手形割引とファクタリングの違いとは?どちらの手法が得か徹底解説!

2019/11/05
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資金調達の場面で、銀行融資は期待できないという場合、手元の売掛債権を現金化させようと考えることもあるでしょう。借金を作らずにすでに保有している売掛債権という資産を現金に換えることができれば、後の資金繰りも悪化させることも少なくなると考えられるからです。

もし売掛債権を現金に換えて資金調達する場合、方法として挙げられるのは手形割引とファクタリングですが、どちらも売掛債権を買い取ってもらい現金化するという似た手法であるため、違いがよくわからないという方もいるようです。

そこで、資金調達をより有効に進めるために、手形割引とファクタリング、それぞれどのような手法なのか、特徴や2つの違いについて徹底解説していきます。

 

手形割引で用いる手形とは?

一定の権利や資格を証明する書面手形といいますが、商取引で用いられる手形とは商業手形のことです。

この商業手形とは、商品やサービスを販売・提供するという商取引に基づき、事前に取り決めた金額を特定の期日に支払うことを約束する証券のことで、主に企業間取引による支払いで用いられます。

商業手形には約束手形と為替手形という種類があります。

 

約束手形とは

手形を発行する振出人と、将来手形に記載された金額を受け取ることになる受取人との間の取引で、期日に一定金額を支払うことを約束するための証券が約束手形です。振出人が受取人に支払いを約束するための手形であるといえます。

 

為替手形とは

振出人が手形の支払いを第三者に委託し、受取人に一定金額を支払ってもらう形式の有価証券が為替手形です。

振出人と受取人だけでなく、支払いを行う第三者である支払人が間に入り取引が行われる形となります。

 

手形を用いた商取引の流れ

一般的な手形という呼び方が指すのは約束手形のことであると理解しておきましょう。

まず手形を振り出す振出人になるのは、銀行で当座預金口座を開設することが必要になります。振り出した手形の期日になると、当座預金から手形金額が引き落としとなり、受取人に支払われることになります。

まず商品やサービスを販売・提供した代金を請求したとき、取引先から振り出された手形を受け取ったとします。

手形を受け取ると自社の取引銀行に手形の換金依頼を行うことが必要となりますが、依頼を受けた銀行と振出人の取引銀行は手形交換所で手形交換を行います。

その後、振出人の取引銀行は振出人の当座預金から手形金額を引き落とし、受取人である自社の取引銀行にその資金が送金され、その後、取引銀行でその代金を受け取ることが可能になるという流れです。

 

手形を商取引で用いるメリット

とても複雑で面倒な流れが必要になる手形による取引ですが、なぜわざわざ手形を振り出してまで支払いを行うことが必要なのか疑問を感じることもあるでしょう。

それは、手形を支払いに用いることで、次のようなメリットがあるからです。

 

手形決済のメリット1 資金繰りを調整できる

本来、商品やサービスを購入し、請求書を受け取ると事前に決められた期日にその売掛金の金額を支払うことになります。
しかし手形を振り出すことによって、支払期日をさらに延長することが可能になるのです。

もちろん、支払いを手形で行ってよいという同意のもとで取引が行われることになりますが、手形の支払期日までに支払う金額を準備すればよいので猶予が与えられます。

売上などによる入金と仕入れ発生する支払いのタイムラグを調整し、資金繰りをコントロールすることが可能となるのは大きなメリットになるでしょう。

 

手形決済のメリット2 金利は発生しない

仮に受け取った請求書の支払いに充てる資金がなく、銀行などの金融機関から融資を受けて資金調達した場合には利息が発生してしまいます。

しかし手形を振り出すことにより、融資を受けることで発生する利息はなくなり、期日が到来するまで支払いを先延ばしにすることが可能なのです。

 

手形決済のメリット3 手形を利用できること自体が信用力の高さの証明に

手形を振り出すことが可能であるということそのものが、銀行での厳しい審査に通った証となるため、社会的にも信用力が高いと認められるという点でもメリットがあります。

 

