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個人事業主が税金を安くするために実行したい9つの節税方法

事業資金2022/01/17

確定申告のとき、できるだけ税金を安く抑えたいと、その方法を模索する個人事業主も少なくありません。

確定申告は所得税の計算をするための手続ですが、その内容をもとに住民税や事業税など納めなければならない税金の金額も決まるため、安くする方法があるのなら実行したいところでしょう。

そこで、個人事業主が納める税金にはどのような種類があるのか、できるだけ納める金額を安くするためにできる対策について解説していきます。

個人事業主が行う「確定申告」と納める「税金」の種類

「確定申告」では、毎年1月1日から12月31日までの1年間に発生したすべての所得額とそれに対する所得税などの額を計算し、申告期限までに「確定申告書」を提出します。

源泉徴収された税金や予定納税で納めている税金との「過不足」を精算するための手続であり、2月16日から3月15日の間に申告を行います。

「確定申告」が必要なのは個人事業主だけでなく、

  • ・給与所得がある方(給与収入が2,000万円を超える方・2か所以上から給与所得がある方など)
  • ・公的年金などに係る雑所得のみの方(公的年金などに係る雑所得金額から所得控除を差し引いたとき残額がある方)
  • ・退職所得がある方(源泉徴収されない外国企業からの退職金などがある方)

なども対象です。

個人事業主が納めなければならない「税金」は、

  • ・所得税
  • ・事業税
  • ・住民税
  • ・消費税

の4つです。

なお、「所得税」や「消費税」は確定申告により納める必要がありますが、「住民税」と「事業税」は確定申告の情報をもとに、自動的に自治体が税額を計算し納付書が送付されます。

それぞれの税金について説明していきます。

所得税

「所得税」とは、その年の所得に対し課税される税金であり、個人事業主の場合は確定申告を行って申告・納税します。

1年間の収入から必要経費を差し引いた「所得」から、各種控除を差し引いた残りが「課税所得金額」です。「課税所得金額」に所定の税率をかけて納める税金の金額を算出します。

所得が多ければ多いほど税金も高くなる累進課税制が採用されていることが特徴です。

消費税

商品やサービスを販売・提供したとき、その対価への税金を消費者が負担する税金なので、一時的に預かっている形となるため申告・納税が必要となります。

ただしすべての個人事業主が申告・納税の対象ではなく、原則、前々年度の売上が1,000万円を超えているときに必要です。

対象となる個人事業主は、所得税と同様に税務署に申告・納税します。

消費税のかからない非課税取引(土地・借地権などの譲渡や貸付・埋葬料・仮想量・身体障がい者用物品など)には注意しましょう。

住民税

住んでいる自治体に対して納める税金「住民税」で、都道府県民税と市区町村民税があります。

前年の所得に応じ自治体が税額を決定しますが、確定申告の情報をもとにして自治体ごとに自動的に税額を計算し、通知と納付書が郵送されます。

事業税

営業している都道府県に対し納める税金が「事業税」ですが、対象となる業種は法律で定められており、税率も業種により異なります。

青色申告控除前の事業所得が290万円を超えるときに課税される税金ですが、都道府県税事務所から通知が届いたときに納めるようにしましょう。

個人事業主が納める税金を安くする9つの方法

個人事業主が納める税金は、いろいろな節税方法により安くすることもできます。

主に売上から必要経費を差し引いた所得に対し課税されるため、税金を安くするには所得を減らすことが前提となります。

さらに控除を増やせば税金を安くすることができるといえますが、個人事業主が納める税金を安くするための方法として考えらえるのは次の9つです。

  • ・青色申告で確定申告できるようにしておく
  • ・事業関連の出費は抜かりなく経費に計上する
  • ・自宅兼事務所のときは家賃・光熱費を按分して経費に計上する
  • ・経費として計上できる税金は見落とさない
  • ・短期前払費用の特例を活用する
  • ・少額減価償却資産の特例を活用する
  • ・所得控除を適切に行う
  • ・経営セーフティ共済の掛金も経費計上する
  • ・ふるさと納税を活用する

