ノンバンクだけに適用される総量規制の仕組みとその内容とは

2019/04/01
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事業資金を借り入れるとき、銀行から融資を受けようか、それともノンバンクのほうがはやいだろうかと悩むこともあるでしょう。

ただ、ノンバンクを利用する場合、総量規制の制限を受けて借り入れができないのではないかと心配になる経営者や個人事業主の方もいるかもしれません。

そこで、ノンバンクと呼ばれる貸金業者に設けられている総量規制の仕組みや内容についてご説明します。

もし事業資金をこれからノンバンクで借りようと考えている方は、どのような場合に総量規制が適用されるのか、そもそも総量規制とはどのような制限なのか確認しておきましょう。

 

そもそもノンバンクとはどのような金融業者なのか

総量規制の仕組みを知る前に、まずはノンバンクとはどのような金融業者なのかを理解しておきましょう。

一般的にノンバンクと呼ばれているのは、消費者金融やカード会社など、銀行以外の金融業者です。消費者金融という呼び方は、どうしても高金利で厳しい取り立てを行うイメージが先行してしまうことからノンバンクという呼び方が使われています。

ノン(Non)バンク(Bank)という言葉の通り、法律で定められている銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などとは異なる金融機関(業者)であり、銀行などのように、預金や為替決済の機能はなく、主に与信業務など金銭の貸し付けを行います。

貸金業法に基づいて事業を営む金融業者がノンバンクであり、種類としては消費者金融、信販会社、クレジットカード会社などで、他にも事業金融会社や不動産関連金融会社、リース会社、ベンチャーキャピタルといった事業者向けのノンバンクもあります。

 

ノンバンクの貸し付けの原資はどこから?

銀行など預金を取り扱う金融機関でも、個人や法人に融資は行います。ただし、そのときに貸し付けられる資金の原資は、預金者から銀行に預け入れられたお金です。

しかしノンバンクの場合は預金を取り扱わないため、融資を行う原資となる資金は、銀行などからの借入金や、企業が短期で資金調達するための無担保の約束手形であるコマーシャルペーパー(CP)や債券などの短長期による証券発行で賄われます。

貸し付けの原資となる資金を調達するためにもコストがかかるため、銀行などより融資の金利は高めに設定されているといえるでしょう。

 

ノンバンクのほうが借り入れ条件や審査のハードルは低い

銀行から事業資金を借り入れようとすると、不動産などの資産を担保として差し入れることを求められます。担保がない場合には、信用保証協会などに保証人になってもらうことを必要とするなど、無担保・無保証人ではなかなか融資が実行されません。

さらに、審査の内容も厳しく、手元に資金がないから融資を受けたいのに、経営状況が良好で潤った状態でなければ借り入れができないことがほとんどです。

しかし、ノンバンクの場合、安定した収入があり、個人信用情報に問題がなく、融資金額もそれほど大きくなければ借り入れが可能となります。

会社を設立せず、個人事業主として事業を営んでいる方でも事業資金を借りることができるので、銀行よりも融通がきくと考える方も少なくないようです。

 

審査がゆるい分、融資金額は低め

審査のハードルが低い分、ノンバンクから事業資金を借りるときの融資金額は、300~500万円ほどがおおよその目安となります。

この金額で融資を受けることができる方が比較的条件のよい方で、すでに他社からの借り入れが複数ある方や、過去に返済が遅れたり未納という状況に陥ったことがある方、事業の状況がおもわしくない方などはかなり少額までしか融資されない場合もあると理解しておきましょう。

 

ノンバンクが制限を受ける総量規制の内容

ノンバンクは貸金業者ですので、貸金業者に関しての規制を定めた法律である貸金業法に従って事業を営むこととなります。

貸金業法では、年収などを基準としてその3分の1を超えた貸し付けは原則禁止されていますが、これが総量規制です。

銀行は貸金業者ではないので貸金業法ではなく銀行法の規制に従うこととなるため、総量規制の縛りは受けませんが、ノンバンクでお金を借りるときには総量規制に注意する必要があります。

