融資で資金調達するなら返済を踏まえた借入れの設定を!

資金を調達するとき、たとえば銀行からの借入れであれば当然返済することが必要です。

そのため、資金調達前に返済計画を立てておくことが必要ですが、どのくらいを借入れして実際に返すことができるか事前に確認する作業を行いましょう。

そこで、融資を受けて資金を調達するとき、返済を踏まえた金額の設定方法について解説していきます。

 

借入れによる資金調達で最も重要なこと

お金を借りて資金を調達するときに、最も重要になるのは資金使途です。

借りたお金を何に使うのかを明確にしておくことが必要であり、銀行などの金融機関で行う審査でも重要視される部分といえます。

漠然と資金を借り使っていけば、資金繰りの状況を見失い業績悪化とともに返済できなくなってしまいます。

そこで、まずは融資を受ける前に何のために資金が必要なのか明確にしておきましょう。

資金使途は具体的に決めておく

銀行からお金を借りるときには、必要な金額よりも多く融資を受けたいと考えがちです。

どのくらいまでであれば融資を受けることができるのか、借りることができる金額までは借入れしたいと考えてしまう経営者は少なくありません。

運転資金が欲しいとき、内訳など特にないというケースもあるようですが、その場合でも資金使途はできるだけ具体的に決めておくべきです。

資金繰りが厳しい状態なのでひとまず資金が必要という考えではなく、何に対する支払いなのか、いくら不足しているのか明確にしておくことが求められます。

経常運転資金を算出する

経常運転資金とは、

経常運転資金=売掛債権+棚卸資産-仕入債務

で算出することが可能です。

売掛債権には、売掛金や受取手形が含まれますし、仕入債務には買掛金と支払手形が該当します。

一般的に、売掛金などの入金は後、買掛金の支払いは先に発生しますので、上記で算出される金額は手元に残しておくことが必要です。

借入金月商倍率を算出する

借入金月商倍率とは、

借入金月商倍率=借入金÷月商

で算出可能です。

これは借入金が月商の何倍かを示す数値であり、銀行などの金融機関では返済余力を確認する指標として使います。

借入金が月商の3か月分までなら健全経営、6か月を超えればリスクが高いと判断されますが、どのくらい借りることができるかを判断する材料としても使えます。

簡易キャッシュフローの確認を

簡易キャッシュフローと呼ばれるのが、税引き後の利益と減価償却費を合わせた部分です。

銀行などの金融機関が審査で重視する数値でもあり、返済原資が見込めるかを確認する上で用いられます。

あくまでも「簡易」とある分、正確な数値ではありません。

売上高は計上されていても入金は翌々月、支払いは翌月ということが一般的だからです。

損益計算書の数値は実情とは異なるものですが、前期の損益計算書の実績を基準として算出することとなるため、過去の数値をベースにした考え方であることは認識しておきましょう。

お金を借りて資金を調達することはこれから先のことであり、今後の資金繰りをベースに判断した方がより正確な状況を知ることができます。

 

返済負担のない資金調達方法もある

資金を調達する方法はいろいろありますが、融資を受けて調達するのなら必ず返済可能な金額までに留めておくべきです。

もし今後の返済能力に不安がある場合には、お金を借りずに資金を調達できるファクタリングなども検討しましょう。

ファクタリングは、売掛金を売却して現金化し資金を調達する方法です。1か月や2か月先に取引先から入金される予定の売掛金を、先にファクタリング会社に売って前倒しで現金に換える方法です。

返済負担に苦しむことはないため、後の資金繰りも楽になりやすいといえるでしょう。

ファクタリング会社を乗り換えて他社で契約するメリット

現在、ファクタリングで資金を調達している経営者の中には、ファクタリング会社を乗り換え他社で契約したいと考える方もいることでしょう。

その理由は、ファクタリングで発生する手数料が業者により異なるからで、他社に乗り換えることでより安い手数料で資金を調達できるからといえます。

ファクタリングの乗り換えはむつかしいのだろうか?と考えてしまうものでしょうが、実は他社にとっては好まれる契約です。

ファクタリング利用者にとっても乗り換えはメリットがあることなので、今の契約に不満があるのなら他社に相談してみるとよいでしょう。

 

