コロナ禍が長引いていることで、需要や売上が激減し事業継続が厳しくなっている事業者や中小企業などの法人は少なくありませんが、申請できる給付金制度など活用しましょう。
現在公募中の給付金制度や補助金、支援金などいろいろありますし、法人や個人事業主どちらも対象となるものもあります。
そこで、当面の資金工面で活用できる法人向けの給付金制度をいくつかご紹介します。
目次
中小法人・個人事業者のための「月次支援金」
緊急事態措置やまん延防止等重点措置に伴い、休業や時短営業した飲食店の他、外出自粛などの影響により売上が50%以上減少した中小法人・個人事業者などが事業継続・立て直しを図るために支給される支援です。
一時支援金の受付は終了となっていますが、代わりに月次支援金の申請が可能となっています。
・給付対象となる事業者
給付対象となるのは、業種・地域を問わず次の要件を満たす中小法人・個人事業者です。
- 緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業、外出自粛などの影響を受けている
- 緊急事態措置またはまん延防止等重点措置が実施された月のうち、これら対象措置の影響を受け月間売上が2019年または2020年の同月比で50%以上減少している
・給付される金額
給付額は2019年または2020年における対象月と同じ月の売上から、2021年の対象月の売上を差し引いた金額となります。
2021年の対象月は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が実際された月で、それらの影響により前年または前々年の同月比の売上が50%以上減少した月のことを指しています。
中小法人などは最大20万円、個人事業者などは最大10万円がそれぞれ各月支給されます。
・支援金の申請期限
申請期限は、
- 6月分 2021年7月1日~8月31日
- 7月分 2021年8月1日~9月30日
- 8月分 2021年9月1日~10月31日
- 9月分 2021年10月1日~11月30日
となっており、原則、対象月翌月から2か月間が申請期間です。
6月分の申請期限は8月31日に迫っているため、まだの場合にははやめに申請しましょう。
・事前確認の申請期限
なお、申請前には「登録確認機関での事前確認」が必要であり、この確認を受けることができるのは申請期限の数日前までです。
各対象月の事前確認は次の期限までに受付するようにしてください。
- 6月分 2021年8月26日
- 7月分 2021年9月27日
- 8月分 2021年10月26日
- 9月分 2021年11月25日
事前確認を受けるときには申請IDを提示することが必要なので、事前に仮登録して申請IDを発番しておきましょう。
一時支援金が受給されておらず、月次支援金を申請されていない方も新たにIDを発番し、事前確認を受ければ基本申請を受けることができます。
事前確認の際に必要となる書類
事前確認を受けるときには次の書類が必要となるため、事前に準備しておきましょう。
- ・本人確認書類
- ・確定申告書の控え(2019年対象月同月・2020年対象月同月を含むすべての確定申告書で、収受印付きであること)
- ・2019年1月~2021年対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳・請求書・領収書など)
- ・取引履歴の確認できる通帳(2019年1月以降の取引記録のあるもの)
- ・代表者本人の自書のある宣誓・同意書
- ・履歴事項全部証明(法人のみ)
事業再構築補助金
新型コロナウイルス感染拡大の影響だけでなく、ウィズコロナ・ポストコロナの時代に合った経済社会に対応するため、事業再構築を意欲的に行う中小企業などを支援するための補助金です。
主に、
- ・新分野展開
- ・業態転換
- ・事業・業種転換
- ・事業再編
など思い切った事業再構築への挑戦が支援の対象となります。
長期化する新型コロナウイルス感染症の影響で、需要が戻ることや売上回復など期待しにくい状況が続きますが、思い行った事業再構築による構造転換に挑戦するなら活用したい補助金です。
・補助の対象となる要件
補助の対象となるには、次の要件どちらも満たすことが必要となります。
- ・2020年4月以降の連続する6か月間の中で選んだ任意の3か月の合計売上高が、2019年または2020年1~3月のうち同3か月の合計売上高と比較したとき10%以上減少し、さらに2020年10月以降の中で選んだ連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高が2019年または2020年1~3月の同3か月の合計売上高と比較し5%以上減少していること
- ・認定経営革新等支援機関などと共同により、経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画書(3~5年分)を策定していること
・補助される金額と補助率
補助される金額と補助率は、
