手形割引による資金調達のメリットとデメリットを徹底解説

2018/08/13
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資金調達方法として融資よりも比較的審査難易度が低いとされているのが「手形割引」です。手形割引とは、受取手形を利用した資金調達方法であり入金を前倒しできる、といった嬉しい特徴があります。

こちらでは手形割引とはいったいどのようなものなのか、さらには手形割引における資金調達のメリットとデメリットについて明らかにします。銀行融資やノンバンク融資などの審査に落ちてしまった経験がある、という方は必見です。

手形割引とは?

・受取手形を支払期日前に買い取ってもらい現金化をすること

受取手形は入金までに時間がかかります。売掛金よりも入金期日までに時間がかかってしまうのです。資金繰りが悪化する可能性が高くなるわけですが、手形割引を利用することで期日前であったとしても現金化できます。

手形割引を利用する目的は、受取手形の期日前の現金化にあります。資金繰りが悪化している時には、一刻も早く入金が必要になります。期日まで待ってはいられません。だからこそ手形割引といった資金調達方法があるわけです。

・受取手形の入金までの期間とは

基本的に60日間を超えてきます。
そもそも売掛金については「給付受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内」(下請法より)と入金までの期間が設定されているのです。少なくても2ヶ月以内に企業は支払わなければなりません。

現金が出ていくのは少しでも遅くしたい、とどの企業も考えています。そこで支払手形を発行するのです。支払手形に関しては60日を超える長期の支払いの繰り延べをするために用いられるわけです。

※大企業の中には6ヶ月もの長期の手形を発行することもあります。大企業から仕事をもらう下請け業者が手形割引で早期に現金化をしているケースも珍しくありません。

・受取手形を受け取るメリットはあるのか?

あります。
入金されるまでの期間が長いということでもあるので、受け取る方としてはメリットがないように感じてしまうかもしれません。
しかし売掛債権よりも手形債権のほうが回収の確実性が高い、といった特徴があるわけです。より確実に売上金を受け取りたい、というケースには受取手形で受け取ることも考えておきましょう。

手形債権の回収の確実性が高い理由として、「取引停止」があります。手形に対応できないと不渡りを出した、ということになってしまうのです。6ヶ月以内に2回の不渡手形を出してしまうと、銀行から取引停止処分を受けてしまいます。事実上の倒産となってしまうのです。

企業として、どうしても避けたいのが倒産です。だからこそ不渡りを出さないように対応することになるので、結果として回収率がアップするわけです。

手形割引による資金調達のメリット3つ!

①審査が比較的易しい
②期日前に現金が得られる
③入金と出金サイトのバランスを改善できる

【①手形割引の審査について】
一般的な銀行融資などと比較すると手形割引の審査は易しくなっています。その理由として、受取手形が一定の信用を与えてくれるからです。

そもそも受け取り手形は将来的な入金が約束されたものです。予定通りであれば期日がくれば入金してもらえるはずなので、業者としては返済能力があまりないとする企業であったとしても審査OKにしてくれることもあります。

ただし比較的審査が易しいとはいっても、注意しなければならないことがあります。実は自社の状況も審査対象になる、という部分です。

手形割引では以下の部分を審査されます。

・手形の金額
・手形振出人の信用力
・手形持ち込み人の経営状態
・手形持ち込み人の資産状況
・手形持ち込み人の信用力
・手形持ち込み人の担保

要は手形持ち込み人が赤字経営を続いけていたり、税金未納であったりすると審査落ちになってしまう確率がアップしてしまうのです。

なぜ持ち込み人も審査対象になるのかはデメリットの部分で詳しく解説させてもらいます。

【②現金化の速度について】
手形割引業者であれば、最短即日で対応してくれることもあります。
本来であれば3ヶ月先や4ヶ月先に入金予定であったものも、すぐに現金化できる可能性があるわけです。差し迫った資金繰りの悪化に対しても手形割引であれば十分に対応できます。

