融資で資金を調達するのなら知っておきたい「与信」の意味

2019/05/27
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与信信用を供与することを意味しますが、金融業界では銀行やノンバンクが行う融資や融資枠、保証などの供与、そしてクレジットカード会社のショッピングやキャッシングの利用可能枠を供与することを指しています。

利用の申し込みが行われた際の審査における与信だけでなく、供与した後にモニタリングするといった管理も重要とされています。そのため、銀行やノンバンクなどで融資を受けた場合には、返済能力や返済原資、返済資質、担保などを定期的に確認し、見直しなどもされています。

特に新規で借り入れの申し込みがあった歳には、何を目的とした資金なのか、その返済計画、担保や保証などの保全面、過去の取引履歴や信用情報などを確認されることになり、所定の基準に合致しているかによって、融資が実行されるかどうか決まります。

 

与信とは何をあらわす言葉なのか

返済能力がある相手なら、資金を貸し付けることができるという信用を与える意味で、「与信」という言葉が使われています。

商取引において、販売した商品は先に渡し、代金は後で支払ってもらうという掛け取引も与信のひとつといえるでしょう。これは、販売した取引先に対し、代金を回収するまで信用を与えていることになるからです。

初めて信用を与えることはスクリーニングや初期与信といった呼び方がされており、一度与信した相手の状況などによって取引量を調整することなどをモニタリングや与信管理といいます。

与信管理において、信用力が高いと判断できれば信用枠を拡大させることができるでしょうし、信用力が低下していると判断すれば、信用枠を狭くする必要があります。

 

与信で評価する項目は次の3つ

与信で評価するのは、返済能力、返済資質、返済担保の3つです。

このうち、銀行やノンバンクが行う融資で何を重視するのかは、それぞれの金融機関や業者、金融商品、契約内容などにより異なってくるでしょう。

仮にクレジットカードの申し込みを行ったとします。もし申込希望者にカードを提供し、カードの利用があった場合には、一旦、カード会社が決済費用を負担することとなり、利用者から後にカード会社に代金を返してもらうという形です。

カードの契約において、担保などの差し入れはないことから、返済能力や返済資質を重視することになるでしょう。

 

与信枠や与信限度額とは

与信において、どのくらいの金額を限度に信用を与えるかを与信枠や与信限度額と呼んでいます。

一般に与信限度額は幅広い意味で使用されるので、貸出限度額、融資限度額、利用限度額、クレジットラインなど色々な意味を含んでいます。

 

与信と融資は異なる

銀行やノンバンクに借り入れを申し込んだとき、与信と融資を同じ意味に捉えている方がいますが、先に述べたように意味は異なります。

融資は銀行やノンバンクがお金を貸し付けることであり、与信は返済をしっかり行うことができる相手に信用を与えることです。

銀行やノンバンクが行う融資は無条件に行われるわけではなく、実際に資金を貸し付けた後の返済を無理なく行うことができるかで判断されます。そのためにも、しっかり審査を行い、この相手なら資金を貸してもよいと判断されて初めて融資が実行されます。

取引内容によっては、担保や保証人などが必要になる場合もあるので、気軽に与信を通過すれば融資を受けることができると考えないようにしましょう。

 

自社の与信管理にも注意しておくこと

銀行やノンバンクから融資を受ける場合の与信も気になりますが、自社の与信管理についても理解しておくことが重要です。

特に取引先が複数ある企業の場合、取引先によって信用度は異なることでしょう。中には売上や業績が良好で信用度が高いと判断される企業もあれば、売上が低迷し従業員は次々と退職し、業績に伸び悩んでいる危うい状態の会社もあるかもしれません。

危険な状態にある会社との取引は当然リスクが高くなるため、取引の金額なども抑えていく必要があるでしょうし、場合によっては取引を中断させる方向に持っていく必要も出てくる可能性があります。

一方、業績が良好な企業が取引先なら、自社の業績も一緒に向上させることに繋がるかもしれません。その場合、取引金額をこれまでより高くすることを検討することとなるでしょう。

