「M&A」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。経営者ではなかったとしても、何となく理解しているもいるはずです。テレビドラマや小説などでもよく見かける言葉となりました。
M&Aとは企業の合併や買収を指しています。企業のすべてを売り渡してしまうケースも指しているのですが、一部の株式や一部の事業を譲渡することもM&Aとよんでいるのです。要はM&Aは資金調達として利用されることもある、ということなのです。
会社の一部の事業を売却することで会社自体を存続させる、という方法もあります。資金繰りが悪化し倒産が迫っている時には、M&Aによる対応も考えましょう。
こちらではM&Aによる資金調達についてお伝えします。融資といった一般的な資金調達以外の方法の選択を考えている経営者の方は必見です。
目次
事業譲渡によるM&Aについて
・事業譲渡によるM&Aとは|特定の事業のみを譲渡する
会社にはいくつかの事業がある、というケースもあるでしょう。
例えば大企業であるソフトバンクですが、国内通信事業をメインと行っています。しかしそれだけではありません。インターネットの広告事業をメインとするヤフー事業やプロ野球チームの運営まで行っているわけです。
大きな企業を例としてあげましたが、中小企業であったとしても複数の事業を抱えているケースは珍しいわけではありません。特に創業してから一定期間が過ぎ、ある程度の利益が上がると経営者は新たな事業をおこしたくなるものなのです。
ただしどんな事業であったとしても売却ができるわけではありません。そもそも買い手がつかなければ、事業譲渡によるM&Aは成立しないのです。
一般的に譲渡できるのは利益が出ている事業となります。または将来的にでも大きな利益が上がると考えられる有望な事業であることが条件となっています。
・売却価格の目安について
年間の営業利益の5倍から7倍程度で売却できることが多くなっています。
仮に年間で8,000万円の営業利益が出せる事業であれば、4億円から5億6,000万円程度で売却できる可能性があるわけです。
簡単に言ってしまえば、5年間から7年間分の利益を売却することで前もって回収できる、ということになるわけです。
・事業譲渡による資金調達のデメリット
今後の利益が減少する可能性が極めて高くなります。
前述したように譲渡できる事業は利益が出ているものであるか、将来が有望なものです。すでに利益が出ている事業を譲渡する場合には、今まで得られていた利益が得られなくなってしまうわけです。
前述したケースであれば、年間8,000万円の営業利益が出ているわけです。その8,000万円の営業利益が翌年は得られない、ということになってしまいます。
現状では利益が出ていないものの有望である事業であれば売却は可能です。しかし有望である事業も2年後か3年後には黒字に転換する可能性が高いと考えられるわけです。譲渡してしまえば、その将来的な利益が入らない、ということになってしまいます。
事業譲渡をする場合には、獲得した資金を元手に新たな事業を模索する、というケースが多くなっています。利益がある事業を手放したので、新たに利益が上がる事業を展開していく必要があるからです。
また企業的なコストダウンをはかることによって、健全経営を行っていけるよう環境を整える必要もあります。
・事業譲渡による資金調達のメリット
資金を獲得するのが主なメリットとなります。
今後数年分の利益を前もって確保することになります。また企業としての運転資金を得ることにもつながるわけです。
事業の縮小と、といったメリットもあります。
いくら利益が上がっている事業とは言えば、企業としてあまりにも手広く事業を展開していると負担になってしまいます。金銭的な問題だけではありません。社員の負担も大きくなってしまう可能性があります。
また専門性のあるサービスの提供が難しくなることも考えられるわけです。
事業を絞ることで、より専門的なサービスが取引先へ提供できるようになりますサービスの向上効果、というものも事業譲渡にはあるのです。
株式譲渡によるM&Aについて
・株式譲渡によるM&Aとは|株式の一定数を企業へ売却する
企業自体を譲渡するわけではないので、一定の株式を経営に参画したい企業に売却します。あくまで全ての株式ではなく一定数となっているところに注目しましょう。
株式譲渡によるM&Aに関しては、会社の経営者やオーナーが多くの株式を保有していることが条件となっています。その保有している株式を譲渡することになるからです。株式をほとんど保有していなければ売却するものがありません。株式譲渡によるM&Aを行えないのです。
例えば経営者本人が株式の100%を保有しているとします。そのうち30%を売却して、新たに株主になった企業に参画してもらうわけです。
経営者本人の経営権は100%から70%に低下してしまいます。しかし株式を譲渡する時には一定のお金を受け取ることになるので、資金を補強できるのです。
・株式譲渡によるM&Aのデメリット
経営権の問題があります。
上記した100%から70%に株式の保有割合が下がる程度であれば問題ありません。自身にまだ経営権があるからです。
しかし株式の保有率が50%を下回ってしまえば経営権を失ってしまうことも考えられるのです。自社の運営を思ったようにできなくなってしまいます。ですから株式譲渡によるM&Aには金額的な限界があります。
株式譲渡によるM&Aを実施する場合には自身の持ち株割合にあわせて、どの程度の株式を譲渡するか決めましょう。
手続きが多少煩雑になる、といったデメリットも忘れてはなりません。
株式譲渡によるM&Aですが、厳密には経営者個人が保有している株式を譲渡したことになります。会社にお金が入ったことにはなりません。
会社の資金調達とするためには、経営者から借り入れをした、または社債を発行した、というような手続きをしなければなりません。手続きが必要になってくるわけです。
・株式譲渡によるM&Aのメリット
最初に株式を発行したときよりも株価が高くなっている可能性もあります。株価が高くなっている場合には、より大きな資金調達につながる、といったメリットがあるのです。
株式譲渡による資金調達ですが、時価で株式を売却します。要はその時に市場価格で株式を売却できるのです。
最初に1株あたり500円で株式を発行していたケースですが、株式譲渡時に1株あたり1,000円となっていたらどうなるでしょうか。1株あたり倍の価格で資金調達ができる、ということになります。
もちろん株価が下がっている可能性もあるので、株式の市場価格については前もって確認しておきましょう。
番外編|資本提携によるM&Aについて
M&Aは株式譲渡や事業譲渡だけではありません。
資本提携というものもあるのです。
資本提携については資金調達になることもあれば、資金調達にならないこともあります。
資本提携については、お互いの株式を取得します。そうすることによって業務の提携を強化するわけです。
資本提携で資金調達とするためには、自社の出資額よりも提携先の出資額の方を多くしてもらわなければなりません。
出資額を多くしてもらえるかは自社の事業が魅力的であったり、将来性があったりしなければなりません。
資本提携と似ているものとして業務提携もあります。業務提携については事業上の提携をしてお互いの収益性を高めるものです。
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