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キャリアアップ助成金で資金調達!100%活用するための方法を徹底解説

資金調達2019/09/02

契約社員などの有期契約労働者やパートタイマーなどの短期間労働者、派遣社員などの派遣労働者など、非正規雇用労働者が企業でキャリアアップすることが促進されるよう、正社員への転換や人材育成、賃金規定の改定や健康診断精度の導入などを実施した事業主に一定額の助成金が支給されます。

この制度がキャリアアップ助成金で、厚生労働省が所轄しています。たびたび内容は変化しますが、取り入れることで会社の将来に通じるいろいろなメリットを得ることが可能です。

そこで、キャリアアップ助成金とはどのような制度なのか、100%活用するためにはどうすればよいか徹底解説します。

 

キャリアアップ助成金で資金調達することによる効果

返済不要な資金の調達方法として活用されている助成金の種類はいろいろです。中でも雇用促進に活用できる助成金の種類も多く、いざ活用したくてもどれがよいのか、どのような目的や効果に応じて使えるのか判断が難しいという場合もあるでしょう。

確かに種類は達成しようとする目的や効果により多岐に渡っていますが、多くは福利厚生を向上させることを目的として設置されたものです。

そのためキャリアアップ助成金で正しく資金を調達すれば、従業員もモチベーションが高まるでしょう。それと同時に人材のスキル向上や育成、開発に繋げることができ、同じ規模の会社より圧倒的に高い利益率を維持することもできます。

 

キャリアアップ助成金による資金調達の内容

多岐に渡る助成金の中でも、メジャーな制度といえるのがキャリアアップ助成金です。

キャリアアップ助成金は多彩なコースに分かれていますので、次に挙げることに注意しながら、どのコースを選ぶべきか、必要な書類は何か、何を徹底して申請すればよいかを決めるようにしましょう。

 

キャリアアップ計画の策定

キャリアアップ助成金はどのコースを選ぶ場合でも、申請するためにガイドラインに沿った内容キャリアアップ計画書を作成することが必要です。

どのような計画に基づき従業員のキャリアアップを進めていくかを宣言するための大切な書類ですので、事前計画と実施する訓練などの内容が客観的に整合性の取れたものか確認するようにしてください。

 

●事前計画を提出する理由

キャリアアップ助成金は、従業員が中長期で働くことを可能とする環境を整備し、雇用関係が継続するための努力を計画的に行っている会社に対して支払われます。

そのため、その場だけの判断ではなく、前もって立てた計画の中で戦略的に従業員がスキルアップできることを目指し、実践する会社は助成金を支給する価値があると認められるということです。

キャリアアップ計画書には当初の予定を記載しますので変更することは可能です。ただし提出済みの計画書内容を変更する場合には、ハローワークに「計画変更届」を提出しなければならないことからも、計画性や戦略性が重視されていることが確認できます。

 

●事前計画に従わない内容を実施した場合

提出した計画書と異なる内容が実施された場合など、助成金申請の場面では不支給と判断される可能性も考えられます。

後に実施される訓練内容や申請書類への記載に沿っているなど、整合性が大切となるため矛盾のない計画書を作成するようにしてください。

一度申請書類の必要項目をすべて埋めることができるように、記載された説明をしっかり読み込んで記入していきましょう。

全体像を理解せずにひとまず作成した計画書を提出してしまうと、いざ助成金を申請する段階で整合性が取れていないと判断されてしまい、資金調達に至らず無駄な労力で終わってしまいます。

キャリアアップ計画書を提出して助成金申請までは、短くても半年以上はかかると理解し、会社のキャッシュフローや採用状況なども踏まえた上で作成するようにしましょう。

 

就業規則などの必要書類を揃えておく

キャリアアップ助成金を申請する上ではたくさんの申請書類を準備することになります。

先に述べたとおり、キャリアアップ助成金は複数のコースに分かれていますが、中でも正社員化コースなどは申請前に就業規則の中に関連する項目を規定しておくことが必要です。

