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中小企業の事業承継に関する問題を解決する方法を解説!

事業資金2021/06/14

中小企業の経営者は高齢化が進んでいますが、事業承継に関する問題に直面しており、廃業に追い込まれないための対策が急務となっています。

事業承継をスムーズに行うために、中小企業の経営者は自社の現状を把握し、リスクを把握した上での解決策を検討することが必要です。

そこで、中小企業が抱える事業承継の課題と、解決させるための対策について解説していきます。

 

事業承継に取り組む中小企業の現状

日本の企業のうち、大企業と呼ばれるのは1%に満たず、ほとんどが中小企業です。

まさに日本経済を支えている存在といえますが、その中小企業が抱える問題として挙げられるのが経営者の高齢化です。

1990年代と比較すると、経営者の高齢化は急速に進んでいる状況であり、70~80代というケースもけっしてめずらしくありません。

このような状況となっているその背景には、後継者不足が関係していると考えられます。

中小企業の場合、事業を引き継ぐ後継者がなかなか見つからず、現経営者が経営を続けているケースが多々あるからです。

後継者不足で事業承継したくてもできない状況となり、現経営者も年齢を重ねてしまっているといえます。

経営者の高齢化により、事業承継へ積極的に取り組むことも難しくなってしまうため、環境を整備していくことが必要です。

 

事業承継を認識していない経営者の多さ

事業承継への認識が甘い経営者が少なくない状況であり、事業承継計画書作成や後継者育成など、単に事業を引き継げば終わりではないことを理解しておくべきです。

実際には事業承継の準備がどれほど重要か認識できていない中小企業の経営者が圧倒的に多く、タイミングを逃してしまうケースも少なくありません。

中小企業の経営者の平均引退年齢は70歳であり、事業承継に5~10年かかると考えれば、60歳ごろからは準備を進めていかなければ間に合わなくなります。

できるだけ早い時期から準備に取りかかったほうが、スムーズな事業承継につながるといえます。

 

中小企業の事業承継を妨げている問題とは

事業承継が進まないその背景には後継者不足が関係していると考えられますが、特に中小企業では次のような問題により、事業を引き継いでもらいにくくなっているといえます。

 

後継者として適する人材がいない

身内や社内に適任といえる後継者候補がいないため、事業承継が進まない状態の中小企業は少なくありません。

経営者に子がいても、すでに別に仕事をしていて事業を引き継ぐ意思がない場合や、経営能力などに不安があるなど子や親族を後継者候補の適任者と考えることができないこともあります。

仮に経営能力が低いのに、後継者候補として迎え入れてしまうと、経営が傾いたり従業員から不満が出たりなど様々な問題を併発することになるでしょう。

それにより、現経営者が引退する機会を失うといったリスクも高くなるため、後継者候補選びは重要です。

 

後継者を育成できない

スムーズに事業承継を進めるためには、後継者候補にいろいろな知識やノウハウなどを伝えていく必要があります。

なかなか後継者候補が見つからない中、たとえ見つかったとしても後継者の育成にはある程度の時間が必要です。

中小企業で後継者を育成するための期間は、5~10年は必要と考えられますが、本業が忙しく育成も追いつかずといった状態では事業承継は進みません。

現経営者が高齢の場合、体調を崩してしまえば本業はおろか後継者育成もできなくなってしまうため、適任の後継者を見つけたらすぐに育成に取り掛かることも必要です。

 

ワンマン経営による影響

中小企業は人材が限られた中で事業を運営しているため、すべての決定権は経営者といったワンマン経営になりがちです。

ワンマン経営の中小企業の場合、経営者には強いリーダーシップが認められますが、経営者が体調を崩し倒れてしまったときが問題となります。

従業員は自主を失っている状態のため、積極的に意見を述べたり取り交わしたりといったこともなく、会社の意思決定も大幅に遅れてしまうでしょう。

もしもワンマン経営を続けているのなら、経営体制も見直しが必要となります。

 

