中小企業に限らず日本の商取引は掛けによるものが基本となり、売上計上後の代金が入金される前に仕入れや人件費などの支払いは発生し、資金繰りが難しい状態の中で資金を調達しなければならなくなってしまいます。
運転資金だけでなく、事業展開にも資金は必要となるものの、中小企業の資金調達は決して容易ではなくむしろ難しいといわれています。
そこで、中小企業はなぜ資金調達が難しいのか、どのような方法であれば問題をクリアできるのか解説していきます。
目次
中小企業は銀行融資を受けることが難しい
中小企業の資金調達は大変厳しい状況にあり、難しい状態が続いています。
民間銀行から企業に対する融資も、バブル崩壊から90年代後半にかけて大きく落ち込み、リーマンショック以降に回復したのは大企業で中小企業は横ばい状態。
さらに新型コロナウイルス感染症の影響で、柔軟な対応がされるようになったといわれながらも、十分に融資を受けることにつながっていない中小企業は少なくありません。
なぜ融資は難しいのか
中小企業が銀行から融資を受けることが困難な要因として、金融機関が企業に対する事業性評価が難しいことが挙げられます。
大企業であれば決算内容が公表されますが、中小企業の場合はそうではありません。さらにもともと体力も十分でない中小企業に対し、金銭を貸し付けることは高リスクな取引となるでしょう。
そのため、銀行もリスクを抑えて取引ができる大企業に向かうこととなり、中小企業に資金が回らない状況にとなっているといえます。
中小企業が銀行からお金を借りることができる場合でも、不動産など担保を差し入れることや代表者が保証人となるケース、信用保証協会の保証付き融資が一般的です。
保証や担保に依存せず、銀行が独自の責任で貸し付けを行うプロパー融資を受けることは難しいといえるでしょう。
中小企業が融資を受けて資金調達する場合
中小企業は民間銀行から融資を受け、資金調達することは難しいといえます。しかし借入れによる資金調達の方法は、銀行からのプロパー融資や担保・保証付きの融資以外にもいろいろあります。
たとえば、
- ・日本政策金融公庫
- ・制度融資
- ・ノンバンク
などがその例です。
日本政策金融公庫からの資金調達
日本政策金融公庫は国が100%出資・運営しており、日本経済を活性化させるための政府系金融機関です。
低い金利で長期に渡りお金を借りることができるため、借入れによる資金調達では返済負担も重く感じることはないでしょう。
様々な制度があるため、民間の銀行からお金を借りることが難しい中小企業でも、積極的に支援してもらえることがメリットです。
制度融資は中小企業でも利用しやすい
自治体と信用保証協会、民間の金融機関が連携し貸し付けを行いますが、地域によって制度の種類もいろいろです。
そもそも経営基盤が安定しにくい中小企業などを支援することを目的としているため、審査のハードルも一般的な民間銀行からの融資より低く、低金利での借入れが可能です。
ノンバンクからの借入れなら難しいことはない
貸付業務を専門とする銀行以外の金融であり、消費者金融などがノンバンクと呼ばれています。
審査のハードルはかなり低く、審査にかかる時間も短いので早ければ即日融資という場合もあります。
短期間で資金調達が可能ですが、金利が高めに設定されるため、長期による利用は資金繰りを悪化させてしまいます。
また、融資金額は基本的に小口となるため、多額の資金を調達したいときには向きません。利用する際には、一時的なつなぎの運転資金として、さらに急を要するときのみに限定したほうが後々の負担を重くすることはありません。
中小企業でも難しいと感じない資金調達の方法
銀行から融資を受けるのではなく、その他の借入れでも審査に通らなければ資金は調達できません。
もし借入れによる資金調達が難しい場合には、次の方法を検討することをおすすめします。
ファクタリング
保有する売掛金を売却し、現金化させる方法がファクタリングです。取引先から入金される期日よりも、先に現金を手に入れることができるため、回収サイトの長い売掛金があるならうまく活用しましょう。
手元のお金が乏しい状態で急な資金が必要という場合にも、ファクタリング会社によっては即日現金化が可能となりますが、あくまでも売掛金額の範囲での資金調達となります。
それでもお金を借りずに資金を調達したい場合や、資金繰りを改善させる方法を探しているときには有効な方法といえます。
出資してもらう場合でも難しいと感じない方法はある
ベンチャーキャピタル(VC)や個人のエンジェル投資家から出資を受け、資金を調達する方法もあります。しかし中小企業が出資してもらうことは簡単とはいえず、そもそも投資家と出会うことが難しいと諦めてしまうこともあるようです。
この場合、インターネット上で不特定多数の人から少額資金を募るクラウドファンディングであれば比較的利用しやすいといえます。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、近年注目を集めている資金調達の方法であり、成功すれば多額の資金を得ることができます。
補助金や助成金を使って資金を調達
国や自治体などの補助金や助成金であれば、返済不要の資金を安心して調達できます。
ただし応募するには要件を満たす必要があり、準備しなければならない必要書類も多岐に渡る上、審査は厳しくなっています。
そして対象となる支援制度の費用は一旦立て替えで先払いすることとなり、後払いで支給されることになるため、準備段階で資金を調達できないというデメリットには注意しておきましょう。
中小企業が資金調達を難しいと感じることなく成功させるために
中小企業が資金調達は難しいものではないと感じ、成功させるためには具体的にどのような取り組みが必要なのかそのポイントを確認しておきましょう。
自社に合った資金調達の方法を選ぶことがポイント
すぐにでも資金を調達したい中小企業の経営者にとっては、お金を集めることができるところから!と金利が高いノンバンクからの借入れに頼ってしまうことも。
しかし金利が高ければその後の返済負担は重くなりますし、そもそも自社に適した方法でなければ資金繰りはさらに悪化することになるでしょう。
どの資金調達の方法を選ぶべきかは、事業の特性や目的などにより変わりますので、思いつきで行動するのではなく計画的に資金調達方法を選ぶことがポイントです。
まとめ
中小企業は業績や信用力が重視される審査が行われますが、これは借入金の返済能力の程度で銀行が抱えるリスクが大きく変わるためです。
中小企業が資金調達を必要とするタイミングは、成長曲線でいえば成長初期の段階です。安定性や信用力を証明ことは難しい時期であり、担保として差し入れる不動産など保有していないことも少なくありません。
その結果、必要なタイミングにお金を借りることができない中小企業が多くなり、その他の資金調達方法を知らなければ倒産してしまうこともあります。
そもそも赤字決算では審査に通りませんし、投資会社や個人投資家からは将来的に有望と認められなければ出資してもらえません。社債などを活用したくても、知名度の低い中小企業に資金援助してくれるところは見つかりにくいといえます。
しかしどの資金調達方法でも難しいわけではなく、借金を増やさず手元のお金を増やすファクタリングなども利用可能です。
切羽詰まった状況の中では間違った判断をしてしまいがちですが、より財務状況を悪化させず資金繰りを改善できる方法を冷静に判断し、選ぶようにしてください。
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