Point09
ファクタリングの真実|2社間取引と3社間取引の違い
ファクタリングは売掛金を譲渡することで早期現金化を目指すものです。会社として資金がショートしそうな時に非常に有効な資金調達方法の一つとして注目されています。実際に中小企業の多くがファクタリングを利用することで危機を乗り切っているのです。
ファクタリングには2つの方法があります。
「2社間取引」と「3社間取引」です。
どちらも売掛金を譲渡して現金化を図るものではありますが、内容に大きな違いがあることは確かです。
こちらではファクタリングにおける2社間取引と3社間取引の違いについて徹底解説します。手数料に違いはあるのでしょうか?手続きに違いがあるのでしょうか?
ファクタリングを計画している法人は要チェックです。
手続きに大きな違いあり!売掛先の承諾について
2社間取引・・・売掛先の承諾は不要
3社間取引・・・売掛先の承諾が必要
2社間取引と3社間取引の大きな違いは、売掛金の回収方法にあります。
2社間取引の場合は売掛先から当初の予定通りに自社の口座へ入金をしてもらいます。入金があったら、ファクタリング業者へ全額振込みを実施するわけです。要は、自社が売掛金の回収をおこない、ファクタリング業者へ支払うことになります。ですから売掛先にファクタリング利用の通知をする必要はありません。承諾を得る必要もないのです。
売掛先に知られずにファクタリングの利用ができるわけです。
3社間取引の場合は、売掛先から直接的にファクタリング業者が売掛金を回収します。自社は売掛金の回収には一切かかわらない、といった特徴を持っています。
そこで問題になってくるのが、売掛先はファクタリング業者の指定口座に振込をおこなわなければならない、ということです。振込をするためには、ファクタリングが行われることを知っていなければなりません。そしてファクタリングを承諾している必要もあるわけです。
このようにファクタリングは、2社間取引であれば承諾は不要です。一方で3社間取引の場合は承諾が必須となってきます。取引方法の違いで手続き面での大きな違いが見受けられるわけです。
※売掛先にファクタリングの利用が知られることは、企業としての信用イメージのダウンともなりかねません。イメージダウンを避ける、という理由のために2社間取引を利用する法人も多いです。
受取金額に大きな違いあり!手数料について
2社間取引・・・手数料が高く設定されやすい
3社間取引・・・手数料が低く設定されやすい
ファクタリング業者によっても大きな違いがあるのでなんとも言えない部分ではありますが、基本的に3社間取引のほうが手数料は有利に設定されます。2社間取引の手数料は高めなので、結果的に受取金額は不利になってしまうのです。
手数料の相場については、2社間取引の場合は売掛金10%から30%程度となっています。
3社間取引の手数料の相場は数%から10%程度です。
手数料の相場にも大きな違いがあるので、少しでも有利な条件でファクタリングを利用したいと思うのであれば3社間取引を検討しましょう。
なぜ2社間取引と3社間取引で手数料が異なるのか?
ファクタリング業者にとってリスクが有るか無いかで判断しています。
3社間取引のケースはリスクが低いと判断し、2社間取引の場合はリスクが高いと判断しているのです。
2社間取引の場合ですが売掛先から自社が一度売掛金を回収し、さらにファクタリング業者に自社が振込を行う、という2つの段階を経ることになります。リスクが高まることによる管理コストが増大するので、手数料を高く設定して、もしものときに備えているわけです。
3社間取引に関しては、ファクタリング業者が直接売掛先から回収します。2社間取引のように2つの段階を経るわけではありません。直接的に回収ができるのでリスクが低いと判断した結果として、有利な手数料で利用ができるわけです。
入金されるまでの期間に違いあり|審査時間について
2社間取引・・・入金されるまでが早い
3社間取引・・・入金されるまで時間がかかってしまう
業者によっても入金されるまでの時間は異なります。ファクタリングは資金調達方法の中でも、極めてスピードがあるわけですが2社間取引と3社間取引でも若干の違いが確認されているのです。
3社間取引よりも2社間取引のほうが早く資金調達できる可能性が高いわけですが、その理由として手続き内容の違いがあげられます。
<3社間取引は売掛先の承諾を得なければならない>
2社間取引の場合は、ファクタリング業者と自社だけの契約で手続きが済みます。ですから最短即日対応をしてもらえるケースも珍しくありません。少しでも早く資金調達を受けたい、という時には2社間取引のほうがおすすめなのです。
3社間取引の場合には売掛先の承諾を受けることが条件になってきます。売掛先へ連絡し、ファクタリングを利用する旨を伝えます。その上で承諾をしてもらい、ファクタリング業者の口座などの通知があり手続きが進んでいくことになるのです。
3社間取引の場合はファクタリング契約に3社関わることになります。それだけ契約手続きが煩雑になり、結果的に契約が終わるまでに時間がかかってしまうわけです。
※ファクタリングの3社間取引は確かに2社間取引よりは時間のかかる傾向にあります。しかし銀行のビジネスローンや不動産担保ローンと比較すれば圧倒的に早いです。時間がかかったとしても、1週間以内に入金が実現することがほとんどとなっています。
ファクタリングの利用の発覚に違いあり!企業的信用について
2社間取引・・・取引先にファクタリングがバレない
3社間取引・・・取引先にファクタリングがバレてしまう
企業の信用は極めて重要です。
信用があればこそ取引をしてもらえるわけです。信用が高ければ高額の取引もOKとしてもらえるかもしれません。そもそも企業は売掛金や買掛金で取引をしているわけです。いわゆる「ツケ」で商売をしているので、信用できない相手とは取引をしたくない、と考えるわけです。現金決済であれば、その場に現金があれば信用関係に問題ありません。しかし企業間取引は、現金による取引はそれほど多くありません。
2社間取引の場合は、自社とファクタリング業者のみが契約手続きに入ります。売掛先は一切関係ないので、売掛先に通知が行くことはありません。ファクタリング利用の承諾を受けることもないのです。自社の信用を下げることなく、ファクタリングによって資金調達ができるわけです。
3社間取引の場合は2社間取引のようにはいきません。売掛金の回収の時に売掛先も関わってきてしまうのです。売掛先はファクタリング業者へ直接振り込みを実施することになるので、契約時に承諾を得なければなりません。
売掛先に必ずファクタリング利用が発覚してしまうので、自社の信用を下げることにもなりかねません。契約を打ち切られてしまうリスクもあります。取引量を減らされてしまうかもしれません。「倒産するかもしれない業者と取引はできない」と思われてしまっても仕方ないのです。
信用を下げずに3社間取引を利用する方法はあるのか?
