企業会計の基本!売掛金は会社の資産でも長く保有しないほうがよい?

2020/02/03
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企業会計の中に出てくる売掛金とは、商品を販売したときやサービスを提供したことで、取引先に対して発生した債権であり会社の資産です。

通常、企業間の商取引では現金取引ではなく掛売りが一般的であり、事前に設定した支払期日にその代金を支払ってもらうこととなります。この掛売りにより発生した請求権が売掛金です。そのため売掛金は将来現金化されるものであり、資産として扱われています。

中小企業の多くは売掛金を保有していますが、多ければ多いほどよいわけではありません。たとえ資産であっても、増えすぎると資金繰りに好ましくない影響を及ぼすこととなるため、発生から回収までを適切に管理することが求められます。

そこで、売掛金を管理する上で知っておきたい企業会計の基本をご説明します。

 

企業などが保有している売掛金とは?

商品を販売する、またはサービスを提供するなど、商取引の形はいろいろです。いずれにしても、企業間の商取引ではその場で販売した商品や提供したサービスの代金を現金で支払うのではなく、一定期間分を後日まとめて支払う掛売り掛取引が一般的です。

このとき、会計処理は発生主義の原則に基づいて売上で計上はされますが、その代金が入金されていないため相手科目を現金や預金などで処理できません。

そこで用いられる勘定科目が売掛金であり、将来現金として入金される予定分であり、取引先に対し販売(または提供)した代金を請求できる権利という意味を持ちます。

商品販売やサービス提供などの未回収分であり、主に1年以内に回収できることが見込まれる場合には売掛金で処理します。

 

貸借対照表の資産の部に計上される

決算書は貸借対照表と損益計算書で構成されますが、売掛金は貸借対照表の資産の部に計上される勘定科目です。

同じように貸借対照表の資産の部に計上される勘定科目は、現金、預金、受取手形、貸付金、土地、有価証券、棚卸資産、建物、設備、車両、機械、長期前払費用などの資産が挙げられます。

決算書の資産の部は流動資産・固定資産に分かれますが、このうち流動資産1年以内に現金化可能となる資産であり、現金・預金・受取手形・短期貸付金などが該当します。

そして、商品の販売やサービスの提供など、本業といえる通常の営業活動から発生する資産であることも特徴であり、売掛金もこの流動資産という扱いです。

対する固定資産は、商品販売など通常の営業活動から発生したものではなく、現金化するまでに1年を超えるものが該当します。たとえば土地・建物・設備・車両・機械・長期貸付金などが含まれます。

さらに固定資産は形のある資産である有形固定資産(土地・建物など)と、形のない無形固定資産(借地権や業務用ソフトウェアなど)、そのどちらでもない株式や有価証券などの投資その他の資産に分類されます。

他にも決算書に含まれる貸借対照表の資産には、支払い義務が確定した費用効果が1年以上におよぶ資産である繰延資産もあります。たとえば会社設立にかかった創立費や、会社設立から事業を実際に始めるまでにかかった費用である開業費、新製品開発・営業先の新規開拓などの開発費などが該当します。

 

流動資産か固定資産か判断しにくい場合

貸借対照表の資産の部に表示される勘定科目は、その性質などによってさらにいくつかの資産に区分されるため、数も多く会計処理において間違いやすい部分でもあります。

では売掛金が流動資産なのか固定資産なのか、どちらに該当するか迷ったときにどのように判断すればよいかというと、正常営業循環基準一年基準を参考にするようにしてください。

正常営業循環基準は会社の営業取引で発生する科目かを判断する基準で、一年基準とは貸借対照表作成日翌日から1年以内に現金として入金されるかによる基準です。

このどちらにも該当しない場合は固定資産に区分されることになりますが、2つの基準で考えれば売掛金が流動資産に含まれることが理解できることでしょう。

 

そもそも資産の部が細かく区分されているのはなぜ?

