経営を改善させるために活用できる助成金制度

2021/05/24
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新型コロナウイルス感染拡大などの影響により、悪化した経営を改善させたいと考えるのなら助成金を有効活用しましょう。

国が施策として準備している助成金はいろいろあり、いずれも経営を改善させるために役立つものです。

そこで、厚生労働省や中小企業庁の経営改善に向けた助成金の他、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資制度もあわせてご紹介します。

 

厚生労働省の「業務改善助成金」

厚生労働省の「業務改善助成金」では、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内の賃金引上げを図るための制度です。

生産性を向上させるために機械やPOSシステムなど設備投資を行い、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げしたときには、その設備投資などにかかった費用の一部助成されます。

 

対象となる事業場と助成率

助成対象となる事業場は、

  • ・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
  • ・事業場規模100人以下

という2つの要件を満たす事業場です。

助成率は、事業場内最低賃金が900円未満であれば5分の4ですが、生産性要件を満たした場合には10分の9になります。

事業場内最低賃金が900円以上なら4分の3ですが、生産性要件を満たすと5分の4に引き上げされます。

生産性向上を目的とした設備・機器を導入する例としては、

  • ・POSレジシステム導入で在庫管理を短縮
  • ・リフト付き特殊車両を導入し送迎時間を短縮
  • ・顧客・在庫・帳票管理システムを導入し業務を効率化
  • ・専門家に業務フローの見直しを依頼し顧客回転率を向上させる

といったことです。

 

助成される金額

20円コース・30円コース・60円コース・90円コースと4つのコースに区分されており、それぞれの引上げ額と引き上げる労働者数・助成上限額が異なります。

助成額はコースごとに定める引上げ額以上に事業場内最低賃金の引き上げを行ったとき、生産性向上にむけた設備投資などにかかった費用に対し、助成率をかけて算出した額助成されます。

 

助成金が支給されるまでの流れ

交付申請書・事業実施計画などを、最寄りの都道府県労働局に提出→審査→交付決定後、提出した計画に沿って事業実施→労働局に事業実施結果を報告→支給

という流れで助成金が支給されます。

助成金の申請窓口は都道府県労働局で、過年度に業務改善助成金を活用している場合でも助成対象です。

ただし予算の範囲で交付となるため、申請期間内に募集が終わってしまう可能性もあるため注意しましょう。

事業完了期限は令和4年3月31日になっています。

 

日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」

日本政策金融公庫では、事業場内最低賃金の引上げに取り組むときに必要となる設備資金・運転資金の融資を行っていますので、こちらも合わせて確認しておくとよいでしょう。

働き方改革推進支援資金とは、非正規雇用の処遇改善に対する取り組みや長時間労働是正を実現させるための制度です。

業務効率向上・生産性向上を図る上で必要な設備導入・非正規雇用労働者の賃上げ・正社員化・多様な人材の活用促進などに取り組む中小企業に対し資金の貸し付けをおこなっています。

 

  1. 非正規雇用の処遇改善に取り組む方
  2. 事業場内最低賃金の引上げに取り組む方
  3. 従業員の長時間労働の是正に取り組む方
  4. 次世代育成支援対策推進法または女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、
  5. その旨を都道府県労働局長へ届け出ている方(各法に基づき、一般事業主行動計画を届け出なければならない方を除く。)
  6. 青少年の雇用の促進などに関する法律に基づく認定を受けた方
  7. 障害者の雇用または障害者に対する合理的配慮の提供に取り組む方
  8. 外国人労働者の雇用管理の改善に取り組む方
  9. 事業所内に保育施設を整備する方

のいずれかに該当すれば利用できます。

1~4と6~8の場合には、社会保険・労働保険への加入義務がある法人であれば未加入では利用できません。ただし次世代育成支援対策推進法に基づく認定や女性活躍推進法に基づく認定を受けている場合は利用可能です。

 

