資金の調達方法の頼りになるのは銀行からの融資以外にないと考えている経営者の方もいるようですが、もし自社の財務や業績などが悪化してしまい融資を断られてしまったらどのように資金調達しますか?
まさに銀行融資が会社の生命線という場合、銀行から貸し付けを断られてしまったら…。銀行融資以外の資金調達方法を知らないと、資金の供給は途絶えることとなり、たちまち資金繰りは悪化することになってしまいます。
企業を存続させていくためには、銀行融資以外の方法で資金調達する方法を知っておくべきです。
そこで、銀行融資以外の資金調達方法にはどのような手段があるのか、借金をしなくてもお金を集める方法をご紹介します。
目次
銀行から融資を断られた!融資以外の資金調達の方法は?
会社の手元の資金が不足してしまい、調達しなければならない事態に陥ったときには真っ先に銀行からの融資を頼りたくなるものです。
普段から銀行の担当者とも付き合いがあるし、困ったときにこそ親身に対応してくれるはず!と相談したところ、あっさり断られてしまったというケースはめずらしいことではありません。
銀行も収益を上げなければならず、営利を目的として運営している以上は、財務や経営状況がよいといえない会社に貸し付けは行おうとしないのです。
まず会社の経営状況がよいといえない場合には、銀行が貸し倒れリスクを背負い独断で貸し付けを行うプロパー融資からの借り入れは期待できません。
そして信用保証協会が保証してくれる形となる保証協会付融資も、信用保証協会の審査が通らず利用できない可能性があります。
そうなると銀行融資以外の方法でお金を借りることを検討しなければならないので、日本政策金融公庫など政府系金融機関から融資を受けるといった方法を考えることになります。
政府系金融機関は利益を追求するわけではなく、経済活性化を目的に運営されているため中小企業や個人事業主などにも積極的に貸し付けを行ってくれます。
ただ信用保証協会が保証できないと拒否している場合には、やはり政府系金融機関でも融資審査により断られる可能性がありますし、万一借り入れが可能となっても実行まで1か月など時間がかかります。
明日支払わなければならない仕入れ代金に充てる資金を調達する方法としてはむいているとはいえないため、その点も踏まえた上で利用することが必要といえるでしょう。
資金調達までのスピードがはやい借り入れ方法は?
銀行や政府系金融機関からお金を借りるには、高い審査基準をクリアしなければならないこと、申し込みまでに必要種類を準備する手間がかかることを認識しておくべきです。
数日内に資金が必要という状況では銀行や政府系金融機関からの融資では対応できず、これらの融資以外で資金調達することを考えなければなりません。
資金を調達するまでのスピードがはやいのは何といってもノンバンクなどのビジネスローンです。審査のハードルも低めであり、はやければ即日融資が可能となるため、急いで資金を調達しなければならない場合にはぴったりです。
ただ、ノンバンクなどのビジネスローンは銀行融資などと比べて金利が高めに設定されており、一時的な利用に留めておかなければもっと資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
もし銀行融資以外の方法でノンバンクからのビジネスローンを利用するのなら、あくまでも会社の延命につなげるための一時的な処置と考え、すぐに完済させるようにしてください。
借金は一切しない!融資以外で資金調達するには?
ノンバンクのビジネスローンなら、すぐにお金を借りることができて便利だけれど、金利が高いためますます資金繰りが悪化してしまう…そのようなリスクを考えるならそもそも融資以外の方法を検討することになります。
お金を借りずに資金調達する方法なんてあるの?と思ってしまいがちですが、借金を増やさなくても手元のお金は増やすことができます。
たとえば融資以外の方法として、
- ・増資により資金を調達する方法
- ・資産を売却して資金を調達する方法
の2つが挙げられます。
どちらも返済不要の資金を調達する方法ですが、中小企業によって利用しにくい方法もあるのでどのような内容か確認しておきましょう。
増資により資金を調達する方法
増資とは、発行した株式を投資家に買い取ってもらい資金を調達する方法です。株式を購入することで出資を行った投資家は、会社の将来性を見込んで利益が上がることを期待します。それにより配当金を受け取る権利を得ることや、株主総会で経営に参加するという権利を得ることになります。
将来性が見込めるアイデアやプロジェクトを立てているのに、今の時点では業績などが伴っておらず銀行から融資を受けることができない場合もあるでしょう。
ただ銀行融資以外でも、将来性を見込んだ投資家があらわれれば出資してもらえる可能性はあるということです。
中小企業が増資により資金調達する方法として、
- ・ベンチャーキャピタルから出資してもらう
- ・エンジェル投資家から出資してもらう
という方法が主に考えられます。
ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ企業やベンチャー企業などの中で、将来大きく成長することが見込まれる企業に出資する投資会社です。
まだ上場していない将来性の高い企業に投資を行い、上場した後で株式を売却して売却益(キャピタルゲイン)を得ることを目的としています。
ベンチャーキャピタルの多くは銀行・証券会社・保険会社など金融機関の関連会社や、商社や通信企業などの関連会社が運営していますが、独立系ベンチャーキャピタルもあります。
出資をしても業績が伸びずに倒産してしまえば、ベンチャーキャピタルは大きな損失を抱えることになります。そのため一般的なベンチャーキャピタルでは運用期限を5年程度としていることが多く、出資した会社が順調に業績を上げ上場できるように、経営に関する知識やノウハウなどを提供してもらえます。
そもそもベンチャーキャピタルは金融機関の関連会社が多いことから、いろいろな企業を見てきた経験も高く、経営ノウハウも豊富です。
ただし上場を目的としているので経営ノウハウを伝授してもらえる反面、想定していたよりも多く経営への干渉を受ける可能性があります。それにより、本来描いていた企業経営ができなくなる可能性もあるということです。