乗り換え希望の顧客は優良の扱い

すでに他社でファクタリング利用実績のある方が、乗り換えを希望して相談してきたとき、ファクタリング会社は手数料を低く引き下げても獲得したい顧客として扱うこととなります。

その理由は、すでにファクタリング利用実績がある方は、売掛債権の未回収リスクが低い顧客であるからです。

ファクタリングを専門とする業者の場合、2社間ファクタリングを多く取り扱っていますが、
2社間ファクタリングでは売掛先から売掛金を回収するのはファクタリングを利用した会社になります。

ファクタリングを利用した会社が売掛先から代金を回収した後、その代金はそのままファクタリング会社に渡すという流れです。

しかし売掛先からの回収のタイミングで、ファクタリングを利用した会社の資金繰りが悪化していた場合、回収したお金を支払いや運転資金に流用してしまうリスクがあります。

このような使い込みのリスクを踏まえ、2社間ファクタリングでは手数料にそのリスク分が反映されることとなりますが、それでも未回収になることはファクタリング会社にとって大きな痛手です。

しかし、すでにファクタリング利用実績があれば、ファクタリングを継続的に利用しファクタリング会社に対する支払いも行ってきた実績が認められます。

未回収リスクを押さえて契約できることはファクタリング会社にとって優良な顧客であり、手数料を引き下げてでも契約したい相手として扱われる理由です。

 

乗り換えで他社と契約するメリット

ファクタリング会社を他社に乗り換えることで、まず今の契約よりも安い手数料でファクタリングの利用が可能となります。

利用実績があることで売掛先の信用力も一定の評価を得ることとなり、有利な契約に運べる可能性が高くなるといえるでしょう。

 

乗り換えの際には二重譲渡しないこと

もし複数のファクタリング会社を同時に利用した場合、どの会社に対しどの売掛債権を譲渡したのかわからなくなってしまうでしょう。

仮に同じ売掛債権を別々のファクタリング会社に譲渡すれば、二重譲渡になってしまい詐欺罪に問われる可能性もあります。

また、ファクタリング会社を多数利用すると審査で不利になる可能性もあるため、こちらも注意するようにしてください。

 

債権譲渡登記が必要な契約にも注意を

2社間ファクタリングで契約するときには、誰が売掛債権を保有しているか明確するために、債権譲渡登記をファクタリング会社から求められることがあります。

その場合、登記で発生する登録免許税だけでなく、登記申請を依頼する司法書士に対する報酬も別途必要です。

おおよそ8万円程度かかるため、手数料を引き下げることができても余計な費用の発生で十分な資金調達につながらなくなる可能性があります。

もし他社に乗り換えるのであれば、債権譲渡登記を留保してくれるファクタリング会社がおすすめです。

なお、個人事業主がファクタリングで資金調達する場合には、債権譲渡登記を必須とするファクタリング会社とは契約できません。なぜなら債権譲渡登記は、法人のみ手続きが可能な登記だからです。

この場合も、債権譲渡登記が必ず必要ではないファクタリング会社を選ぶことが必要になりますので、事前に確認しておくようにしましょう。

債務超過から復活するために欠かせないこととは?

債務超過とは資産より負債の方が多いことですが、プラスの財産をすべて現金化してもマイナスの財産が残ってしまう状態を示すため、復活させたいと考えてしまうものです。

そこで、債務超過から復活するためには何をすればよいのか、なぜ陥ってしまうのか知った上で改善する方法を確認していきましょう。

 

債務超過と単なる赤字は異なる

赤字とは、一定期間の損益がマイナスになっている状態をあらわします。

たとえば会社の1事業年度の損益は決算書の損益計算書に記載されますが、借入金や減価償却費などの合計が売上よりも多くなっている状態です。

債務超過は一定時点において、資産よりも負債が上回っている状態のことであり、どちらも倒産リスクを高めると感じてしまうでしょう。

確かに債務超過や赤字は会社経営を続ける上で好ましい状態とはいえませんが、すぐに倒産や破産に追い込まれるわけではありません

 