手形決済のメリット4 受取人にとってもリスク軽減のメリットが

商品やサービスを販売・提供し、請求書を発行して入金されるのを待つという掛けによる信用取引は、信用を基準とした後払い方式の取引形態です。

ただ、法的な拘束力は弱く、万一売掛金が入金されなかった場合のリスクも考えておくことが必要になるでしょう。

しかし、手形を用いた取引を含ませることで、入金される可能性はグッと高まります。

その理由は、万一振出人の当座預金口座から手形金額が期日に引き落とされなかった場合、不渡りという扱いになることが挙げられます。

もしこの不渡りを半年以内に2度発生させてしまうと、銀行取引は停止となり事実上の倒産扱いとなってしまうからです。

手形の振出人が事業を継続させるためには、期日には当座預金に確実に入金を行い、不渡りを出さないようにすることが必要になります。そのためただの売掛金という形で請求するよりも、手形を含めた取引の方が代金が支払われる確実性は高くなるといえるでしょう。

 

手形決済で取引を行う上でのデメリットにも注意

ただし、手形を振り出すことは支払期日に手形通りの支払いを確実に行うことが必要になります。

万一、当座預金残高が不足していた場合には先に述べたとおり不渡りになってしまうことは大きなデメリットといえるでしょう。

不渡りを出してしまうと、手形交換所で不渡り処分を受けることになり、すべての金融機関にその旨が通知されることになります。

さらに半年以内に2度目の不渡りを出してしまうと、いよいよ銀行取引は停止となり、当座預金での取引と融資は2年間利用不可となるため、事実上、倒産したとみなされることになり社会的信用は失うことになるでしょう。

手形による取引を行っていなかったのなら、支払い期日を延長してもらうように交渉したり、その他の資金調達方法でその事態を回避させることは可能となるのかもしれません。それらのことも踏まえた上で、手形による取引を行うか検討することが必要です。

 

手形による決済は余計な費用もかかる

手形を振り出しても利息は発生しないものの、振り出すときには手形の額面金額に対する印紙税が必要です。

たとえば500万円なら千円、1千万円なら2千円など、金額が大きくなったり手形の枚数が増えればその分納める印紙税も大きくなりますし、手形専用紙の費用も別途必要です。

 

手形割引とは

手形を振り出して決済することはメリットもあればデメリットもあります。手形割引とは自社が手形を振り出し資金調達する方法ではなく、振り出された手形を受け取った場合において、期日よりも先に現金化させることで資金を得る手法です。

請求書の代金を現金ではなく手形で受け取ったものの、期日までの期間が長いためその間の支払いに充てる資金が不足してしまうといったこともあるかもしれません。

このような場合、取引銀行などに手形割引を依頼することで、割引料を差し引かれた金額を期日よりも先に受け取ることができます。

後日、手形の振出人の当座預金から手形金額が引き落とされ、その代金を手形を割り引いた銀行が受け取るという流れです。

 

手形割引とファクタリングの違い

ファクタリングとは、商品やサービスを販売・提供したことで発生する売掛金をファクタリング専門業者に売却、入金される期日よりも先に現金化させる手法です。

手形割引とよく似ていると感じる方もいるようですが、ファクタリングは売掛金という売掛債権の売買取引による資金調達であるのに対し、手形割引は受取手形という売掛債権を担保に銀行などから融資を受けるという形になる点で大きな違いがあります。

 

さらに貸し倒れリスクの所在も異なる

ファクタリングは売掛債権の売買による資金調達の方法です。そのため、ファクタリングを利用した後で売掛先が倒産してしまい、本来の入金予定の期日に売掛金が支払われることがなくなったとしても、ファクタリングの利用者はその責任を負う必要はありません。

しかし手形割引の場合、あくまでも売掛債権を担保に融資を受ける形となりますので、振出人が期日に当座預金に入金できず、不渡りを出してしまうと手形に記載された金額すべてを銀行に支払い、その手形を買い戻すことが必要になってしまいます。

この貸し倒れリスクは誰が負うことになるのかという点で、ファクタリングと手形割引には大きな違いがあります。

 

発生するコストが異なる

ファクタリングを利用する場合、2社間ファクタリングであれば10~20%、3社間ファクタリングで1~5%が手数料相場です。

対する手形割引だと、銀行を利用すれば1.5~5.0%、手形割引業者で3.0~15.0%が一般的な相場となります。

どちらもそれほど違いはないと感じるかもしれませんが、ファクタリングは入金までの期日が60日程度空く売掛金を売却することで資金化する手法でありますが、手形割引で用いる手形は長ければ入金まで200日を超えるものもあります。

