銀行融資など、借り入れで資金を調達することを考える方は少なくありませんが、その中でも融資に頼らない資金調達の方法としてファクタリングが中小企業などに注目されつつあります。
一度でも利用したことがあるのなら、ある程度は資金を調達するまでの流れは把握できているかもしれません。
しかし、まだ一度も利用したことがない場合、ファクタリングでどのように資金が調達されるのか、どのような手続きが必要となるのか不安を感じることもあるでしょう。
そこで、ファクタリングで資金を調達されるまでに必要な手続きと、その流れについてご説明します。
目次
中小企業が多く利用するのは2社間ファクタリング
ファクタリングにもいろいろな種類がありますが、ファクタリングとは保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して資金を調達する方法です。
その中で、売掛先に売掛債権を売却することを知られてしまうと、自社の資金繰りがよくない状況にあることを伝えることになるので、売掛先に知られず取引を行いたいと希望することが多くみられます。
売掛先に知られずにファクタリングを行うには、利用会社とファクタリング会社だけで取引を行う、2社間ファクタリングがおすすめです。
ここでは、2社間ファクタリングを中心に、手続きと資金が調達されるまでの流れについて説明していきます。
1.ファクタリング会社に問い合わせ
電話やホームページのメールフォームからファクタリング会社に問い合わせを行います。そのとき、まだ回収できていない売掛債権があるか確認されることになりますが、もし、売掛債権に該当するものかわからない資産があるなら相談してみましょう。
2.ファクタリング会社で審査が行われる
ファクタリングを利用するためには審査を受けることになります。ただ、融資を申し込んだときの審査とは違い、ファクタリングの審査は売掛債権の信用力が重視されることになるので、比較的ハードルは低いと考えてよいでしょう。
なお、審査を行うために必要な書類として、
- ・取引口座の通帳
- ・請求書や納品書、基本契約書
などが必要となります。ファクタリング会社によって異なる場合もあるので、確認してみましょう。
3.面談と手数料の確認
契約は対面により面談を受けた上で行われます。店頭まで足を運ぶことが難しい場合には、訪問による対応を行ってくれるファクタリング会社もあるので、相談してみるとよいでしょう。
●ファクタリング手数料はどのように決まるのか
審査や手数料に影響を与えるのが、売掛債権の種類、そして売掛先の信用力です。手数料には次のような費用が含まれるので、それらを加味した上で決まります。
・掛け目
ファクタリングの掛目とは、売掛債権の買取率を指しています。売掛債権の額面すべてではなく、掛け目により減額されて現金化されることもあります。
この減額された分は、買い取った売掛債権の代金を無事に回収できたとき、利用会社に返還されるという流れです。
売掛債権の信用力が低く、回収リスクが高いと判断されれば買取率は下がりますが、目安となる相場は売掛債権額面に対し、75~90%くらいです。
・買取手数料
2社間ファクタリングの場合、売掛先を取引に含めないため、利用会社が売掛代金を回収し、その代金をファクタリング会社にスライドさせることになります。
ファクタリング会社にとってはリスクの高い取引となるため、3社間ファクタリングよりも手数料設定は高くなると認識しておきましょう。
2社間ファクタリングは売掛債権額の10~30%、3社間ファクタリングは1~5%が、おおよその手数料の目安です。
・債権譲渡登記費用
2社間ファクタリングの場合、債権譲渡登記を行うことを利用の条件とするファクタリング会社もあります。
これは、ファクタリング会社が第三者に対する債権を買い取った権利を主張するために行われますが、登録免許税7,500円に加え、司法書士に登記を委任する費用として3~5万円必要となります。
なお、債権譲渡登記を行わず、留保という形でファクタリングを利用できるファクタリング会社もあるので、余計な費用を掛けたくない場合はそのようなファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
・その他の費用
債権譲渡契約の契約書に貼る収入印紙代が200円、ファクタリング会社の担当者が訪問による面談を行う場合の交通費も必要です。かかる交通費は、利用する交通機関や距離などによって変わってきますが、利用会社が負担することが一般的です。
4.ファクタリング契約
2社間ファクタリングの場合、
- ・債権譲渡契約
- ・業務委託契約(集金業務)
という2種類の契約を締結することが必要となります。
債権譲渡契約はファクタリング契約そのものです。もう1つの業務委託契約とは、売掛先から支払われる売掛代金はファクタリング会社に直接入金されるのではなく、一旦は利用会社の口座に入金される流れになることで必要な契約です。
ファクタリング会社からすれば、本来なら自社が行う集金業務を、利用会社に代わりに行ってもらう形となるので、そのための契約です。
さらに、必要書類として、
- ・納税証明書
- ・印鑑証明書
- ・登記簿謄本
などを求められることとなりますが、こちらもどのような書類が必要となるのか、事前に確認しておくとスムーズです。
5.買取額の入金
無事に契約が締結されると、指定した口座に買取額が振り込みされます。事前に相談しておき、必要書類を準備しておけば、ファクタリング会社によっては最短で即日入金が可能となるため、早めの問い合わせが肝心ということです。
6.売掛先からの売掛金を回収
先にのべたように、売掛先から売掛代金が入金されたら、そのままファクタリング会社にその代金をスライドさせて支払います。
ここで気になるのは、もし売掛先が倒産してしまった場合など、売掛代金が回収できなかったケースです。
せっかく先にファクタリングで売掛債権を現金化させることで改善できた資金繰りが、この売掛先の倒産によって弁済しなければならなくなったら…。また資金繰りが悪化し、経営がたちいかなく可能性もでてくるでしょう。
しかし、2社間ファクタリングは償還請求権がありませんので、売掛先の倒産や廃業などで売掛代金の回収ができなかったとしても、その弁済負担を負う必要はありません。
このようなリスクも加味した上で手数料が決められるため、2社間ファクタリングは3社間ファクタリングよりも手数料が高めに設定されると理解しておきましょう。
7.回収した売掛代金をファクタリング会社に入金
支払期日を迎えた売掛債権について、売掛先から利用会社に入金がなされ、その代金をファクタリング会社に支払えば、ファクタリングの契約は終了します。
なお、2回目以降にファクタリングを利用した場合には、審査なども比較的スムーズに行われることとなり、手数料も安くしてもらえるなどメリットが高まります。
まとめ
2社間ファクタリングにおいて、どのような手続きが必要で、資金が入金されるまでに至るのかという流れをご説明しました。ファクタリングをまだ一度も利用したことがない場合、そもそも売掛債権を売却することで資金を調達できるのかと仕組み自体に不安を感じることもあるでしょう。
しかし、ファクタリングは融資ではないので返済負担が増やすわけでもなく、経営体質の健全化や投資機会を逃さない方法として、中小企業に多く利用されている資金調達の方法です。
資金繰りや事業改善など、コンサルティング業務も併用して行うファクタリング会社もありますので、いろいろな面で相談できるファクタリング会社を選ぶと、より安心して資金を調達できるでしょう。
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