ファクタリングも債権流動化の1つ!売掛金を使った資金調達のメリット・デメリット

2021/03/01
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

会社経営で必要となる資金を調達する手段として、売掛金(売掛債権)を流動化させるファクタリングが中小企業などに注目されています。

ファクタリングは売掛債権を流動化させて資金調達する方法の中でも、借金を増やすこともなく資金繰りも改善させやすいからです。

資金調達に成功してもその後の資金繰りがさらに悪化するようでは意味がありませんが、売掛債権を流動化させるファクタリングなら、資金調達成功と資金繰り改善の2つを実現できます。

そこで、売掛債権を流動化させて資金調達するファクタリングと、その他債権流動化の方法やそれぞれのメリット・デメリットについてご説明していきます。

 

キャッシュフロー改善にも債権流動化は有効

企業経営ではキャッシュフローは重要な項目ですが、仮に多額の売上が計上され黒字になったとしても、手元のお金がなくなれば会社は倒産してしまうからです。

利益が出ているのに倒産してしまう黒字倒産はめずらしいことではなく、特に体力が不足がちな中小企業の場合、資金繰りを改善させることは大切といえます。

売上計上と同時に売掛金が発生しあと1~2か月待てばその代金が入金されるとわかっていても、従業員の給料や仕入れ代金の他、外注費や借入金返済など様々な支払いは発生します。

そのとき手元に十分なお金があれば問題ありませんが、売掛金が入金されなければ手元の資金だけでは足らないことも出てくるでしょう。

このような状況に陥らないためにも、できるだけ売掛金は早めに回収できることが望ましいといえますし、流動化で現金に換えて資金調達する方法も検討が必要です。

 

債権流動化といわれる方法はファクタリング以外にもある

資金調達といえば銀行から融資を受ける方法がもっとも馴染みがあるといえるため、債権流動化といわれてもピンとこない経営者もいることでしょう。

債権流動化で資金調達する方法はファクタリング以外にもあるため、それぞれどのような方法なのか、メリットや特徴は次のとおりです。

 

債権流動化の王道といえるのが「ファクタリング」

「ファクタリング」は債権流動化の手法の1つであり、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、現金化して資金調達するサービスのことです。

ファクタリング会社と売買契約を結ぶ方法であり、手数料は取られますが手元の売掛金を早期に現金化できるため、負債を増やすことなく資金調達が可能となります。

 

債権を担保にお金を借りる「ABL(動産・債権担保融資)」

売掛金を活用する方法はファクタリングだけではありません。

ファクタリングは売掛金を売却する方法でしたが、売らずに担保にして融資を受ける「ABL(動産・債権担保融資)」という方法もあります。

担保として差し入れる対象となるのは、売掛金などの売掛債権の他、在庫などの動産などです。

不動産などを担保にしてお金を借りる不動産担保融資などが一般的ですが、中小企業などは不動産を所有していないことも少なくないため、銀行などからお金を借りやすくするために、動産や売掛債権なども担保にすることができます。

在庫や売掛金などを担保にする場合には、不動産と異なり評価額の算出なども含め、審査には一定の時間がかかります。そして銀行から融資を受けるのだから低金利だと思い込むのは危険で、金利も必ずしも低いとは言い切れません。

 

その他の債権流動化の方法「売掛債権証券化」

他にも債権流動化で資金調達する方法として、「売掛債権の証券化」が挙げられます。

ファクタリングならファクタリング会社を通じ、売掛金を現金に換えることができますが、売掛債権証券化の場合にはSPV(特定目的事業体)を活用し現金に換えます。

このSPVとは、証券化やプロジェクトファイナンスを目的としている事業体であり、ここで投資家を募り売掛債権を証券化させ投資家に発行します。

売掛金を投資家が購入することで現金化させることが可能となる方法ですが、売掛債権証券化に用いるにはかなり大きな売掛金でなければ使えません。

中小企業だけでなく大企業でも利用が難しいケースもあり、手続きも煩雑なので手間もかかるため、中小企業の資金調達の方法としては適していないといえます。

 