非常に難しいですが、前もって話だけはしておくようにしましょう。いきなりファクタリングの承諾を求める、ということになってしまうと売掛先もビックリしてしまいます。
事前の伝え方としては
「現状で資金繰りが苦しいのですが、A社さんに売掛金の支払い時期を前倒ししてほしいというこっちのわがままを聞いてもらうわけにはいきません。そこで今回はファクタリングを利用したいと思います。A社さんの売掛金を譲渡したいと思うのですが、その時は応じていただけないでしょうか?もちろん売掛金の譲渡先はしっかりとした企業なので心配はありません。」
という感じであれば問題ないでしょう。
まずは資金繰りが苦しいということを伝え、ファクタリングを計画していること、さらに譲渡先の企業の安全性は高いと伝えておくのです。これだけ伝えておけば、いざという時もファクタリングに応じてくれやすくなることは間違いありません。また売掛先が支払う金額は契約通りである、ということも伝えておくことでさらに安心してくれるはずです。
3社間取引を計画している場合には、前もっての根回しというものも大事なのです。
※3社間ファクタリング利用後に、売掛先との取引が再度あった場合には割引を計画しても良いでしょう。ファクタリングした後も取引を継続してくれやすくなります。
利用できる業者に違いあり!3社間取引には対応していない業者もある
2社間取引しか対応していない
2社間取引と3社間取引に対応している
ファクタリング業者ですが、すべての業者が2社間取引と3社間取引に対応しているわけではありません。どちらの取引を利用するかによって、選択できる業者には大きな違いがでてきてしまう可能性もあるわけです。
ちなみに3社間取引だけに対応しているという業者はほとんどありません。ですから2社間取引を利用している場合には、基本的にはどのファクタリング業者でも利用可能です。一方で3社間取引の利用を考えている場合には、利用できる業者が限られてくることもあるので注意しましょう。
2社間取引と3社間取引のメリット・デメリットから違いをまとめる
2社間取引のメリット
・売掛先にファクタリングが発覚しない
・自社の信用が傷つかない
・比較的入金されるまでの期間が短い
・ファクタリング契約が比較的簡単である
2社間取引のデメリット
・手数料が高めに設定されている
・売掛金を自身で回収して、ファクタリング業者に引き渡さなければならない
3社間取引のメリット
・手数料が低めに設定されている
・売掛金を回収しないで済む
3社間取引のデメリット
・売掛先にファクタリングが発覚する
・自社の信用が傷つく可能性あり
・入金されるまでの時間がかかってしまう
・契約する時に売掛先も関わってくるので煩雑である
2社間取引を選択すべきケースまとめ
・売掛先にバレたくなければ2社間取引を選択するべき
・自社の信用を落としたくなければ2社間取引を選択すべき
・なるべく早く資金調達をしたい場合には2社間取引を選択すべき
・簡単な契約手続きにしたいのであれば2社間取引を選択すべき
3社間取引を選択すべきケースまとめ
・手数料を少しでも低く抑えたいのであれば3社間取引を選択すべき
・売掛金の回収の手間を避けたいのであれば3社間取引を回収すべき
2社間取引と3社間取引のメリットとデメリットから導き出された「2社間取引を選択すべきケース」と「3社間取引を選択すべきケース」をまとめてみました。
それぞれの取引のメリットとデメリットを見て、どちらの方に注目するでしょうか。
法人ごとに事情は異なるので、「2社間取引の方が良い」「3社間取引の方が良い」とは決めつけられません。自分で判断しなければならないのです。
大まかな判断基準に関してはいくつかあります。
資金調達までの時間的余裕というものを考えてみましょう。仮に資金のショートが直前に迫っている、というケースは2社間取引一択です。2社間取引は入金までのスピードが早いので、差し迫った資金難にも対応可なのです。
一方で時間的余裕があるのであれば、3社間取引も選択肢の一つに入ってくるでしょう。それほど時間がかかるわけではありませんが、3社間取引は2社間取引に比べると審査や手続きに時間がかかってしまいます。
金額も判断基準に入っています。
持っている売掛債権(売掛金)が少ないケースや少しでも多くの現金を得たい、という場合には3社間取引をおすすめします。3社間取引は手数料が低く設定されているので、売掛金の額面金額に近い現金が得られるチャンスもあります。
2社間取引に関しては手数料が高く設定されているので、売掛債権の金額よりもだいぶ低い金額しか現金化できない可能性もあるので注意してください。
※利用するファクタリング業者と2回目以降の取引であれば、手数料を有利な設定にしてくれる可能性もあります。
売掛金の回収とファクタリング業者への支払いが面倒であると感じた場合には、3社間取引を選択しましょう。3社間取引であれば、売掛先が売掛金の返済をファクタリング業者へ行うので支払いに関して面倒なことが一切ありません。