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消費者金融からの借り入れは総量規制の範囲が限度額となるのか

ノンバンク2019/04/08

個人が消費者金融からの融資を利用するとき、年収の3分の1までが限度額となるため、この範囲を超えては借り入れができない総量規制について理解しておく必要があります。

どのような消費者金融でも総量規制の対象に含まれることになるのは、2006年の貸金業法改定によって貸金業者は個人年収の3分の1を超えた融資を行ってはいけないことが決まったからです。

もし総量規制がなかった場合、今以上に借り入れを増やしてしまったら返済できなくなるかもしれない…とわかっていても、様々な支払いができずに困って借りてしまうかもしれません。

ただ、総量規制を超えての貸し付け出会ったとしても、ケースによっては融資を受けることが可能となる場合がありますので、それらを踏まえて内容を確認しておきましょう。

 

貸金業者が総量規制を超えて融資した場合

もし貸金業者が総量規制を超えた貸し付けを行った場合、金融庁からの指導を受ける対象となり、営業停止といった行政処分を科せられることになります。

そうなると事業が継続できなくなりますので、通常の消費者金融など貸金業者であれば、個人に総量規制を超えての貸し付けを行うことはありません。

新たに借り入れを行っても、返済期間内に完済させることが見込まれない場合には、返済能力を超えた借り入れとみなされます。

返済能力を超えないと判断できる範囲が年収の3分の1と判断されるため、この範囲を超えた借り入れはできなくなっているといえます。

 

貸金業法に従うことが義務付けられている貸金業者の種類

貸金業法は貸金業者に関しての規制などを定めた法律であり、多重債務者が増加し続けた問題を解決するため、さらに安心して貸金業を利用できるような市場構築を目指して規定されている法律です。消費者金融など貸金業者は、この貸金業法に従うことが義務付けられています。

貸金業者の種類としては、消費者金融、事業者金融、クレジットカード会社、信販会社などいろいろありますが、銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などのように預金や定期積金などの受け入れは行いません。

貸金業者は、利益をあげるために利息をつけて個人や法人に対してお金を貸し付けることを事業として行っている業者です。さらに、財務局、または都道府県に貸金業登録を行っていなければ、貸金業者として認められません。

 

総量規制の基準となる年収とは

貸金業法に定めのある総量規制では、貸金業者に対して、個人の年収の3分の1を超える貸し付けは行ってはいけないと定められています。

しかしこの年収とは何を指しているのか迷うこともあるでしょうが、定期的な収入として次のようなものを指しています。

  • ・給与
  • ・年金
  • ・恩給
  • ・定期的に受け取る不動産賃貸収入(事業としての収入以外)
  • ・年間の事業所得(安定的と認められるもの)

もし宝くじや競馬などで一気に手元の現金が増えたとしても、それは貸金業法上の年収には含まれません。

 

総量規制の対象となる借り入れと対象にならない借り入れ

総量規制の対象になるのは貸金業者からの借り入れですので、銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫など貸金業者に含まれない金融機関で借り入れを行った場合や、信販会社のショッピングクレジットなどは対象ではありません。

クレジットカードを保有している方もいるでしょうが、商品やサービスを購入するためのカード決済は総量規制の借入残高には含まれませんが、キャッシングなどによる借り入れは総量規制の対象に含まれることになります。

 

事業資金の借り入れを行う場合の総量規制の扱い

事業者向けの融資などを法人で借り入れを行う場合は総量規制の対象となりません。

ただ、事業目的でも個人の場合は別です。担保や保証人の有無や、借り入れの目的が消費目的なのか、それとも事業目的なのかは関係なく、個人事業者を含む個人の借り入れは原則、総量規制の対象です。

個人事業者が借り入れを行う場合、年収の3分の1を超えての借り入れはできませんが、事業や収支、資金計画を提出して十分に返済能力があると認められた場合は、この限りではありません。

 