債権流動化の中でもファクタリングとABLの違いを理解すること

売掛債権証券化は中小企業にはハードルの高い債権流動化の手法のため、ファクタリングとABL(動産・債権担保融資)に絞って、違いやそれぞれのメリットを確認していきましょう。

 

 

契約形態 取引機関 手数料 審査のハードル

ファクタリング

売買

ファクタリング会社

高め

低め

ABL(動産・債権担保融資)

融資

金融機関(銀行など)

低め

高め

 

債権流動化の手法のうち上記2つの違いとして挙げられることは、ファクタリングは売買契約を結ぶのに対し、ABL(動産・債権担保融資)は借入れであることです。

ファクタリングの場合には、取引はすべて現金一括で行うこととなり、融資を受けるわけではないため手数料はかかっても利子の支払いは発生しません。

そしてファクタリングのうち、契約する会社とファクタリング会社のみで取引する2社間ファクタリングであれば、売掛金を売却した後で売掛先が倒産してもその責任はファクタリング会社が負います。

対するABL(動産・債権担保融資)は一般的な銀行融資と同じ契約を結ぶこととなるため、分割返済で利子の負担も必要です。

当然、売掛先から売掛金を回収するリスクは銀行が負うわけではなく、自社が責任をもって負担しなければなりません。売掛先が倒産し、売掛金が不良債権となっても、すべての負担は自らの会社に重くのしかかると留意しておくべきです。

そしてファクタリングでの審査はハードルが低く、売掛先の信用力が重視されるため、スムーズであれば即日には現金化が可能となります。

しかしABL(動産・債権担保融資)は審査に時間がかかり、場合によっては1~2か月かかることもあります。

そして銀行からお金を借りるため、ある程度厳しい審査をクリアしなければなりません。

ただ負担する手数料の大きさで見たときには、銀行などから融資を受けるABL(動産・債権担保融資)のほうが、ファクタリングよりもかかる利子負担は少ないといえます。

ファクタリングは利子こそ発生しませんが手数料負担は大きくなるため、コスト面を重視するのか、資金調達までのスピードや審査の柔軟性を重視するかでどちらを選ぶか変わってきます。

 

ファクタリングでオフバランス化すれば決算書改善も可能

債権流動化のうちファクタリングを選んだときには、ABL(動産・債権担保融資)では難しいといえる決算書の改善も可能です。

決算前に塩漬け中の売掛金を現金化させることで、貸借対照表の現金割合を増やすことができます。

それに加えて増やした現金で借入金を返済することにより、貸借対照表の資産も負債も減少し、バランスシートをスリム化させることができます。

バランスシートのスリム化は少ない資産で大きな利益を稼いだことを意味するため、企業評価の指標ともいえるROA(総資産利益率)や自己資本比率の数値を改善させることとなり、銀行からの評価も挙げることができます。

貸借対照表をスリム化し、決算書の内容を改善させることをオフバランスといいますが、ファクタリングはこのオフバランス化が可能でありその後の銀行融資で有利な条件を引き出すことにつなげることが可能です。

 

ただし資金調達にコストをかけたくない経営者にはデメリットに

売掛金を現金化させることで様々なメリットはあるものの、ファクタリング利用で発生するコストは割高です。

2社間ファクタリングであれば売掛債権額10~20%が手数料として発生することが一般的なため、債権流動化でキャッシュフローは改善させることができても、繰り返し利用すれば資金繰りが悪化しやすくなってしまうことは注意しておきましょう。

たとえば利益率が高めの業界や、入金されるまで4~6か月後かかる売掛債権を保有している場合には、積極的にファクタリングで債権流動化を検討するべきです。

しかし売掛金の入金サイトが1~2か月くらいの場合で、長期に渡り続けてファクタリングを利用してしまうと、発生するコスト分受け取る金額は目減りし資金繰りは悪化してしまう可能性があります。