制度による資金の使途

融資を受けて調達した資金の使い道は、

  • ・上記利用可能となるケースの1~7に該当する場合において、働き方改革実現計画を実施する上で必要な設備資金および長期運転資金
  • ・上記利用可能となるケースの8に該当する場合において、事業所内に保育施設を取得するために必要な設備資金

に限られます。

 

融資限度額と返済期間

融資限度額直接貸付7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)です。

返済期間は、

  • 設備資金…20年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金…7年以内(うち据置期間2年以内)

となっています。

 

適用される利率

利用が可能なケース1~8までのどれに該当するかにより、適用される利率は異なります。

2の事業場内最低賃金の引上げに取り組む方であれば、

  • 2億7千万円まで…特別利率①(0.71~1.00%)
  • 2億7千万円超…基準利率(1.11~1.40%)

の利率が適用されます。(令和3年5月6日時点)

ただし信用リスク・融資期間などに応じて変動することは留意しておいてください。

また、担保の差し入れの必要性やその種類などは相談の上決定されますが、直接貸付で一定要件に該当する場合には経営責任者の個人保証が必要になります。

 

中小企業庁の「早期経営改善計画策定支援事業(ポストコロナ持続的発展計画事業)」

国が認める税理士など専門家の支援を受け、資金実績・計画表や経営改善計画を策定する場合において、専門家に対し支払う費用の3分の2が上限20万円まで補助される事業です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの中小企業は売上減少や借の増大に悩まされているといえます。

収束しない新型コロナで先行きが見えず、中小企業のほとんどは資金繰り計画などを作成しておらず、さらに将来の見通しを立てることができない状況に陥っています。

そこで、中小企業などが基本的な内容の早期経営改善計画の策定に取り組むことで、資金繰りや採算管理を可能とする支援を行うことが目的です。

 

事業を活用するとよいのは

  • ・新型コロナの影響で資金繰りが不安定な状態
  • ・新型コロナの影響による売上減少で先行きが見えず不安な状態
  • ・自社の状況を客観的に把握しつつ、今後行うべき取り組みを整理したい
  • ・専門家に高額の報酬を支払うことは厳しいためまずは試しに計画を作りたい

といった方です。

過去の資金繰り状況を分析し今後の資金計画を策定でき、自社の経営課題を把握し具体的な行動計画の作成が可能です。

計画策定から1年後、専門家からフォローアップを受けて計画の進捗の確認もできます。

 

資金繰り計画の作成は重要

コロナ禍で中小企業の多くが売上減少や借入増大に直面している状況でありながら、資金繰り計画は作成しておらず次に何をすればよいかわからないといったケースも少なくありません。

いつ収束するかわからない新型コロナの影響は、中小企業の先行きを見通すことを困難な状況にさせています。

そこで、手元の資金がどのように推移するのか予測するためにも、資金繰り計画の作成と早期での売上向上やコスト削減といった経営改善の取り組みが必要です。

いつ売上が回復するのかわからない状態で資金予定計画を作成するときには、複数のケースからシミュレーションすることも欠かせないといえますので、専門家に相談したほうが安心できます。

 

中小企業庁の「経営改善計画策定支援事業(405事業)」

借入金返済の負担が重くなってしまったなど、財務上の問題を抱えていることで金融支援を必要とする中小企業・小規模事業者は少なくありません。

しかし独自に経営改善計画等を策定することは容易ではないため、国は中小企業経営強化支援法に基づき認定された認定支援機関が中小企業・小規模事業者の依頼を受け、経営改善計画などの策定支援を行うことで経営改善を促進するとしています。

認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談を受けることができるように、専門的な知識や実務経験が一定以上のレベルの者を公的な支援機関として認定しています。

商工会・商工会議所などの支援機関や、金融機関・税理士・公認会計士・弁護士などが主な認定支援機関です。

認定支援機関による支援を受け、本格的な経営改善計画を策定した上で金融機関に返済条件の変更を依頼するとき、専門家に支払う費用の3分の2(上限200万円)が補助されます。

 

事業を活用するとよいのは

金融機関に返済条件を変更してもらいながら資金繰りを安定させ、

  • ・必要な売上や利益を確保できる経営管理を望む
  • ・人件費以外のコスト削減に取り組みたい
  • ・黒字体質の経営に転換させる経営計画を立てたい
  • ・業況悪化の根本的な原因を知りたい
  • ・経営改善の取り組みに対し継続したフォローアップがほしい

といった方におすすめです。

借入金の返済負担が大きいため、銀行にリスケジュールを依頼し新規で借入れるといった支援を受けたいといったこともあるでしょう。

老朽化してしまった設備や売上の激減により、借入金の返済が厳しく、思い切って設備投資により売上・利益を増やしたいと考えることもあるはずです。

このような状態のままでは業況を改善させることは難しいため、金融支援を受けて専門家と適切な計画を作っていくことが必要です。

 

経営改善計画策定支援事業で作成する「計画」

ここでの「計画」とは事業者の状況によって異なるものの、主に次の内容を含む計画のことです。

  • ・企業概要(会社情報・株式・役員状況など)
  • ・ビジネスモデル俯瞰図
  • ・グループ相関図・組織図
  • ・経営改善の骨子・事業の方向性
  • ・経営改善の具体的な施策・実施時期
  • ・数値計画(損益計画・財産計画・キャッシュフロー計画など)
  • ・借入金の返済計画
  • ・モニタリング計画(原則3年間)

 

事業を活用するメリット

「経営改善計画策定支援事業」を活用することによって、

  • ・返済条件変更や新規融資など金融支援をスムーズに受けることが可能になる
  • ・専門家からの経営改善アドバイスを3年間受けることができる
  • ・資金繰りを改善させることで本業に専念できる
  • ・金融機関や取引先からの信用力が上がる
  • ・従業員のモチベーションや生産性向上につながる

といったメリットがあると考えられます。

 

事業の対象となるのは

事業の対象となるのは、次の2つの要件を満たす中小企業・小規模事業者です。

  • ・借入金の返済負担などの財務上に問題を抱えており、金融支援を必要としている状態であること(借入金のリスケジュールや元本返済の棚上げ、資金調達など)
  • ・独自で経営改善計画を策定することが困難なこと(認定支援機関による計画策定・モニタリング支援が必要)

 

資金繰り改善には助成金以外にも方法がある?

資金繰りを改善させるためには、助成金を活用する以外にも保有する売掛金を現金化させるといった方法もあります。

 

ファクタリングで売掛金を現金化

ファクタリングとは、中小企業などが保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、取引先から入金される期日よりも前に現金化させる方法のことです。

すぐに運転資金が必要という場面などでは、助成金や銀行融資などは準備や審査に時間がかかりすぎてしまいます。

しかしファクタリングであれば、早ければ即日現金化が可能となるため、急いでお金が必要という場合でも対応できます

また、保有する資産を現金化させて資金を調達する方法のため、借金を増やさず資金繰りを改善可能です。

ただ、ファクタリング業界は法整備も十分ではなく、ファクタリング会社を装う悪徳な業者も横行しています。便利な資金調達方法ではあるものの、信頼できる業者かどうかしっかりと見極めた上で契約をすることが大切です。

 

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、悪化してしまった経営を何とか改善させたいと考える経営者も少なくありません。このような場合、活用できる助成金制度をうまく利用していきましょう。

サポートとして用意されている制度はいろいろありますが、単に経営を改善させるといった目的だけでなく、資金の使途などによっても活用できる制度は変わるため事前の確認が必要です。

また、時間をかけずに資金を調達したいという場合には、助成金・補助金や融資による方法では時間がかかりすぎてしまいます。

この場合には、保有する売掛金を現金化させて資金調達する方法も活用できるため、一時的なつなぎ資金や資金繰り改善に向けた方法として知っておくと安心です。

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