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中小企業の後継者問題とは?現状を打破し解決させるための方法

事業資金2021/09/21

中小企業の場合、どうやって後継者を見つければよいのか、どのように事業を引き継げばよいのかといった問題を抱えていることが多く見られます。

後継者問題を解決しなければ、中小企業は事業を継続することはできなくなってしまいます。

そこで、現在中小企業はどのような後継者問題を抱えているのか、解決するためにはどうすればよいのか解説していきます。

 

中小企業が抱える後継者問題とは

中小企業が抱えている後継者問題とは、会社を引き継いでくれる人材がいないことを指しています。

後継者候補が見つからず、廃業するしかない中小企業も少なくありませんが、会社を続けることができなければそれまで築き上げた技術やノウハウを途絶えさせることになります。

さらに会社が雇用していた従業員は働く場所を失うため、会社や従業員の将来を守るためにも早い段階で事業承継に向けた取り組みや準備を行っていくことが必要です。

しかし後継者候補が見つからない場合や、子や親族など引き継いでほしい相手がいても本人にその気がないときなどは、従業員や役員なども候補者として検討することが必要となります。

 

後継者不足の現状

日本の企業のうち、中小企業は全体の99.7%を占めているため、日本経済を活性化させるためには廃業や倒産してしまう中小の事業者を減少させることが必要です。

しかし後継者問題を抱えた状態では、事業を続けたくても継続できないといった問題が起きてしまうため、後継者不足を解消させることが必要です。

帝国データバンクの「2020年 全国・後継者不在企業動向調査」によると、後継者不在と回答した経営者は65.1%もいました。

さらに日本政策金融公庫の調査によると、60歳以上の経営者の約半数超が、自身の代で会社を終わらせ廃業することを予定しているようです。

その約3割が、廃業する理由に後継者不在を挙げるなど、中小企業にとって事業承継できないことは大きな問題となっています。

 

地域・業種ごとの後継者不在の状況

同じく帝国データバンクの「2020年 全国・後継者不在企業動向調査」では、地域ごとの後継者不在の状況も公表していますが、沖縄県が82.2%で全国トップです。

沖縄県に続いて鳥取県が77.9%、他、山口県・島根県・広島県なども上位10県に含まれており、中国地方が多くを占めているといえます。

業種別で見た場合に後継者不在率が高いのは、建設業・サービス業・製造業などで、業種や規模などによって違いが見られます。

 

中小企業が後継者問題を抱えやすい背景

では、なぜ中小企業は後継者問題を抱えやすいのでしょう。

その背景には、

  • ・少子高齢化が進んでいるため
  • ・子が事業を引き継ぐことを希望していない
  • ・将来の見通しが立たない会社が増えている
  • ・経営者にふさわしい人材が見つからない
  • ・若い世代の価値観が変化している

の5つが関係していると考えられます。

 

少子高齢化が進んでいるため

日本の中小企業の多くは、現経営者の子や配偶者など身内に事業を承継する親族内承継がほとんどです。

会社の規模が大きくなるほど親族外承継が増えていくものの、子が承継する親族内承継が多いといえます。

しかし少子高齢化により、後継者候補となる子は減少し、核家族化により子は別世帯で住みすでに別の仕事をしているなど事業承継につながらないこともめずらしくありません。

 

子が事業を引き継ぐことを希望していない

経営者に子がいたとしても、その子が親の後継ぎとして会社の経営者になりたいと希望しないケースも考えられます。

たとえば大学卒業後に別の大手企業に就職しており、その分野で働き続けることを希望することもあれば、医者や弁護士などの資格を取得し開業していることもあります。

 

将来の見通しが立たない会社が増えている

会社の将来性などが期待できないため、子を後継者とすることを諦めるケースもあるといえます。

特に現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている企業が多いため、先の見通しが立たない状況で、子に事業を引き継いでもらうのは酷なことだと考える経営者もいます。