資本はプラスなのに債務超過というケース

決算書上の貸借対照表では資本がプラスのため安心していたものの、資産と負債を時価換算すると債務超過になってしまうケースもあります。

一般的な中小企業では、たとえば土地の金額は取得価額で計上しているはずですが、銀行などの金融機関が会社を評価するときにはそのタイミングでの時価で判断します。

土地の時価が取得価額より低い場合には、実質的には債務超過と判断されることもあるため注意が必要です。

 

債務超過から復活しなければ様々なデメリットが

債務超過に陥ってしまうと、信用力は低下し新たな取引先と契約したくても、見送られてしまう可能性もあります。

仮に債務超過の企業と契約を結んでしまうと、その状況から復活できず倒産してしまい、売上代金の回収不能となるリスクが高くなるからです。

また、主要な取引銀行と長年親密に付き合いがある場合でも、債務超過であることを理由に融資を断られる可能性も高くなります。

お金を貸した企業が返済資金を捻出できなくなり、期日に返してもらえなくなったり返済不能となったりすれば、貸し倒れとなってしまうからです。

債務超過が続くとデメリットしかないため、その状態から復活させていくようにしましょう。

 

債務超過を解消させ復活する方法

債務超過を解消させ復活するためには、資本を増やし当期純利益を計上できる状態にしなければなりません。

恒常化している赤字決算をすぐに黒字決算に復活させることは容易ではなく、特に深刻な債務超過であれば短期で解消することはより困難となります。

そこで、少しでも早く債務超過を解消し復活させたいのなら、次の方法を検討しましょう。

増資する

増やした株式を今の株主や新たな株主に買取ってもらい、資本を増やすことで債務超過は解消できます。

 

負債を資本へ振り替える

「Debt Equity Swap(デットエクイティスワップ)」という方法で、金融機関などの借入れを資本に振り替える方法です。株式を発行することにより、負債を減少させ資本を増やします。

資産を売却する

土地や有価証券など、保有する資産を取得したときの価額よりも時価のほうが高ければ、売れば売却益が出るため資本を増やす効果を見込むことができます。

 

根本的な解決のために

債務超過に陥れば金融機関から融資を受けることはできなくなり、資金繰りも厳しくなってしまいます。

取引先や仕入れ先などからも取引を断られ一層厳しい経営となるでしょうし、負のスパイラルから復活できなければ倒産や破産といったリスクを高めることとなってしまいます。

しかし上記のような債務超過を解消させる対策を実践しても、毎年の損益がマイナス続きであれば根本的な解決はできません。

債務超過を解消させ復活させるには、資本を積み上げ、利益を計上することが必要です。

損失を繰り返さない経営体制を作るため、日々の積み重ねや強い意志を持ち、抜本的に見直していくことになります。

借入金の情報が記載される財務キャッシュフローはどのような状態が望ましいか

借入れやその返済などの情報は、財務活動によるキャッシュフローに記載されます。

営業活動・投資活動を維持するため、どのように資金を調達し返したのかを示すのが財務キャッシュフローのため、借入金やその返済なども含まれるからです。

そのため、銀行などが決算書を見たとき、財務キャッシュフローの借入金などの情報があれることは好ましく感じてもらえないのでは…と考えてしまう者でしょう。

そこで銀行などが決算書を確認するとき、財務キャッシュフローはどのような状態が望ましいのか、借入金以外にどんな情報が記載されるのか徹底解説していきます。

 

