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売掛債権を担保にして融資を受けるか譲渡して現金化するかどちらが有効?

資金調達2020/04/21

売掛債権を担保に差し入れたり売却したりすることで、必要な資金を調達できることをご存じでしょうか。

中小企業などの場合、資金調達といえば銀行など金融機関から融資を検討するものでしょう。

銀行融資は、担保として差し入れる不動産を保有していなければお金を借りることは難しいこともあります。

この場合、売掛債権担保融資なら、保有する売掛金を担保にして必要な資金を借り入れることが可能です。さらにファクタリングであれば、売掛債権を担保としてローンを組むのではなく譲渡後に現金化することで、借金を増やすことなく資金調達できます。

そこで、保有する売掛金を有効に活用できる資金調達の方法である、売掛債権担保融資とファクタリングの内容や違いについてわかりやすく解説していきます。

 

売掛債権担保融資とは

企業などは商取引で発生する売掛債権(売掛金)を保有しているものです。この売掛債権(売掛金)は、掛け取引により発生するものであり、売掛先からまだ回収されていない代金を請求する権利です。

その掛け取引により発生した売掛債権を担保にし、融資を受ける方法が売掛債権担保融資で、銀行やノンバンクなど売掛債権担保融資を利用できる金融はいろいろです。

自社の信用力が弱くお金の借入が難しいけれど、土地や建物など担保として差し入れる不動産は保有していない場合に有効な資金調達の方法といえるでしょう。

 

売掛債権を担保に差し入れて資金を調達できる手法

売掛債権担保融資は、そもそも融資を受けたいけれど不動産などの資産を保有していない中小企業の救済手段としてはじまった仕組みです。

銀行などの金融機関では、担保とする売掛金の相手となる売掛先企業の信用力を重視した審査を行い、さらに売掛先企業に対しても通知や承諾が必要になるケースが少なくありません。

ただノンバンクなどの場合には、売掛先企業それぞれの信用力よりも売掛先企業の分散度合いから集合債権として担保とし、融資を行う手法を採用している場合もあります。

 

中小企業庁経済産業省の制度にも注目

よりスムーズに売掛債権担保融資を活用できるようにと、中小企業庁経済産業省は信用保証協会が保証する売掛債権担保融資保証制度を創設しました。

売掛債権担保融資保証制度の仕組みは、中小企業が保有する売掛債権を担保に金融機関から借入れを行うとき、金融機関を通じ信用保証協会に保証の申し込みを行う流れです。

 

売掛債権担保保証制度を利用できるのは?

利用対象となるのは、たとえば製造業であれば資本金3億円以下または常時使用する従業員数300人以下の会社などの中小企業です。業種に関係なく利用できますし、1年間反復して融資を受けることもできます。

 

保証制度は拡充されている

さらに中小企業庁では、流動資産担保融資保証制度も創設しています。売掛債権だけでなく、保有する在庫も担保として差し入れ融資・保証を受けることが可能です。

流動資産担保融資保証制度の対象となるのも売掛債権担保融資保証制度と同様であり、中小企業者が保有する在庫・売掛債権を担保に金融機関が融資を行うとき信用保証協会が債務保証を行います。

売掛債権担保融資保証制度を拡充したものであり、従来までは担保の対象資産が売掛債権だけだったものを、在庫も含め保証する制度として運用改善されています。

 

保証限度額と保証割合

売掛債権担保融資保証制度で設定できる借入限度額は1億1千100万円まででしたが、流動資産担保融資保証制度では設定可能な借入限度額を2億5千万円までとしています。

なお、保証限度額は2億円です。在庫・売掛債権のみを担保として差し入れた場合や、両方を担保として提供した場合でも、保証限度額は同じく2億円となります。

保証が行われることによって、万一中小企業が借りたお金の返済ができなくなった場合でも、信用保証協会が貸付残高の一定割合を代位弁済します。

売掛債権担保融資保証制度では9割を代位弁済という形でしたが、流動資産担保融資保証制度では保証割合が8割になっており、保証料率は年率0.68%です。保証後、金融機関・信用保証協会は売掛債権から回収を行うという形となります。

 

制度を利用する上での条件

申込者の保有する在庫・売掛債権(売掛金)を担保として差し入れることになりますので、法人代表者以外の保証人などを求められることはありません。

在庫や売掛債権(売掛金)が譲渡されたことを証明するために、在庫動産譲渡登記制度に基づく登記売掛債権債権譲渡登記制度に基づく登記を行うこととなり、さらに売掛先企業に対する通知・承諾のいずれかを必要とされます。

なお、保証される期間は個別保証の場合は1年以内ですが、通常は1年間が保証期間です。

 