売上債権の入金までの期間は資金繰りに直結してくるものです。入金までの期間を短縮化させ、資金ショートの恐怖から逃れましょう。

※入金期日までの期間が長ければ長いほど割引手数料が高額化する恐れもあるので気をつけなければなりません。期日が先の手形の割引に関しては、業者としてもリスクを背負うことになるのです。よって手数料が高めに設定される可能性もあります(手数料に関してはデメリットにて詳しく解説します)。

【③入金を早めて資金繰りが改善できる】
資金繰りが悪化している企業の多くは、入金サイトと出金サイトがアンバランスになっています。
出金が先に来て入金があとに来てしまうのです。

基本的に売上金が先に入ってきて、支払いが後に来る、という状況であれば資金繰りに陥る可能性は極めて低くなります。売上金から仕入れ代金を支払える、ということになるからです。しかしどんなに業績が良い会社であったとしても、出金が先に来て入金が後に来る、といった状況になってしまえば資金繰りは悪化してしまいます。「黒字倒産」に陥ってしまう可能性もあるのです。

手形割引を利用できれば、一時的に受取手形の入金を早めることにつながるのです。特に急激に売上がアップした時には様々なコストも掛かっています。売るためには商品を仕入れなければなりません。その支払いの代金を手形割引で賄ってやれば黒字倒産は免れるわけです。

入金サイトと出金サイトのバランスが崩れている、という企業は手形割引を利用して資金繰りを改善させましょう。

手形割引による資金調達のデメリット3つ!

①手形が入金されなければ自社で対応しなければならない
②手数料が発生してしまう
③調達額が手形の額面に制限される

【①償還請求権あり】
手形が不渡りの状態になってしまえば自社が代わりに支払わなければなりません。
手形割引に関しては「償還請求権あり」となっているのです。

「償還請求権あり」とは受取手形の場合は、受取手形が入金をされなかった場合には手形割引を利用した本人が代わりに業者に支払う、というものです。要は手形割引には一定のリスクが存在しているわけです。

例えば売掛金の売却であるファクタリングは「償還請求権なし」となっています。売掛金を売掛先が支払わなかったとしても、請求がくるわけではありません。ファクタリングにはリスクがないわけですが、手形割引にはリスクがある、ということは覚えておくべきです。

※不渡りで業者が資金を回収できなかった場合には、多くのケースで一括にて請求される、といったデメリットもあります。資金繰りが悪化して手形割引を利用している場合には、すでに手元には手形割引で利用した資金はない可能性も高く、会社の経営状況が一気に悪化するリスクも有るのです。

※取引先が手形を支払えず、満期を過ぎてからの自社の対応となってしまった場合には、遅延手数料も発生します。手形に記載されている金額よりも高い額を支払わなければならない可能性も出てくるわけです。

【②手数料について】
受取手形を期日まで待って受け取れば、額面満額を受け取ることが可能です。
手形に100万円とあるのであれば、期日に100万円が受け取れるのです。

しかし手形割引を利用すると手数料が発生してしまいます。その手数料を差し引いた分の金額しか受け取れないわけです。もちろん業者として手数料を取らなければ儲けが出てきません。彼らもビジネスとして行っているので、儲けが出る程度の手数料を設定してくるのです。

手数料に関しては、業者によって大きく異なっているのも事実です。

<業者別の手形割引の相場>
・普通銀行のケース・・・2.0%から3.5%程度
・都市銀行のケース・・・1.5%から3.0%程度
・信用金庫のケース・・・2.5%から4.5%程度
・信用組合のケース・・・3.5%から5.5%程度
・手形割引業者(ノンバンク)のケース・・・3.0%から15.0%程度

銀行に関しては低めに設定されています。基本的には5.0%以下の手数料率で対応してもらえるのです。しかし銀行の手形割引に関しては審査が厳しく設定されているケースもあり、利用できない方も少なくありません。