このような与信管理は、業務上では、取引先の与信状況を管理することを指しています。商取引において基本となる部分であり、定期的に与信の基準を見直すことも必要となります。

これと同じように、銀行やノンバンクでも取引相手の信用度を確認し、融資を行って良いか、行うなら金額はどこまでを限度にするのかを判断していると考えればわかりやすいでしょう。

 

具体的にどのような与信管理を行うべきか

企業が行う取引先に対する与信管理においては、

  • ・取引先を評価し、設定した信用枠より売上債権残高が上回る場合には、代金を早めに回収できるように心がける
  • ・危険性が高いと判断される取引先や大口の取引先などは特に注視し、継続して情報収集を行った上で緊急性が高い情報があった場合は、代金を早急に回収または取引中止といった対応を即座に行う

などを基本として行っていきます。

企業にとって取引先の与信管理はとても大切な業務の1つです。中小企業の場合、取引先が倒産した場合には、自社の死活問題へと直結してしまい、連鎖倒産の危機に陥ります。

内部や外部からの情報をもとに、しっかりと取引先の与信管理を行うことが必要となりますが、確認する方法としては決算書、調査会社の信用調査情報などで判断するとよいでしょう。

 

営業担当者からの情報は重要

また、営業担当者が定期的に会社を訪問する際、代表者や従業員の様子や行動、事務所の雰囲気などを確認し、何か怪しいと思える兆候はないか確認することも大切です。

現場に直接足を踏み入れることができる営業担当者だからこそ、知り得る情報がたくさんあります。営業担当者には売上を上げる能力だけでなく、このような観察力に優れていることも求められます。

 

危険信号と捉えることができる変化

売掛金の未回収が増えてきたり、取引条件の変更の申し入れなどがあった場合には危険信号だと思ったほうがよいでしょう。

それに加え、代表者が不在しがちであったり、退職や解雇など人が頻繁にいなくなったり、仕入れ・納入などの出入り業者や取引を行う金融機関が変更されていたりという状況の場合、何か問題が生じていると考えてみる必要があります。

 

●不動産登記簿で担保権の確認を

さらに、取引先が法人であれば不動産登記簿など法務局で取得し、取引先が保有している資産にどのような担保の設定がなされているのか、現在の融資状況も確認しておくようにしましょう。

この担保権は、抵当権が第何位まで設定されているかも重要です。最初に設定された抵当権が抹消されていないのに、次にまた新しく融資を受け抵当権を設定しているのは、負債が増えている証拠といえます。

また、担保として抵当権を取得している金融機関は銀行なのか、それとも聞き慣れない無名の金融業者なのかなどによっても、資金繰りの悪化の程度を確認することができます。

設定者に不審な金融機関などがある場合や、正規の金融機関であっても同じ不動産に複数の抵当権が設定されている場合、かなり資金繰りが厳しい状態であることを示唆しています。

 

与信ダンピングとは

銀行やノンバンクが融資を行う場合や、クレジットカード会社がカード発行を行ってもよいか判断するための与信において、その基準を大幅に引き下げ、多くの与信を行うことを与信ダンピングといいます。

一時的に顧客を多く獲得する目的で行われることが多いですが、中長期の収益で見た場合には不良債権を増大させるリスクが高い方法です。

競合企業との競争に勝つため、大手の消費者金融やクレジットカード会社では、与信より顧客の獲得数を優先し、何度か与信ダンピングを行うことがありました。

バブル期には銀行までもが与信基準を大きく引き下げ、次々に融資を行っていましたが、バブルが崩壊したのと同時に、多くの不良債権に悩まされる結果となったわけです。

 

銀行が行う与信格付

現在はメディアなどでちらほらとクレジットカードのポイント還元キャンペーンなどが行われているのを目にしますが、ノンバンクなどは貸金業法による総量規制により、個人の年収の3分の1を超えた融資は行っていません。