 

総量規制とは

消費者の借り過ぎ、そして貸金業者の貸し過ぎを防ぐために、個人の借り入れ総額は原則として、年収などの3分の1までに制限されています。複数社の貸金業者から借り入れを行っている場合、それらすべての貸金業者からの借り入れ総額が年収などの3分の1以内におさまっていなければなりません。

なお、総量規制は個人の貸し付けに対しての規制のため、法人向けの貸し付けは対象にはなりません

たとえば、法人経営者が法人主債務により不動産担保ローンを利用するケースでは総量規制の対象にはなりません。しかし、法人経営者が個人主債務により不動産担保ローンを利用する場合には、総量規制の対象となるため、この違いを理解しておく必要があるでしょう。

 

総量規制に該当しない貸付契約

個人が貸金業者から借り入れを行う場合でも、総量規制になじまない除外貸付けと判断されるものや、顧客利益保護に支障をきたすことのない例外貸付けは、もし年収などの3分の1を超える借り入れになる場合でも返済能力が認められることで総量規制の制限は受けません。

総量規制の除外貸付けと例外貸付けに該当する契約は次のとおりですので、それぞれどのような契約内容なのか確認しておきましょう。

 

総量規制の除外貸付けに該当する契約

除外貸付けに該当する場合、総量規制には関係なく貸金業者から借り入れが可能となります。借入額は借入残高に算入されませんので、借り入れ後の借入れに影響しない契約であることが特徴です。

  • ・住宅ローンなど、不動産を購入するための貸付契約
  • ・自動車ローンなど、自動車を購入するときに利用する自動車担保貸付契約
  • ・高額療養費の貸付契約
  • ・有価証券を担保とした貸付契約
  • ・個人や担保提供者の居宅以外の不動産を担保とする貸付契約
  • ・売却予定の不動産を売却した代金によって返済される貸付契約

 

総量規制の例外貸付けに該当する契約

例外貸付けの場合も総量規制の制限を受けることなく、貸金業者から借り入れが可能となります。ただし、借入額は借入残高に算入されることになるため、借入残高が総量規制の基準を超えた場合には、除外貸付けや例外貸付けに該当する契約以外で貸金業者からお金を借りることはできません。

  • ・おまとめローンなど、顧客に一方的に有利になる借り換え契約
  • ・借入残高を段階的に減少させるために行う借り換え契約
  • ・顧客やその親族などが緊急で必要とする医療費を支払うための資金の貸付契約
  • ・社会通念上、緊急で必要だと認められる費用を支払うための資金の貸付契約(ただし、10万円以下、3か月以内の返済といった要件などあり)
  • ・配偶者同意のもとで行う、本人と配偶者の年収3分の1以下での貸付契約
  • ・個人事業者に対する貸付契約(ただし、事業計画や収支計画、資金計画などで返済能力を超えないと認められる場合に限る)
  • ・新規で事業を開始する個人事業者に対しての貸付契約(ただし、事業計画や収支計画、資金計画などで返済能力を超えないと認められる場合に限る)
  • ・預金取扱金融機関から融資を受けるまでのつなぎ資金としての貸付契約(ただし融資を受けることが確実であり、1か月以内に返済されることを要件とする)

 

事業資金は総量規制の対象外

以上のことから、事業資金を借り入れる場合には、個人事業主や法人問わず、どちらも総量規制の対象にはならないということが理解できるでしょう。

ただし、資金を借り入れるときには、事業計画書や収支計画書などの提出を求められることになり、本当に返済可能であるかを確認されることになりますので準備が必要です。

 

ノンバンクからの借り入れは信用情報機関に登録される

ノンバンクから融資を受けた場合、どのくらい借り入れを行ったのか、その金額などの情報は信用情報機関に提供されることになります。

利用者の返済能力を超えた貸し付けが行われることを防ぐため、指定信用情報機関制度が設けられており、現在の借入総額はいくらか把握できるような仕組みです。

提供される信用情報には、ローンやクレジットなど金銭の貸し付けによる取引事実以外にも、契約内容や返済状況、利用残高、本人を識別するための情報などが含まれます。

個人の信用を客観的に示す情報であり、貸金業者などが利用者の返済能力や信用力を確認するために利用されています。

 

