売掛金は売上が発生すると発生するものです。プラスに捉えられるものですが、それは回収できた場合です。売掛金は、要は「ツケ売り」となっているので回収できなければ意味がありません。そして売掛金の回収率は100%ではないのです。
こちらでは売掛金の正確な回収機関の算出方法を解説します。回収期間を算出できれば、ある程度の資金繰りの予測が立てられます。売掛金の入金までの期間が分かれば、その入金に合わせた経営戦略が練られるからです。
単に売掛金は2ヶ月後に入金する、といった建前だけで経営をしていると、資金がショートする可能性も捨てきれません。黒字倒産が起こってしまうこともあり得るのです。
企業を経営していくためには、売掛金の管理が極めて重要になってくるわけです。
目次
そもそも売掛金とは何だ?
・仕訳で使う勘定科目の一つ
企業では取引の都度現金決済を行うのは非常に面倒なのです。そこで掛け取引をすることで、月ごとなどで一定期間の取引金額をまとめます。要は、売掛金は企業の効率をアップするために行われているものなのです。
売掛金については代金後払いで販売した掛取引の仕訳で使うものです。売掛金は後で代金を受け取る権利を示す売上債権となっており、貸借対照表では資産に含まれます。
・仕訳の実例について
【10,000円で代金を掛けとして販売したケース】
<借方>売掛金・・・10,000円<貸方>売上・・・10,000円
【10,000円の売掛金を現金で回収したケース】
<借方>現金・・・10,000円<貸方>売掛金・・・5,000円
以上のように仕訳をしていくことになります。
ただし前述したように、必ずしも売掛金は回収されるわけではありません。取引先が倒産してしまえば回収できなくなってしまうわけです。
売掛金が貸し倒れてしまった場合の仕分けについても記述しておきます。
【売掛金10,000円が貸し倒れてしまった場合の仕訳】
<借方>貸し倒れ損失・・・10,000円<貸方>売掛金・・・10,000円
回収できなかったので損失として計上しなければなりません。
もちろんどんな会社であったとしても回収できないようなケースは避けたいと思うはずです。しかし掛売りをしていると、不測の事態が発生するとも限りません。実際に多くの会社に売掛金が回収できなかった経験があるのです。だからこそ前もって売掛金の回収期間を算出しておかなければなりません。算出しておくことで、今ある売掛金はどの程度で回収できるのかわかります。回収期間が長い事が分かれば、貸し倒れする可能性が高くなっていることにも気づけるわけです。
売掛金の回収期間の算出方法
・売上債権回転率で簡単に算出できる
売上債権とは売掛金であるとか受取手形のことを指しています。売上債権回転率の計算は将来的に代金を受け取るものをあわせて算出することになるので、掛け金の回収期間も把握しやすいのです。
売上債権回転率の計算方法は以下のとおりです。
【売上高÷売上債権(受取手形・売掛金など)】
上記を計算すると、数字が出てくるわけですが、その数字が大きくなればなるほど有利と判断できます。それだけ売上債権の回転率が良いことになるからです。
では数字が大きくなる方が良いということについて、しっかりと理解してもらうためにも実際に計算をしてみましょう。
・売上高・・・3,000万円
・売掛金・・・500万円
・受取手形・・・100万円
以上を計算式に当てはめると【3,000万円÷(500万円+100万円)】となります。計算結果は【5】となります。
・売上高・・・3,000万円
・売掛金・・・300万円
・受取手形・・・50万円
以上を計算式に当てはめると【3,000万円÷(300万円+50万円)】となります。結果は【約8.6】となりました。
要は売上債権が少なければ少ないほど数字は高くなるのです。残っている売上債権の比率が少ないということで、効率的に回収できている、と判断できるわけです。
ちなみに回収期間を売上債権回転率から算出する場合には、12ヶ月で回転率を割ってください。
回転率が【5】の場合は「5÷12」といった計算式になり、【2.4】という数字が出てきました。回収期間は2.4ヶ月となるわけです。
回転率が【8.6】の場合は「8.6÷12」といった計算式になり、【約0.72】という数字が出てきました。回収期間は0.72ヶ月となるわけです。
しかしこちらの計算式はそれほど精度が高いとは言えません。もう少し精度の高い売掛金の回収期間を算出する方法を知りたい方は以下も参考にしてください。
売掛債権の回収期間を正確に算出する方法
計算式【売上債権(受取手形や売掛金など)÷(売上高÷365日)】
以上の計算式に数字を当てはめれば、より正確な売り影債権の回収期間が算出できます。こちらも計算式を見ているだけではよくわかりませんよね。実際に計算して確認してみましょう。
・売上高・・・4,000万円
・売掛金・・・800万円
・受取手形・・・100万円
計算式は【(800万円+100万円)÷(4,000万円÷365日)】となります。計算結果は【約82日間】となりました。
上記のデータでは売上債権の回収期間は82日程度ということがわかったわけです。
もちろん売上債権の額が少なくなれば、回収期間はもっと短くなります。要は売上債権の保有額が少なければ少ないほど有利な結果になるわけです。会社に売上債権がたまっていない、ということになるわけですからね。
売上債権の回収期間が長い時の対処方法
・回収手続きを行う
売掛金の平均的な回収期間は1ヶ月から2ヶ月程度(30日から60日間)です。受取手形に関しては2ヶ月から3ヶ月程度(60日から90日間)です。
売上債権の回収期間が「60日」を超えているということは、回収されていない売上債権がある、ということになるわけです。代金未収の売上債権については回収手続きを実施してください。
単に売掛先が入金を忘れている、というケースも考えられます。入金が遅れている旨を伝えるだけで支払ってもらえるかもしれません。
とりあえず入金が遅れている旨だけでも電話などで伝えてください。
督促を行っても入金してもらえないという場合には、内容証明郵便を送ったり法的な手段に訴えたりすることも必要になってきます。最終的には差押えにて対処しなければならないこともあるでしょう。
・現金決済を重視する
売上債権を利用した売却をしていると、結果的に売上債権の比率が高まってしまうことになるのです。なにも企業間取引はすべて掛売りをしなければならないというわけではありません。現金決済も認められているのです。ですから決済の中心を現金にすれば、売上債権の回収期間はそれほど気にならなくなるはずですよ。
ただし現金決済が多くなると、その都度対応しなければならないので手間が増えることは間違いありません。大きな企業であればあるほど適していない対処方法となっています。
一方で個人事業主など小規模の取引をしている場合には、現金決済であったとしてもそれほど手間にはならないかもしれません。
・売掛金を売却する
回収が面倒であれば、一定の売掛金を現金化してしまうのもおすすめです。
売掛金についてはファクタリングといったものがあり、買い取ってもらえます。手数料が発生しますが、現金化までの期間が短くなるので資金繰りが回復するケースも出てくるわけです。
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