個人事業主が事業資金を借り入れる場合

事業実績や事業計画などに基づき、借入総額を返済することが見込まれる場合には、返済能力が認められるため、顧客の利益保護に支障が生じないとみなされ例外的に3分の1を超えても借り入れが可能となる場合もあります。

ただ、それぞれ貸金業者の判断がより重要なポイントとなること、さらに追加資料などを提出するように求められることなど、いろいろと注意しておかなければならない点があることも忘れないようにしておいてください。

また、借入金額が100万円以下であれば、事業計画などを提出しなくても、事業や収支、資金繰り状況を確認することができる書面を提出することで融資を受けることができます。

 

●個人事業主が消費者として借り入れを行うなら総量規制の対象

個人事業主の場合、消費者として貸金業者から借り入れを行う場合で、たとえば子どもの教育資金や旅行資金として融資を受けたいというのなら、総量規制の基準である年収の3分の1までの借り入れとなることはいうまでもありません。

ただ、サラリーマンなどとは違い源泉徴収票などが発行されませんので、総収入金額から必要経費を差し引いた事業所得に関して証明できる確定申告書などを提出することを求められる場合もあります。

 

総量規制に縛られることなく借り入れ可能なケース

貸金業者からの借り入れであっても、総量規制になじまない貸し付けは除外貸付け、顧客の利益の保護に支障をきたすことのない貸し付けは例外貸付けとして、年収の3分の1を超える場合でも返済能力が認められることで借り入れが可能となります。

 

総量規制の除外貸付けに含まれる貸付契約

除外貸付けに分類された場合、総量規制に関係なく借り入れが可能となります。この除外貸付けに該当するケースとは、貸付金額が高額なことが多く、年収の3分の1という基準を適用させることは適当ではないとされています。

なお、除外貸付けの借入額は借入残高に算入されませんので、その後の借り入れに影響することもありませんが、たとえば次のような貸付契約が除外貸付けに該当します。

  1. 不動産を購入するために利用した住宅ローンなどの貸付契約
  2. 自動車を購入する場合にその車を担保として借り入れを行う自動車ローン契約
  3. 高額療養費に対する貸し付け
  4. 有価証券を担保とした貸し付け
  5. 不動産を担保とした貸し付け
  6. 不動産を売却した代金で返済されることが確定されている貸付契約

 

総量規制の例外貸付けに含まれる貸付契約

顧客利益の保護に支障をきたさない貸し付けは、例外貸付けとして総量規制の対象には含まれません。返済能力には問題がないけれど、借り入れの必要性や緊急性を重視して借り入れが必要という契約が主に該当することとなります。

なお、総量規制には関係なく借り入れはできても、例外貸付けの借入額は借入残高に算入されることになりますので、借入残高が総量規制の基準を超えれば除外貸付けや例外貸付け以外での借り入れはできなくなります。

例外貸付けに該当する貸付契約は次のような契約です。

  1. おまとめローンなど、顧客に一方的に有利となる借換契約
  2. 借入残高を段階的に減少させる借換契約
  3. 顧客やその親族などが緊急的に必要とされる費用(医療費など)を支払うための貸付契約
  4. 社会通念上、緊急的に必要だと認められる費用を支払うための貸付契約(10万円以下、3か月以内の返済などが要件あり)
  5. 配偶者と合算した年収が3分の1以下の範囲での貸付契約
  6. 事業計画や収支計画、資金計画で返済能力を超えないと認められる個人事業者に対しての貸付契約
  7. 新しく事業を営む個人事業者に対して行う貸付契約
  8. 銀行などの金融機関から融資を受けるまでのつなぎ資金としての貸付契約(必ず融資が実行されることが確実で、1か月以内に返済できることなど要件あり)

 

●おまとめローンが例外貸付けに該当するための要件

おまとめローンとは複数の複数の借り入れを一本化するための借り換えです。例外貸付けとして総量規制の対象には含まれなくなる契約の1つですが、次に挙げるような法令が規定している一定要件を満たすことが必要になります。