就業規則は人を雇用する上で大変重要ですので、助成金申請をよいきっかけとしてその内容を一旦見直すことをおすすめします。

 

スケジュール管理は徹底して行う

キャリアアップ助成金を申請し、実際に受給するまでにはいくつかの段階をクリアしていかなければなりません。実際にコースを実施するまでにキャリアアップ計画書を作成し、それぞれの施策を実施して申請を行うまで長くて1年かかります。

その期間内においては、定められた手順と期限を守りながら手続きを進めていくことになりますので、スケジュール管理は徹底して行うことが必要です。

 

キャリアアップ助成金のコースは7種類

キャリアアップ助成金は、正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コースの7種類に分かれています。

 

正社員化コース

有期契約労働者などを正規雇用労働者などに転換、または直接雇用した場合の助成です。

支給額は、

  1. 有期→正規:1人当たり57万円<72万円>(大企業は42万7,500円<54万円>)
  2. 有期→無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(大企業は21万3,750円<27万円>)
  3. 無期→正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(大企業は21万3,750円<27万円>)

※<>内は生産性の向上が認められる場合の金額

となっています。

なお、①~③合わせて1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までです。

正規には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」も含みます。

派遣労働者を派遣先にて正規雇用労働者や多様な正社員として直接雇用する場合には、①と③は1人当たり28万5,000円<36万円>加算されます。これは大企業も同額です。

ひとり親家庭の母または父の場合、若者認定事業主が35歳未満の者を転換など行った場合には、①は1人当たり95,000円<12万円>、②と③は47,500円<60,000円>加算されます。なお、どちらも大企業も同額です。

勤務地・職務限定正社員制度を新しく規定した場合には、①と③は1事業所当たり95,000円<12万円>(大企業は71,250円<90,000円>)加算されます。

 

賃金規定等改定コース

すべて、または一部の有期契約労働者などの基本給の賃金規定などを増額に改定し、昇給した場合の助成です。

 

●すべての賃金規定などを2%以上増額改定した場合

  • ・対象労働者数1~3人の場合、1事業所当たり95,000円<12万円>(大企業は71,250円<90,000円>)
  • ・対象労働者数4~6人の場合、1事業所当たり19万円<24万円>(大企業は14万2,500円<18万円>)
  • ・対象労働者数7~10人の場合、1事業所当たり28万5,000円<36万円>(大企業は19万円<24万円>)
  • ・対象労働者数11~100人の場合、1人当たり28,500円<36,000円>(大企業は19,000円<24,000円>)

 

●雇用形態別、職種別など、一部の賃金規定などを2%以上増額改定した場合

  • ・対象労働者数1~3人の場合、1事業所当たり47,500円<60,000円>(大企業は33,250円<42,000円>)
  • ・対象労働者数4~6人の場合、1事業所当たり95,000円<12万円>(大企業は71,250円<90,000円>)
  • ・対象労働者数7~10人の場合、1事業所当たり14万2,500円<18万円>(大企業は95,000円<12万円>)
  • ・対象労働者数11~100人の場合、1人当たり14,250円<18,000円>(大企業は9,500円<12,000円>)

※1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみ

 

健康診断制度コース

有期契約労働者等を対象とし、「法定外の健康診断制度」を新規で規定し、4人以上に対して実施した場合の助成です。

1事業所当たり38万円<48万円>(大企業は28万5,000円<36万円>)支給されます。なお、1事業所当たり1回のみの申請となっています。

 

賃金規定等共通化コース

有期契約労働者などと正規雇用労働者との共通の職務など応じた賃金規定などを新しく規定・適用した場合に助成されます。

1事業所当たり57万円<72万円>(大企業は42万7,500円<54万円>)となっており、1事業所当たり1回のみ申請が可能です。

※共通化した2人目以降の対象労働者は、対象労働者1人当たり20,000円<24,000円>(大企業は15,000円<18,000円>)加算されます。ただし、上限20人までです。

 