手形割引業者であれば審査難易度も低く利用できる企業も多いわけですが、問題は手数料率です。10.0%を超えてくることもあるので、仮に10.0%で100万円の手形を割引した場合には受け取りは90万円になってしまいます。

ちなみに年利換算にすると、率はもっと高まります。例えば5.0%の手数料率で6ヶ月先に期日を迎える受取手形を手形割引すると年利換算では10.0%になるわけです。

手数料率が5.0%以下になるケースが多い、と聞くとお得に感じるかもしれません。しかし年利換算にすると高くなるわけなので、融資とどちらがお得なのか、ということは前もってシミュレーションしておかなければならないのです。

【③希望調達額に達しないことも】
融資による資金調達であれば、希望した額を借り入れできる可能性もあります。自社に信用があると判断されれば、数千万円や数億円の資金調達も可能なのです。

手形割引の場合は手形の額面が基準となります。少なくても手形の額面を超える資金調達はできません。手形の額面が1,000万円である場合には、2,000万円や3,000万円の資金調達はできない、ということになるのです。

さらに手数料も発生するので、基本的には額面金額未満の調達しかできません。調達額の自由度、という部分では他の資金調達の方法に比べて見劣りしてしまうのも事実です。

手形割引よりもお得な資金調達方法はあるのか?

実はファクタリングの方がおすすめです。
ファクタリングとは同じく売上債権の売掛金を現金化するものとなっており、基本的に手形割引とシステムは似通っています。しかしその内容には大きく異なる部分があることも事実です。

こちらでは、なぜ手形割引よりもファクタリングのほうがおすすめであるかを明らかにします。

・より大きな額の資金調達ができる可能性が高いから

手形による取引よりも売掛金を利用した取引が多くなっています。よってファクタリングを利用したほうが、より高額の資金調達に繋がる可能性があるのです。

業者によっては、売掛金の取引割合が70%であり受取手形による取引割合が30%である、というケースもあります。

少額の資金調達でOKであるならば手形割引を選択しても良いでしょう。一方で高額の資金調達を考えているのであれば、より大きな額になる売掛金を活用すべきです。

※売掛金と受取手形の取引割合は、業種によっても大きく異なっているのが事実です。例えば工期が長い土木関係の業者などは、売掛金よりも手形による取引量のほうが多くなっています。他にも自動車関連や産業機械、そして航空機などの分野の企業も手形による取引量が多くなっています。

・貸し倒れても支払い義務がない

取引先が倒産する、ということも十分に考えられます。実際に取引先が破綻をして売掛金や受取手形が回収できなかった、との経験をしたことがある企業も多いでしょう。

そこで問題となってくるのが、ファクタリングを利用した時に売掛先が破綻をして回収できなかった場合です。実はその場合には代わりに支払うことはありません。リスクはファクタリング業者がすべて引き受けてくれるのです。

償還請求権というものがありますが、ファクタリングでは「なし」(ノンリコース)となっているので自社に売掛金の支払いを求めてくることはありません。

手形割引は手形振出人が支払わなかった場合には、自社に請求が来ます。手形振出人の経営状況によっては窮地に陥ってしまうかもしれません。

ファクタリングを利用することが、一つのリスク回避策にもなるのです。売掛先から入金が遅れたり入金されなかったり、ということを何度も経験している企業もあるでしょう。そういった企業は一定額の売掛金をファクタリングしてしまうのです。そうすればその一定額は前もって現金化され、貸し倒れてしまったとしてもファクタリング業者から請求はされません。

・審査対象のメインは売掛先である

手形割引のケースは、受取手形が回収できなかった場合には変わりに手形代金を支払わなければなりません。よって審査では自社も詳しく調べられるのです。

一方でファクタリングは売掛金の入金がなかったとしても自社には請求がありません。よって審査対象は基本的に売掛先のみとなってくるのです。赤字であろうが税金未納であろうが利用できた例はいくらでもあります。

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