入金までの期間と発生する手数料で考えた場合、手形割引の方が費用は割安になるといえるでしょう。

 

貸金業法の対象になるかならないか

手形割引は受取手形を担保にした融資であるのに対し、ファクタリングは売掛金の売買です。

手形割引はあくまでも融資という扱いになるため、貸金業法による規制を受ける点でもファクタリングと大きな違いがあります。

貸金業法の対象になるということは、貸金業の登録業者であることが必要であり、利息制限法の範囲内で割引料が設定されることになります。

しかしファクタリングは貸金業の登録業者である必要はなく、独自の審査で手数料が設定される点で違いがあるといえるでしょう。

 

審査により重視される項目が違う

手形割引はあくまでも融資という形であるため、赤字決算や債務超過、税金未納という状態では審査が通らないなど、利用する側の信用力が重視された審査が行われることが特徴です。

しかしファクタリングは売掛金の売買であることから、利用者ではなく売掛先の信用力が重視された審査が行われます。

仮に利用者が赤字決算や債務超過、税金未納などで財務状況がよくなくても、売掛先の信用力が高ければ利用できる可能性は高くなるということです。

財務状況や経営状態で悩みがあり、銀行融資など申し込んでも審査を通過することが難しいと考えられる場合には、保有している売掛金を現金化させるファクタリングを利用した資金調達が有効な手法となるといえるでしょう。

 

売掛金と受取手形のどちらを利用するべき?

手形割引とファクタリング、どちらを利用する場合でも売掛債権を保有していることが必要です。

売掛金がなければファクタリングは利用できませんし、受取手形がなければ手形割引は利用できません。

仮にどちらも保有している場合、どちらを優先して利用したほうがよいのか迷ってしまうことになるでしょう。

たとえば、30日後に入金される予定の売掛金と、120日後に入金される売掛金と同額の受取手形を保有していたとしましょう。

資金繰りに売掛金と受取手形、どちらとも同じ金額を調達したいと考えた場合には、手数料を抑えるという点で考えれば手形割引で受取手形を現金化させたほうがよいでしょう。

仮に同じ手数料が発生する場合でも、手形の方が入金されるまでの期間が長いのでかかる費用が割安となり、かなり先の入金予定日を前倒しにすることができます。

しかし気になるのはやはり貸し倒れリスクです。この点を重視して考えるのなら、ファクタリングで売掛金を現金化させるほうが安心ですし、現在、赤字決算や税金未納などで悩んでいるのならやはりファクタリングで売掛金を現金化させたほうがよいといえます。

 

まとめ

手形割引は支払い代金として受け取った手形を、決済日より先に現金化させて資金調達する手法であるのに対し、ファクタリングは売掛金を支払い期日より前倒しで現金化させて資金調達する方法です。

どちらも似た内容に思えるかもしれませんが、融資なのか売買なのか、貸し倒れリスクの所在、審査のハードルなどいろいろと異なる点が多くあります。

財務状況が悪化していて銀行融資などを利用できないという場合でも、ファクタリングなら信用力の高い売掛金を保有していることで資金調達できる可能性が高くなりますし、融資を受けるわけではないのでリスクを背負うこともなくなります。

将来受け取る予定の代金を前倒しで現金化させることにより資金を調達することが可能になるため、資金繰りが改善しやすいことも大きなメリットといえるでしょう。

ただ、貸金業登録などが必要のない業界であるため、悪徳な業者などが横行しやすい状態を作ってしまっています。

もしファクタリングで資金調達することを検討するのなら、どのファクタリング専門業者を利用するのか、業者選びが非常に重要になるということは理解しておくことが大切です。

上手く利用すれば資金繰りをコントロールさせることが可能となり、売上代金が入金される前に発生する仕入れや経費、人件費、税金などの支払いに充てる資金の工面にも大変有効です。

相場と大きくかけ離れた手数料を提示するようなファクタリング専門業者を選んでしまわないためにも、もしファクタリングを利用するのなら複数社から見積もりを取得するなどで、しっかり比較しながら選ぶようにしてください。

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