民法改正法が2020年4月に施行される!現行法との違いとは?

2019/03/15
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2017年6月、民法の契約に関してのルールを大幅に見直すための民法改正法案が交付され成立しました。

もともと120年前に制定されていた現行法は、専門家なら理解できても一般の方にはわかりにくい内容となっており、120年という長い期間の間による判例のルールなどが明文化されていないことも問題視されていました。

このような流れから同年12月には「民法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が公布され、2020年4月1日民法改正法が施行されることになります。

そこで、この民法改正法でどのような内容が変わるのか、ファクタリングにどのような影響があるのかをご説明します。

 

民法改正により新たに施行される内容

この民法改正法では、

  • ・定型約款に関する規律
  • ・瑕疵担保責任の廃止・契約不適合性の重視
  • ・消滅時効制度の見直し
  • ・法定利率の見直し
  • ・保証制度の見直し
  • ・不動産賃貸借契約における敷金の返還や原状回復義務の明確化

などの改正が実施されることとなりますが、120年ぶりとなった民法大改正において、どこが変わったのか、その内容を確認しておきましょう。

 

消滅時効の時効期間

これまでの消滅時効は業種ごとに異なっていました。

たとえば商事債権は5年、診療報酬や工事請負代金は3年、売掛債権は2年などバラバラだったわけですが、これが知った時から5年という形で統一されます。債権を請求できるとき5年で時効を迎えると理解しておくとよいでしょう。

 

個人の根保証契約には極度額設定が必要

これまでは貸金などの根保証は極度額の定めがなければ無効とされていました。しかし改正後は貸金だけでなく、家賃なども極度額を定めることが必要です。

法人間の継続契約において代表者が保証する場合でも、極度額が定められていなければ無効となります。

また、事業のための貸金債務については公正証書で個人保証の意思を確認することが必要となります。ただし法人が債務者、代表者が保証人という場合には、公正証書でなくても有効です。

 

法定利率が変更に

利息が発生する定めがなされているのに利率が定められていない場合、または遅延損害金の利率が定められていない場合などは、民法の法定利率を適用されます。

なお、法定利率はこれまで5%でしたが改正後は3%に引き下げとなります。

会社間の取引においては、商事法定利率が適用されることで6%となっていましたが、この商事法定利率は廃止されるため、法人・個人関係なく3%の利率が適用されることになりました。

 

約款に対する規制

商品やサービスを購入したとき、消費者との契約条項や免責事項などが規定されているものが約款です。

もし約款の内容を消費者が理解できていなくても、事前に示していれば契約は有効となりますが、その内容が消費者側の一方的に不利益になる条項が設けられている場合などは無効になります。

 

債権の譲渡性の変更

今回の法改正で、特にファクタリングに関係の深い債権の譲渡に対する変更についても確認しておきましょう。

民法改正により、譲渡禁止とされてきた債権は譲渡制限債権へと変わります。ただし、譲受人となる側が譲渡禁止を知っている場合、債務者は譲渡人に弁済することで譲受人への対抗が可能という内容です。

わかりやすく3社間ファクタリングにあてはめていくと、まず売掛債権を買い取るファクタリング会社が譲渡禁止を知っている場合や、知らない場合でも知っていたとみなされる場合には、売掛先に抗弁権が認められることとなります。

売掛先はファクタリングを利用する会社に通常通り支払いを行えば、ファクタリング会社に対抗することが可能という流れです。

 

●譲渡禁止とは

譲渡禁止とは譲渡を規制することですが、禁止されていることを知らず譲渡してしまったり、知っていたけれど譲渡したりという場合もあるでしょう。

2社間ファクタリングにあてはめて考えると、売掛債権を買い取るファクタリング会社は、売掛先に対する対抗要件と契約保全の意味で債権譲渡登記を行います。

登記が完了すると、登記概要として債権を譲渡した事実と日付が記載されることになりますが、先に登記されている売掛債権に対して契約を行いたいファクタリング会社はいないでしょう。

ただ、この登記概要からはどの売掛先のどの債権が登記の対象となっているのか確認できないので、ファクタリングを利用する会社が持ち込んだ売掛債権が登記されているかどうかわからず、二重譲渡される可能性も考えられます。

仮に譲渡できてももともとの売掛債権は1つなら、いずれかのファクタリング会社にしか支払いができず、代金を受け取ることができないファクタリング会社が出てくることとなります。

そうなると代金の支払いがされなかったファクタリング会社は大きな損失を被るため、二重譲渡を行った会社に損害賠償を請求するなどトラブルに発展してしまいます。

譲渡が禁止されている債権を譲渡することは契約違反であり、トラブルのもととなると理解した上でファクタリングを利用することが大切です。

 

債権譲渡の扱いが変わると何に影響があるのか

譲渡禁止とされてきた債権が譲渡制限債権へと変わることで、売掛債権の譲渡人や譲受人にはどのような影響が及ぶのでしょう。

 

債権の価値が高まる

民法改正後はこれまで譲渡を禁止されていた債権にも改正法の規定が適用されることとなり、譲渡制限債権とみなされることになります。それによって、ファクタリングや売掛金担保融資(ABL)など、売掛債権を用いた資金調達に活用できる幅が広がるでしょう。

 

債権の流動性が高まる

譲渡が有効になる売掛債権が増えると、債権の流動性が高まりより多くの経営者が資金調達などに活用しやすくなると考えられます。

また、売掛債権を担保などで差し入れる場合にも価値が上がると考えられます。

 

改正前の譲渡禁止よりも改正後の譲渡制限が優先

民法改正前の契約において、契約書の中に譲渡禁止特約が附帯されていたとしても、その効力が法改正後にも及ぶなら譲渡禁止ではなく譲渡制限とみなされます。

売掛債権の流動性が高まり、多くの中小企業が資金調達の場面で活用できることは喜ばしいことかもしれません。

しかし、譲渡禁止特約が附帯された同一債権をすでに民放改正前に譲渡している中、民法改正後に再度他社に譲渡して、どちらも譲受人も譲渡禁止特約について悪意での登記が行われていた場合、改正後の譲受人の登記の効力のほうが有効とされることになります。

二重譲渡があった場合には登記の優劣が争われることとなりますが、そもそも譲渡人が売掛債権を二重に譲渡する行為そのものが契約違反です。繰り返しますが、くれぐれも債権の二重譲渡は行わないようにしてください。

 

まとめ

今回の民法の改正は120年という長い期間ぶりの改正です。

これまで明文化されていなかったルールが新たに含まれることになり、ファクタリングにも大きく影響が及ぶことになるでしょう。

その内容を把握しておくことも大切ですが、民法が改正されることに伴って、新たな制度が浸透していないことを上手く利用する悪徳業者が出てくることも予想されます。

すでに悪徳なヤミ金業者などがファクタリング会社を装い、法外な手数料で多額の金銭を請求してくるケースもあるなど、問題視されている状況です。

まだファクタリング自体には明確な法規制がされておらず、悪徳業者が横行しやすい環境となっていますので、ファクタリングを利用する時には十分に信頼性の高いファクタリング会社かを見極めた上で契約するようにしましょう。

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