日常生活でも耳に触れることがある「ファイナンス」という言葉は、事業活動においても使われることがあるものの、何となく金融に関係する言葉だろうとわかっていても具体的に何のことなのか説明できないこともあります。
そこで、そもそもファイナンスとは何なのか、その意味についてわかりやすく解説していきます。
目次
英語での「ファイナンス(finace)」の意味とは
カタカナの「ファイナンス」を英語にすると「finace」ですが、主に単語では次のような意味がある言葉です。
- ・名詞の意味…財務・財源・財力・資金管理など
- ・動詞の意味…融資する・(~資金)を調達する・融通するなど
そして文として使われるときには、
- ・job in finace(金融の仕事)
- ・finance a anew company(新会社の資金を調達する)
- ・finace a program(計画に資金を提供する)
といった使われ方をしています。
ビジネス用語でのファイナンスとは
英語では財務や財力、資金管理という意味を持つファイナンスですが、ビジネス用語では次のような意味で使われています。
金融・資金調達
お金を供給すること・資金を調達することという意味で使われ、利益ではなく現金を取り扱うときの言葉です。
財政・財務
事業を行うための収支を営む経済行為を財政、予算や現金を管理し資金調達など計画することを財務といいます。どちらもお金の管理をすることを意味する言葉として使われます。
財源・資金
支出のもととなる部分が財源、活動において必要となるお金が資金です。事業を行うために必要なお金やその出どころも含めファイナンスという言葉が使われます。
企業価値を最大化するための活動こそが「ファイナンス」
英語でのファイナンスの意味やビジネス用語としての使われ方を知ると、投資家や財務担当者だけに求められる専門知識であると考えてしまいがちです。
しかし、ファイナンスは年齢や役職などにとらわれることなく、すべての業務に結びつく概念といえます。
ビジネスを長期的に考える視点として、コロナ禍で先行きの見通しが立ちにくい今を乗り越えるためにも必要な知識です。
ファイナンスとは企業価値を最大化するための活動であり、企業が将来稼ぐキャッシュフロー総量の現在価値を最大にする必要があります。
そのためには、
- ・資金を調達する
- ・資金を増やす
- ・資産を最適に振り分ける
- ・ステークホルダーに説明する
という4つの活動が重要になります。
資金を調達する
資金を外部から調達するときに、真っ先に候補として挙がるのは銀行から融資を受けることでしょう。他にも債券や株式の発行などが挙げられますが、いずれの場合にも自社にとって最適な条件で資金調達できるかが重要です。
資金を増やす
売上向上やコスト削減など、収入を増やし支出を減らすといった事業活動を続けることであり、営業・マーケティング・製品開発など現場での業務も重要となります。
資産を最適に振り分ける
本業により築いたキャッシュは、新規事業に投資したり株主や債権者に還元したりなど、適切な振り分けが必要となります。
研究開発・マーケティング・借入金返済・株式配当・自社株買いなども含まれます。
保有する資産が大きいほど、資産の配分や組み換えがとても大切になると留意しておくことが必要です。
ステークホルダーに説明する
上記3つの活動状況について、自社に関連するステークホルダーに説明することが必要です。
現状や施策の背景、今後の成長の見込みなどをステークホルダーである株主や銀行などに伝えることができなければ、その後の資金調達は困難となってしまうでしょう。
身につけたいファイナンス思考とは何か
企業が行うほとんどの業務がファイナンスに紐付くことが理解できたことでしょう。共通する部分がない業務に見えても、企業価値を高めていく活動という意味ではつながっています。
そのため長期目線で事業や財務に関して総合的に戦略を組み立てていく考え方である「ファイナンス思考」を見につけていきましょう。
どの業務でもファイナンスの観点でどんな意味を持つのか、戦略ではどのような役割を担うことになるのか把握することで、業務に対し取り組む姿勢にも変化があらわれるはずです。
ファイナンス思考で重要なこととは
ファイナンスを知るには最低限の会計知識とファイナンスに対する理解が必要です。
損益計算書(PL)を読めるようにし、その上で貸借対照表(BS)やキャッシュフロー計算書(CF)についても学び、財務三表は基本的に読み方や意味を理解しておく必要があります。
たとえば投資をしたくても、現在どのくらいの財務余力があり、どのくらいのサイクルでキャッシュが入ってくるのかなど知っておかなければ実行できません。
会計知識を身につけることは企業の現在地を把握することであり、どうすれば目的地に到着できるか知る上でも重要です。
資金調達の方法におけるファイナンスとは何か
ファイナンスとは会社が事業資金を調達・運用することともいえますが、その目的は企業価値を向上させることにあります。
資金の調達方法は、借入れなのか株式や社債などからなのか会社によって異なりますが、最適な手段を選んで調達した資金を最大化することを目指していくことが必要です。
そして会計知識を身につけておくことで、企業のお金がどのように循環できているか知ることができ、お金の流れを把握することで次に打つ手段を決めやすくなります。
資金の調達方法を大きく分けると、
- ・エクイティ・ファイナンス
- ・デット・ファイナンス
- ・アセット・ファイナンス
に分類されます。
エクイティ・ファイナンスとは何か
エクイティとは総資産から負債を差し引いた純資産であり、新株公募・株主割当・第三者割当・新株予約権付社債を発行することで資金調達するのがエクイティ・ファイナンスです。
自己資本(純資産)を増やす資金調達の方法であり、返済義務のない資金を手に入れることができるメリットがあります。
ただし返済義務はない反面、配当など株主資本コストが発生する点は留意しておきましょう。
デット・ファイナンスとは何か
デットとは負債のことであり、銀行など金融機関からの借入れや社債発行などで資金を調達するのがデット・ファイナンスです。
他人資本(負債)を増やす資金調達の方法であるため、返済義務を負うことや金利が発生することは留意しておく必要があります。
ただし支払った利息は損金算入が可能であるなど、課税対象額を低減させる節税対策には有効です。
また銀行から融資を受けて完済させることができれば、取引実績を積み上げることにつながるため、銀行との信頼関係を構築する上でも有効となります。
アセット・ファイナンスとは何か
不動産・動産・知的財産権・債権など、保有する資産の信用力に基づいて流動化し、資金を調達するのがアセット・ファイナンスです。
不動産などを売却し換価するといった方法が用いられることが多いですが、最近では売掛金(売掛債権)を売却し現金化するファクタリングなどが多く利用されています。
中小企業の場合、売ってお金に換えたくても売れる資産がなければアセット・ファイナンスでの資金調達はできません。しかし売掛金であれば、掛け取引により発生するため中小企業の多くが保有しています。
銀行融資よりも審査のハードルも低く、資金調達にも利用しやすいのがファクタリングのメリットです。
まとめ
ファイナンスとは何のことなのか、その意味をご説明しました。
ビジネス用語においてどのような使われ方をしている言葉なのか、企業経営においての考え方でなぜ必要なのかなど理解できたことでしょう。
そして資金調達においても、どのファイナンスを利用するかなど慎重に決めることが必要であることを留意しておいてください。
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