業績が悪化している状態で改善が見込めず、子に会社を継いでもらっても困難や苦労が見えているという場合、負担を負わせたくないと判断することになるようです。

 

経営者にふさわしい人材が見つからない

親族内承継と親族外承継、どちらの場合でもそもそも経営者としてふさわしい人材がいなければ会社を引き継いでもらうことは難しいといえるでしょう。

仮に従業員を後継者候補とする場合でも、営業マンとしては優秀だとしても、会社経営の素質があるとは限りません。

経営者に要求されるのは、業界の知識だけでなく財務・経営の知識です。さらに社員を引っ張っていけるリーダーシップを取れる存在であり、倫理観なども求められます。

さらに後継者が株式の取得資金を保有しておらず、事業承継が進まないとも考えられますし、これまで経営者が個人保証していた負債を背負わなければならないケースもあります。

後継者候補がこれらの負担を背負う覚悟がなければ、事業承継は進まなくなってしまうと考えられます。

 

若い世代の価値観が変化している

バブル崩壊後に生まれたミレニアル世代などは、長期のデフレ経済で育っており、集団や地域に帰属する意識が低いといわれています。

資産や財産に固執しないため、キャリアを形成することにも興味がないため、会社経営者という立場にも魅力を感じない方がいるようです。

初めて就職した会社で定年まで働き続けるといった意識もなく、転職や起業、フリーランスとして働くといったことを好むケースも少なくありません。

この若い世代の価値観の変化が、後継者を不足させる一因になっているともいえるでしょう。

 

中小企業の後継者問題を解決させるために必要なこと

中小企業が抱える後継者問題を解決させていくためには、早い段階で後継者候補を見つけておくことが必要です。

その方法として考えられるのは、

  • ・親族から後継者を探す
  • ・社内や社外で優秀な人材を見つける
  • ・株式公開で資本と経営を分離させる
  • ・会社を廃業して清算する
  • ・M&Aを検討する

の5つです。

 

親族から後継者を探す

経営者の子や配偶者、身内など親族から後継者を探し、経営者にふさわしい人材が見つかれば後継者問題を解決させやすくなります。

親族内承継は従業員や役員、取引先や金融機関などの利害関係者に理解してもらいやすいこともメリットです。

後継者教育は10年かかるといわれていますが、候補者が親族内にいれば時間をかけて行うことができます。

 

社内や社外で優秀な人材を見つける

親族に後継者候補となる人材がいないときには、会社内の従業員や役員などから優秀な人材を見つけ、後継者として育てていきましょう。

すでに現場で働いている人材のため、会社の理念を十分理解できており、技術・ノウハウなどを活かした経営が可能です。

優秀な人材であれば利害関係者に納得してもらいやすいでしょうが、もし社内に対象となる人材がいなければ、今度は社外で人材を探し呼び込むことになります。

このとき、存続なら贈与や相続で株式を引き継ぐことができても、それ以外の他人なら株式取得の資金を保有していなければ事業を継いでもらえなくなることは留意しておきましょう。

 

株式公開で資本と経営を分離させる

株式公開することで、経営と資本を分離させることが可能ですが、一定数の株式を取得することになります。

株式公開による上場は、証券取引所ごとに一定の基準が設けられており、スタンダード市場といえるジャスダックなどは直近一年間の利益が1億円以上でなければ上場できません。

 

会社を廃業して清算する

どうしても後継者が見つからないときには廃業・清算を選ぶことになるでしょう。

現経営者が創業者のケース、親や祖父の代から引き継いだ会社、どちらの場合でも会社を失い従業員の雇用もなくしてしまいます。

会社の資産を換価し、債務を返済した後に残った財産は株主に分配することになりますが、そのとき次の費用が発生します。

その際に次のよう費用がかかることも認識しておきましょう。

  • ・法手続にかかる費用
  • ・設備を処分するための費用
  • ・会社が賃貸であれば原状回復させる費用
  • ・用地の処分費用
  • ・退職金

清算するときには、個人に資産を配当することで最大45%の所得税が課税され、子に引き継ぐのであれば、相続税が最大55%発生します。

清算により手元にお金がまったく残らないことや、個人保証に基づいた返済を求められてしまうといったことも考えられますのでその点を踏まえて検討してください。

 

