日本の企業の99.7%を占めている中小企業ですが、現在、人手不足に悩まされています。
人手が不足した状況で倒産という危機に立たされている中小企業も少なくないなど、早期に解決しなければならない問題とされています。
中小でも大企業でも資金さえ枯渇しなければ倒産することはない!とはわかっていても、不足する人手を補うためにはお金が必要ですし、そもそも人材が見つからなければ探さなければなりません。
そこで、なぜ中小企業は人手が不足しているのか、解決するために何をすればよいのか解説していきます。
目次
中小企業の人手が不足する原因とは?
中小企業が人手不足に悩まされている理由は、外部と内部それぞれの要因を含めいくつか存在します。人手不足を解決させていくために、まずはその原因を把握しておきましょう。
日本の人口自体が減少傾向にある
そもそも日本の人口は明治時代から上昇し、戦後からピークといえる2000年までは上昇の一途という状況でした。しかしピークを過ぎた今、日本の人口は減少傾向にあります。
2021年2月1日時点の日本の総人口は1億2562万人ですが、これが2030年には1億1522万人、2050年になると9515万人という推計です。
急激な人口の伸びで先進国の仲間入りを果たしたのに対し、他の先進国と同じく少子化で人口は急激に減少していくと予想されています。
人口が減少している背景には少子高齢化があり、生涯独身を貫く方の他、結婚しても夫婦それぞれが仕事をしていることや晩婚化により子どもを持たない夫婦が増えました。
それにより現役で働くことが可能な15~64歳の生産年齢人口が減少しています。
限られた現役世代の働き手を各業界が奪い合う形になってしまいますが、新卒者が入社を希望する先も大企業がほとんどで、中小企業に人材が行き渡らず人手不足を深刻化させているといえます。
団塊世代と団塊ジュニア世代の引退
70歳や80歳でも元気な高齢者は仕事を続けていますが、今後はこの傾向がさらに顕著化すると考えられます。
しかし一般的な定年年齢は60歳で、そこから再雇用により65歳まで働き続けることになります。
第一次ベビーブーム時代の1947~1949年に生まれた団塊世代はすでにリタイア年齢を迎えており、労働市場にはいなくなってしまいました。これにより、労働者数は大幅に減少しています。
それに加え2030年には、第二次ベビーブーム時代に生まれた団塊ジュニア世代が定年を迎え、さらに労働者は減少することになります。
今後、少子化問題が解消されなければ高齢者ばかりが増え、労働市場は人材が不足したままとなることが予想されます。
売り手市場の影響
人口自体が減少しているだけでなく、外部的な要因でも中小企業の人手不足問題を加速させています。
2008年9月にアメリカの投資銀行が経営破綻したことにより、世界規模の金融危機が発生したリーマンショック。それ以降は少しずつ景気が上昇しつつあったため、有効求人倍率も年々上向きとなり、2019年9月の正社員の有効求人倍率は過去最高値となりました。
労働市場は求職者より求人数が多い売り手市場となり、数多くの求人から働く先を選びやすくなったといえます。
売り手市場であれば、できるだけ収入が高く福利厚生も充実した規模の大きな企業で働きたいと希望する方も増えることとなり、大企業を優先する傾向が高くなってしまったことも中小企業の人手不足につながっていると考えられます。
外国人の採用には消極的
日本国内で人材が見つからないのなら、外国人労働者を雇用すれば問題は解決される可能性があります。
しかし日本の公用語は日本語であり、英語を話すことができる方はそれほど多くありません。
国も外国人労働者の雇用に向けて様々な取り組みを行っていますが、実際には人手不足解消に至るほど外国人の採用は進んでおらず、新型コロナウイルス感染症の影響もあって先行きは不透明といえます。
人手は不足しているのに業務は多い
大手企業では分業制を取っていますが、中小企業では広い業務範囲に対し人手は少ないため、従業員一人が抱える業務は多い状況です。
大手企業よりも従業員数が少なく、業務を兼務していたり少人数で多くの業務を担当していたりなど、激務になりがちといえます。
退職者が出れば、辞めた人の業務も別の人が担当することとなり、担当する業務の範囲は増えてしまいます。
業務量が増えれば負担が大きいと感じ、このままでは仕事を続けることができないと退職してしまう人が増加するなど悪循環です。
余裕のある人員構成で業務を割り振りしていないことが多い中小企業が多いため、激務で従業員が退職してしまわない仕組みづくりが求められます。
中小企業で実践したい人手不足解消に向けた対策とは?
では、具体的に中小企業が人手不足解消に向けて、どのような対策を行っていけばよいのでしょう。
対策として考えられることは、人材が企業に流入できる仕組みを作ることと、実際に働くことになったときの負担を軽減させ流出を防ぐことです。
人材を流入させる仕組みを作る
人手不足を解消するためには、人材を雇用することが必要です。既に勤務している従業員に人材を紹介してもらい、マッチング率の高い選考を行うと採用を効率的に進めることができます。
また、求職者とダイレクトにコミュニケーションを取れるように、インターネットを使ったスカウトメール・SNSなども有効活用することを検討しましょう。
インターネットを使う方法として、他にも自社のホームページに採用フォームを作ることなども挙げられます。
コロナ禍でも面接ができるように、Web面接ツールを導入することで、直接企業まで足を運びにくい地方の優秀な求職者を呼び込むこともできます。
面接担当者も移動の必要がなくなるため、互いに費用や時間をかけず面接が可能となることは大きなメリットです。
従業員の負担を減らし人材の流出を防ぐ
人手不足解消に向けて積極的に人材を雇用したものの、すぐに退職してしまっては意味がありません。
そのためにも従業員一人ひとりの業務負担を軽減させることが重要となります。
抱える仕事量が多い場合には、業務の一部を外部に委託すること、IT化や機械化を検討することで効率的に仕事が進むようになると考えられます。
無駄な業務はなくすことや減らすこと、アウトソースすることをまず検討し、残った必要な業務のうちIT化や機械化できるものは最新技術に頼ることも必要です。
機械化することで本来注力するべきといえる営業活動やマーケティング活動の他、経営戦略立案や人材育成などが進むようになり、開発などにも目を向ける余裕ができて経営効率を高めることも期待できます。
人材の流出を防ぐには柔軟な働き方も必要
コロナ禍の今、テレワークや在宅勤務制度を導入する中小企業も増えてきました。
他にも出社や退社の時間を従業員が自由に決めることを可能とするフレックスタイム制を導入するなど、柔軟な働き方を行っている企業もあります。
労働人口が減少傾向にある日本で中小企業が人手不足を解消するためには、長く働きやすい職場であることが求められます。
従来のような型にはまった勤務体制ではなく、柔軟な働き方や制度を導入するなど、人材の流出を防ぐような取り組みを検討しましょう。
まとめ
中小企業は人手不足に常に悩まされている状況ですが、今後はさらにその悩みが大きくなることも予想されます。
限られた人材を奪い合うことになるため、自社を選んでもらうには従業員の業務負担を軽減させることや、働きやすい環境を作ることが必要です。
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