ノンバンクの種類と特徴

ノンバンクとはどのような金融業者なのか、そして銀行にはない総量規制という制限を受けることがわかったところで、ノンバンクと呼ばれる金融業者の種類についても理解していくようにしましょう。

ノンバンクと呼ばれる金融業者はいろいろありますが、それぞれ対象とする顧客や目的などが次のとおり異なっています。

 

消費者金融

主に個人に対する小口融資を行う金融業者で、無担保による融資事業が中心です。

大手の消費者金融では、テレビのコマーシャルなどでも人気芸能人などを採用し、親しみやすさをアピールしていることが多く見られます。審査も迅速に対応され、コールセンターなどの対応も大手になるほど丁寧です。

無利息期間などを設定し、上手く使えば利息を支払うことなく借り入れが可能となることがメリットといえるでしょう。

 

事業者系金融業者

事業者を対象とした金融業者で、個人の一般消費者を対象とした消費者金融よりは歴史が比較的浅めです。

 

信販会社・クレジットカード会社

販売信用を主な事業とする会社で、分割払いによる商品売買で、販売業者に対する代金の立て替え、さらに消費者から分割払いの集金を業務として行います。消費者金融よりも金利が低めであることが特徴です。

また、クレジットカードを使えば、お金を借りるキャッシングサービスを利用することもできます。

 

銀行とノンバンクの違いは総量規制の有無だけではない

銀行とノンバンクの違いは、総量規制の縛りを受けるかだけではありません。総量規制は貸金業法の中で定められた規制の1つですので、ノンバンクなどの貸金業者はその他、貸金業法に従い事業を営むこととなり、銀行は銀行法に従うことになります。

銀行は総量規制の制限を受けないので、融資限度額は銀行独自の審査により決定することとなります。そのため、ノンバンクよりも高額な貸し付けが可能となるため、設備投資や新規事業の立ち上げなど、多くの資金が必要という場面では銀行の融資に頼る方も多くなります。

総量規制以外で、銀行とノンバンクの違いを比べた場合、どのような点が異なるか確認しておきましょう

 

審査のハードル

先にも述べたとおり、ノンバンクのようが銀行よりも審査のハードルは低く、即日審査も可能とするなど柔軟な対応であることが特徴です。一方、銀行での審査は厳正であり、一定時間を要します。

 

金利の設定

ノンバンクで借り入れを行った場合、設定される金利には貸金業法で設定された年15~20%という上限金利におさまる範囲となります。

この上限金利は元金の金額によって異なりますが、上限ギリギリの金利でされることがほとんどです。

 

融資実行までのはやさ

銀行から借り入れを行おうとすると、審査に時間を要することなどで数週間から1か月、場合によってはそれ以上経過してやっと融資が実行されます。

しかしノンバンクであれば、審査も柔軟で迅速な分、融資が実行されるまでもスピーディです。信販などでもクレジットカードと一緒に申し込みを行うと、手続き不要でキャッシングによる借り入れが可能となります。

 

まとめ

ノンバンクから融資を受けようと考えるとき、気になるのは総量規制の制限を受けないかという部分かもしれません。しかし、事業資金の借り入れであれば、法人だけでなく個人事業主が融資を受ける場合でも総量規制の対象にはなりません。

経営状況が良好とはいえない中、銀行から融資を受けるには審査に不安を感じるという場合や、早く手元に資金を調達したいという場合、銀行よりもノンバンクを利用したほうがスムーズに資金を調達することができます。

ただしノンバンクは銀行で借り入れを行うよりも、金利が高めの設定です。融資を受けてから完済させるまでの返済計画をしっかり立て、借り入れ後に資金繰りが悪化しないようにシミュレーションしておくことが重要となります。

一時的な資金の確保で安心して気をぬいてしまわないよう、その後の返済まで含めた融資計画をしっかり立てるようにしてください。

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