財務キャッシュフローに記載されること

財務活動によるキャッシュフローとは、営業活動を維持するための投資に必要な資金調達・返済などのキャッシュの変動をあらわす項目です。

成長過程にある企業の場合、積極的に自己資金以上の投資などを行っていれば、借入れや株式による多額の資金調達で財務キャッシュフローはプラスになりやすいといえます。

財務キャッシュフローの記載されるのは主に、

  • 借入金返済による支出
  • 銀行から融資を受けたときの収入
  • 自己株式を取得したいかを支払ったことによる支出
  • 自己株式を売却したことで払い込みを受けたときの収入
  • 増資など株式を発行し払い込みを受けたときの収入
  • 株主に配当金を支払ったことによる支出

 

財務キャッシュフローはプラスとマイナスどちらが望ましいか

事業を継続させるため、会社を成長させていくためには資金を調達することは欠かせませんが、その方法が借入れや増資などの場合には財務キャッシュフローにその情報が記載されます。

財務キャッシュフローはプラスを表示しますが、借金があるからといってそれが経営の悪化を示すわけではないということです。

むしろ企業が成長局面にあり、借入れや増資などで資金を調達し、財務キャッシュフローがプラスであることは順調に資金調達できていることを意味します。

それは銀行や投資家から一定の評価を受けることが可能のなっていると判断できるでしょう。

そして企業が投入した資金を回収する段階にあるとき、営業キャッシュフローが潤沢であれば自己株式の取得や配当金の支払い、借入金の返済など余剰資金を充てていくこととなり、財務キャッシュフローはマイナスになりやすいといえます。

これらのことから、単に財務キャッシュフローのプラスとマイナスだけで会社の経営情報を判断できるわけではなく、営業キャッシュフローや投資キャッシュフローとのバランスや企業の成長段階なども踏まえることが必要です。

 

銀行はキャッシュフロー計算書のどこを重視する?

銀行から融資を受けようとしたとき、決算書の提出を求められると、キャッシュフロー計算書の数値で印象が悪化しないか気になるところでしょう。

実際、銀行は貸したお金を返せなくなる会社に対し、融資を実行しようとはしません。

返済能力を見極めるために、財務キャッシュフローだけでなくキャッシュフロー計算書全体を確認されることとなりますが、次のような場合は注意しておくようにしましょう。

仮払金・立替金・仮受金・預り金の過剰発生

仮払金・立替金・仮受金・預り金などの勘定科目は、どれも使途が不明確になる可能性が高めで、通常の経営では過剰に発生しないはずです。

仮勘定といった位置づけのため、あまり多く発生していれば、健全な経営や安全なキャッシュフローではないと判断される可能性も出てきますので注意しましょう。

フリーキャッシュフローを生み出す力

営業キャッシュフローと投資キャッシュフローは、フリーキャッシュフローという余剰部分です。

フリーキャッシュフローを多く生むことができていれば、借入れ後の返済資金に充てやすいため、返済能力の高さを示すことができます。

価値の高い資産の保有

不動産など担保として差し入れることが可能な価値のある資産を保有していると、いざというときには資産の売却により返済資金に充てることができるため、銀行も安心して融資を実行しやすくなるでしょう。

含み損の有無

銀行が決算書の貸借対照表の数字を確認するときには、その外側にある含み益や含み損を確認されます。

これは返済に充当できる部分であるからといえますが、たとえば株式や不動産など価値の変動がある資産は貸借対照表上では取得原価で計上されていることもあります。

しかし現段階の価値は時価であるため、取得価額と時価との差額がプラスかマイナスかが重要です。

価値が目減りしていれば含み損と判断され、返済に充てる部分が少なくなったことを意味します。反対に価値が高くなっていれば含み益とされ、銀行融資の審査でも有利となるでしょう。

経営者の個人資産の有無

会社の資産と経営者個人の資産は分けて考えることになりますが、仮に会社が銀行から融資を受けた後、法人の資産がなくなっても経営者個人の財産を返済資金に充てることは理論上できないとされています。

しかし中小企業が銀行から融資を受けるときには、経営者個人が会社の連帯保証人になるといった債務保証を求められることが一般的です。

もし会社が倒産してしまっても、一定の財産だけを確保したまま経営者が逃げてしまうことを防ぐためでもあり、業績向上に意欲を高めてもらうためとも考えられています。

 

