卸売業が資金繰りを改善させたいときに注意しておきたいポイント

会社を経営する上で資金繰りは重要な項目ですが、利益を増やすために悪化させない資金管理が重要です。

では卸売業が資金繰りを管理するとき、行き詰まりを感じた場合など何に注意しておくべきかご説明します。

 

卸売業の資金の流れ

卸売業に限らず、企業経営における資金の流れは基本的に、

  1. 材料など仕入による買掛金の発生
  2. 買掛金の支払い
  3. 商品販売による売掛金の発生
  4. 売掛金の回収

といった流れに基づき、仕入れだけでなく人件費や固定費などの経費の支払いに資金が不足しないような管理が必要です。

 

卸売業は売掛金の回収が資金繰りの大きな鍵に

卸販売が主となる流通業や卸売業の場合、売掛金が発生しやすい業種なのでどのくらい早く売掛金を回収できるかにより、資金繰りの悪化しやすさがことなります。裏を返せば、早く売掛金を回収することで資金繰りが改善しやすいといえるでしょう。

ただ、取引先の経営状態悪化により、入金予定だった売掛金の回収に遅れが生じたときには、その影響を直で受けやすいので注意が必要です。

また、卸売業の場合、他にも次のような要因で資金繰りが悪化することが考えられます。

景気悪化による売上低迷のリスク

ショッピングセンターなどが閉館してしまい、テナント撤退などで収益が減少することも考えられますし、似た性能や品質を重視した製品が増えることで他商品と差別化が難しくなるなど、激化する商品の価格競争に打ち勝つため安く販売しなければならなくなることも考えられます。

過剰在庫で余計な費用がかかり過ぎる可能性も大

また、卸売業は在庫管理が資金繰りに大きな影響を与える点にも注意しておく必要があります。在庫を抱えすぎれば過剰在庫に陥り、在庫を維持・管理する費用が増えて商品品質が陳腐化し、結果として資金繰りの悪化を招きます。

一定の商品は在庫として保有することは必要でも、資金繰りを考える上では負担の要因となることを把握しておくべきです。

過剰に在庫を抱えているということは、仕入れから販売されるまで時間がかかってしまっていることなので、代金回収がそれだけ遅くなってしまい負担が増えます。

 

資金繰り改善に銀行からの融資は適切か

このような様々な要因で資金繰りが悪化してしまった場合、改善させようと金融機関を頼ろうと思うかもしれません。

まとまった資金を手に入れることで、一時的には改善されたように感じるかもしれませんが、借りた後の返済負担が重くなることで余計資金繰りが悪化することもあります。

そもそも審査が厳しく融資を受けられないケースも少なくありませんし、たとえば明日までに資金を調達しなければならないといった場面で、金融機関からの借り入れでは実行されるまで時間がかかりすぎてしまい対応できません。

このような場合、卸売業が多く保有している売掛金を現金化できるファクタリングによる資金調達がおすすめです。

 

ファクタリングなら迅速に資金調達が可能

ファクタリングは売掛金などの売掛債権をファクターとよばれるファクタリング会社に売却し、入金される予定期日より先に現金化させることで、資金を得るサービスです。

利用するファクタリング会社にもよりますが、早ければ売掛金を即日現金化できるなど、資金を早く調達しなければならないときでも対応できますので、卸売業以外にも建設業や運送業などで有効な資金調達の方法として利用されています。

融資ではなく、資金繰りを悪化させている売掛金を先に回収することができますし、利用する際の審査で重視されるのは売掛債権の種類や売掛先の信用力です。

もし卸先から未回収の売掛金を保有しているなら、ファクタリングで資金調達することを検討してみてはいかがでしょう。

企業経営において重要なのは利益ではなくキャッシュフロー管理?

企業経営において、利益と耳にすると何となくイメージはできても、キャッシュフローとは何なのかイメージや説明が難しいと感じる方もいることでしょう。

利益に注視して企業経営を続けることはもちろん重要ですが、それ以上に重要なのがキャッシュフローです。そこで、キャッシュフローとはそもそも何を示すことなのか、利益と何が違うのかご説明します。

 

企業経営におけるキャッシュフローとは

手元の現金や預金のことをキャッシュといい、流れのことをフローといいます。そのためキャッシュフローとはお金の流出入のことですが、企業経営においてこのキャッシュフローに注視しておくことは非常に重要です。

商品を仕入れればその代金を支払うことが必要ですが、仕入れた材料などを使って商品を作り、その商品を販売して売上があがればその代金を受け取ることができます。

入ってきたお金で仕入れ代金を支払い、その他、家賃や水道光熱費、給料などの経費も支払うという流れを管理していかなければ、お金が不足して支払いができなくなってしまうでしょう。

 

支払いと入金のタイミングのズレ

お金が入ることはキャッシュイン、反対に出ていくことをキャッシュアウトといいます。キャッシュインからキャッシュアウトを差し引いた収支キャッシュフローと考えればわかりやすいですが、キャッシュフローは常にプラスになるとは限りません。

なぜなら仕入れや給料などの支払いは、商品などを販売してその代金が入金される前に発生するからです。

キャッシュフローがマイナスになる場合、資金調達によりお金を補充することが必要になります。

 

利益とキャッシュフローは一致しない

利益は、売上から費用を引いて計算します。

小売業や飲食業などは現金商売なので、顧客に商品を販売した場合、商品と引き換えで現金を受け取ることができます。しかし企業間では現金で取引されることはほとんどなく、1か月分など一定期間分に発生した取引分をまとめて請求し、後日入金してもらう掛取引が主流です。

ただ、会計処理上、商品を販売した段階で売上として計上されることになるので帳簿上は黒字をあらわしますが、まだ入金がされていないことで売掛金のまま残っており、実際のキャッシュフローは利益よりも少ない状態になりがちです。

会計上の利益とキャッシュフローは必ず一致するわけではないと理解しておきましょう。

 

必要な運転資金が増えればキャッシュフローはマイナスに…

事業を営む上で必要な資金を運転資金といいますが、

運転資金=売掛債権(売掛金など)+棚卸資産(商品の在庫)-仕入債務(買掛金など)

という計算式で算出できます。

そのため、売掛債権が増えたときや棚卸資産が増えたとき、仕入債務が減ったときは多く運転資金が必要となるのでキャッシュフローはマイナスとなります。

キャッシュフローをプラスにしたいなら、商品を販売した後の売掛金を早く回収すること、仕入した後にできるだけ早く販売して在庫を増やさないようにすること、仕入れ代金はできる限り支払期日を遅く設定することが必要といえます。

 

その他キャッシュフローがマイナスになる要因

必要な運転資金が増える以外に、キャッシュフローがマイナスになるなど悪化する要因として挙げられることは、

  • 設備投資に費用を掛け過ぎること
  • グループ法人に対する貸し付けなどお金を生まない出費

などです。あわせて注意しておくようにしましょう。

 

まとめ

現金の出入りであるキャッシュフロー管理をしっかり行い、会計上の利益とは必ずしも一致するわけではない点も理解しておきましょう。そのため、利益が出ていてもキャッシュフローがマイナスになることもあるのです。

会計処理上の結果、利益が出ずに赤字でも企業は倒産しませんが、キャッシュフローがマイナスになれば会社は倒産してしまいます。キャッシュフローがマイナスにならない管理を行うようにしてください。