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【2020.4】個人事業主が売掛金を回収できないときの対応と経理処理を徹底解説!

ファクタリング2019/07/29

会社員として働いていた方が独立し、ベンチャー企業を立ち上げたりフリーランスとして働くことはめずらしいことではなくなりました。

まずは個人事業主として事業基盤を確立させていこうと心機一転、独立したものの売上や売掛金など会計処理に手間取ってしまうこともあるようです。サラリーマンであれば行うことのなかった会計処理や税務処理。日々の売上や売掛金発生、売掛金の回収などに悪戦苦闘する方も少なくありません。

中でも掛け取引により発生する売掛金は適切に管理・期限内に回収することが重要であり、請求書を発行してから回収できるまでの時間にも注意が必要です。未回収のまま放置していれば、気がついたときには貸し倒れになっていた…ということも少ないありません。

そこで、スムーズに売掛金を支払ったもらうためにどのような対応をすればよいのか、回収できないときの対応や会計処理の方法などについて徹底解説していきます。

 

そもそも会計処理に出てくる売掛金とは?

売掛金とは、商品やサービスを販売・提供してあがった売上に対する代金の支払いがまだのものです。

日本の商取引では、販売・提供のタイミングで代金を受け取るのではなく、一定期間内に発生した売上分は後日まとめて請求し、事前に取り決めた期日までに入金してもらうことが慣習化されています。

未回収の売上分は経理処理で売掛金という形で計上されますが、請求書を発行して取引先に渡しているのに、期日になっても入金が行われない場合は資金繰りにも悪影響です。

 

売掛金の請求書を発行しているのに支払いがない場合

まずは支払期日を再度確認し、本当に支払いが行われていないか確認します。

複数口座がある場合には、別の口座に入金されているかもしれませんし、間違った金額で入金されているなどの理由で気が付いていない可能性もあります。

現状確認をし、それでも未入金の状態なら必要に応じて催促を行いましょう。仮に催促しても応じてもらえないなら、再度期限を設定した督促状としての請求書を再発行して送ります。

督促状を送っても明らかに相手に支払う意思がみられない場合など、内容証明郵便などの文書使った上での催促または督促も必要です。

売掛金にも時効は存在しますが、内容証明郵便で送ることで時効の進行を半年は止めることができます。それでもさらに支払いが行われない場合には時効が成立してしまわないように督促し続けることも必要ですし、法的手続きや訴訟・裁判なども考えられます。

ただ、裁判所などでの手続きは一般の方では適切なやり方はわからないものです。この場合は代理で裁判所などで手続きを行ってくれる弁護士など専門家に相談した上で手続きを行うべきか決めるようにしてください。

 

貸し倒れになってしまった売掛金の種類

未回収の売掛金を回収しようと手はつくしたけれど、それでも期限内に支払ってもらえない場合も出てこないとは限りません。

仮に取引先の業績悪化など財務状況などを見た際、支払ってもらうことは難しいと判断できる場合、回収の見込みがない売掛金は経理処理において貸倒損失として損金算入することもできます。

なお、貸倒金には税金計算上、次の3種類に区分されます。

 

法律上の貸倒金

業績悪化などで会社更生法や民事再生法などが適用され、法的な規定で切り捨てられているなど、明らかに回収できない状態の売上代金のことです。

 

事実上の貸倒金

取引先の支払能力の悪化や、経営者が亡くなったり行方不明になったなどで、明らかに回収できなくなってしまった状態の売上代金などを指します。

ただし、担保がある場合には、担保を処理した後でないなら損金として計上できませんので注意してください。

 

形式上の貸倒金

・継続して取引を行っていた取引先の支払能力が悪化したことにより、取引停止などの措置を講じたものの。1年以上に渡り代金の回収ができない場合や、回収にかかる費用が売掛金額を上回るケースが該当します。

この場合、取引先の売掛金額から、備忘価額(1円)を控除した残額を貸倒処理するという方法で処理しますが、損金として計上できるのは売掛債権のみで貸付金などはこの方法では処理できません。

なお、形式上の貸倒金の会計処理による仕訳については後述します。

 

取引先の未払いは個人事業主共通のリスク

取引先を選ぶときには、なるべくリスクの少ない安心できる相手と取引したいと思うものです。契約当初は信頼関係をしっかり築き、未払いなどのリスクはまずないだろうと思っていたものの、相手の経営状況が悪化したことで売掛金を支払ってもらえなくなるかもしれません。

