資金の調達にファクタリングを検討しているけれど、少額債権は受け付けてもらえないのではないかと不安を感じている経営者は少なくありません。
そこで、一般的にファクタリングはどのくらいの金額で利用されているのか、また、どのような債権が取扱の対象なのか知っておくと安心です。
目次
ファクタリング会社は対象となる債権を買い取る会社
ファクタリングは貸金業ではありませんので、「担保」の設定や「保証人」は必要としません。
ただ、ファクタリングによっては、ファクタリング会社に売った債権の売掛先が倒産してしまい、売掛金を回収できなかった時に利用者に金額を請求する「償還請求権」を設定している場合もあるため、その点は注意が必要です。
この償還請求権が設定されている場合、資金繰りが苦しい状況の中、売掛先の倒産でその分の支払いを負担しなければならなくなると、さらに資金繰りを悪化させてしまいます。仮に支払いが遅れれば、情報機関に情報が反映されるため、銀行融資も受けられなくなるなど悪循環です。
優良なファクタリング会社であれば、償還請求権を設定せず、もし債権が回収困難な状況に陥ったとしても利用者に保証を求めることはないはずです。さらに、買い戻し特約や担保設定の特約なども行わないはずなので、売掛先の不払いリスクは負う上で契約を締結し、債権の現金化を図ります。
安心して債権を譲渡できるファクタリング会社を選ぶときの目安にするとよいでしょう。
債権の買い取りに最低金額が定められているもの?
ファクタリング会社によっては、債権の最低買取金額を定めていたり、年商フィルタを審査に組み込んでいる場合もあります。
このような設定は、個人事業者や中小企業などがファクタリングを利用しにくくなる要因となるため、需要の高い層がファクタリングを利用することの妨げとなってしまうといえるでしょう。
例えばファクタリング最低の買取金額や上限金額を設定しているファクタリング会社では、最低50万円や300万円、上限は億単位という場合もあります。高額対応が可能であることはメリットになる反面、億単位での買取が可能という謳い文句が、少額利用者を敬遠させる要因になっているともいえるでしょう。
実際のファクタリング利用は500万円未満が大半
しかし、実際にファクタリングの利用者の9割は500万円未満の買い取りで、その半数以上は200万円までというケースです。
少額の売掛金でも買い取ってもらえるのだろうか?と不安を感じる方もいるでしょうが、優良なファクタリング会社であれば、それぞれの相談ごとに一定の審査を行うため、少額だからという理由のみで断られることはないはずです。
目安としたい債権の金額
ファクタリング会社によって取扱の基準は異なるはずですが、一般的な利用額の割合からみても300万円がおおよその目安になると考えられます。
そのため、300万円を超える額のファクタリングを検討している場合、手数料を少し安くしてもらうような交渉もできるかもしれません。
例え1%でも負担が軽くなれば、その分費用を抑えることに繋がりますので、上手に資金調達するためにも交渉してみてもよいでしょう。
ファクタリングで対象となる債権とは?
ファクタリングで対象となる債権とは、商品販売契約などに基づく売掛債権です。ただし、中には企業間取引における売掛債権のみの扱いを可能とし、個人事業者は対象外としているファクタリング会社もあるので、事前の確認が必要となります。
また、ファクタリングにも種類がありますが、どのファクタリングでも売掛金など売掛債権を手早く現金化できるという原理は同じです。
ファクタリングごとの債権の種類や引き受け方法の違い
次のように債権の種類や引き受け方法が異なると、種類ごとの特徴が違ってくる点は理解しておきましょう。
一括ファクタリング
ファクタリング会社が売掛金などの売掛債権を買い取り、その引き換えとして代金を支払います。対象となる債権は、売掛金や受取手形などの売掛債権です。最短即日で代金が支払われる場合もあるため、急いで資金を調達したい場合などに適しています。
医療報酬債権ファクタリング
医療機関が社会保険や国民健康保険などに対して請求を行う債権をファクタリング会社が買い取り、その代金を支払います。
一括ファクタリングと異なる点は、取り扱う債権が医療報酬債権であること、支払いを行う企業が社会保険や国民健康保険であることです。医療報酬以外に、介護報酬や調剤報酬なども含まれます。
保証ファクタリング
売掛債権などに対する金額を保証する制度なので、資金調達が目的ではありません。信用力に不安を感じる会社と取引している場合、売掛債権の貸倒リスクを回避できるので、保険のような性質があると考えてよいでしょう。
一括ファクタリングと異なる点は、債権に対して保証するという部分であり、万一、売掛先企業が倒産してしまい、売掛金が回収できない状態に陥った場合でも、保証金として代金を支払ってもらえます。
そのため、保証される枠は売掛先の信用部分の調査により異なります。決められた枠内の金額なら、売掛債権の保証が行われるという仕組みです。
なお、保証ファクタリングには「下請債権保全支援」という建設業者や資材業者を保護する制度もあり、建設業者が支払う保証料金の3分の2までを国土交通省から負担してもらえます。
国際ファクタリング
輸出債権をファクタリング会社が買い取る制度で、一括ファクタリングと異なる点は、債権の種類が輸出債権であること、国際的なファクタリング会社同士の連携によるサービス提供が行われる点です。
なお、国際ファクタリングは信用状(貿易決済を円滑化するために銀行が発行する支払確約書)の代わりという役割になるので、ファクタリング会社が輸出先企業から代金の回収が完了できることが重視されます。
債権を買い取ってもらうと手数料はどのくらいかかる?
ファクタリングを利用する場合、必要な手数料はどのくらいなのかが気になるところでしょう。
一般的には、売掛債権ごとの売掛先の規模や業績の状況、債権金額、支払いサイト、諸費用などを勘案した上で審査を行い、手数料として提示されますので一概にはいえません。
2社間ファクタリングの場合、取引先に通知を行わずに売掛金を現金化しますので、ファクタリング会社が抱えるリスクが高まることから、手数料は高めに設定されることもあると理解しておきましょう。
対象となる債権の買い取りから現金化までの時間
また、ファクタリングの申し込みを行い、審査の結果が出るまでは2~3日程度かかることが一般的ですが、審査の都合上、1週間程度必要という場合もあるようです。
しかし急ぎで資金を調達しなければならない場合、1週間も待たされていては意味がないと感じるかもしれません。
優良なファクタリング会社であれば、2社間ファクタリングなら最短1日、3社間ファクタリングでも最短2日後には支払いがされるなど、迅速に対応してくれるはずです。
個人事業者が少額債権を対象にファクタリングも十分アリ!
ファクタリングの利用者の約3割は個人事業者で、金額も半数が100万円以下です。そのため、個人事業者に対応できるファクタリング会社は増えつつありますが、まだ十分とはいえない状況といえます。
理解しておきたいのは、ファクタリングはお金を貸し付けてもらう仕組みではないので、審査では利用者の信用情報を重視するものではないということです。
中には税金や社会保険料などを滞納しているから、ファクタリングは利用できないだろうと不安を感じる方もいるようですが、売掛先企業の信頼性や債権の実在性のほうが重視されます。
個人事業者だからと負い目を感じる必要もないので、もしファクタリングの相談をしたファクタリング会社から、個人事業者ということを理由に高額な手数料を提示された場合は別のファクタリング会社を探したほうがよいといえます。
まとめ
個人事業者や中小企業者など、少額債権の場合でも親切・丁寧な対応で相談に応じてくれる優良なファクタリング会社に依頼することが大切です。
なお、ファクタリングにも種類があり、その種類によって対象となる債権などが異なってくる点は知っておいたほうがよいでしょう。
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