売掛債権譲渡によって債権を回収する方法とは?

2020/04/24
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売掛先企業に対して発生している売掛債権。期日になっても支払ってもらえず、帳簿上では売掛金が残ったままでは、いずれ時効を迎えて回収できなくなるのでは…と不安になることもあるでしょう。

このような場合、売掛債権を譲り渡してもらう形で譲渡してもらう、または売却で手放す譲渡という形でうまく回収につなげることができます。

そこで、売掛債権を譲渡または売却することで未回収リスクを回避する方法についてご説明します。

 

未払い分を早く払ってほしいと頼むだけではだめ?

日本の商取引は掛けによるものがほとんどであり、売掛債権が発生することは避けようがありません。その中で発生した売掛金が期日になっても入金されないことは決してめずらしいことではないため、すでに発生している売上分の代金をあの手この手で回収しようと悩んでしまうものです。

しかしいくら売掛先企業に対し、「何とかして支払いを済ませてほしい」と伝えたとしても、手元に資金がなく銀行融資も受けられないことを理由に回収できない状態に陥ってしまいがちです。

「来月になれば取引先から売掛債権を回収できる」または「銀行融資を検討しているから」と伝えられ、それで支払うと引き延ばされたとしても、結局また次の月には同じやり取りを行いいつまでも支払ってもらえないこともあるでしょう。

この場合、回収予定とされている売掛債権を譲渡してもらう方法を検討することもできます。売掛先企業の手元に売掛金の支払いに充てるお金がないとしても、保有している売掛債権の譲渡で代金を回収できれば、また同じやり取りを繰り返す心配もなくなるでしょう。

 

売掛債権を回収するための債権譲渡とは?

債権譲渡とは、言葉通り債権を他人に譲り渡すことを示しています。

具体的には元々売掛先企業が保有している取引先の売掛債権を、自社に譲渡してもらうことで売掛先企業が取引先から回収する予定だった日に直接お金を受け取ることができる流れを意味します。

売掛先企業の取引先にとって新たな債権者となる自社が、旧債権者である売掛先企業に代わり債権者となって、第三債務者である売掛先企業の取引先に対して債権を行使することが可能になる流れです。

 

債権回収の場面での活用方法

自社が売掛先企業に対し売掛債権を保有しているのなら、売掛先企業が保有する別の会社に対しての売掛債権を譲り受けることで、売掛債権回収を図ることが可能です。

具体例としてたとえば次のような流れで売掛債権の譲渡が行われます。

 

売掛債権譲渡による債権回収ケース①

自社が売掛先企業に対し120万円の売掛債権を保有しており、売掛先企業は第三債務者となる別の会社に対する100万円の売掛債権を保有しているとします。

しかし売掛先企業の信用状態悪化により、自社の売掛債権120万円の支払いができない状態となりました。

そこで売掛先企業に合意を得て、別の会社に対する100万円の売掛債権を譲渡してもらうケースです。

本当なら現金で売掛金分120万円を支払ってもらいたいところですが、手元にお金がなく支払えないため、120万円のうち100万円分は売掛債権を譲り渡してもらうことで回収するという形です。

 

売掛債権譲渡による債権回収ケース②

同様のケースで、120万円の売掛債権の支払いに対し100万円の売掛債権を譲渡してもらうことにより、売掛先企業の120万円の売掛債権を消滅させるケースです。

残り20万円分は未回収となり回収金額に不足は生じるものの、まったく入金してもらえないよりは一部分でも売掛債権譲渡により回収が可能です。

また、売掛先企業の信用状態が悪化しているケースでは、たとえ売掛金全額でなく100万円分だけでも回収できた方が有利であるとも考えられます。

 

売掛債権を譲渡してもらう方法

売掛先企業から、保有している別の会社の売掛債権を譲渡してもらうためには、主に次の手続きが必要です。

  1. 自社と売掛先企業で売掛債権譲渡に対して合意し、債権譲渡契約を締結する
  2. 売掛先企業の取引先である第三債務者となる別の会社に対し、内容証明郵便で債権譲渡の通知を行う(または第三債務者から債権譲渡に対する承諾・確定日付を得る)

これらの手続きの中で、①は売掛先企業から合意を得て契約を結ぶことが必要となります。譲渡の対象になる売掛債権を保有しているのか、期日に確実に回収できる内容の債権かヒアリングなども欠かせないでしょう。

②の手続きを行う理由は、第三債務者である別の会社に対し、今後は売掛先企業ではなく自社が売掛債権の権利を保有することを認識してもらうために行います。

自社が新しい売掛債権の権利者となることで、期日に支払ってもらう相手は売掛先企業ではなく自社であると理解してもらうことが必要だからです。さらに売掛先企業と他の債権者との関係において、この他の会社の売掛債権を譲渡してもらったのは自社であることを主張し、他の債権者よりも自社が優先されるべきであることを示すために必要になります。

一般的な普通郵便ではなく、わざわざ内容証明郵便で発送するのは、第三債務者に通知を行った日付やその内容の記録を残すためです。

また、第三債務者から債権譲渡に対する承諾・確定日付を得るとは、公証人役場に対し第三債務者の承諾書を持参して日付印を押してもらうことで成立します。

 