- 中小企業…100万円以上8,000万円以下 2/3(6,000万円超は1/2)
- 中堅企業100万円以上8,000万円以下 1/2(4,000万円超は1/3)
となっています。
対象となる経費は、
- 建物費・建物改修費・賃貸物件などの原状回復費
- 設備・システム購入費
- 外注費(加工・設計など)
- 研修費(教育訓練費など)
- 技術導入費(知的財産権導入など)
- 広告宣伝費・販売促進費(広告作成・媒体掲載・展示会出展)
などです。
・公募期間
令和3年7月30日から公募が開始されていますが、申請受付は令和3年8月下旬となっており、締切は令和3年9月21日(火)18時までです。
・申請方法
申請は電子申請システムのみの受け付けとなっており、電子申請システム操作マニュアルに従い手続しましょう。
なお申請の際には原則として「GビズIDプライムアカウント」を事前に取得しておくことが必要となります。
まだ取得していない場合には利用登録を行い、取得するようにしましょう。
アカウントは事業者情報の再入力の手間を省くためのもので、採択後の手続でも使用します。
発行まで数週間程度の時間がかかるため、早めに手続することをオススメします。
仮に公募締切までに発行が間に合わないという場合には、早期に発行できる「暫定GビズIDプライムアカウント」の付与で応募申請が可能です。
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症特例措置)
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を縮小することを余儀なくされたときでも、従業員の雇用を維持できるようにするための助成金です。
従業員と事業主が労使間で結ぶ協定に基づいて、雇用調整(休業)を行う事業主に対し、休業手当などその一部が助成されます。
また、労働者を出向させ雇用を維持するという場合でも、支給対象となるためうまく活用したほうがよいでしょう。
雇用調整助成金は新型コロナウイルス感染拡大の影響による制度ではなく、従来から設けられていました。
ただ、新型コロナウイルス感染症特例措置として、令和3年9月30日までの期間は緊急対応期間とし、令和2年4月1日から令和3年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間が判定基礎期間として対象となります。
・支給の対象となる事業主
雇用調整助成金のうち新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、次の要件を満たすすべての業種の事業主がその対象となります。
- ・新型コロナウイルス感染症の影響で経営環境が悪化し、事業活動が縮小していること
- ・最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比で5%以上減少していること(比較対象とする月は柔軟な取り扱いとする特例措置あり)
- ・労使間の協定に基づいて休業などを実施し、休業手当を支払っていること
・助成の対象となる労働者
雇用調整助成金の助成対象となるのは、事業主に雇用されている雇用保険被保険者に支払われた休業手当などです。
そのため雇用保険被保険者ではない学生アルバイトなどは対象ではありませんが、これら非正規労働者に対し休業手当など支払っているのであれば「緊急雇用安定助成金」の助成対象になります。
コロナ禍でも雇用維持する事業主を支援するために、従業員の時間給を一定以上引き上げた中小企業の緊急雇用安定助成金は現在拡充されていますので、雇用調整助成金と同様に申請するとよいでしょう。
なお、緊急雇用安定助成金は次に詳しくご説明しています。
・助成額・助成率・支給限度日数
助成額は、
(平均賃金額× 休業手当等の支払率)× 助成率(1人1日あたり15,000円または13,500円を上限とする)
で計算されます。
原則的な措置
雇用保険に加盟し、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が前年同月比5%以上減少している場合に対象となります。
- 助成対象となる労働者…雇用保険被保険者
- 助成率…中小企業4/5(概ね20人以下の小規模事業所は9/10)大企業2/3(小規模事業所3/4)
- 助成上限金額…1日あたり13,500円
地域に係る特例
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域であり、知事による基本的対処方針に沿った要請に基づき営業時間短縮などに協力する企業が対象です。
- 助成率…中小企業・大企業ともに4/5(概ね20人以下の小規模事業所は10/10)
- 助成上限金額…1日あたり15,000円
業況特例の対象者
売上高などの生産指標を直近3か月間の月平均値と前年同期または前々年同期の月平均値を比べたとき、30%以上減少している全国の企業が対象です。
