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建設業では材料費など工事原価の扱いと特殊な会計処理を理解しておくことが重要

事業資金2021/06/18

建設業では、材料費・労務費・外注費・経費などといった工事原価を把握しておくことが重要です。

そもそも原価とは売上を得るために直接かかった仕入経費であり、売上から原価を差し引けば、他の建設業者との競争力の指標となる粗利益を確認できます。

建設業にとって材料などの仕入れは欠かすことのできないことですが、工事原価を把握することは、諸費用を負担する減資を知ることにつながります。

 

建設業の会計処理は特殊

工事原価とは、現場でかかった工事費と管理費を合計したものなので、現場で直接関係のなかった費用や利益は除く工事費といえます。

会社で発生する間接部門のコストは含まず、売上を得る目的に対し、直接かかった仕入れ経費です。

建築業界では、材料を仕入れて建築物を完成させ、受け渡した後で代金を受け取ります。

建築物を販売する業種なら、仕入れから売上までのプロセスの中に、加工や製造などの工程段階を踏むこととなります。工事にかかる期間が長くなった場合には受け渡しまで時間がかかることとなりますし、完成・受け渡しの後にすぐお金が入るわけでもありません。

そのため、建設業界では一般的な会計とは異なる建設業会計という特殊な方法を使います。

売上につながる完成品を作る上で発生した水道光熱費や人件費なども経費に含め、完成・引き渡す時期などを見据え売上を扱うことが特徴です。

 

材料費を含む建設業の原価とは

建設業では材料を仕入れ、加工後に販売するため原価の捉え方が一般的な業種とは違いします。

材料を仕入れて完成品を作り上げ、販売するまで過程では製造にかかる人件費などの経費が発生するからです。

そのため完成までにかかった経費全体を、売上に対する原価として認識することが必要ですが、工事における原価には材料費・労務費・外注費・経費などが挙げられます。

材料費から経費は、着工から完成まで直接かかった費用であることが前提なので、現場作業で直接関係する経費だけ原価として扱われます。

建設業の原価は大きく分けると、

 

  • 材料費…製造にかかる原材料・製品・半製品など
  • 労務費…製造にかかる人件費・法定福利費・福利厚生費など
  • 外注費…他の業者などに業務を委託したときの費用
  • 経費…上記以外でかかった費用(減価償却費・消耗品費など)

 

の4つです。

 

材料費に含まれる費用

建設業の工事原価を計算するときの材料費とは、 工事を施工するため直接購入した素材などです。

材料を購入した時点では原価で計上せず、実際に材料を消費したときに原価として計上することとなります。

そのため、材料の受払簿を記録しておき、実際の使用状況や在庫などを把握しておくことが必要です。

 

労務費に含まれる費用

建設業の工事原価を計算するときの労務費とは、直接工事を行う技術者の賃金や法定福利費などです。

 

外注費に含まれる費用

建設業の工事原価を計算するときの外注費とは、工事を施工するときにその工程の一部を他の業者などに発注する費用です。

通常、原価は材料費・労務費・経費という3つに区分されますが、建設業の工事原価では外注費が占める割合が多くなります。

そのため工事原価を計算するときには、経費に外注費を含めず独立させ、管理することが一般的です。

 

経費に含まれる費用

建設業の工事原価を計算するときの経費とは、材料費・労務費・外注費のいずれにも該当しない費用のことです。

材料費・労務費・外注費は直接工事に関係する費用ですが、経費は直接工事費だけでなく特定の工事に直接関係のない間接工事費も含みます。

 

「一般会計」と「建設業会計」の違いも理解しておくことが重要

建設業では「原価」を「工事原価」といい、会計処理も「建設業会計」という一般的な会計処理とは異なる基準を用いります。

そのため「一般会計」との違いを理解しておくことが正しい会計処理には欠かせないといえますが、まず建設業では工事請負が商品となり、完成品を引き渡すことで売上を計上します。

工事を請負ってから完成まで至るまで、直接かかった費用が工事原価となりますが、粗利益を求める点は一般会計と同じです。

建設業会計が一般会計と異なるのは、勘定科目の表記や売上の計上基準、外注費の処理などが挙げられます。

 

建設業会計で用いる勘定科目

建設業会計で用いる勘定科目は、一般会計で用いる勘定科目とは異なる表記がなされていますが、これは工事に関する勘定科目であることを簡単に把握できるようにするためです。

一般会計で用いられる勘定科目は、建設業会計では次のような勘定科目で表記されます。

 

  • 一般会計の「売上高」=建設業会計では「完成工事高」
  • 一般会計の「売掛金」=建設業会計では「完成工事未収入金」
  • 一般会計の「仕掛品」=建設業会計では「未成工事支出金」
  • 一般会計の「買掛金」=建設業会計では「工事未払金」
  • 一般会計の「前受金」=建設業会計では「未成工事受入金」

 

売上(完成工事高)の計上基準

一般会計であれば、商品を販売し、納品後に代金を回収できることが確定したタイミングで売上を計上します。

しかし建設業会計の場合、完成工事高の計上基準は「工事完成基準」と「工事進行基準」の2種類があり、どちらを採用するかによって計上のタイミングが異なります。

まず工事完成基準では、工事完成後に完了審査を修了したタイミングで完成工事高を計上します。

ただし建設工事は工事の受注から完成品を納めるまでの過程が他の業種よりも長期に渡り、年単位かかることもあります。

仮に3年かかる工事の場合、この工事完成基準では完成までの1年目と2年目は完成工事高がゼロとなるため、正しい活動実態を決算書に反映できなくなってしまいます。

そのため建設業会計では、工事の進捗割合や出来高に応じ、完成工事高を計上する工事進行基準が認められています。

 

工事進行基準で計算する一期分の完成工事高は、

 

当期完成工事高=工事の受注高×工事の進捗割合

 

で算出できます。

 

工期が1年以上に渡る工事の中で、請負額10億円以上であり請負対価の2分の1以上が目的物引渡期日から1年を経過する日までに支払われる場合には、工事進行基準を適用することになります。

 

外注費の処理に注意を

工事完成基準を適用するときに、最も注意が必要なのが外注費の処理です。

下請業者などに外注を依頼したとき、支払った出来高分の外注費は「前渡金」で処理を行います。

下請業者が工事を完了させるまでは、外注費で発生する消費税は仕入税額控除できないからです。

 

建設業がコロナ禍を乗り切るために

新型コロナウイルスの感染拡大は、「建設バブル」といわれるほど需要が高かった建設業界にも大きな影響を及ぼしました。

予定されていた工事が白紙に戻されたり延期されたり、材料・資材の納期も延ばされ、作業も進行に遅れが発生するといったことなどです。

それでも2025年開催予定の大阪万博・リニア新幹線の本体工事に関連する道路整備・首都圏を中心とした都市開発投資などは期待できます。

さらに老朽化してしまったインフラの維持管理に防災・減災対策などの建設投資は、今後も増えていくことでしょう。

しかしコロナ禍の収束がいつになるのか先行きは不透明であり、民間建設投資は低迷するといった建設需要の動向に懸念を感じている経営者も少なくありません。

厳しい状況を乗り切るために、コロナ倒産という最悪の結果に陥らないためにも、手元の資金が枯渇する事態だけは避けるようにしてください。

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