まとめ

借入金が増えたときや返済したときには、その情報が財務キャッシュフローに記載されることになります。

借金はできるだけないほうがよいと考える方もいるでしょうが、成長局面にあり融資を受けて資金調達した場合などはプラスを示すものです。

反対に投資した資金を回収する局面において、借入金の返済などが進んでいればマイナスを示しやすくなるでしょう。

注意したいのは手元のキャッシュが十分でなく運転資金を追加しなければならない状況で、財務キャッシュフローがマイナスになっているケースです。

これは、銀行から追加融資を受けることができない状態や増資が進んでない状況を示していると考えられます。

財務キャッシュフローがプラスとマイナスのどちらを示していれば良いと一概に決めることはできず、そのときの状況や他のキャッシュフローとのバランスにより判断することになります。

資金を調達することはM&Aにおいて欠かせない!その理由とは?

成長戦略で有効なM&Aを成功させるには、資金調達の問題を解消することが欠かせません。

M&Aで資金調達する方法は、直接金融と間接金融の2つに大きく分けることができますが、そもそもなぜ資金が必要になるのかご説明します。

 

日本で注目されはじめたM&A

M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の頭文字を取った呼称であり、買収・合併・事業譲渡・会社分割・増資・株式譲渡など種類によっていろいろな方法が実施されます。

日本では経営者の高齢化や人材不足など、廃業という決断を迫られる問題を解決する手段として、M&Aがだんだんと注目を浴びるようになりました。

資金力のある企業だけでなく、小規模の企業や個人などがM&Aに乗り出すことも増えていますが、そのためには資金が必要です。

 

なぜM&Aでは資金調達が必要となるのか

M&Aで企業や事業を取得する場合、多くの方にとって資金面の問題が浮上してくるはずです。

買収や株式取得などを必要とするケースだけでなく、次のような理由で資金を調達することが必要となります。

買収資金

会社を買収するその背景には、

  • 事業を拡大させ企業価値を向上させた
  • 投資リスクを軽減させたい

といったことが理由として挙げられます。

事業を拡大させる場合は、会社の経営戦略やニーズに基づく企業を買収し、現在の弱点といえる部分を改善させたり強化させたりすることや多角化させたいといったことを望むからです。

そして投資リスクを軽減させるには、既存する事業を買収した方が、新しく事業を始め投資するより売上や利益などの動向を確認しやすいからといえます。

買収資金は現金で支払うことが多いですが、数百万円から数億円まで金額も幅広く、手元になければ資金調達しなければならなくなるでしょう。

諸経費の支払い

従業員の人件費やM&A実行で発生する交通費・宿泊費など、様々な経費も負担することとなります。

M&Aでの事業承継は株主総会が必要になるため、株主に対する会議室の配備費や交通費なども支払わなければなりません。

そもそもM&Aは中長期に渡り取り組んでいくことになるため、諸経費の負担が大きくなれば資金を調達しておくことが必要です。

税金の納税資金

M&Aで会社を買収すると、事業承継であれば相続税引き継ぎの際に納めることが必要です。

相続税額は会社の価値により金額が変わりますが、規模の大きな会社であれば納税負担も重くなります。

相続税を納めることができなければ今後の経営に支障をきたす可能性もあり、M&Aの実行も白紙に戻ってしまうと考えられます。

そのため事業承継によるM&Aでは、納税資金の準備のために何らかの方法で資金を調達しておくことが欠かせないといえるでしょう。

 

M&Aの資金調達に活用できる制度

M&Aの資金調達に活用できるのが、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」(事業承継資金)です。

事業承継を目的とした融資制度のように感じるでしょうが、用途は幅広く株式・営業権・事業用資産などの買い取りにも利用できます。

また事業承継やM&Aの後で必要となる資金には、

  • 譲受けた事業を円滑に開始する運転資金
  • 老朽化した設備を買い替えるための資金
  • 事業承継やM&Aをきっかけに新規事業を始めるための資金

などが挙げられますが、これらの資金としても利用可能です。

事業承継する前段階で後継者を育成したり共に事業を磨き上げたりといった取り組みにおいて資金も必要となるため、うまく活用するとよいでしょう。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時的に業況が悪化している場合には「新型コロナウイルス感染症特別貸付」も扱っているため、要件に該当するならこちらも利用するとスムーズな資金調達につながるばずです。

経営改善を図ろうとする小規模事業者をバックアップする融資制度とは?