銀行では企業を与信格付でランクごとに分類し、融資を行うことができる状態か判断しています。

銀行の与信格付制度とは、銀行が信用を供与している、もしくはこれから信用を供与しようとする取引先の信用リスクを客観的に評価する制度です。銀行がその取引先に信用を供与した場合、将来損失を被る可能性について評価します。

すでに取引を行っている企業や、新規の取引先などは、数段階の格付評価で融資に対する取り組み方針をそれぞれ分けています。

 

与信評価の主な内容

与信評価の主な内容は、

  • ・財務評価項目(自己資本比率、正味実力、金融余力、資金調達余力、利益状況など)
  • ・非財務的評価項目(業歴、業界の見通し、代表者の人物評価、経営能力、担保保全状況、取引振りなど)

で、それぞれ評点を算出した上での総合評点により、融資が可能か、可能な場合には融資の限度額、設定する金利、担保・保証人の有無や追加の必要性を決めています。

 

  • ・正味実力 仮に取引先が倒産した場合など、すべての資産や負債を整理したときに手元に残る資産
  • ・金融余力 資金繰りの安定度合い
  • ・資金調達余力 資産を売却した場合や担保に差し入れた場合にどのくらいの資金が調達できるか

 

銀行によって重視する評点は異なる

与信評価は、正常取引先、要注意取引先、破綻懸念先などに分類する基準としても活用されており、正常取引先に分類されなければ、当然、融資は実行されません。

大手銀行なら財務評価項目による評点を重視し、特に決算書類などでの財務分析を頼りとして無担保による貸し付けなども行います。

地銀や信金など、地域に密着した銀行の場合には、ある程度は代表やの力量で企業経営が成り立っていることも考慮しながら、縁や代表者個人の資産、取引歴などにも配慮した格付けを行うところもあるようです。

 

与信は有限!無限ではない

与信は最初から有限のものであり、無限に与えられるものではないということを理解しておきましょう。そもそも範囲を決めた上での信用の供与なので、限界があるのは当然のことです。

たとえば不動産を担保に差し入れる場合、その物件の評価が低いとその分、与信枠は下がるでしょう。ただ、評価の高い物件に対し、その金額よりも低い額で融資を受けたから、無限に融資を受け続けることができるわけではないと理解しておきましょう。

また、どのような相手にどのくらい融資を行うかは、金融機関や業者によっても異なります。年収が一定額以上でなければ審査すら行わないケースもあれば、主婦でも審査の対象とする場合もあるので、設定される限度額や年数も色々ということです。

どのような状況が融資条件に悪影響を及ぼすのかも金融機関や業者によって異なる場合もあるので、自分がこれから融資を受けようとする金融機関や業者がどのような基準で審査を行っているのか把握し、基準に合っているなら申し込みを行うことが融資を成功させる近道ともいえます。

 

金融機関に序列は存在するのか

金融機関には序列があり、たとえば信金や信組など地域密着型の金融機関で融資を受けていれば、大手銀行であるメガバンクでは審査を受け付けてくれないという話や、一度ノンバンクで借り入れをするともう銀行からは融資されないという話を耳にしたことはないでしょうか。

しかし、これらはいずれも都市伝説のようなもので、確かに低金利で融資を行う大手銀行などは審査や担保の評価基準もハードルが高めです。

そのため、他行やノンバンクでは与信に通過した場合でも、メガバンクなどではその基準を満たさないということもあるでしょう。

ただ、序列が存在するわけではなく、審査のハードルに違いがあるだけのことです。

 

まとめ

銀行やノンバンクから融資を受ける場合、与信に通過できるかが大きな壁となる場合もあるでしょう。ただ、与信の考え方は金融機関や業者によって異なりますし、それは自社が行う取引先に対する与信管理にも共通していえることです。

適切な取引を行うために必要な流れの1つですので、融資における与信に通過するには何が必要か、自社が行う与信管理で行うべきことは何か、しっかり把握し実践していくようにしましょう。

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