さらに株式上場などが予定どおりに進まない場合には、株式買取請求を迫られる可能性があると認識しておきましょう。
実際、ベンチャーキャピタルから出資してもらえるのは希望する会社のうち3%以下といわれています。ただ、ベンチャーキャピタルも将来有望とされる企業を探そうと、スタートアップ企業向けの流会などに参加しているようです。
ベンチャーキャピタル以外のエンジェル投資家
スタートアップ企業やベンチャー企業が出資してもらう先として考えられるのがベンチャーキャピタルですが、ベンチャーキャピタルに限らずその他個人などでも出資することはできます。
その例として挙げられるのがエンジェル投資家です。
エンジェル投資家とは、創業して間もない企業などに出資する富裕層などを指していますが、もともと経営者だった方や起業家として成功された方などであることが多いようです。
ベンチャーキャピタルから出資してもらうことは審査が厳しいので簡単ではありませんが、資金調達が可能になる金額は数億円になるなど、銀行融資以外の方法では唯一可能といえるほど大きいといえます。
これに対しエンジェル投資家は、500万円から2千万円など投資金額もベンチャーキャピタルより少額なこともありますが、事業が軌道に乗るまで取引先を紹介してくれたり経営アドバイスをしてくれたりといったメリットもあります。
ベンチャーキャピタルが当初から売却益を狙って出資するのに対し、エンジェル投資家はどちらかといえば応援したいという気持ちで動くことが多いといえます。
そのため、魅力のある企業や人物に対して出資し、役員の要求や経営などに首を突っ込んでくる投資家も比較的少ないといえるでしょう。
資産売却による資金調達
企業がもともと保有している資産を売ってお金に換える方法なので、借り入れによる資金調達は審査が通らず利用できないという場合でも安心です。融資以外の資金調達の中でも、簡単に実行できる方法なので利用しやすいでしょうが、売却して換金できる資産を保有していなければ資金を調達できません。
また、調達できる資金の金額は、資産価値の範囲にとどまるという点も認識しておくことが必要でしょう。
売却して現金化させる資産として挙げられるのは、土地や建物などの不動産を思い浮かべる方が多いことでしょう。
ただ、これらの資産は売却するまでの手続きなどに時間がかかることが多いので、融資以外ですぐに資金調達したいという場合には向きません。
この場合、資産の中でも売掛金を売却することにより、スムーズな資金調達が可能となります。
売掛金を売却して資金調達するファクタリングとは
企業などが保有する売掛金を売却して現金化できるといってもピンとこない経営者の方もいることでしょう。
まず、売掛金とは企業間などの商取引において発生した後払い代金を請求する権利です。商品を販売し納品したとき、その代金をその場で現金で受け取ることは日本の商取引では主流ではありません。多くが一定期間の取引分をまとめて請求し、双方で決めた期日に支払ってもらう掛け取引となっています。
その掛け取引により発生するのが売掛金ですが、ファクタリングではこの売掛金をファクタリング会社に売却し、期日よりも先に現金化させて資金調達する方法です。
銀行融資に通らないなど、融資以外の方法で資金調達したいと考える場合にも有効な手法といえます。
ファクタリングを利用すれば、来月や再来月にならなければ回収できない売掛金を先に前倒しで受け取ることが可能です。
ただし手数料が発生するため、売掛金の金額から一定分目減りすることになる点は認識しておくことが必要といえるでしょう。
なお、ファクタリングを利用する際にもファクタリング会社による審査が行われますが、このときに重視されるのは売掛先の信用力です。そのため銀行やノンバンクからお金を借りたくても財務や信用情報が影響し審査が通らないという場合でも、ファクタリングなら利用できる可能性は高くなります。
またファクタリングにより売掛金を現金化した後、売掛先が倒産してファクタリング会社が売掛金を回収できなくなったとしても、その責任を利用者が負う必要がないこともメリットです。
固定資産のリースバック
不動産・機械設備など事業に活用している固定資産しか保有しておらず、売却する資産がないという場合には、リースバックを利用することで資金調達が可能です。
リースバックとは、固定資産をリース会社に売却し、リース契約を結び引き続き使用することを可能とするサービスです。
保有していた固定資産をそのまま使い続けながらも、資金調達が可能となる方法なので面倒がありません。
ただ、それまでは発生していなかったリース料を負担することになるので、その点は認識しておくことが必要です。
よく利用されやすいのが車両のリースバックで、運送業者などで使用している配送用トラックや営業車両などをリースバックし、資金調達しながらも引き続き事業に使用できます。
その他使っていない資産を売却して資金調達
融資以外の資金調達でその他、使用していない資産を売却し資金調達する方法もあります。使っていない土地や建物などの不動産はもちろんのこと、付き合いで購入した株式やゴルフ会員権などを売却し資金調達します。
また、抱えている過剰な在庫なども売却の対象です。保有しているだけでも管理にコストがかかりますし、古くなればなるほど売れにくくなってしまうので早めに処分したほうがよい場合もあるといえるでしょう。
まとめ
融資以外で資金調達できる方法はいろいろですが、投資家から出資してもらう方法も資産を売却する方法もどちらも借金を増やさないという点で共通しています。
事業拡大や設備投資など、銀行融資に頼らなければならない場面は企業経営の中で訪れるものですが、財務状況や経営状態が良好でなければ銀行はお金を貸してくれません。
このような場合、まずは資金繰りを改善し財務状況を安定させること、利益を生み出し黒字経営であることをアピールするために融資以外の方法を検討することが必要になりますので紹介した資金調達の方法を検討してみましょう。
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