担保にするのではなく譲渡するファクタリングとは

ファクタリングとは、企業などが保有する売掛債権を譲渡し、現金化させて資金調達する手法です。

融資を受けるわけではなく、資産そのものを売却して換金する形になるので、売掛債権担保融資と混同されがちですがまったく異なった仕組みです。

売掛債権(売掛金)を譲渡する相手はファクタリング会社ですが、利用するファクタリングの種類によって、売掛先企業に対する通知や承諾が必要になります。

また、ファクタリング会社によって、債権譲渡登記を必須とするケースもあるので事前確認が必要です。

 

売掛債権を譲渡して資金調達する流れ

ファクタリングを利用する場合、ファクタリング会社では買取対象となる売掛債権(売掛金)について、売掛先企業の信用力を重視した審査を行います。

このとき、売掛先企業にファクタリング会社から連絡が入ることなどはありません

あくまでもファクタリング会社独自の手法で、売掛先企業の経営状態や財務状況など、信用力の高さを判断していきます。

それにより、ファクタリングを利用する上で発生する手数料が計算され、設定された手数料を差し引いた金額が買取代金として利用者に渡されます。

後日、売掛先企業から売掛金が入金され、そのお金をファクタリング会社が回収するという流れです。

 

貸し倒れリスクをそのままファクタリング会社に移転

ファクタリングのメリットは、売掛債権担保融資とは違い借金を増やさず資金調達できる点です。

さらに保有する売掛債権(売掛金)を売り渡す形になるので、万一売却後に売掛先企業が倒産し売掛金の回収ができなくなっても、その責任を負う必要はありません

貸し倒れリスクを回避させることが可能でありながら、資金も調達できることは大きなメリットといえるでしょう。

 

注意したい悪質なファクタリング業者の存在

ただし注意したいのは、ファクタリング業界には法的な規制や登録制度などが設けられていない点です。

貸金業などを営む場合には、貸金業法に基づいた貸金業登録を行い、利息制限法に従った範囲の金利設定でお金を貸すことになります。

しかしファクタリングは売掛債権(売掛金)の売買取引なので、貸金業には該当しません

設定される手数料についてもファクタリング会社が独自で決めることになるので、高額になりやすい傾向もみられます。

そのためファクタリングを利用する際には、正規のファクタリング会社であることはもちろんのこと、優良な業者選びが大変重要です。

 

ファクタリングの手数料相場

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、2社間は10~20%、3社間は1~5%が手数料の相場です。

この相場といえる水準から大きくかけ離れた手数料を提案された場合、本当に売掛債権を譲渡してよい相手か見極めることが必要となります。

悪質な業者と契約してしまうと、後々売掛先企業まで巻き込む問題にならないとも言えません。万一売掛先企業からの信用を失ってしまうと、その後の取引にも悪影響を及ぼしてしまうリスクもはらみますので、しっかり優良なファクタリング会社を見極め契約するようにしましょう。

 

売掛債権担保融資とファクタリングの大きく異なる部分

売掛債権(売掛金)は、すでに売上として計上されている代金のうち、まだ売掛先企業から入金されていない部分です。

その売掛債権を積極的に活用して資金調達に役立てることは、売掛債権担保融資保証制度や流動資産担保融資保証制度の創設からもわかるように、中小企業庁経済産業省も推奨していることです。

保有する売掛債権という資産を現金化し、資金調達するという形は売掛債権担保融資もファクタリングも同じといえます。

しかし売掛債権を担保としてお金を借りるのか、それとも譲渡して現金化するのか、2つには本質的に大きくことなる部分があります。

迅速性を求めるのなら、ファクタリングのほうが有利な資金調達の方法といえます。

審査はあるものの、現金化できるまでの時間は早ければ即日、または数日とかなり短いことが特徴です。

 

ファクタリングと売掛債権担保融資の併用は不可

仮に売掛債権(売掛金)を担保として銀行など金融機関から融資を受けたとします。その後、同じ売掛債権をファクタリング会社に持ち込み、売却して現金化しようとしてもできません。

担保として利用した段階で、売掛債権の所有権は金融機関などに移るからです。

反対にファクタリングでファクタリング会社に譲渡した売掛債権についても、売掛債権担保融資で担保として差し入れることはできませんので注意してください。

 

まとめ

売掛債権担保融資とファクタリング、それぞれ売掛債権(売掛金)を活用して資金調達する方法である点は共通していますが、仕組みそのものはまったく異なるものです。

売掛債権を担保として差し入れて融資を受けて新たな資金を手に入れるのか、それとも売掛債権を売却し数か月先に入金される予定のお金を前倒しで得るのかという違いがあります。

どちらを選ぶかによって、貸借対照表やキャッシュフローへの影響も変わりますので、より有効と感じられる手法を活用し資金調達につなげていくようにしましょう。

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