これはファクタリングだけでなく、ABL(動産・債権担保融資)も同じです。

ABL(動産・債権担保融資)は一般的な銀行融資よりも金利相場が高めであり、年利5~10%程度になります。

発生するコスト分、本来受け取る予定だったお金が減少していることは留意しておくことが必要といえます。

 

債権譲渡禁止特約が付されている契約でも債権流動化は可能か

売掛先との契約において、債権を譲渡することを禁止する特約が付されていることもあります。

特に大手が相手の取引や契約の場合や、工事の請負契約、受注生産などのときには債権譲渡禁止特約を付して債権流動化できないようにしている傾向がみられます。

これは、債権が譲渡されるなど流動化されることで、信用力の低い相手がかかわることを避けるためです。もし譲渡した相手が反社会勢力だった場合には、コンプライアンス的にも大きな問題になってしまいます。

しかしこの特約で債権譲渡が禁止されてしまうと、ファクタリングなどで資金調達できなくなることは困ります。

そこで、120年ぶりの民法の大改正により、債権譲渡禁止特約が付されている場合でも売掛金を流動化させることは可能になりました。

これまでであれば、債権譲渡禁止特約が契約上付されている売掛金をファクタリング会社が買取ることは不可能でしたが、この民法改正によりファクタリング会社も安心して買取りができるようになったといえます。

ただし契約上は債権譲渡が禁止されているため、売掛先とのその後の関係などが悪化する可能性はないか十分に検討した上で流動化を決めたほうがよいでしょう。

 

ファクタリングは業者選びも重要

債権流動化の方法のうち、ABL(動産・債権担保融資)であれば相手は銀行などの金融機関なので、安心して契約を結ぶことができるでしょう。

しかしファクタリングで資金調達する場合、契約を結ぶ相手は民間のファクタリング会社です。

ファクタリング会社も数多く存在していますが、中には法外といえる手数料を請求しようとする悪質な業者も潜んでいます。

ファクタリングそのものは違法な取引ではないものの、貸金業のように登録制度などが設けられているわけでもなく、金利に対する利息制限法などのように手数料の上限を縛る法律もありません

契約を結ぶファクタリング会社が独自の審査で手数料を決めることとなるため、業者選びがかなり重要になるといえます。

ただ、審査基準はファクタリング会社によって違いがあり、実際にどのくらいの手数料で買取可能か問い合わせてみなければ発生するコストの確認はできません。

そのためファクタリングを利用するときには、複数社に対し見積もりを依頼するアイミツを利用し、業者選びをしたほうが失敗しにくくなります。

ファクタリング会社を選ぶ上で基準となるのは手数料の高さだけでなく、資金調達までのはやさ・企業概要・過去の実績なども確認するべきです。

そして個人事業主でも対応可能なファクタリング会社であれば、顧客目線で柔軟な対応をしてくれることが期待できます。

 

まとめ

会社経営では、とにかく売上を伸ばし利益を生んでいればよいわけではなく、倒産しないために手元の資金を枯渇させない管理が大切です。

計上した売上がいつ入金されるのかが重要であり、回収するまでは安心できないと留意しておくべきといえます。

売掛先によって、売掛金の入金サイトにも違いがあり、中には回収までかなり時間がかかるという場合もあるでしょう。このようなときにこそ、債権流動化で保有する債権を現金化させ、資金調達することを検討するべきです。

お金を借りて資金を調達することもできますが、債権流動化は融資を受けるわけではないため資金繰りを改善させやすくなります。

債権流動化で資金調達する方法には、ファクタリング・ABL(動産・債権担保融資)・売掛債権証券化の3つがありますが、中小企業ならファクタリングまたはABL(動産・債権担保融資)がおすすめです。

いずれも一長一短ある方法のため、十分に違いを理解しておき、自社の資金調達や資金繰り改善に適しているのはどちらか検討した上で選ぶようにしましょう。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter