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金融リスクで損失を被らないための管理のポイント

事業資金2021/04/07

お金など価値のある資産を失うリスクを「金融リスク」といいますが、損をしないためには適切な管理が必要です。

金融市場における「金融リスク」の定義は「取引や投資で損失を被る可能性」のことであり、実際の損失でなく最終的に損をする可能性のことですが、いずれにしても管理が必要といえます。

これらは金融サービスを利用したときには損失が発生することを意味しており、その対策としてリスクマネジメントという管理が必要です。

そこで、金融にまつわるリスクと、損失を発生させない管理を行う上で押さえておきたいポイントについて解説していきます。

 

金融リスクごとに管理のポイントは異なる

金融リスクは、金融市場だけでなく企業や組織など幅広いところに潜んでいるといえますが、その対策として実践していくのがリスクマネジメントです。

リスクマネジメントによる金融管理を行う前に、どのような金融リスクの種類があるのか基本的な知識を身に付けておきましょう。

一般的に金融リスクといわれるものは環境によりその定義や分類が変わりますが、その中でも投資リスクは取引や投資に関するリスクであり、市場価格の変動など次のリスクが関係しています。

 

市場リスク

金融資産の価格や収益が、市場で変動することにより損失が発生する可能性を意味しています。

市場リスクとして挙げられるものは、金利リスク・価格変動リスクなどで、株式・債券・ファンドなどのリスクも含まれます。

市場価格金利為替レートなどのように予見できないことで発生するリスクであり、さらに確率的に変動する恐れもこの市場リスクといえます。

市場リスクを管理する場合には、価格が変動したときにどのくらいの損失を被ることになるのか、その可能性を検討することが必要です。

そしてリスクが発生したときのために戦略を立てておき、市場の動きに合わせどのような対処が必要か決めておきましょう。

資産価格予想が外れたときの損失に関する直接的なリスクや、株式市場で金利リスクが株価に間接的に影響を与える間接的なリスクなども市場リスクの例です。

 

金利変動リスクの影響を受けやすいのは債券

金利が変動することで資産の価値が変わってしまう可能性のことであり、投資におけるリスクは値上がりと値下がりを含め先が確実でないことを意味します。

金利の変動に大きな影響を受ける例として債券が挙げられますが、そもそも債券の金利は事前に決まっており満期を迎える前でも時価で売買が可能です。

売買のタイミングで市場の金利が上がっていれば、低い金利の債券を売却しさらに有利な投資をする人が増えるため、債券の価格は下がります。反対に市場の金利が低下していれば債券の価格は上がるといえます。

 

流動性リスク

流動性リスクとは運用と調達の期間がマッチしていないことや、予期していなかった資金の流出などによって、必要とする資金を確保できなくなってしまうことや、通常より高い金利で資金を調達しなければならなくなってしまうことで損失が発生するリスクです。

また、市場が混乱してしまったことで取引が不可となり、通常より不利な価格で取引しなければならなくなり損失を被ることになるリスクを指しています。

 

信用リスク

債務者の財務状態が悪化してしまったことなどで、債権者がお金を回収できなくなるリスクのことを指しています。

デフォルトリスク・債務不履行リスク・貸し倒れリスクなど様々な呼び方がありますが、債務が履行されないことで債権者はお金を失うことになります。

過去にはアメリカの大手投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻した2008年9月、世界的に大混乱を招き金融危機が大不況へと発展しましたが、これは信用リスクがグローバルに拡大したことが背景にあります。

 

オペレーショナルリスク

オペレーショナルリスクとは、通常の業務活動に係るリスクのことで、市場リスクと信用リスク以外のその他のリスクを指しています。

企業など、内部のプロセス・システム・手続きなどを原因とし、財政上損失を被るリスクがオペレーショナルリスクといえます。

人的ミスや不正行為などで発生することが多いため、定期的なセキュリティ監査を実施するといった管理が必要です。

業務が健全に、決められた手順に従い遂行されているか、内部管理が適切に行われているか確認するようにしてください。

 

コンプライアンスリスク

コンプライアンスリスクとは、企業・組織・団体などが管轄区域で決められた法律や規則を順守できていないことにより、損失を被る可能性を指しています。

コンプライアンスリスクが発生することを防ぐため、金融業界では本人確認手続きやマネーロンダリング対策などを実施・管理しているといえます。インサイダー取引と汚職なども、コンプライアンスリスクの適例といえるでしょう。

コンプライアンスを順守できなかったことで、重大な罰則が科せられることや倒産に追い込まれるといったこともありますので、必ず徹底しておくことが必要です。

 

システミックリスク

個別の金融機関の支払不能または特定の市場や決済システムなどが機能不全となり、他の金融機関や市場、金融システム全体にまでその影響が及ぶリスクがシステミックリスクです。

金融システムは、それぞれの金融機関などが取引や決済ネットワークでの資金決済を通じ、相互に結ばれている状態です。もしどこかで支払不能などが発生してしまうと、その1つのピースの影響がシステムや市場を通じ、ドミノ倒しのように続けて倒れるといった影響であらわれてしまいます。

決済が混乱に陥ることとなり、個人や企業の経済活動にも影響が及ぶことになるため、多様性を意識した金融管理が必要です。

 

システマティックリスク

システミックリスクと名称は似ているシステマティックリスクですが、これは分散投資を行っても消すことが難しいリスクのことです。

景気悪化によりマーケット全体に影響を及ぼす変動などがその例といえますが、分散投資で消去できるリスクはアンシステマティックリスクといいます。

インフレ・金利・自然災害・政策変更・戦争など、経済・社会・政治から影響を受けてしまうため、産業だけでなく社会や国家にもその影響が及ぶことが特徴です

システミックリスクは相関性が低い資産へ分散投資すれば軽減できても、システマティックリスクは金融資産を多様化させたとしても回避することはできません。

 

金融リスク管理に必要なリスクマネジメント

たとえばお金を貸すとき、期日に返済してもらえなければ大きな損失を被ることになります。

しかしお金を貸すことで債務者が支払う利息を儲けとしている金融業などが、信用力が高い企業だけに貸し出してしまうと、相対的に信用力が低い企業はどれほど素晴らしい計画を立てていても資金調達できません。

そこで、資金を貸し出す側も借りたい側も、どちらも最高の結果を得ることを可能にすることがリスクマネジメントの役割といえます。

リスクを事前にカバーすることで、相対的に信用力が低い相手とも取引を行うことが可能となります。

 

まとめ

金融リスクは他にもいろいろありますが、金融市場ではこれらのリスクをゼロにすることは不可能といえます。

しかし適切な管理により軽減させることはできますので、リスクの種類と特徴を理解した上で、効果が高いと見込めるリスクマネジメントを実践してきましょう。

これから必要となる金融のリスクマネジメントは、たとえば銀行が貸出にともなって発生するリスクから身を守ることだけでなく、積極的に資金を提供するための手法といえます。

相手が返すことができなくなる確率を事前に把握しておけば、そのリスクを事前にカバーし取引することができます。

これは銀行など金融機関が行う資金の貸し出しだけでなく、企業間の取引における与信にも関連することといえるでしょう。

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