在1.06~2.15ですが、要件に該当する方が必要とする資金は特別利率が適用されます。
返済期間 設備資金20年以内・運転資金7年以内
据置期間 設備資金2年以内・運転資金2年以内
保証人・担保 原則として保証人または担保が必要となります。
問合せ先 日本政策金融公庫 国民生活事業

 

日本政策金融公庫 生活衛生新企業育成資金

飲食店や理・美容業、クリーニング業などの生活衛生業で、設備資金に使うお金を貸し付けてくれる制度が日本政策金融公庫の「生活衛生新企業育成資金」制度です。

新たに開業するときにも利用できますが、貸付金額500万円を超える場合には、都知事の推薦書が必要となるため注意しましょう。

推薦書の交付は(公財)東京都生活衛生営業指導センターで行っています。

対象業種 生活衛生関係の業種(飲食店営業・喫茶店営業・食肉販売業・食鳥肉販売業・氷雪販売業・理容業・美容業・クリーニング業・興業場営業・旅館業・浴場業など)
融資の対象 生活衛生関係の事業の創業をする方、または創業して7年以内の方
資金使途 設備資金
貸付限度額 業種によって異なるものの、7,200万円~4億8,000万円までの範囲
貸付利率 基準利率は令和3年10月1日現在2.06~2.55
返済期間 20年以内
据置期間 2年以内
保証人・担保 原則として保証人または担保が必要となります。
問合せ先 日本政策金融公庫 国民生活事業

 

日本政策金融公庫 女性・若者/シニア起業家支援資金

女性または35歳未満か55歳以上の方のうち、新規開業または開業して7年以内の方に対し事業資金を貸し付けるのが日本政策金融公庫の「女性・若者/シニア起業家支援資金」制度です。

融資の対象 女性または35歳未満か55歳以上の方で新しく事業を開始する方、または事業開始して7年以内の方
資金使途 設備資金・運転資金
貸付限度額 7,200万円以内(うち運転資金は4,800万円)
貸付利率 次の1~3の要件に該当しない方は特別利率A(土地取得資金は基準利率)が適用されます。

  1. 技術・ノウハウなどに新規性がみられる場合…特別利率A・B・C(土地取得資金は基準利率)
  2. 地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付決定を受け、新たに事業を開始する場合…特別利率B(土地取得資金は基準利率)
  3. 地方創生推進交付金を活用した起業支援金および移住支援金と両方の交付決定を受け、新しく事業を開始する場合…特別利率C(土地取得資金は基準利率)

なお、令和3年10月1日現在で基準利率・特別利率A・B・Cそれぞれ次の通りとなっています(年利%)
基準利率1.06~2.15・特別利率A 0.66~1.75・特別利率B 0.41~1.50・特別利率C 0.30~1.25
返済期間 設備資金20年以内・運転資金7年以内
据置期間 設備資金2年以内・運転資金2年以内
保証人・担保 原則として保証人または担保が必要となります。
問合せ先 日本政策金融公庫 国民生活事業

 

東京都 女性・若者・シニア創業サポート事業(融資)

東京都と取扱金融機関(信用金庫・信用組合)、そして専門家で構成された地域創業アドバイザーが協調しサポートするのが東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業(融資)」制度です。

創業をサポートするプログラムですが、融資の対象となるのは次のすべてに該当する方となります。

  1. 女性・若者(39歳以下)やシニア(55歳以上)で創業計画がある方、または創業して5年未満の中小企業者(個人事業主・株式会社・NPO法人・一般社団法人・一般財団法人などの法人)
  2. 東京都内に本店または主たる事業所を置くこと
  3. 地域需要や雇用を支える事業と認められること

融資条件は取扱金融機関ごとで、次の範囲で設定されます。

  • ・資金使途…設備資金・運転資金
  • ・貸付限度額…1,500万円(運転資金のみ750万円以内)
  • ・貸付期間…10年以内(据置期間3年以内)
  • ・利率…固定金利1%
  • ・担保…不要

あくまでも創業をサポートする支援事業のため、他の借入金の借り換えなどは対象になりません。

地域創業アドバイザーによる支援として、融資前には事業計画、融資後には決算書作成のアドバイスを受けることが可能です。また、融資後5年間・年3回経営アドバイスも利用できます。

問合せ先 NPO法人コミュニティビジネスサポートセンター(地域創業アドバイザー機関)女性・若者・シニア創業サポート事業担当

 

まとめ

日本の開業率は欧米の半分程度にとどまっており、特に地域によって開業率が低いエリアなども見られます。

そこで、国でも地域の開業率を引き上げることで新たな雇用を生み出すことができるとしており、産業の新陳代謝を活性化させようと取り組んでいます。

今回は東京都をメインに創業を支援する融資制度をご紹介しましたが、各地域でも独自の支援などを行っていることがあるため、自治体などに問い合わせて確認するとよいでしょう。

地域で創業を希望する方や創業して間もない方に対しては、市区町村・民間事業者が一丸となり支援する仕組みづくりを国が支援しています。

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