青色申告で確定申告できるようにしておく

個人事業主がまず実行したい節税対策として挙げられるのが、「青色申告」の承認を受けることといえます。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。

「青色申告」では、会計処理を複式簿記で行い記帳することが必要となるため、「白色申告」よりも帳簿作成の手間はかかるでしょう。

しかし「青色申告」で確定申告した場合には次のようなメリットがあります。

  • ・特別控除が最高65万円適用される
  • ・家族従業員に対して支払った給与も経費として計上できる(「白色申告」では専従者控除として配偶者が86万円、その他親族は50万円までと控除に制限あり)
  • ・発生した損失は来期以降に繰越しできる(来期以降の黒字と相殺し節税が可能)
  • ・30万円未満の備品を購入した際に一度に必要経費として計上できる

他にもいろいろなメリットが「青色申告」にはあるため、税金を安くするにはまず「青色申告」の承認を受けたほうがよいでしょう。

なお、30万円未満の備品を購入した際に一度に必要経費として計上できる「少額減価償却資産の特例」については後述します。

事業関連の出費は抜かりなく経費に計上する

所得を減らすことが税金を安くすることにつながるため、事業関連の出費は「必要経費」としてもれなく計上しましょう。

収入を得るため必要だった支払いが「必要経費」です。

自宅兼事務所のときは家賃・光熱費を按分して経費に計上する

個人事業主で自宅を事務所と兼用で使用している場合には、家賃や水道光熱費を仕事で使っている分のみ、「按分」して経費として計上できます。

按分する際には、事務所として使用している面積や時間などを利用します。

キッチンやトイレなども仕事で使用する分は按分し経費として計上可能であり、持ち家の場合でも住宅ローンの元本以外は経費にできます。

ただし住宅ローン控除を適用させているときには、事業用割合が床面積の2分の1を超えると適用させることができなくなるため注意してください。

経費として計上できる税金は見落とさない

個人事業主が納めなければならない税金には、

所得税・事業税・住民税・消費税

の4種類があります。

また、事業の内容により、固定資産税・自動車税・印紙税などの税金を納めることになるでしょう。

事業に関係する税金の支払いは必要経費として計上できますが、自宅兼事務所で使用している家の固定資産税などは、按分して事業用割合分を経費として計上します。

経費になる税金(租税公課)

経費として計上できる税金は以下のとおりです。

  • 事業
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 自動車所得税
  • 不動産所得税
  • 登録免許税
  • 印紙税

経費として計上できない税金

経費として計上できない税金は以下のとおりです。なお、事業用口座や現金で納めるときには「事業主貸」で仕訳処理をします。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 交通反則金などの罰金
  • 加算税
  • 延滞税

短期前払費用の特例を活用する

たとえばインターネットのレンタルサーバー代金など、継続してサービスを提供してもらうときには、1年分や数年分などの代金をまとめて支払うこともあるでしょう。

翌期に計上する経費の前払い分は、当期の必要経費として計上できないため「前払費用」で処理します。

ただし一定要件を満たす前払費用は、当期の必要経費として計上できる「短期前払費用の特例」を活用しましょう。

前払い分の費用を当期に必要経費として計上するためには、次の要件すべてを満たすことが必要です。

  • ・年払いに関し記載している契約書がある
  • ・継続して役務を提供してもらう
  • ・実際に料金を支払い終えている
  • ・支払日から1年以内に役務を提供される
  • ・支払方法や同じ会計処理を継続する
  • ・売上に対する費用は認められない

少額減価償却資産の特例を活用する

10万円以上のパソコンやコピー機などを購入したとき、長期間に渡り利用が可能となる「固定資産」として資産に計上します。

その後、それぞれの資産に応じた耐用年数により、数年に分けて必要経費として計上する「減価償却」が必要です。

仮に一括で支払いを済ませていても、お金は減少しているのに経費として計上できません。

しかし青色申告で確定申告をすることで、30万円未満の固定資産は一度に経費として計上できる優遇措置が適用されます。

なお、この「少額減価償却資産の特例」は、令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合とされています。

