自分の会社ですが、「安全である」と考えている経営者の方が多いのではありませんか?しかしそんな自信たっぷりの会社であったとしても、急に倒産してしまうことも珍しいわけではありません。
そもそも黒字であるにもかかわらずに倒産するようなケースまででてきてしまっているのです。そんな時代に「自分の会社は安全だ」と思っている方が危険ですよね。
では自分の会社の危険性をどのように察知すればよいのでしょうか?黒字倒産の例もあるので、単に売上だけをチェックしても意味がありません。売上が良くても倒産する会社はあるのです。
こちらでは資金の流動性、というものをテーマとして取り上げます。資金の流動性を把握することで、自分の会社が安全であるか、それとも危険であるかがわかるのです。
目次
なぜ資金の流動性が重要なのか?
・短期の支払能力を把握できるから
資金の流動性ですが、現金のようにすぐに使えるもののことを指しています。もちろん現金も含まれています。流動性とは固定とは反対のものを指しているわけです。
固定資産を持っていたとしても、支払能力に影響を与えるでしょうか。固定資産としては不動産などがあります。土地や建物といったものを指しているのですが、売却を使用にもすぐには売れません。数ヶ月もかかってやっと売れるか売れないか、といった状況になってしまうわけです。売れるまでに数年かかってしまうかもしれません。それではとても流動性があるとは言えません。急に資金が必要になったとしても活かせない資産というわけです。
流動性のある資産を持っておくことで、資金が減ってしまったとしても早めに対応できます。資金繰りの悪化もすぐに解消できるわけです。
会社として流動性のある資産を確保していく、ということはのちのち会社を守ることにもつながってくるのです。
流動性のある資産とは?
①現金
②預金
③有価証券
④売掛金
⑤受取手形
⑥商品や原材料など
会社によって流動性のある資産には違いがあることもあります。
共通しているものとしては現金や預金があるでしょう。現金や預金についてはすぐに支払いに利用できます。現金はそのまま利用できます。預金についても振込に利用できますし、すぐに引き出すこともできるわけです。
ただし預金についてですが、長期の積立貯金などを利用している場合には流動性のある資産とは言えないかもしれません。
有価証券も流動性のある資産の一つです。有価証券については長期の保有を考えているケースもあると思いますが、会社の経営が傾けば現金化をして資金繰りを改善させられるわけです。ただし有価証券の種類によっては早期の現金化は難しいかもしれません。東証一部上場などの有価証券であれば、早期の現金確保も可能です。
売掛金や受取手形も流動性のある資産といえるでしょう。売掛金や受取手形は1ヶ月から3ヶ月程度で入金される事がほとんどです。回収できないようなケースもありますが、基本的には期日通りに振り込まれるものなので、流動性のある資産に入ってきます。
商品や原材料も流動性のある資産でしょう。商品については販売できれば現金化されるわけです。原材料については加工して部品などにすれば売れるわけです。比較的早い段階で現金化できる可能性のある流動性資産です。
資金(資産)の流動性を確認する計算式について
・手元資産の流動性を計算してみよう
【計算式・・・現金+預金+短期有価証券(※)】
※基本的に1年以内に換金できるタイプの有価証券のことを指しています。
計算式としては非常に簡単なのですぐにでも計算できるでしょう。現預金と換金性の高い資産が会社内にどれくらいあるのかを表す式となっているのです。
以下のケースで計算してみましょう。
・現金・・・300万円
・預金・・・1,000万円
・短期有価証券・・・300万円
計算式に当てはめると「300万円+1,000万円+300万円」となります。計算結果は1,600万円となります。
会社として早い段階で動かせるお金の限界が1,600万円ということになるのです。もちろんこれは会社の現時点での余力ということになります。借り入れできる金額などは含んでいません。
会社だけで対応できる支払いの限界額を知りたい、という場合にはこちらの計算式を用いてチェックしてみましょう。
注意してほしいのが有価証券です。
有価証券については、その時々によって価値が変動してくるわけです。株価は変動するものですからね。短期有価証券の金額については、現時点での株価を参考にして計算しましょう。購入時の株価で計算してしまうと、現状とは異なる金額が計算されてしまうことになります。いま換金したらどうなるのかを計算することが大事なのです。
※手元流動性の計算では売掛金や受取手形は含みません。そもそも売上代金に関しては、取引先の支払能力が大きく関連しているからです。もちろん流動性のある資産ではありますが、売掛金や受取手形などの売上債権は換金能力が高いとは言えないので計算では除外することになります。
・手元資産の流動性比率を計算してみよう
手元資産の誘導性比率ですが、会社の短期的な支払い能力を分析できるものです。経営指標の一つに入ってくる非常に大事なものになってきます。
計算する上で重要になってくるのが月商です。月商については年間の売上高を12で割って算出してください。
【計算式・・・手元流動性÷月商】
それでは以下のケースで実際に計算してみましょう。
・現金・・・300万円
・預金・・・1,000万円
・短期有価証券・・・300万円
・年商・・・1億2,000万円(月商1,000万円)
計算式は「(300万円+1,000万円+300万円)÷1,000万円」となります。計算結果は「1.6」となるわけです。要は1.6ヶ月分の流動性資産を保有している、ということになります。
【手元流動性比率はどの程度あれば良いのか?】
優良企業の条件としては「1.5ヶ月以上」となっています。
手元流動性の資産が1.5ヶ月以上あれば、企業の安全性は高い、と判断できます。もしも急な支払いをしなければならないような状況になったとしても、会社の独力で対応できる可能性が高いわけです。
【手元流動性が高すぎるのも問題ってホント?】
手元流動性は、確かに1.5ヶ月以上あるのが良い、とされています。しかし手元流動性が高すぎるのも問題なのです。
その理由ですが、要は資金を手元に寝かせている、ということになりますよね。1.5ヶ月以上あれば企業としては安全なのに、3ヶ月分や4ヶ月分も会社に流動性のある資産を寝かしている、という状況はどうでしょうか?
それだけの流動性のある資金があるのであれば、設備投資などをして事業を各段するようなことも目指すべきではありませんか?店舗やオフィスを増やして各地に展開する、ということを考えても良いかもしれません。
最近では守りに入った経営をしている企業も多いです。特に大企業では内部留保が過去最大になった、といったこともニュースになっているので知っている方も多いでしょう。しかし預金をしていても利息はつくでしょうか。ゼロ金利政策どころかマイナス金利政策の影響で、銀行にお金を積んでいても資産は増えません。ある程度のリスクは仕方ないと考え、一定の流動性のある資金を確保したら、攻めの経営も考えるべきなのです。
手元流動性の高さだけにとらわれるのは良くありません。基準を知り、その基準程度であればしばらくは安全というだけです。
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