この未払いリスクはどの個人事業主でも抱えるリスクといえますが、未払いに至るまでにはだんだんと期日に遅れた支払いになるなど、何らかの前触れが見られるはずです。

その前兆を見逃さないようにする与信管理がポイントとなりますが、その中で何か危機を感じる場合には、取引金額や数を減少させたり、回収期日を早めるなど事前の対応も必要となるでしょう。

また、未回収のまま放置していると売掛債権は時効を迎えて請求できなくなりますので、注意してください。

 

取引先の担当者の対応にも注意

個人事業主の場合、取引先の経営状態が良好だとしても担当者の業務対応などがいい加減で、不当な扱いを受けてしまう可能性も考えられます。

法人よりも社会的な信用度は低いとみなされがちな個人事業主ですが、立場の低さを利用し報酬の支払いを後回しにされる可能性もあります。

そのため契約する取引先を決めるときには、取引先の信用力はもちろんのこと、担当者の業務における対応なども十分注意しておくようにしましょう。

電話やメールのレスポンスが遅い相手はトラブルが起きやすく、のちに問題が大きくなりやすい傾向がみられます。

会社規模や知名度に惑わされるのではなく、お互いが人として信頼できる関係を築き、安心して仕事ができることが重要となるでしょう。

 

未回収が発生しないように売掛帳による売掛金管理を

取引先にいくら売掛金があり、いつ入金されるのか、未回収のまま残っているものはないかなど、売掛帳に記帳して管理を行うようにしましょう。

売掛金を計上し、売掛帳に記帳するタイミングは売上が上がったときです。

商品やサービスが売れて請求書を発行するときですが、もし請求書を発行しない場合には取引先の〆日に合わせて売上高を計上するようにします。

この売上を計上するタイミングは、一旦、ルールを決めた後変えないようにしてください。

この場合の仕訳は、

借方:売掛金/貸方:売上

となります。

 

貸倒損失を損金処理するときの要件

貸倒損失を損金として処理するためには、裁判所で処理される破産状態にあるなどいろいろな制限を満たす必要があります。気軽に使ってよいわけではありませんので、次の項目のいずれかに該当するか確認の上、処理を行うようにしてください。

 

金銭債権が切り捨てられているか

  • ・会社更生法、金融機関等の更生手続の特例などに関する法律、会社法、民事再生法の規定などで切り捨てられた金額であること
  • ・法令規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定、および行政機関や金融機関などのあっせんによる協議により、合理的基準に従い切り捨てられた金額であること
  • ・相当期間に渡り債務超過の状態が続き、弁済を受けることができない場合において書面で相手に明確にした債務免除額であること

 

金銭債権の全額が回収不能となっているか

債務者の資産状況、支払能力などからその全額が回収できないことが明確である場合には、明確になった事業年度において貸し倒れとして損金計上することが可能です。ただし担保物がある場合は、担保物を処分した後でなければ損金経理はできませんし、保証債務も現実に履行した後でなければ貸し倒れの対象とできません。

 

一定期間取引停止後弁済がないか

  • ・継続して取引を行っていた相手の資産状況や支払能力などが悪化したことを理由に取引を停止し、取引停止と最後の弁済などのうち、最も遅い時から1年以上経過していること
  • ・同一地域の債務者に対しての売掛債権総額が取立費用より少なく、支払督促を行っても弁済されないこと

 

売掛金が回収できなくなったときの処理

このような要件を満たす場合、貸倒金として損金に算入することができます。

先に述べた形式上の貸倒金に該当するものとなりますが、ここで一定要件が認められるためには、

  • ・取引停止日から1年以上経過しているか
  • ・代金回収のための努力をしたか
  • ・継続した取引を前提とした売上に対する代金だったか

を確認してください。

上記を確認の上、貸倒金として処理する場合には、1円マイナスした金額貸倒金として経費計上します。

この残す1円という金額を備忘価額と言います。「備忘」と名称にあるように、完全に除去した資産と現物として手元に残っている資産を区別するため、1円で残して固定資産台帳から消えないように処理します。

 

備忘価額を残した売掛金の仕訳

売掛金の回収が滞り、ついに取引先が倒産して売掛金を貸し倒れとして処理を行わなければならなくなることもあるでしょう。

回収不能の売掛金貸倒損失とする場合には、

借方:貸倒損失/貸方:売掛金

という仕訳で処理を行います。

このとき、売掛金が1円残るように金額に注意してください。

 

未回収となった貸倒金を計上するタイミングは?

