厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置について延長を発表しています。
2021年6月に発表されたこれら助成金等の延長は8月末までとされていましたが、これは沖縄県で緊急事態措置が延びたことと東京都・大阪府など9都道府県でまん延防止等重点措置が実施されていることでした。
しかし2021年7月、緊急事態措置区域として東京都が追加され、埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府はまん延防止等重点措置期間が延長されたことで助成金等を9月末まで継続するとされています。
目次
コロナ禍を乗り切るための助成金制度
新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少してしまい、従業員を休ませている事業者もあることでしょう。
雇用を守るため、従業員は解雇せずに休業手当を支給しているものの、売上があがらない状態では収入もなく先行きは不安な状態です。
そのような事業者に対し、助成金を支給する制度が「雇用調整助成金」です。
コロナ禍で雇用調整助成金には特例措置が設けられており、特に業況が厳しい事業者には特例で原則的な措置の水準は一定程度抑え運用されています。
雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を縮小しなければならなかった事業者が、従業員の雇用を維持するため労使間協定に基づいて休業するときに支払う休業手当などの一部を助成する制度です。
また、事業主が従業員を出向させ雇用を維持したときも、助成の対象となります。
助成金で支給される金額
令和2年4月1日から令和3年7月31日までの緊急対応期間は、原則的な措置として、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業・教育訓練に対しては助成率9/10、1日1人あたりの上限助成額は13,500円です。
解雇など実施した中小企業の従業員の休業・教育訓練に対する助成率は4/5で、1日1人あたりの上限助成額は同じく13,500円となっています。
そしてコロナ禍により、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の対象地域であり、要請に基づき営業時間短縮などに協力する企業などを対象とした地域特例が設けられました。
また、売上など生産指標が直近3か月の月平均と前年もしくは前々年同期と比較したとき、3割以上減少した全国の企業は業況特例の対象となります。
地域特例と業況特例の対象となる企業の場合、中小企業の助成率は4/5・解雇せず雇用維持したときには10/10となり、1人1日あたりの助成額の上限は15,000円になります。
(平均賃金額×休業手当等の支払率)×下表の助成率(1人1日あたり15,000円または13,500円が上限)
なお平均賃金額の算定については、おおむね20人以下の小規模の事業所について簡略化する特例措置も実施されています。
【原則的な措置】
~4月末 助成率4/5(解雇しない場合10/10) 助成額の上限15,000円
5月~9月 助成率4/5(解雇しない場合9/10) 助成額の上限13,500円
【地域特例(緊急事態措置・まん延防止等重点措置を実施するべき区域)・業況特例】
5月~9月 助成率4/5(解雇しない場合10/10) 助成額の上限15,000円
助成金の対象となる事業者
新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置は、次の条件を満たすすべての業種の事業者が対象です。
- ・新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し事業活動が縮小していること
- ・最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少していること(比較対象とする月については柔軟な取り扱いとする特例措置あり)
- ・労使間協定に基づき休業などを実施し対象となる従業員に休業手当を支払っていること
助成の対象となる労働者
雇用調整助成金は、雇用された雇用保険被保険者に対し休業手当を支払ったときに対象となる制度です。
たとえば学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外に対し休業手当を支払っている場合には、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となり雇用調整助成金と同様に申請が可能です。
助成金の申請手続
申請手続は、事業所の所在地を管轄している都道府県労働局、またはハローワークが窓口となっており郵送での申請も可能となっています。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症とそのまん延防止措置の影響で休業した方のうち、休業中に休業手当を支払ってもらえなかった場合に支給されるのが「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」です。
予定していた勤務日に新型コロナの影響で休まなければならなくなった方や、時短営業で1日あたりの勤務時間が短くなり収入が減ってしまった方、シフト日数が減ってしまい収入が少なくなった方も申請できます。
支援金・給付金の対象者
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象となる方は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け休業することとなったものの、休業手当を受け取っていない方です。
日々雇用やシフト制でも実態として更新が常態化している方で、申請対象月に事業主が休業させたと認識しており、支給要件確認書を作成してもらえば対象になります。
また、以下のケースであれば支給要件確認書で休業の事実が確認できないときでも、次のケースに該当するなら休業という取り扱いです。
- ・労働条件通知書に「週○日勤務」など具体的な勤務日が記載されており、申請対象月のシフト表の内容に誤りがないことを事業主に確認可能である場合
- ・休業開始月前の給与明細などで6か月以上の間、原則月4日以上勤務していることが確認でき、事業主に新型コロナの影響がなければ申請対象月も同様の勤務を続けさせていた意向が確認できる場合
給付される金額の算定方法
給付される金額は、
休業前の1日あたり平均賃金 ×80%×各月の日数(30日または31日)-就労した日数・労働者の事情で休んだ日
で計算され、1日あたり支給額は11,000円(令和3年5月からは9,900円)が上限となります。
1日8時間から3時間に勤務時間が短縮されるなど、時短営業の影響で勤務時間が少なくなったときも、1日4時間未満の就労なら1/2日休業の対象です。
週5回から週3回に勤務日数が少なくなるなど、月の一部分の休業も対象となります。
【原則的な措】】
~4月末 助成率8割 助成額の上限11,000円
5月~9月 助成率8割 助成額の上限9,900円
【地域特例(緊急事態措置・まん延防止等重点措置を実施するべき区域)等】
5月~9月 助成率8割 助成額の上限11,000円
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、現在もとどまるところを知らず多くの中小企業を厳しい状況へと追い込んでいるといえます。
雇用を守らなければならない状態で、緊急事態宣言の再発出や時短営業などの要請が行われ、収入は減少し従業員に対する休業手当を支払うことが難しい場合もあるでしょう。
しかし雇用調整助成金や・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金といった助成制度を活用することができ、特例措置も設けられているため有効活用することをオススメします。
またコロナ禍で先行きが見通せないことから、当初予定されていた対象となる期間も延長されていますので、まだ申請されていない場合は手続を進めるとよいでしょう。
コロナ禍を乗り切るまで、まだある程度時間はかかりそうですが、手元の資金が枯渇し倒産してしまう企業や廃業という選択をするしかない事業者も増えています。
最悪の結果とならないためにも、手元の資金を枯渇させないよう必要なタイミングで資金を調達できる準備もしておいてください。
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