売掛金と資金調達は極めて密接に関係しています。売掛金から資金調達の是非を考えることも可能です。さらには売掛金自体が資金調達に関わってくることもあるわけです。
今回は貸借対照表に記載されている売掛金から資金調達を徹底解説します。
売掛金がどのような状況になっていると資金調達を考えるべきなのでしょうか?
売掛金をどのように利用して資金調達ができるのでしょうか?
まずはそもそも売掛金とは何なのかを明らかにします。
目次
売掛金とは?
・未収の販売代金のこと
大前提の話として把握してほしいのが、売掛金は売上が発生しなければ発生することはない、ということです。
売上が発生すると発生すいる可能性があるものであり、売上が関連していなければ発生することはありません。
似ているものとして受取手形もあります。
受取手形に関しても未収の販売代金として発生するものです。
・なぜ企業は売掛金で取引を実施するのか?
現金決済が面倒だからです。
売上が全て現金決済で実施されていれば売掛金は発生しません。しかし企業間の取引ではほとんど現金決済が実施されていません。
そもそも企業の取引量はかなりの数にのぼります。特に大企業ともなれば、月に数え切れないほどの取引を実施しているわけです。取引先も数十や数百に及ぶこともあります。
取引ごとに会社から現金を出して取引をする、という状況になってしまえば、企業の業務は煩雑になってしまいます。そのたびに現金の出入りを記録しなければなりません。振込や入金の確認もその都度に行うことになるわけです。
だからこそ企業間では掛取引が実施されています。掛け取引であれば現金の出入りは月に1回に抑えられます。企業として手間が少なくなるのです。
・売掛金は貸借対照表のどこに記載されているのか?
「資産」に掲載されています。
資産の中でも「流動資産」として掲載されているのです。
売掛金は貸借対照表とひとまとめで掲載されていることが多くなっており、「受取手形及び売掛金」という項目があります。そちらに受取手形とともに掲載されることになるわけです。
売掛金の状況と資金調達について
売掛金がどのように変化しているかを把握していれば、資金調達をしなければならない状況に陥っている事に気づけます。こちらでは売掛金がどうなっていると資金調達をしなければならないかをお伝えします。
・現金が増えていないのに売掛金が減っている
基本的に売掛金が減っている、ということは入金された、ということになります。しかし売掛金が減っているにもかかわらず貸借対照表の現金が減っているということは、経営に何かしらの問題が発生していると考えられるわけです。
そこで注目すべきが売上です。仮に売上が減少している、という状況下であれば資金調達しなければなりません。売上の減少によって入ってくる売掛金が少なくなってしまったのです。
売上が回復すればよいですが、回復する見通しがなく現金も少ない状態が続くと想定される場合には資金調達をする他ありません。
もう一つ考えられるケースが、売掛金の貸倒れです。売掛金が貸倒れてしまえば、現金は入ってきません。その上、売掛金も消滅してしまうわけです。取引先が倒産するなどした場合にこちらの状況が生まれてしまいます。
売掛金の貸し倒れに関しては、ある程度は対応できるようにしておかなければなりません。取引先が破綻する、というケースは珍しくないからです。しかし定期的に貸倒れが発生してしまうのは避けなければなりません。
取引先の経営状況をチェックしてなるべく貸し倒れが発生しないように対応しましょう。
・売上が増えていないのに売掛金が増えている
売上がアップしていれば、売掛金が増えていたとしても何の問題もありません。売上が増えたからこそ、売掛金が増えているわけです。
しかし売上が増えていないのに、売掛金が増えているということは回収に問題が発生している、と考えられます。要は入金の遅れなどが発生しているのです。
売掛金には入金の期日があります。こちらのケースでは、期日が来ているのに売掛金が入金していないと考えられます。早急に回収活動を実施しなければなりません。
売掛金は貸借対照表では資産なので大きな額になればなるほど良い、と思っている方もいるかも知れません。しかしキャッシュフローの点から見ると、売掛金の額が増える、ということは良いことではありません。入金が滞っている、と考えられるからです。
売掛金が前期よりも明らかに上昇している場合には、各売掛金の期日を確認してみましょう。期日が過ぎているものがあれば、取引先に連絡をしてください。連絡をしても入金がなければ督促を実施し、それでも入金されなければ交渉によって解決するか法的手段をするかを考えなければならないわけです。
仮に売掛金の入金が遅れている取引先に買掛金がある場合には、売掛金と買掛金を相殺する方法もあります。ただし相殺するにしても、前もって取引先に承諾をとらなければなりません。勝手に行ってはならないのです。
・急激な売掛金の上昇
売掛金が急に増えた、という状況も資金調達しなければならないケースの一つです。
実は売掛金が急激に増えるということは、売上の急激なアップを指しています。良いことなのですが、売上が急激にアップするということはコストも発生しているのです。
物を売っているのであれば、商品の仕入れコストを考えなければなりません。物を作っているのであれば、原材料や部品の仕入れコストが多く発生していることになるわけです。
急激な売掛金の上昇は資金繰りの悪化に直結してくるので、なるべく早い段階で対応してください。売掛金は発生してもすぐには入金されません。1ヶ月から3ヶ月程度のタイムラグがあるのです。その期間の運転資金程度は予め用意しておかなければなりません。
売掛金を利用した資金調達2つ
・ファクタリング
ファクタリングとは売掛金を期日前に売却することによって資金調達をする方法です。
前述した売上が急激に増えたケースなどに利用できる資金調達の方法となっています。
ファクタリングでは売掛金を期日前に業者に対して売却します。期日前でも現金化できるわけです。ただし業者に対して一定の手数料を支払わなければなりません。売掛金を満額受け取れない、といったデメリットもあるわけです。
ファクタリングには2社間取引と3社間取引の2つがある、ということも理解しておく必要があります。2社間取引の場合は売掛先への通達がありません。一方で3社間取引の場合は通達があるので、売掛金の売却が発覚してしまいます。そのかわりに手数料は3社間取引のほうが抑えられているわけです。
ファクタリングは融資ではありません。ですから返済をする必要はありません。返済金の代わりに、売掛金を譲渡しているわけです。
売掛金が貸倒れてしまったとしても、ノンリコースであれば問題ありません。ノンリコースであれば償還請求権はなしに設定されているので、自社が代わりに支払う必要はないのです。
・売掛金担保融資
その名のとおりに売掛金を担保に入れた資金調達方法の一つとなっています。
売掛金を担保に入れることで、信用がない会社であったとしても借り入れができる可能性が出てきます。ただし融資となっているので返済が必要になってくるので注意しましょう。
売掛金が入金されればある程度の返済ができるとは思いますが、貸倒れるようなことがあれば対応を考えなければなりません。一定のリスクがある資金調達方法となっているわけです。
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