貸倒金として計上するタイミングですが、取引を停止した日から1年を経過した日を含む年分の確定申告で計上ます。取引停止日より、最後の支払日または最後の支払期日が後の場合は、どちらか遅い日から1年を経過した日を含む年分の確定申告となります。

先に述べた貸倒金を計上する際に確認したい項目の中にある1年以上とは、1年経過すればいつでもよいという解釈ではないということです。

計上するタイミングがあまりにも遅れてしまうと、意図的に利益を調整したと捉えられる可能性があり、税務調査で問題視されることもあるため注意してください。

 

未回収である貸倒金の損金算入について指摘されないためにも

貸倒金で損金に算入したことが、後の税務調査などで問題にされないためにも、処理をしなければならなくなった証拠の資料を残しておくようにしましょう。

特に取引先が行方不明になってしまった場合など、足取りを掴むことができない状況を証明することが必要です。

たとえば、請求書などを送ったけれど宛先が不明のまま戻ってきた郵便物や、所在地だとされていた場所が現在はもぬけの殻になっているなど現地の写真など、税務調査官を納得させるための資料が必要になります。

この場合、経費として計上するタイミングは、行方不明であることが明確になったときです。

先の例でいえば、取引先に請求書を送ったけれど宛先不明で戻ってきたタイミングで、その年分の確定申告により貸倒金で処理をすることになります。

もしその年分で損金に算入せず、次年分以降で経費としてしまうのは原則、認められませんので計上のタイミングに注意してください。

簿記など詳しくなく経理処理で迷いがある場合は、税理士などの専門家にも相談してみることをおすすめします。会計処理なども代行して行ってもらえれば、適切な処理が可能となります。

 

郵便物などの書面も残しておくこと

また、簡易書留、特定記録郵便、内容証明郵便などで、取引先に送った請求書や督促状の記録も残しておきましょう。

これらの郵便の場合、追跡サービスを利用することが可能ですので、もし相手に郵便物が届いたことが確認できた時点で、電話などで再度念押しすることも行います。

電話で連絡した日時や会話の内容記録しておくようにしておき、税務調査ではこのような証拠も提示できるようにしておくことが大切です。

 

売掛金が回収できなくなる前の対策として

売掛金が回収できない事態は避けなければなりませんが、どれほど注意していても絶対に起きないとは限りません。

ただ、未回収のまま売掛金が残ってしまうと、事業を営む上で必要となる資金は不足してしまいますし、資金繰りも悪化してしまいます。

取引先が倒産した場合には、最悪の場合、連鎖倒産というリスクも発生することが考えられますので、与信管理などを徹底しリスクを回避することを心掛けるようにしてください。

また、売掛金を貸し倒れさせないために、先に現金化させるという方法もあります。

 

売掛金を現金化させるファクタリングとは

売掛金を現金化させる方法とは、近年、中小企業や個人事業主などのあらたな資金調達方法として取り入れられているのがファクタリングです。

ファクタリングを利用する場合、手数料はかかりますが取引先に知られることなく、期日よりも前に売掛金を現金化させることができます。

また、お金を借りるわけではないので金利などは発生せず、急な資金調達で困ったときにも対応できる方法として活用されています。融資を受けるわけではないので担保や保証人も必要ないため、財産を差押えられる心配もありません。

ファクタリング会社に売掛金を売却し現金化させることで手元のお金が増えますし、ほとんどのファクタリング会社が相談無料で対応してくれます。

ただ、即日現金化を可能する業者か事前に確認が必要であり、売掛金の金額に下限を設けていたり対応は法人のみという場合もあります。

個人事業主なら法人以外でも対応可能とし、少額の売掛金でも買い取りしてくれるファクタリング会社を選ぶことが必要です。

ファクタリング会社は独立系からノンバンク系、銀行系などかなりの数が存在しますし、中には悪徳な業者も紛れている可能性がありますので、必ず資金ニーズに対応してくれる良心的な業者を選ぶようにしてください。

 

まとめ

個人事業主の売掛金がもし回収できなくなったときの会計処理の方法や、行っておきたい対策についてご説明しました。

絶対に起きないとはいえない売掛金の貸し倒れですが、できる限り発生させないことが重要です。

そのためにも取引先の与信管理を徹底することは重要ですし、ファクタリングなどで事前に現金化することなどを対策として取り入れることも検討してみてはいかがでしょう。

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