会社を継続させるためには、悪化してしまった経営状況を改善させることが必要ですが、そのような小規模事業者を対象にした融資制度もあります。

M&Aや事業承継の実現の他、売上低下に資金繰り悪化などでも経営改善を図ることが必要ですが、資金調達手段として準備されている日本政策金融公庫の「マル経融資」についてご紹介します。

 

日本政策金融公庫の「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」とは

日本政策金融公庫のマル経融資(小規模事業者経営改善資金)では、商工会議所の経営指導のもと、経営を改善させたいと高い意欲がある方を支援する制度です。

商工会議所の推薦によって日本政策金融公庫から融資を受けることが可能となるため、商工会議所や商工会などから経営指導を受けている中・小規模事業者が対象となっています。

経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で借入れできるため、運転資金や設備資金に困っているなら検討するとよいでしょう。

 

マル経融資を活用するとよいケース

経営改善を目的としたマル経融資は、仕入代金の支払い・手形決済資金・従業員の給与やボーナスの支払いなど運転資金としても活用できます。

また、工場・店舗の改装資金・車両・機械設備の購入など設備資金が必要なときにも活用可能です。

資金の使いみちが運転資金と設備資金、どちらの場合でも融資限度額は2,000万円となっています。

返済期間は、運転資金の場合は7年以内でうち据置期間は1年以内、設備資金の場合は10年以内で据置期間は2年以内です。

保証人、担保は不要ですが、利用するときには商工会議所会頭・商工会会長などの推薦が必要なので注意してください。

利率(年)は特別利率F(令和3年5月6日現在で年利1.21%)が適用されます。

 

新型コロナウイルス感染症による影響を受けている場合の特例措置

新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことで、最近1か月間などの売上高または過去6か月(最近1か月を含む)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比べて5%以上減少している(同様の状況にある)場合には特例措置の適用が可能です。

通常の融資額に加え、別枠で1,000万円が加わり融資限度額とされます。

利率も、当初3年間は「特別利率F-0.9%(別枠の1,000万円以内)」で、4年目以降は特別利率Fが適用されます。

なお、「特別利率F-0.9%」の適用限度額は新型コロナウイルス感染症特別貸付の「基準利率-0.9%」の適用限度額に含まれますので注意してください。

特別利率F-0.9%の部分は中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることで、実質3年間無利子での借入れが可能です。

また、返済期間は、設備資金が10年以内(うち据置期間4年以内(別枠の1,000万円以内))で運転資金は 7年以内(うち据置期間3年以内(別枠の1,000万円以内))となっています。

 

マル経融資の利用対象者とは

マル経融資を利用は、

  • 常時使用する従業員が20人以下(宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)であること
  • 最近1年以上事業を行っていること
  • 商工会議所・商工会の経営指導を原則6か月以上受けていること
  • 税金(所得税・県市民税・事業税・法人税)の滞納がなく完納していること
  • 日本政策金融公庫の融資対象業種であること

税金について、新型コロナウイルス感染症の影響により納税を猶予してもらっている場合には、別途相談するとよいでしょう。

なお、申し込みのときには次のような提出を書類することになるため、事前に準備しておくと安心です。貸付残高が1,500万円を超える場合には、下記の書類と別途、事業計画書が必要となります。

個人事業主の必要書類

  • 前年と前々年の青(白)色決算書及び確定申告書(控)
  • 税金の領収書または納税証明書
  • 見積書やカタログなど(設備資金の申し込みで必要)

法人の必要書類

  • 前年と前々年の青(白)色決算書及び確定申告書(控)(決算から6か月以上経過している場合は最近の試算表)
  • 税金の領収書または納税証明書
  • 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 見積書やカタログなど(設備資金の申し込みで必要)

