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経営者の相続と法人の相続の違いとは?問題になることや注意点を徹底解説

事業資金2021/01/08

法人で会社経営を続ける上で、経営者の相続や会社を後継者に引き継ぐことも必要となってきます。

できるだけ早めに対策を行っておきたいものですが、そもそも法人を引き継いでくれる後継者が見つからないケースや、相続における手続きと何が違うのか理解しにくいこともあるようです。

そこで、経営者の相続と法人の引き継ぎがどのように関係していくのか徹底解説していきます。

 

そもそも相続とは?

相続とは、財産を所有している個人が亡くなったとき、その個人の財産を相続人に引き継ぐことです。

このとき、誰が相続人になれるか民法で規定されており、具体的には配偶者・子・父母・兄弟姉妹などが対象となります。

 

法定相続人の範囲とその順位

具体的には、配偶者は常に相続人です。配偶者と同時に相続人になる順位も決められており、第1順位=直系卑属(子)・第2順位=直系尊属(父母)・第3順位=兄弟姉妹の順番です。

胎児はすでに生まれたものとみなされるため相続人になり、子がすでに亡くなっている場合は孫が代襲相続人に、孫も亡くなっていれば曾孫というように延々と代襲相続していきます。

父母が相続人のケースで、先に親が亡くなっており祖父母が健在なら相続人となります。ただし兄弟姉妹が先に亡くなっているときには、甥や姪までが代襲相続人として相続権を得ることができます。

 

他人でも相続人になれる?

ただ、相続は亡くなった方の意思を尊重するものであるため、その意思を遺言書で残せば民法の規定にかかわらず第三者でも財産を引き継ぐことはできます。

会社経営でも、経営者が亡くなったときにその子などが後継者となり、法人を引き継ぎますがこれが会社の相続です。

 

法人を相続することの意味

では経営者が亡くなり、子が法人を引き継ぐときにはどのように相続されるのでしょう。

まず、法人の資産などは経営者が所有しているのではなく、持ち主は会社です。そのため経営者が亡くなっても、法人の資産を必ずしも経営者の相続人に引き継がなければならないわけではありません。

経営者が所有するのは法人の株式なので、相続では会社の株式を後継者に引き継いでもらうことになります。

 

法人を相続する上で問題となること

本来、事業承継で問題になりやすいのは後継者不足です。特に近年では中小企業の後継者不足が深刻な問題として取り上げられることが多く、親族内に会社を引き継ぐ人がいなければ役員・従業員などに事業承継する、またはM&Aを選択するというケースも見られます。

後継者が決まれば、法人を引き継いでもらう前に、経営者の立場となれるよう育成する期間も必要です。

 

なぜ後継者が不足してしまうのか

経営者に配偶者や子、その他親族がいても後継者が不足することはあります。なぜ子や親族に会社を引き継ぎたいと感じてもらえないのかというと、業績や財務内容が悪いなど魅力が薄い点が挙げられます。

仮に後継者が見つからずに法人を引き継いでもらえなくなり、廃業することになればそれまで会社に投資した資金は無駄になってしまいます。

 

法人を相続してもらうために

経営者が子に後継者として会社を引き継いでほしいと考えるのなら、子が幼いうちから方向付けや動機付けを行い、円滑にコミュニケーションを取り良き人間関係を築くことができる能力を身につけさせる教育が必要です。

そして後継者には、社会の厳しさや大変なことばかり伝えるのではなく、会社経営の楽しさなども教えていく必要があるといえます。

 

法人の相続で問題になることとは?

法人の相続とは事業を承継することと言い換えることができますが、端的には後継者となった子などに株式を渡すことを意味します。

法人の株式は会社の経営権財産権という権利なので、経営の安定性を保つためにもこの2つの権利についてしっかり理解しておきましょう。

 

財産権

財産権とは配当や会社を清算するときに財産を受け取る権利で、相続のときには一定のルールで相続財産として計算される部分です。

中小企業の自社株式はその価値が想定よりも高いケースが少なくありません。たとえば数十年前に少額の資本金で法人を設立し、これまで会社経営を続けていたケースでは、投資額をはるかに上回った自社株式の価値になっていることもあります。

300万円の価値のはずが、実際には億単位になっていたケースもあるため、相続税対策を行う上でも注意しておいてください。

 

法人の株式価値が高い場合の相続税

後継者に株式を渡す方法は、相続・贈与・譲渡するという3つの選択肢があります。どの方法でも税金は課税されますが、たとえば後継者が子で相続という形で引き継ぐのなら相続税が課税されます。

法人の株式以外に財産がなければ、子は相続税を納税するための資金を確保しておかなければなりませんが、手元にまとまったお金がないときは困ってしまいます。

そこで株式の一部を売却し、換金して納税資金に充てようと考える場合もあるでしょう。しかし中小企業などの非上場株式は、上場株式と違って換金しにくい財産のため、資金に充てにくいことが特徴です。

それなら他人に売却してしまえばよいのでは?と考えてしまうでしょうが、譲渡した株式の割合次第で経営権を脅かすことになってしまいます。

 

経営権

経営権とは取締役・監査役など役員の選任や、役員報酬・剰余金の配当など、株主総会の普通決議を独自判断で成立させることを可能とする権利です。

経営権についての法律による定義はないものの、一般的には議決権の割合で判断することとなり、議決権のある株式の2分の1超を保持していることで経営権保持と判断されます。

さらに議決権のある株式の3分の2を保持していれば、株主総会の特別決議を成立させる支配権も保持している状態となります。

そのため、他人に株式を渡すこと=会社そのものを他人に渡すことにつなげてしまうため、実行するときにはその割合に十分注意することが必要です。

 

相続税の納税資金がなく法人株式しか遺産がなければ

相続税の納税資金がなく法人株式しか遺産がないのなら、自社で株式を購入する方法も検討できます。

しかしこの方法は会社の体力を削ることになるため、運転資金が潤沢でなければ経営自体に問題が起きる可能性もあると留意しておいてください。

 

法人を相続させることができず解散した場合は?

子や親族に後継者として会社を引き継いでもらうことができず、法人を解散した後で清算・休業・廃業という選択をした場合はどうなるでしょう。

使っていた設備や車両などを換金したとしても、低価格で精算されることになるでしょうしそもそも無価値と判断される可能性もあります。

土地などの不動産も十分な換金は望めず、売掛金や未収入金も回収できない部分が発生するなど様々な不都合が生じるでしょう。

仮に換金で利益が出れば法人税の対象となり、会社を清算すればこれまでの積立部分みなし配当(配当所得)になるので所得税が課税されてしまいます。

休業や廃業のときも同様の結果になることが想定されます。

 

まとめ

法人の相続や事業承継は経営計画の一部と捉え、スムーズに進めていけるように事前の準備を行っておきましょう。会社の相続や事業承継では、自社株式を後継者が受け取ることとなります。そのとき、納税資金などが手元になく株式を他人に譲渡してしまえば、その割合次第で会社を乗っ取られてしまう可能性もあるということです。

後継者問題に陥らないために事前の対策をしっかり立てておき、後で問題が起きないように運転資金を確保しておくことが必要といえます。

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