  1. 借り換えの対象である債務は、貸金業者からの借り入れであること(銀行や親族・知人などからの借り入れは対象外)
  2. おまとめローンを利用した後の金利が、利用前の金利を上回らないこと
  3. おまとめローンの返済方法は、約定に基づいた返済で段階的に残高を減らしていけること
  4. 1か月の負担額は、おまとめローン利用後の負担額が利用前の負担額を上回らないこと
  5. 担保や保証に係る要件は、おまとめローン利用後の条件が利用前の条件より厳しくならないこと

 

保証人がいれば総量規制を超えた借り入れが可能か

総量規制を超えた貸し付けとなる場合、誰かに保証人になってもらえば年収の3分の1を超える借り入れが可能となるのではないかと考える方もいるようです。しかし、保証人の有無に関係なく、貸金業者からの借り入れは年収の3分の1までとなります。

 

貸金業者からの借り入れは信用情報機関に登録される

貸金業者から借り入れを行うと、個人の年収や住宅情報、勤務先など属性、さらにローンや公共料金の支払いなどの個人情報や信用情報が信用情報機関に登録されることになります。

この信用情報機関にはいくつか種類がありますが、一般的に貸金業者でお金を借りたときに登録されるのは「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」や「株式会社日本信用情報機構(JICC)」、銀行からの借り入れは「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」に情報が提供されます。

これは利用者が返済能力を超えた借り入れを行うことを防ぐためで、貸金業者はそれぞれ利用者の総借入残高を把握できる仕組みとして利用されているからです。

貸金業者は個人と貸付契約を結ぶとき、指定信用情報機関が保有している顧客の信用情報を利用することが必要です。その後、契約を締結した場合には、新たな信用情報を指定信用情報機関に提供しなければならないことが義務付けられています。

 

登録された個人情報は安全に守られるのか

そもそも指定信用情報機関とは、信用情報収集と貸金業者に対しての信用情報提供を行うことを業務とする機関であり、内閣総理大臣から指定を受けて業務を行っています。

保有する信用情報の規模、財産的基礎などは一定以上であることが義務づけられており、信用情報の正確性を確保することや管理の安全性が守られる態勢が確保されていることを求められている機関でもあります。

そのため、提供された情報については適切で厳密な管理が行われ、情報を利用する貸金業者が健全な取引を行うことのできるように情報提供を行っています。

 

申し込みで嘘の申告は絶対にバレる!

信用情報機関同士で情報共有が行われるため、どこに登録されてももし延滞などの履歴がつけば事故情報として登録されてしまいます。

もしすでに借り入れを行っている消費者金融ではなく、別のノンバンクなどから借り入れを行う場合でも、必ず信用情報機関に登録された情報の照会が行われますので、ネガティブな情報があると融資が不利になるでしょう。

また、別のノンバンクなどのカードローン審査を申し込むときに、借り入れ総額や件数などを少し低めに申告しても、結局は信用情報機関に照会された時点でその嘘が発覚することとなります。

嘘の申告が発覚すれば、信用できない利用者とみなされるため、融資は実行されなくなるでしょう。もし新たに借り入れの申し込みを行うときには、正しい借入額や借入件数を申告することが大切です。

 

まとめ

消費者金融など、貸金業者から借り入れを行う場合には総量規制の範囲を限度額としての融資となります。

もし総量規制を超えた借り入れを行いたい場合、貸金業者からはもう借り入れができないと闇金業者を利用することは危険ですのでやめてください。

闇金業者とは、貸金業登録を行わずにお金を貸し付ける違法業者ですので、登録を行っていないということは、当然国や都道府県の許可を得ていないことになります。

存在自体が違法なので、取引も法外な金利設定や、いつまでたっても完済しない仕組みの貸し付けが行われるため、雪だるま式に借入額が膨れ上がってしまいます。

年収の3分の1を超える場合でも、例外や除外というケースであれば総量規制の対象にはなりませんし、法人が借り入れを行う場合も総量規制の対象には含まれません。お金に困っているからといって、正規ではない貸金業者を利用しないことが大切です。

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