M&Aを検討する

会社を売却したり合併に応じたりなど、後継者問題の解決方法としてM&Aを検討する経営者も増えてきました。

M&Aによる事業承継で、たとえ親族や社内に後継者候補がいなくても、従業員の雇用やそれまで築いた技術・ノウハウなどを守ることができます。

そしてオーナー経営者は、M&Aによる株式売却で利益を獲得できれば、その資金を老後に充てることもできるでしょう。

ただしM&Aは買い手の企業にメリットがなければ実施されないため、他にはない技術やノウハウがあり、将来性が見込めなければ買い取ってもらうことは厳しいといえます。

 

後継者問題が解消されなければ日本はどうなるのか

中小企業の後継者問題は会社だけの問題にとどまらず、今後の日本経済に大きな影響を及ぼす可能性があるといえます。

深刻な後継者不足により、黒字なのに廃業してしまう企業が増えることはもったいないことですし、日本の企業のほとんどを占める中小企業数が少なくなることは経済にもよい影響を与えません。

ただ、事業の先行きが不透明で存続が危ぶまれるときや、そもそも存続させる意思さえないことを理由に、このまま続けても意味がないと廃業する企業も少なくないといえます。

そして新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、資金繰りが困窮倒産してしまう会社が増えています。

 

黒字倒産が増える

事業は黒字で利益も出ているのに、経営者自らが高齢であることや健康面を理由廃業するのも黒字倒産の理由の1つです。

経営者自身が廃業を決断する以外にも、資金繰りに困窮し手元の資金が足らなくなり、利益が出ていても黒字倒産してしまうケースもあります。

経営者が高齢になる前に後継者候補を見つけ、早い段階から事業承継に向けた取り組みを進めること、そして手元の資金を枯渇させない資金調達の方法多様化しておくことが必要といえます。

 

中小企業が減少すればGDPも低下する

今の状況のままで中小企業が後継者不足で廃業や倒産してしまうと、2025年ごろまでには10年間で約650万人の雇用約22兆円のGDPが失われるといわれています。

経済規模の損失以外にも、日本独自のものづくりのノウハウや競争力を支える技術力まで消失させてしまうリスクが高まります。

 

経営者の高齢化が進む

中小企業の経営者は現在でもすでに高齢化しており、中小企業庁が公表している資料でも2025年になると70歳以上の経営者が245万人になるようです。

すべての中小企業の約半数が、後継者未定という状態であるため、高齢化が進み事業承継も進まず、廃業を決断するしかない状況に追い込まれます。

後継者がいる企業でも代替わりを進めることが必要なので、

  • ・税負担の問題
  • ・相続遺留分の問題
  • ・経営者保証の問題

など障壁となる可能性のある課題解決に向けた早期の対策が必要です。

後継者がいる企業では円滑に事業承継が進むように、後継者不在の企業では事業を誰(どこ)に承継するのか検討が必要であり、第三者に求めるのならM&Aを進めていくことになります。

 

まとめ

中小企業の後継者不足という問題は、企業だけにとどまらず日本経済を滞留・縮小させる問題としてとらえておくべきです。

このまま事業承継の問題が解決できないままでは、地方の中小企業数は激減していくことが予想され、地域経済や地域住民の生活にも影響を及ぼすこととなるでしょう。

中小企業の事業承継や後継者不足の問題は、特に地方都市においての対応がより重要になると考えられます。

後継者不足の問題を解決させるには、どのように後継者を探せばよいのか、見つかったときにはどうやって事業を引き継いでもらえばよいのか先に考えておくことも必要です。

社会全体の問題としてとらえ、解決させるためにも早期に後継者候補を見つけ、スムーズに事業承継が進むようにしておきましょう。

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