悪徳業者の見分け方

審査や融資のスピード感に優れたファクタリング取引は、従来の融資に代わる資金調達手段として、大きな注目を集めています。銀行はもちろん、事業者向けのノンバンクすら貸し渋りが目立つ昨今、関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ところが、残念なことにファクタリング業者の中には、いわゆる「悪徳業者」と呼ばれる企業も存在します。資金を求める焦りに付け込み、様々な手管で暴利を貪る業者たちです。

今回は、そんな悪徳業者たちの注意点をご紹介。お手持ちの債権を適正価格で売却するために、必要なテクニックを解説します。

 

そのファクタリング契約は大丈夫!?悪徳業者の見分け方

ファクタリングによる資金調達が注目を浴びるにつれ、違法契約や過剰な手数料を貪る悪徳ファクタリング業者も目立つようになりました。彼らの手口や手法は実に様々。

悪徳ファクタリング業者の代表例

ファクタリング業者は参入障壁が低く、銀行や消費者金融のように特別法(銀行法・貸金業法)に縛られることがありません。こうした背景を考慮すると、闇金業者や暴力団関係者による悪徳業者が出てしまうのは自明の理と言えるでしょう。

顧客の心理を突く悪徳ファクタリング業者たち

実は悪徳ファクタリング業者が跋扈してしまう大きな理由の1つは、「利用しやすい顧客の心理」だと言われています。悪徳ファクタリング業者たちは顧客の心理を巧みに利用し、自身にとって都合の良い契約を結ばせようとするわけです。

本稿を読まれている方の中には、

「法外な手数料や怪しい契約なんて、よほど注意不足な人でない限り引っかからないだろう…」

とお考えの方もいるかと思います。もちろん、これは正しい認識であり、「高額な手数料や書類を作らない契約」を持ちだされると、普通の人は警戒心を抱くでしょう。

ところが、これらはいずれも契約者である顧客が、「正常で冷静な心理状態」にあればこその話。ファクタリング契約を締結しようとする場合、大抵の顧客は既に「今すぐお金が欲しい!」と言う状況にあります。こうした「強い焦り」を感じている状況では、人間は正常な判断を行うことができません。

つまり、私たちがファクタリング業者と向き合う時は、こうした自身の焦りを自覚して、正しい知識を身に着けることが大切です。大切な債権を適正価格で売却するためには、改めて注意すべき部分だと言えます。

では、次項から悪徳ファクタリング業者の見分け方を種別にご紹介。注意点やポイントを中心に、実例をベースにしたモデルケースで解説しようと思います。

法外な手数料に唖然!暴利を貪るファクタリング業者たち

利用者の焦燥感に付け込み、法外な手数料を請求する悪徳ファクタリング業者たちです。広告やウェブサイトでストレートに手数料を表記している業者はまだかわいい方で、

 〇手数料こそ広告通りであるものの、「諸経費」として暴利を請求する

 〇事前交渉とは別の手数料を表記した契約書を持ち出す

 〇「2回目以降は安いから…」と継続取引をにおわせる

など、具体的な方法は枚挙に暇がありません。ファクタリング業者の手数料は、社会情勢による大まかな相場感があり、取引経験を重ねるにつれて段々と見えてくるものです。

そのため、こうした業者は「ファクタリング契約の経験が浅い顧客」を狙う傾向にあり、該当する方は特に注意が必要だと言えるでしょう。

具体的な手数料を見分けるためのポイント

通常のファクタリング契約における業者の手数料は、債権額面のおよそ「10%~30%」が相場です。これより大きな手数料を請求する業者には、注意した方が良いでしょう。

ちなみに、ファクタリング契約の手数料は大きく分けて以下のポイントで変動します。見積もり作成前にご自身で確認を行う場合は、以下の点において同様または近い条件の取引事例を参考にすべきです。

ファクタリング契約の手数料を決定付けるポイント

諸経費の相場も把握しよう

悪徳ファクタリング業者の中には、「手数料こそ相場のものだが、諸経費が異常に高額」というパターンが存在します。こうした業者はウェブサイトなどのメディア媒体で「手数料5%!」などと異様に安く謳っていることが多く、外側から見分けるのが難しいところがポイントです。

上記の様なケースは要注意。本来支払う必要ない金額を請求されているかもしれません。

ちなみに、一般的なファクタリング契約において、必要な書類関連費用は以下の通り。悪徳業者の中には、下記の費用についても非常に大きな金額を設定・追加するケースがあり、注意が必要です。

一般的なファクタリング取引における必要な書類関連費用

実はただの闇金!違法ファクタリング業者

悪徳ファクタリング業者の中でも、「ファクタリングを装った闇金業者」は特に注意すべき存在です。彼らは表向きは「ファクタリング契約である」と主張しながら、実は全く別の債権を担保にした融資契約を持ち掛け、最終的に莫大な費用を請求することを目的としています。

中でも最も多いのは、売掛金などの債権を担保にした貸付。実際に摘発された違法ファクタリング業者も出ており、注意すべき業者です。

闇金ファクタリング業者の手口

ファクタリング業者と自称し、貸金業法上求められる登録をせずに集客を行う

顧客に「ファクタリング契約」であるかのように見せかけた「売掛債権担保融資」を持ちかける

「年利50%」など、利息制限法を大きく逸脱した法外な手数料を設定する

返済不能に陥った顧客から資金を回収する

狭義のファクタリングはあくまで「期日前債権を買い取り、資金を提供する」取引です。ファクタリング取引そのものが「貸金業法」に該当するかは議論の余地がありますが、それはまた別の話。