一般的な会社経営のそもそもの目的は、ビジネスを通じて利益を得ることです。そのため、会社が現在保有している財産ともいえる資産が事業によって発生したものか、それともまったく無関係のものなのか知っておく必要があります。

さらに会社に出資した株主や融資を行った金融機関などは、計上されている資産がいつ現金化されるものなのか、万一の際に現金化できる価値のある資産を保有しているのか知っておきたいと考えるものです。

それにより、投資家は出資してよいか判断するでしょうし、融資を行う銀行なども返済能力の高さなどを判断する基準の1つとして融資可否を決定できます。

自社が会社の財産の保有状況を把握しておくだけでなく、取引先や投資家、銀行などに対してもその状況を示す上でも必要だからと理解しておきましょう。

 

特に区分を間違いやすい勘定科目

貸借対照表は年度ごとに作成することになりますが、流動資産と固定資産の区分が間違いやすい勘定科目である受取手形・売掛金・有価証券について、その判断ポイントを把握しておきましょう。

 

受取手形と売掛金

受取手形も売掛金は、通常の営業取引で商品やサービスを販売・提供したとき、現金で代金を受け取らず後で支払ってもらうときに用いる勘定科目です。

営業取引で使用する科目なので、先に述べた正常営業循環基準で判定するとわかるように流動資産に区分されます。

受取手形と売掛金の金額は、商品やサービスを販売・提供したときに増え、代金を回収し現金化したときに減少します。

 

回収できなかった場合

将来受け取ることができる現金でありながら、支払ってもらう予定期日よりも前に取引先が倒産してしまったなどの理由で回収できなくなったら、未回収の代金は貸し倒れとなります。

もともと手形とは、銀行と会社間で当座勘定取引契約を結んでいなければ振り出すことができないものであり、一定期間内に2度決済できず不渡りになってしまうと銀行取引が停止される事実上の倒産扱いになります。

そのため手形を振り出した会社は何としても期日に決済されるように資金を準備する傾向が高いため、本来であれば売掛金よりも安全性が高いことが特徴といえます。

売掛金は、取引先との間で取り交わした約束だけで支払期日が設定されるため、互いの信頼関係が重要です。

ただ、いずれにしても期日に決済されない可能性はゼロではないため、残念ながら貸し倒れとなり回収できなくなるリスクは発生します。

そのため、取引先の経営状況などに対する情報は常時入手する体制をつくり、もし不安要素があるのなら取引内容の見直しなども必要です。

与信管理における信用調査は欠かさず行い、結果に応じて取引金額や取引量に上限を設けたり場合によっては取引を取りやめたりといったことも必要となるでしょう。

 

有価証券

有価証券は、株式・国債・社債などのことですが、売買を目的に保有することもあれば付き合いなどで購入する場合もあるでしょう。

もし売買を目的とする場合や、売買は目的ではないものの1年以内に満期が到来する債券は有価証券として流動資産に区分します。

この要件に該当しないものは、株式や社債であっても有価証券ではなく別の科目で区分する処理が必要です。

もともと会社が有価証券を保有する理由は、

  • ・資産運用上、売買を頻繁に行うこと
  • ・債券が満期を迎えるまで保有して運用すること
  • ・取引先との関係を円滑にするためなど事業遂行上の保有する
  • ・会社化を予定しているため

などです。

保有する目的が異なるものを同じ有価証券という勘定科目で処理してしまうのは適切ではないと考えられるため、目的に応じて勘定科目も複数準備しておきその内容に従って流動資産と固定資産に分けることが望ましいと考えられます。

有価証券以外にも、出資金・投資有価証券・関係会社株式・関係会社社債などが例として挙げられますが、有価証券以外の勘定科目は固定資産に区分されます。

 

流動資産か固定資産か判断できないときは

株式や債券などが流動資産なのか固定資産なのかわからなくなった場合、まずは一年基準で考えてみましょう。

日常的に売買を繰り返すトレーディング目的で保有する株式などは流動資産として区分することが相応しいと考えられます。

しかし特にトレーディングを目的とせず、満期まで保有する目的の債券などは、1年以内に満期が到来するなら流動資産ですが1年を超えるなら固定資産に区分します。

さらに取引先との関係上など事業遂行目的で保有する株式や子会社化を目的とする株式であれば、短い期間で売買することなく長期的に保有し続けることが想定されますので固定資産の扱いでよいでしょう。

 

売掛金と未収入金は何が違う?

