ベンチャーとして起業した場合には、その後の財務マネジメントや資金調達など、お金を回す活動が重要であることを認識しておく必要があります。
自社の売上を大雑把にしか把握できておらず、どんぶり勘定の財務管理で経営を続けてしまうとせっかくベンチャーとして会社を立ち上げた意味がありません。
特にベンチャーの場合、マーケティングや戦略立案には強い経営者は多くても会計や数字など財務は苦手とするケースも少なないといえます。
そこで、ベンチャーがこれから会社経営していく上で、どのように財務管理をしていけばよいのかご説明します。
目次
ベンチャーの経営者に求められること
経営において計数感覚を磨くことは、事業の活動が企業財務に与える影響を検討することができ、資金面でも早めに手を打てる能力を高めることだといえます。
ベンチャーの経営者の中には、会計や財務は税理士など専門家に任せたほうがよいと考える方もいるでしょう。
しかし、税務申告や月次試算表を作成することは税理士など専門家に依頼するとしても、財務マネジメントは経営者が行ったほうがよいといえます。
新規で事業を始めるときや設備に投資するとき、資金調達するときなど重要な判断は経営者自身がくだします。
新規で投資するときには投入した資金を何年で回収するのか、採算確保の見通しなど数字に基づいた予測や分析も必要です。
業績や財務にどのような影響を与えるのか、短時間で判断し戦略的に意思決定する能力が経営者に求められるといえます。
資金繰りを悪化させない財務管理が重要
商取引において発生した売掛金を回収するよりも、仕入れ代金や経費の支払いサイトのほうが短い場合、売上が伸び仕入れが増えるほど資金繰りが悪化しやすくなります。
この場合、半年から1年先までの資金繰りを予測し、お金が足らなくなるタイミングに合わせ早めに資金調達しておくことが重要です。
資金が枯渇すればベンチャーも倒産してしまうため、会社のお金の実態を数字で把握し、経営を改善させる財務マネジメントは欠かせません。
ベンチャーの経営者が把握するべき財務の数字
ベンチャーの経営者が企業経営において把握しておく必要のある財務の数字には、
- ・収益構造
- ・資産と負債の状況
- ・資金繰り
の3種類が挙げられます。
それぞれ何を確認すればよいのか把握しておきましょう。
収益構造
収益構造を分析するとき、まずは売上や利益の推移、経営環境や事業活動などを改めて振り返ってみましょう。
ここ数年から直近の売上高を確認し、その動きやどのような背景があったか分析していきます。過去の実績を振り返り分析することで、これから何を行うべきかの指標とすることができるはずです。
そして複数の商品やサービスを事業としている場合には、それぞれの売上・原価・経費など収益状況を分析していきます。
原価や経費の内容を確認する場合には、次のことをポイントとして分析することが必要です。
原価率や一般管理費は業界平均値と比べる
原価率や経費(一般管理費)については業界の平均値と比較していきましょう。一般的な業種であるなら、日本政策金融公庫の公式サイトに「小企業の経営指標」の掲載があるため参考にするとよいでしょう。
無駄な経費はないか確認する
過去に支払った経費を確認し、その金額が妥当か、無駄な費用はないか確認していきましょう。それと同時に、もっとお金をかけたほうが収益に寄与するものはないか分析していきます。
資産と負債の状況
決算書の貸借対照表に記載のある資産と負債の数字と、実態を比べてみましょう。
たとえば貸借対照表の売掛金は300万円だったとしても、回収の見込みがない売掛先分の30万円も含まれているのなら、売掛金の実態は270万円と考えます。
負債についても、役員や親族から借りたお金がある場合には、すぐに返済しなくてもよいケースが多いといえます。
決算書上の資産と負債と実態は異なることもあるため、その違いを把握しておくことにより実際の自己資本(純資産)=客観的な安全性を確認できます。
資金繰り