資金循環統計からわかることは日本の預貯金への依存度の高さ

日本銀行の調査統計局では、四半期ごとに「資金循環統計」を作成し、3か月後に速報・6か月に確報を公表しています。

資産循環統計とは、国内の金融資産・負債の推移について、企業・家計・政府など経済主体ごと金融商品ごとに包括的な記録を行った統計です。

この資産循環統計から確認できることは、日本人の資産保有は預貯金で行う割合が高いことです。

しかし預貯金は安心・安全と考えられるその反面、実は大きなリスクを抱えていますので、あらためて資産循環の結果からどのようなリスクがあるのか確認しておきましょう。

 

資産循環統計とは

日本銀行が公表している資金循環統計は、

  • 金融取引表(金融取引によって生じた期中の資産・負債の増減額)
  • 金融資産・負債残高表(取引の結果、期末時点で保有される資産・負債の残高)
  • 調整表(金融資産・負債残高表と金融取引表の間の乖離額)

の3つの表で構成されます。

この統計を利用することで、それぞれの経済主体の四半期末時点の金融資産残高などが把握できます。

たとえば「個人金融資産 1,800兆円」といった言葉を耳にすることもあるでしょうが、これは資金循環統計の金融資産・負債残高表の家計部門の資産残高によるものです。

 

日本人は金融資産を預貯金で保有する傾向が高い

日本人は金融資産のほとんどを預貯金で保有しているといえますが、実際、資金循環統計からみた2020年9月末時点の個人金融資産は1,901兆円でしたが、その約54.3%にあたる1,034兆円が現金・預金でした。

たしかに預貯金は安全性の高い資産と考えられがちですが、リスクも存在するため必ずしも安心できるとは限りません。

 

預貯金で資産を保有するメリットとデメリット

預貯金を資産として保有するメリットは、

  • 1,000万円までは元本が保証される
  • 定期預金は強制的にお金を貯めやすい
  • 普通預金は自由にお金を引き出しやすい

ことです。

預貯金は「預金保険制度」や「農水産業協同組合貯金保険制度」などの対象であるため、1金融機関につき普通預金と定期預金の合計1,000万円までの元本・利息は保証されます。

金融機関が経営破たんしてしまった場合でも、1,000万円までであれば元本と利息は保護される点は安全性が高いといえます。

そして定期預金は預入期間を1か月から10年の間で設定することが一般的なため、満期を迎えるまでは簡単に引き出しができず、強制的にお金が貯まりやすくなります

反対に普通預金はいつでも預金・引き出しが可能な自由度の高さが魅力です。

しかしデメリットとして、

  • 金利が低い
  • インフレリスクを受けやすい

といったことが挙げられます。

ひと昔前であれば、預貯金として資産を保有していれば5~6%の金利が適用され、預けているだけで資産が増えていました。

しかし現在は定期預金に預けても金利は0.002%などかなり低く、預貯金を運用に活用できなくなっています

そして物価が上昇すれば、預貯金に預けているお金は実質目減りすることになるでしょう。

仮に100万円預貯金に預け入れている場合、現在であれば1,000円のモノを1,000個購入できます。

しかし5~10年経った後、その商品が1,000円から1,200円に値上がりした場合、預け入れている100万円で購入できるのは約833本に減少します。

5~10年後に預貯金の金利で預け入れているお金が増えていればよいですが、今の金利ではそれも期待できません。

政府は物価の前年比上昇率2%を目標として金融政策を実施するなど動いていますが、新型コロナウイルス感染拡大による影響もあり、今後どのような変動を見せるかわからなくなっています。

将来インフレが起きれば預貯金の価値は目減りすることは避けられませんが、金利も上昇する可能性が出てくるためインフレ自体が悪いこととも言い切れません。

ただ、お金=貨幣の価値はずっと同じではないことは認識しておき、何で資産を保有するべきか先を見据えて考えることが大切です。