相談できる相手がいない

経営者が単独で事業承継計画を立てることは容易ではないため、税理士やコンサルタントなどに相談するケースも少なくありません。

ただ、そもそも事業承継に関する知識のない経営者の場合、誰に相談するべきかわからないこともあれば相談するタイミングもつかめないといったこともあるようです。

 

承継後の経営状態や先行きに不安がある

後継者として適任者が見つかった場合でも、事業承継後は後継者自身が会社を引っ張っていくことになります。

そして事業承継自体も、後継者自らが事業を引き継ぐと決断しない限り、スムーズに進めることはでいません。

経営において不安を感じる問題を抱えている中小企業や、先行きの見通しが立たない状態の会社の場合、後継者がやはり事業を承継したくないと拒否する可能性も考えられます。

また、後継者は会社・事業・資産などを引き継ぐことになりますが、金融機関の個人保証負債も引き継がれます。

税金も納めなければならないため、それらのリスクを後継者が受け入れるかも問題となるでしょう。

 

事業承継で発生するリスクを理解してもらうことが必要

中小企業が事業承継をスムーズに進めるためには、後継者が抱えることになるリスクをしっかりと伝え、理解してもらうことが必要といえます。

特に押さえておきたい事業承継のリスクは、主に次のとおりです。

 

後継者は負債も引き継ぐ

事業承継では、会社・事業・資産だけでなく、会社が抱えている借金も後継者が引き継ぐことになります。

負債金額が大きいほど、事業承継後も返済に追われることが予想されます。

さらに銀行など金融機関から融資を受けているときには、経営者の個人保証が引き継がれることも注意しておいてください。

この個人保証とは、法人の信用力を補填するために、経営者を人的担保に設定する連帯保証人のことです。

負債や個人保証は、後継者にとっては大きなリスクとなる可能性があるため、その負担は事業承継前に少しでも減らしておくことが望ましいといえるでしょう。

 

事業承継で課される税金がある

たとえば現経営者である親から後継者である子に事業を引き継ぐ場合、その方法は「贈与」「譲渡」「相続」の3種類となります。

贈与譲渡現経営者である親が健在中に自社株式を承継することとなり、相続では現経営者が亡くなってから承継することになります。

どの方法で事業を引き継ぐかは、会社規模や事業の現状、経営者の考えなどにより違いはあるものの株式を承継するときには税金が発生します。

贈与の場合には贈与税、相続なら相続税後継者である子が支払いますが、譲渡なら現経営者である親が譲渡所得税を納めることになります。

贈与税・相続税・譲渡所得税のどの方法でも、承継する自社株評価に応じた税金が課税されますが、優良企業ほど自社株式評価は高くなるため税負担は重くなりがちです。

そのため現経営者が事業を引き継ぐ前に税金対策を行っておかなければ、後継者の将来の税負担も増えてしまうと考えておくべきでしょう。

 

後継者と従業員の対立が発生

親族内で事業承継をするケースのうち、高齢の現経営者の子を後継者にする場合には、会社を支える経営者の年齢が一気に若返ることになります。

このような場合、世代間の認識違いなどで後継者と役員または従業員が対立してしまうリスクがあると留意しておくべきです。

現経営者よりも少し若い世代の役員や従業員が、長年会社を支えてきたという状況の中、役員や従業員よりもかなり若い世代の後継者が経営者となるケースなどです。

今の時代の流れに沿うように、これまでとは違った戦略や事業を進めようと新たな経営者が案を出しても、大きな方針転換に不満の声があがるといったことはめずらしくありません。

世代間の違いで後継者が受け入れてもらえず、会社が空中分解してしまうことのないように、事前に受け入れ体制を整備しておくことも必要です。

 