ベンチャーでも大企業でも、企業経営で資金繰りは欠かすことができません。
現在だけでなく、近い将来の資金繰りも予測し、資金が不足・枯渇しないように早めに手を打っておくことが必要です。
そこで、資金繰り予測のためにも「資金繰り表」を作成して財務管理を行います。
資金繰り表には直近の実績だけでなく、半年から1年先の入出金を月別に記載しておき、どのくらいの現金・預金が残るか予測していきます。
資金繰り表による財務管理で重要なこと
資金繰り表による財務管理では、まず入金予測は確実に入金されると見込める金額を記載していきましょう。
甘めの入金予測は後々資金不足に陥る可能性があるため、過去の実績も勘案した上での将来予測が求められます。
支出については入金とは反対に、厳しめに予測したほうが資金不足には陥りにくくなります。
資金不足に陥りそうなタイミングがわかったら
たとえば、資金が不足しそうなタイミングが3か月後だとしたら、来月や再来月に資金調達すればよいと考えずすぐにでも資金を増やすことが必要です。
資金が不足する理由はそれぞれであり、緊急性や深刻度も異なりますが、いずれにしても手元のお金を増やす次の行動を実行していきましょう。
- ・収入を増やす…売上・営業外収益を増やす、回収を早くする
- ・支出を減らす…原価を減らす、支払いを遅くする、経費・営業外支出を減らす
- ・外部から資金を調達する…融資を受ける、出資を受ける、ファクタリングを利用するなど
この手元のお金を増やす行動のうち、どれを選び実践するか早急に検討し実行することが必要です。
たとえば融資を受けて資金を調達し、手元のお金を増やすことを選ぶのなら、その相手が銀行なのかそれともノンバンクなのかなどによりその後の返済負担は変わります。
銀行融資なのかカードローンやキャッシングなのか、手形割引なのかなどお金を借りる手段もいろいろなので、どれを選ぶかによっても資金繰りの改善されやすさは違ってくるでしょう。
緊急的に資金を必要とするのなら、銀行融資を選ぶと審査に時間がかかり間に合わない可能性もありますし、急がないのにノンバンクのビジネスローンを選んでしまうと返済負担が重く資金繰りが改善されにくくなってしまいます。
融資を受ける以外で資金調達する方法
収入を増やしお金を増やす方法は即効性に欠けるといえますし、借金を増やしたくないケースやベンチャーであることを理由に審査が通らないことも考えられます。
この場合、売掛金を現金化するファクタリングであれば、今以上に負債を増やすことはありません。
ファクタリングは審査も柔軟な上に資金調達までもスピーディで、さらに資金繰りを改善させやすいことが特徴です。
いずれにしても窮地に立たされる前に先の資金繰りを予測し、早めに対策を取っておくことが事業継続には必要不可欠といえます。
ベンチャーの財務を改善させる上で融資は欠かせない?
ベンチャーの経営者の中には、店舗を増やしたり設備に投資したり、売掛金を回収するまでのつなぎ資金を必要としたりなど資金を必要とする場面に直面することがあります。
借金を増やしたくない場合や、売掛金を回収するまでのつなぎ資金にはファクタリングは有効ですが、店舗を増やすときや設備投資の際にはやはり銀行融資を頼りたいところです。
ビジネスを加速させるためにも銀行から融資を受けることは欠かせませんが、ベンチャーの場合は実績も十分でなく、審査に通らないといったことも考えられます。
銀行融資の審査に通るためにも、資金繰りを改善させ財務状況を良好にしておくことは必要といえるでしょう。
まとめ
ベンチャーに限らずどの企業でも、創業して3年以内は必要な資金の種類も増え、調達しなければならないタイミングが訪れると考えられます。
銀行融資をスムーズに受けるときのためにも、ビジネスローンなどではなく負債を増やさないファクタリングなどで資金調達し、資金繰りを改善させておいたほうがよいといえるでしょう。
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