未収入金はまだお金を回収していないときに用いる勘定科目なので、売掛金と同じなのにどのように使い分けるのか?と疑問を感じることもあるでしょう。

確かにどちらも将来、お金を回収する約束をしていてまだ回収できていないことをあらわす勘定科目ではあります。

しかし売掛金は先に述べた通り、営業取引により発生した未回収の代金であるのに対し、未収入金は営業取引ではない取引で発生した未回収の現金であることが大きな違いです。

たとえば会社が保有している土地や建物などの固定資産や、株式などを売却してその代金を受け取る予定になっているもののまだ回収できていないときに使用します。

どちらも会社が事業で行っていない取引なので、売掛金で処理することはありません。ただし不動産業や建築関係、自動車販売業などの場合は別です。不動産業なら土地や建物を販売することがそもそもの事業の目的ですし、自動車販売業も車両を売って収益を出すことを目的として事業を営んでいます。

ただ建築関係の会社の場合でも、会社が所有する本社ビルを売却するなどの場合において発生した未回収の代金は、売掛金ではなく未収入金で処理することとなるので注意しましょう。自動車販売業を営む会社が、普段仕事で使用している車を売却して得た未回収の代金も同様です。

 

未収入金は流動資産

未収入金は、事業として行う取引には関係のない未回収分の現金ですので、先に述べた正常営業循環基準で判定すると流動資産にはならないこととなります。

ただ一年基準で考えたとき、貸借対照表日の翌日から回収するまでの期間が1年以内であることが見込まれる場合は流動資産とし、1年を超える場合は固定資産に区分するまたは長期未収入金として表示することになります。

 

売掛金を回収した後の表示

売掛金として保有していた売上代金を回収したときは、回収分の売掛金残高は減少します。

そのため、ずっと同じ金額で残り続けている未回収分があるのなら、早々に取引先に確認して現金を回収することが必要です。

ただ、貸借対照表には合計金額でしか記載がありませんので、売掛金元帳や売掛金管理表などで取引先ごとの売掛金発生と入金を管理することが必要となります。

売掛金の管理を怠れば回収できないままの代金が発生する可能性があり、売上として計上されているので決算書は黒字なのに、現金は入らず手元の資金は不足するといった事態を招く恐れもあります。

さらにずっと回収できていない売掛金が残り続けると、表向きは資産が多いようにみえても不良債権となっている金額が含まれていると銀行の融資審査で不利な扱いをされる可能性もでてきます。

もともと受け取ることができる代金なので、期日を過ぎても入金されずに残っている売掛金を発生させない管理を徹底しておこないましょう。

 

まとめ

売掛金は資産であり、将来受け取ることで現金化できるものです。ただ、長く売掛金のまま保有し続けることは好ましいことではありません。

売上が上がり業績は絶好調という状態でも、肝心のその代金を支払ってもらえなければ会社は潤うことはないからです。

そのため売掛金は資産ではありますが、早めに回収することで資金繰りを悪化させることもありませんし、健全な経営が可能となると認識しておきましょう。

また、取引先との契約で売掛金の支払期日を長めに設定している場合など、仕入れ代金などの支払いに充てる資金不足で困ることもあります。

この場合、直接取引先に交渉することは容易なことではありませんので、売掛金を売却して期日よりも前に現金化が可能となるファクタリングを活用してはいかがでしょう。

ファクタリングなら貸借対照表の資産の部内で、売掛金が現金に変わるだけなので負債を増やすこともありません。スムーズな資金繰りのためにも適した方法ですので、検討することをおすすめします。

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