- 助成率…中小企業・大企業ともに4/5(小規模事業所10/10)
- 助成上限金額…1日あたり15,000円
産業雇用安定助成金(法人向け)
新型コロナウイルス感染症の影響で、事業活動を一時的に縮小しなければならなくなった事業主が、在籍型出向などで労働者の雇用を維持するときに出向元と出向先どちらの事業主にも賃金や経費の一部を助成する制度です。
・助成の支給対象となる「出向」
助成の対象となる「出向」は、次のような要件を満たすものでなければなりません。
- ・新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を一時的に縮小せざるをえなくなった事業主が、雇用維持を図ることを目的に行う出向
- ・出向期間終了後は元の事業所に戻り働いてもらうことが前提の出向
- ・資本的・経済的・組織的関連性などから独立性が認められる会社間での出向(出向元と出向先が親会社と子会社間ではない、または代表取締役が同一人物の企業間出向でないなど)
- ・玉突き出向を行っていないこと(出向先で別の人を離職させるなど)
令和3年8月1日からは、独立性が認められない事業主での出向も一定要件を満たすことで助成対象に含まれています。
・助成の支給対象となる「事業主」
助成の対象となる「事業主」の要件は次のとおりです。
- ・新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を一時的に縮小せざるをえなくなったものの、労働者雇用維持を目的に在籍型出向で労働者を送り出す出向元事業主
- ・上記労働者を受け入れる出向先事業主
・助成の対象となる「出向労働者」
助成の対象となる出向労働者とは、出向元事業所で雇用されている雇用保険被保険者であり、出向した労働者であることが必要です。
ただし次のいずれかに該当する方は除きます。
- ・出向開始日前日まで出向元事業主に雇用保険被保険者として雇用された期間が6か月未満の方
- ・解雇を予告されている方や退職願を提出している方、事業主による退職勧奨に応じた方など
- 離職日翌日に安定した職業に就くことが明確な方以外)
- ・日雇労働被保険者
- ・併給調整の対象となる他の助成金などの支給対象の方
・助成される出向運営経費
助成の対象となるのは出向中にかかった経費の一部で、
- ・出向元事業主および出向先事業主が負担する賃金
- ・教育訓練および労務管理に関する調整経費
などが対象です。
- 出向元が労働者を解雇していない場合の助成割合…中小企業9/10・中小以外3/4
- 出向元が労働者の解雇している場合の助成割合…中小企業4/5・中小以外2/3
なお上限額は出向元・出向先の合計で、1日あたり12,000円となっています。
・助成される出向初期経費
- 就業規則や出向契約書の整備費用
- 出向元事業主が出向にあたり事前に行う教育訓練
- 出向先事業主が出向者を受け入れるために整備した機器や備品
など、出向成立にかかった措置に対し、出向元と出向先それぞれに助成されます。
助成額はそれぞれ1人あたり10万円(定額)で、加算額として1人あたり5万円(定額)が支給されます。
なお加算額は、出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産量要件が一定程度悪化した企業のとき、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れを行う際に加算される金額です。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、需要や売上が激減し事業継続が厳しくなっている事業者や中小企業は少なくないことでしょう。
しかし法人や個人事業主が申請すれば支給される給付金制度などもあるため、当面の資金工面の際にうまく活用することを検討してください。
なお、制度ごとに満たさなければならない要件や申請期限などがあるため、それまでに必要書類など準備し本来なら受け取れるはずのお金が入金されなかったということのないようにしましょう。
新型コロナウイルス感染症の影響はいつ収束するのか先の見通しは立っていませんが、まずは手元の資金を枯渇させないことが事業を続けるために必要なことです。
事業計画から資金調達、経営支援まで・・・
事業支援Labは中小企業の経営者を総合的にサポートします。
- 事業を安定させたい方
- 新規事業を立ち上げたい方
- 経営に関する相談をしたい方
- 資金繰りにお困りの方
- 保険として資金調達先を知っておきたい方
コロナウィルスの影響や世界情勢の不安、急激な円安進行..
大きく環境が変化する中で、なかなか経営が安定しなかったり、新規事業の立ち上げに苦慮する企業が多くなっています。
事業支援Labは日本を支える中小企業の経営者を総合的にサポートし、多種多様な専門家を無料でご紹介しています。
事業計画から資金繰りまで経営に関する問題解決に取り組むパートナーとして、経営者の皆様のビジョンの実現を支援いたします。
まずはお気軽にご相談ください。