登記を行うことも可能

②は内容証明郵便で第三債務者に通知・承諾を得るという方法以外にも、債権譲渡登記という制度を活用することもできます。

債権譲渡登記は法人が保有する金銭債権が譲渡された事実を法務局における登記で法的に証明する制度です。

第三債務者に通知を行う、または承諾を得たときと同じように、自社の優先権を主張できる手続きといえます。

ただ、登記情報ですので誰でも閲覧が可能となり、売掛先企業の信用力が低下する可能性も出てきます。仮に売掛先企業が銀行融資など検討している場合、銀行が登記を行った事実を確認すると、銀行融資における審査は通らずローンは利用できなくなるでしょう。

そのため売掛債権を譲渡してもらって債権を回収する場面では、内容証明郵便を送付する方法が迅速に進みやすいといえます。

 

通知や承諾・登記を必要とする理由

もし売掛先企業が、第三債務者である別の会社に対する100万円の売掛債権を、自社以外の別の企業にも同じように譲渡していたらどうでしょう。

売掛先企業の信用状態が悪化しているのなら、自社以外の企業に対する支払いもできず、同じように他社の売掛金があるから売掛債権譲渡で納得してほしいと伝えている可能性もあります。

同じ売掛債権を二重に譲渡されてしまったとき、一度に複数の会社から自社が売掛金の債権者だと主張されてしまえば、第三債務者は誰に対して支払いを行えばよいのかわからなくなってしまうでしょう。

売掛債権は目に見えない資産ですので、このような二重譲渡が行われないとも限りません。そのため売掛先企業に対して通知や承諾、または債権譲渡登記という手続きを行い、自社が新たな権利者であり支払いを優先してもらう権利を持っていることを主張できる形にしておくことが必要といえます。

 

債権譲渡禁止特約が付されている契約の場合は?

では譲渡してもらう予定の売掛債権が、債権譲渡禁止特約の対象となっている場合はどうでしょう。

売掛先企業と第三債務者との契約の中で、特約として債権譲渡禁止特約が付帯されている場合、従来までであればその債権を譲渡してもらうことは不可能でした。

ただし民法は2020年4月1日に改正されており、この債権譲渡禁止特約に対する扱いも大きく変わっています。

改正により、契約の中に債権の譲渡を制限する特約が付されている場合でも、売掛債権の譲渡は原則有効となります。ただ、第三債務者が元の債権者である売掛先企業に対して弁済や供託をすることも認められていますので、その点は留意しておきましょう。

 

特約無効なら売掛先企業も安心できるのか

債権の譲渡を制限する特約が付されていた売掛債権であっても譲渡が可能であれば、売掛先企業も安心して代金の支払いに保有している売掛債権を活用できると考えられるでしょうか。

もしも特約に違反したことを理由に、取引や契約を解除されるのではないか?不安を抱えてしまう可能性もあります。

これに対し改正法では、債権が譲渡されても弁済先は保護されているので、資金調達を目的とした債権譲渡は契約解除や損害賠償の原因にはならないとしています。

売掛債権が譲渡されたことで特段の不利益がないのにもかかわらず、取引を打切ったり契約を解除したりという行為は、合理性に乏しく権利濫用にもあたるとしているのです。

 

売却という形で売掛債権を回収する方法

期日になっても売掛先企業から入金がなく、どうやって売掛債権を回収するべきか悩んだとき、現金ではなく保有する別の会社の売掛債権を譲渡してもらうことも有効です。

ただ先に述べた通り、様々な手続きが必要となりますし、交渉しても応じてもらえない可能性も考えられるでしょう。

この場合、売掛債権を売却という形で譲渡・現金化し、代金を支払ってもらう方法を活用してもらうことも可能です。

 

現金化するファクタリングとは

売掛債権を自社に譲渡してもらうのではなく、ファクタリング会社に譲渡して現金化するのがファクタリングという方法です。

早ければ即日現金化が可能となるため、すぐに遅れている売掛債権の支払いに充ててもらうこともできます。

信用状態が悪化している売掛先企業などの場合、銀行融資などの方法を活用して資金調達しようとしても、審査が通らず利用できない場合もあるでしょう。

しかしファクタリングは赤字決算や債務超過といった状態でも、審査のハードルが低めなので利用可能なケースが多いことが特徴です。

もちろん自社が資金調達したいときに、保有する売掛債権をファクタリングに活用することも可能です。期日に売掛先企業から支払いが行われず、すぐに差し迫っている自社の支払いに充てるお金がないという場合、別の売掛債権をファクタリングで現金化すれば資金ショートを回避できるでしょう。

 

まとめ

売掛先企業から売掛債権を譲渡してもらうことで、支払いが遅れている債権の回収も可能です。ただ、債権譲渡の手続きを正しく行っておかなければ、万一二重に譲渡されていた場合など期日に第三債務者から支払いがされなくなる可能性も出てくるでしょう。

ファクタリングなら売掛債権を買い取るプロですので、そのような心配はなくスムーズに手続きが進みますので、迷ったらまずはファクタリング会社に相談してみることをおすすめします。

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