上記のような売掛債権担保融資は、そもそもファクタリングではなく貸金業に該当する取引であるため、通常は貸金業法における法的な登録が求められるワケですね。

ところで、上記の業者はファクタリング業者を自称することで、貸金業法で求められる登録を回避しています。ですが、実際には貸金業を営んでいるのと同様の融資を行っていたため、摘発の対象となりました。

闇金型ファクタリング業者を回避するポイント

こうした闇金型ファクタリング業者を避けるためには、「ファクタリング契約」の中身を理解することが肝要です。ファクタリング業者との交渉に臨むにあたって、「あれ?それって本当にファクタリング契約…?」と疑問に感じることがあれば、すぐに確認することをオススメします。

また、闇金型ファクタリング業者の実態は、貸金業取締りの強化によりファクタリング業者への転向を進めた「元闇金業者」です。基本的な運営スタンスは闇金時代のものと変わらないレベルであり、

数え上げればキリがないほどの不審点を有しています。順番に詳しく解説を進めますので、契約の際には必ず注意して下さい。

ポイント1:契約書に関するチェックポイント

日本は法律で「契約自由の原則」が保証されており、(特別法により規制される取引を除き)基本的にはどのような形式での契約も有効です。ところが、ファクタリング契約のような「BtoB(企業間取引)」において、契約書や関連書類を省略することはまず考えられません。

こうした書類を省略するファクタリング業者は、多くの場合、後ろ暗い意図を持っていると見るべきです。後になって、法外な手数料を請求されたり、口約束と異なる条件の契約内容を求められは目も当てられません。

また、これと並行して契約書の発行形式にも注意を払いましょう。

上記の様な対応の裏には、契約書の書き換えや差替えなど、悪徳業者ならではの悪巧みが隠れています。「話した時と内容が違う!」と騒いでも、後の祭りを言うものです。

ポイント2:必要書類に関するチェックポイント

通常のファクタリング契約では、債権の存在や支払いサイクルの健全性を審査するために、以下の書類提出を求められます。

ファクタリング契約に求められる書面の一例

提出を求められる書類は業者ごとに異なりますが、これらの書面を全く求めない業者も要注意。ファクタリングと見せかけて、ただの闇金行為を持ちかけてくる可能性も考えられます。

ポイント3:住所や電話番号に関するチェックポイント

悪徳ファクタリング業者の中には、偽りの事務所所在地や電話番号を記載する業者も存在します。これらは闇金業界の常とう手段とも言える手口であり、

などが考えられます。住所や電話番号については「バーチャルオフィス」を利用している可能性もあり、慎重な判断が必要です。特に「オフィス訪問を断る業者」については要警戒。どうしてもその業者でなければならないというケースを除き、避けた方が無難です。

なお、電話番号については、「携帯電話だけを表記している」もしくは「固定電話ではなく携帯電話への架電を求める」場合も注意しましょう。固定電話を持たずに闇金を営む業者は、昔から「090金融」と呼ばれ危険視されています。

ファクタリング業者は貸金業者ではありませんが、やはり固定電話を所有していない業者に信頼を置くのは難しい部分があります。

ポイント4:契約内容や商品そのものに関するチェックポイント

契約書や必要書類の手続き面とは別に、提供しているファクタリング商品の概要も、チェックすべきポイントです。

闇金型ファクタリング業者の多くは、最終的に「闇金貸付」を行うことを目的としています。「今の状況ではどうしても入金が遅れてしまう、融資へと切り替えを行ったらどうだろうか」と持ち掛けるケースなど、様々な事例が想定できます。

また、ファクタリング業者にとって最も大切な「手数料や諸経費」について、言及しない点も不自然です。基本的には警戒した方が良いでしょう。

ポイント5:担保や保証人に関するチェックポイント

ファクタリング契約は「債権の売買」を目的としたものであり、本来連帯保証人や担保は必要ありません。ファクタリング契約の場合、取引債権の保全については通常「償還求償権」で対応します。

償還求償権についてここで詳しく解説することは避けますが、本来必要のない担保や連帯保証人を求められた場合、その業者と契約するのは避けたが良いでしょう。

実際、ファクタリングだと思って契約を進めた結果、実はただの金銭貸借契約だったというケースは多く耳にします。こうした悪徳ファクタリング業者は、最初からお金の貸し借りを目的としている為、担保や連帯保証人を求めるワケです。

 

 

今回は、ファクタリング業者の見分け方とその類型を記載しました。ファクタリングは急な資金需要に対応する柔軟なサービスである一方、悪徳業者の存在も懸念されています。

適切な価格で取引を行うためには、正しい知識を身に着け、適切な業者選びを心がけることが重要です。

2018年1月時点でのおよその相場です。今後の社会情勢等によりこうした相場は大きく変動する可能性があり、将来に渡る相場変動を保証するものではありません。

あくまで一般的なものであり、取引形態によっては本稿以外の請求も行われるケースも存在します。これはファクタリング業者について、貸金業法などに見られる「諸経費の制限(消費者金融は利息だけでなく、請求できる手数料についても制限されています)」がないからです。

2017年に貸金業法違反(無登録営業)で摘発されたファクタリング業者「東洋商事」をベースに制作。https://www.carinavi.org/company/toyo_shoji.php

ファクタリング業者が今後貸金業法の適用を受けるか否かは、議論の余地がある部分です。現時点で断言することは難しく、このような曖昧な表記に留めています。

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