諸手当制度共通化コース

有期契約労働者などと正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新規で規定・適用した場合に助成されます。

1事業所当たり38万円<48万円>(大企業は28万5,000円<36万円>)で、1事業所当たり1回のみの申請です。

※共通化した2人目以降の対象労働者は、対象労働者1人当たり15,000円<18,000円>(大企業は12,000円<14,000円>)加算されますが上限は20人までです。

※同時に共通化した2つ目移行の諸手当については、1手当当たり16万円<19万2,000円>(大企業は12万円<14万4,000円>)加算となり、上限は10手当までとなっています。

 

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

労使合意に基づいて社会保険を適用拡大し、有期契約労働者などを新しく被保険者として基本給を引上げた場合に助成されます。

こちらの助成金額は下記の通り基本給の増額割合に応じて変わります。

  • ・3%以上5%未満の場合、1人当たり29,000円<36,000円>(大企業は22,000円<27,000円>)
  • ・5%以上7%未満の場合、1人当たり47,000円<60,000円>(大企業は36,000円<45,000円>)
  • ・7%以上10%未満の場合、1人当たり66,000円<83,000円>(大企業は50,000円<63,000円>)
  • ・10%以上14%未満の場合、1人当たり94,000円<11万9,000円>(大企業は71,000円<89,000円>)
  • ・14%以上の場合、1人当たり13万2,000円<16万6,000円>(大企業は99,000円<12万5,000円>)

 

なお、1事業所当たり1回のみの申請で、支給申請上限人数は45人までで、こちらのコースは令和2年3月31日までの暫定措置となっています。

 

短時間労働者労働時間延長コース

有期契約労働者などの週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されます。

1人当たり22万5,000円<28万4,000円>(大企業は16万9,000円<21万3,000円>)が助成金額です。

ただ、手取り収入が少なくならないよう、週所定労働時間を延長して新しく社会保険に適用させ、さらに賃金規定等改定コース、または選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合には、次のとおり5時間未満の延長でも助成の対象です。

  • ・1時間以上2時間未満:1人当たり45,000円<57,000円>(大企業は34,000円<43,000円>)
  • ・2時間以上3時間未満:1人当たり90,000円<11万4,000円>(大企業は68,000円<86,000円>)
  • ・3時間以上4時間未満:1人当たり13万5,000円<17万円>(大企業は10万1,000円<12万8,000円>)
  • ・4時間以上5時間未満:1人当たり18万円<22万7,000円>(大企業は13万5,000円<17万円>)

ただし、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人までとなっており、こちらは令和2年3月31日までの暫定措置という扱いです。

 

助成金で資金調達ができた後は

助成金を受けることができ、無事に資金調達ができたら、返す必要のない資金だからと目的以外の使い道に流用してはいけません。あくまでもそれぞれの目的に応じて支給されるため、申請内容にない用途や事業に資金を使ってしまうことは助成金制度に反することになります。

助成金や補助金を受け取ることができ、事業内容に沿って資金管理できれば、社会的な評価も上がるでしょう。

当初の計画に沿い正しく利用すること、そして支給された資金の流れは最低5年間は記録しておくこと、助成金として使用できる費用とそうでない費用をまとめておくこと、無駄な費用に消費せず、最大限活用することを心掛けるようにしてください。

 

まとめ

助成金や補助金を受けることができれば、返済する義務のない資金を調達することに繋がるため、ゆとりを持った資金繰りが可能となるでしょう。

ただし助成金や補助金は、先に支給されるのではなく事前に計画した内容に沿って実行した後で支払われるものです。

そのため、立てた計画を実施していると判断されなければ、申請しても資金として受け取ることはできないでしょう。

キャリアアップ助成金は、法律をしっかり遵守し弱い立場にある非正規労働者などを積極的に正規雇用などへ切り替えようとすることに対してご褒美をあげましょうという発想に基づいたものです。

厚生労働省所管の助成金は国から支給されますので、その原資は事業主が納付している雇用保険料であることを認識した上で活用するようにしてください。

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