所得控除を適切に行う

所得金額から差し引かれる「所得控除」とは、納税者ごとの個人的な事情を加味し、税負担を調整するためのものです。

納める税金を安くするためにも、差し引くことのできる「所得控除」は抜かりなく適用させるようにしましょう。

個人事業主が確定申告で控除できる「所得控除」は次の15種類です。

  • ・社会保険料控除
  • ・小規模企業共済等掛金控除
  • ・生命保険料控除
  • ・地震保険料控除
  • ・寡婦控除
  • ・ひとり親控除
  • ・勤労学生控除
  • ・障害者控除
  • ・配偶者控除
  • ・配偶者特別控除
  • ・扶養控除
  • ・基礎控除
  • ・雑損控除
  • ・医療費控除
  • ・寄附金控除

対象となる所得控除がある場合、忘れずに控除することが大切です。

それぞれの控除について簡単に説明していきます。

社会保険料控除

納税者本人・配偶者・扶養親族などの負担した次の保険料負担額全額が控除の対象です。

  • ・健康保険料
  • ・国民健康保険料
  • ・国民年金保険料

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済とは、個人事業主などが自分のための年金を積み立てる制度である「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や中小企業倒産防止共済である「経営セーフティ共済」などの小規模企業共済・確定拠出年金で支払った掛金負担額全額が控除の対象です。

生命保険料控除

民間の保険会社の生命保険に加入し、契約に基づいて支払った生命保険料が一定金額控除されます。

地震保険料控除

官民で運営している地震保険に加入し、契約に基づいて支払った保険料が一定金額が控除されます。

寡婦控除

離婚・死別などを理由に配偶者がいない一定要件に該当する方が対象となり、27万円控除されます。

ひとり親控除

離婚・死別・未婚などで配偶者がいないひとり親である場合、35万円控除されます。

勤労学生控除

納税者本人が学生で、給与所得10万円以下、合計所得金額が75万円以下の場合に27万円控除されます。

障害者控除

納税者本人・配偶者・扶養親族(年少扶養含む)の中に一定要件に該当する障がいを持つ方がいる場合に最大75万円控除されます。

配偶者控除

控除対象配偶者がいる場合、納税者本人の合計所得金額と対象となる配偶者の年齢により一定金額を控除できます。たとえば納税者本人の合計所得金額が900万円以下で、一般の控除対象配偶者がいるときには38万円が控除されます。

配偶者特別控除

配偶者に48万円を超える所得があるため配偶者控除が適用でいないときでも、配偶者の所得金額に応じ最大38万円控除されます。

扶養控除

控除対象扶養親族がいるときには、一定金額の所得控除を受けることができます。たとえば一般の控除対象扶養親族がいれば控除されるのは38万円です。

基礎控除

確定申告や年末調整で所得税額の計算をするとき、合計所得金額に応じて一定額を差し引くことができる控除で、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円が控除されます。

雑損控除

災害・盗難・横領などで資産に損害を受けたときに適用される控除で、次のいずか多い方の金額を差し引くことができます。

  • ・差引損失額-総所得金額等×10%
  • ・差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

医療費控除

納税者本人や生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が一定額を超えるとき、負担した医療費をもとに計算する金額について、最高200万円まで控除されます。

寄附金控除

国・地方公共団体・特定公益増進法人などに「特定寄附金」で支出したとき控除されます。

都道府県や市区町村に対する「ふるさと納税」なども対象です。

まとめ

個人事業主の確定申告では、どうやって税金を安くするのか、その方法で悩むケースも少なくありません。

ポイントは「所得」を少なくすることが必要であるため、経費として計上できるものや控除できるものはできるだけ多いほうがよいと理解しておくとよいでしょう。

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