相続による事業承継で遺留分を主張される

現後継者が相続による事業承継を選択した場合、遺書などを事前に準備しておけば事業用資産などは特定の相続人が相続できます。

しかし子が複数いるなど、相続人が1人ではないケースでは、後継者以外の相続人から遺留分を請求される可能性も否定できません。

遺留分とは相続人に認められる最低限の権利であり、現経営者が自分が他界した後で事業資産はすべて後継者となる相続人に引き継ぐよう指定していたとしても、他の相続人もその資産を受け取る権利を主張できます。

もし相続による事業承継を選ぶとき、相続人が複数人いるのであれば、相続人同士に不公平が生じないような事前対策も必要となるでしょう。

 

中小企業の抱える事業承継問題を解決する方法

中小企業が抱える事業承継問題を解決するためには、どのリスクに対しどのような対策を講じていくかを考えていきます。

まず事業承継には、

  • ・親族内承継(経営者の子など親族に贈与や相続で事業を承継する方法)
  • ・親族外承継(役員や従業員などに株式を買い取ってもらい事業を承継する方法)
  • ・M&A(他企業などに会社や事業を売却したり合併したりすることで事業を承継する方法)
  • ・株式上場(自社株式を上場し不特定多数の株主が株式を保有することで、経営と資本を分離させる方法)

という4つの方法があります。

中小企業では親族内承継だけを考えがちですが、複数の選択肢を検討することで多くの問題を解決できる可能性も高くなります。

親族に後継者がいないのであれば、役員や従業員、または売却や合併といった方法も検討してみましょう。

事業を継続させるだけでなく、雇用も守ることにつながります。

それに加え、次のことに注意しながら事業承継の準備を進めていくようにしてください。

 

準備はできるだけ早めに

すでに現経営者の高齢化が進んでいる中小企業の場合、できるだけ早期に事業承継の準備にとりかかることが重要といえます。

今の時点では後継者不足に悩んでいない場合でも、数年経てば死活問題になる可能性もあります。

事業承継で欠かせない後継者探しや後継者の育成など、準備には数年単位で時間がかかりますので、準備が間に合わなくなれば廃業しなければならなくなってしまいます。

早めに準備にとりかかることで、後継者探しや後継者の育成、事業承継に向けた体制整備など様々なことを進めていくことができます。

 

役員や従業員・後継者以外の相続人に配慮を

後継者が会社を引き継ぎ、新たな経営者となった後で役員や従業員とトラブルを起こしてしまうことを防ぐためにも、客観的に誰が後継者として適任か判断することがまずは必要です。

現経営者単独で決めようとせず、ときには第三者の意見も参考にしながら、経営者としての資質・能力・スキルなどを見極めて決めることが求められます。

適切な後継者が見つかり、事業承継へ取り組みを進めていく場合でも、役員・従業員・後継者以外の相続人に対する配慮は忘れてはいけません。

特に相続による事業承継では、後継者以外の相続人にも納得してもらえるよう、事前に計画を立てておくことが必要です。

 

経営や財務の状況は明確化する

事業を引き継ぐことになる後継者の不安を少しでも解消させ、安心して事業を引き継いでもらうには、会社の経営や財務の状態を明確化しておくことが必要です。

財務諸表などはもちろん、資金繰り表など作成し、今の状況を把握できるようにしておきましょう。

金融機関と良好な関係を保つ上でも、財務諸表を定期的に提出し信頼関係を構築しておくことは大切です。

 

まとめ

中小企業の経営者は高齢化が進んでおり、事業承継に関してもいろいろな問題を抱えていることがあります。

しかし事業承継への取り組みは、遅くなれば現経営者のリタイアのタイミングに間に合わなくなり、廃業しなければならなくなる可能性も出てくるでしょう。

そのようなことのないように、できるだけ早い段階から後継者候補の選択・育成、そして経営環境を整備することなど準備を始めてください。

さらに後継者が引き継ぐものは事業や資産だけでなく、負債や個人保証なども膨れますし、税金などの問題もあるためデメリットとなる部分は事前に伝え理解してもらうことも大切です。

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