中小企業が資金調達しようと考えたとき、どのような方法があるのか考えるよりも前に、なぜ必要なのかあらためて見直してみましょう。
新規事業を立ち上げるからなのか、それとも設備を導入するためなのか、売上向上により材料仕入れが増え一時的な資金が必要なのかなど様々です。
しかし将来収益を増やすであろうと考えられるポジティブな理由である以外にも、資金繰り悪化により運転資金が不足してしまい資金調達が必要になるというケースもあります。
中小企業が資金調達するときは、目的や企業の状況に応じてよい方法を選択することが必要です。
そこで、中小企業が資金調達するためにどのような方法があるのか、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
目次
中小企業の資金調達には3つの種類がある
中小企業が資金調達するときには、
- ・アセット・ファイナンス(保有する資産を資金化する)
- ・デッド・ファイナンス(負債を増やし資金を得る)
- ・エクイティ・ファイナンス(出資を受け資本を増やす)
という3つの種類から検討することになります。
保有する資産を資金化させるアセット・ファイナンス
中小企業が保有する資産はいろいろです。現金、預金以外にも、不動産・有価証券・在庫・売掛債権などが主に挙げられますが、これらを現金化させることで借金を増やすことなく資金調達が可能となります。
すでに現金化できるものが手元にあることで、手早く資金調達可能となる点はメリットですが、そもそも現金に換金可能な価値のある資産を保有していなければ資金を得ることはできません。
さらに現金化したときには、もとの資産価値より低い金額しか得ることができないといったデメリットもありますので、それらを踏まえた上で検討しましょう。
眠っている資産を売却して現金化
中小企業の中には、資産として保有しているものの使っていない財産を抱えていることもあります。たとえば不動産や有価証券、ゴルフ会員権などがその例として挙げられます。
使わない不動産や、付き合いで購入した株やゴルフ会員権などは売却して現金化させ、資金繰りを改善させることに役立てたほうがよいでしょう。
過剰な在庫は売却
無駄に在庫を抱えていても、管理や保管にコストがかかってしまいます。時期が来れば売れると見込み保有していたとしても、顧客ニーズの変化によって期待しているほど収益を生まない可能性もあります。
そのため、現在売っても利益が見込めず、たたき売りになるという場合でも適正や在庫量に合わせるために処分したほうがよいといえるでしょう。
売掛債権を売って現金化
売掛債権には売掛金と受取手形がありますが、このうち売掛金をファクタリング会社に売却して現金化するファクタリングを検討してみましょう。
売掛金とは、掛け取引により発生するものであり、まだ取引先から回収できていない売上代金のことです。
商品を販売してから請求書を発行し、実際に入金されるまでの期間は1か月や2か月かかってしまうものですが、ファクタリングならこの代金回収までの期間を短縮できます。
負債を増やして資金調達するデッド・ファイナンス
中小企業が負債を増やして資金調達する方法の代表として挙げられるのが銀行融資です。ただ、銀行融資は資金調達に至るまでの書類準備や審査などに時間がかかり、中小企業やベンチャー企業などは信用力が低いことで利用しにくい場合もあります。
また、会社でお金を借りるということは返済義務を負った状態になることを理解しておくことが必要です。さらにベンチャー企業など、起業して間もないことから事業の実績が十分でないと利用しにくいこともあります。
中小企業なら公的融資が利用しやすい
金利や審査の柔軟性を考えたとき、中小企業の場合は民間銀行からの融資よりも政府系金融機関などのほうが利用しやすいといえます。
政府系金融機関には、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などがあり、他にも地方公共団体の制度融資なども含まれます。
また、銀行などの金融機関が行う融資に対して信用保証協会が保証を行う場合、銀行も貸し倒れリスクを回避しやすくなるので中小企業でも融資を受けやすくなります。
即日融資が可能となるビジネスローン
銀行融資や公的融資の審査に通らない中小企業などに向けて開発されたビジネスローンも検討できます。
担保や保証人をつけず資金を借りることができ、審査のハードルも低いので信用力が低い中小企業でも利用しやすいことが特徴といえます。
銀行やノンバンクで利用できますが、即日融資が可能となるのはノンバンクのビジネスローンです。金利が高いため、繰り返し利用を続けると会社の財務が圧迫されてしまい、さらに資金繰りが悪化してしまうので注意してください。
手形割引により資金調達
ファクタリングは売掛債権のうち売掛金を売却して現金化する方法ですが、手形割引で対象となるのは会社が保有する受取手形です。
手形を銀行や手形割引業者に売却し、期日前に現金化させる方法ですが、ファクタリングとの違いは手形を担保にお金を借りる形になります。
そのため手形割引を行った手形が不渡りになった場合、その手形を買い戻さなければなりません。返済リスクを抱えた状態で資金調達する点も、ファクタリングとの大きな違いといえるでしょう。
資産を担保に融資を受ける
中小企業が保有する流動資産や売掛債権、不動産などを担保にすることで融資を受けることもできます。流動資産とは在庫や原材料、売掛債権には売掛金が挙げられます。
出資を受け資本を増やすエクイティ・ファイナンス
出資してもらうことにより、返済しなくてもよい資金を調達できることがメリットですが、活用する方法により経営権を脅かされる場合もあるので注意が必要な方法でもあります。
第三者割当増資による資金調達
中小企業が新株を発行して増資をする方法が第三者割当増資で、第三者に株を売却することにより返済不要のお金を資金調達することができます。
ただし株を買い取ってもらうために、会社の成長性や株価上昇が期待できることを説明し、投資家に魅力を伝えなければなりません。
なお、株を発行することで経営者の出資比率は低下することから、会社の経営権がなくならないような割合で抑えておくことが必要です。
ベンチャーキャピタルから出資してもらう
将来上場することが見込める将来性のあるベンチャー企業などに出資し、実際に上場したときに出資資金を回収して利益を得ることを目的とするのがベンチャーキャピタルという投資専門会社です。
将来性が高い市場や企業に対して投資を行い、企業が上場を成し遂げ成功したとき、保有する株の価格が何百倍や何千倍まで膨らむことを狙い出資してくれます。
そのため、まずはベンチャーキャピタルに将来性が高い未来ある企業になると認めてもらうことが必要です。
エンジェル投資家から出資してもらう
起業家などに投資を行う富裕層をエンジェル投資家といいます。
将来有望な起業家などを応援する形で投資を行っており、近年ではベンチャー企業投資促進税制により出資金額に税金がかからなくなるなど、出資を受ける側と投資する側を応援する制度も創設されています。
クラウドファンディングによる資金調達
インターネット上にこれから行うプロジェクトなどを公開し、賛同してくれた不特定多数の方から資金を募るのがクラウドファンディングです。
一口数万円から出資可能となるため、多くの方から賛同を得ることができれば大きな資金獲得につながります。
また、中小企業の場合、自社の企画や商品を広告することにもつながるメリットもあります。
中小企業が活用しやすい資金調達の方法のまとめ
中小企業が資金調達に活用できる方法はいろいろありますが、何のために資金調達するのか、現状などにより選ぶ方法は違ってきます。
資金調達といえば銀行融資と考えがちですが、他にも様々な方法がありますのでもっとも適した方法を選ぶようにしてください。
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