事業資金の融資を受けるなら事前の返済計画が重要!

事業資金を調達する計画を立てる場合には、前もって返済計画を構築させておくことが必要です。

起業など検討する場合は特に、事業計画に前もって返済計画を盛り込んでおくことが重要となります。

返済計画の返済額の判断方法

返済計画で盛り込む返済額は、原資となる部分からどのくらいまで可能か判断することになりますが、ここでの返済原資とは税引き後利益と減価償却費の合計です。将来に渡って税引き後に利益を獲得し続けることができるかが重要となるでしょう。

金利が変動するタイプのローンの場合、金利の見直しが定期的に行われるので、返済利息が増減してしまう可能性もあります。それも踏まえた上で、無理のない返済計画を立てるようにしてください。

高い金利でお金を借りてしまうと…

融資を受けるときには資金使途が最も重要になります。借りたお金を何に使うのか明確にしておかなければ、銀行側もお金を貸し付けることはできません。

事業者向けローンなどは、事業に必要とされる資金なら特に詳細な内容までは問われません。しかし、金利は一般的な銀行融資より高い上に、枠内で借りることができるだけ借りればよいと返済計画のない借金を増やすことになる可能性があります。

ただ漠然とお金を借りて使っていくことを繰り返していると、資金繰りの現状を把握しにくくなってしまい、将来的な計画を立てたくても立てられなくなってしまいます。

特に業績が悪化すれば、返済資金に充てるために借金をするようになり、自転車操業を繰り返すようになればいつまでたっても借金は減りません。

必要な資金の金額を把握しておくこと

銀行から融資を受ける前に、まずは必要な資金はいくらなのか、しっかり把握しておく必要があります。資金をいくら必要とし、必要とする資金の中で融資を受けて調達したい金額はいくらなのか計算しておくことが大切です。

たとえば事業計画により、当初は1,000万円必要だと銀行に説明していたものの、実際に銀行からは700万円までしか融資を受けることができないとされたとき、その金額でも大丈夫です!といった話にはならないはずです。

事業計画を立てて1,000万円必要としたのなら、残りの300万円を別の調達先から工面しなければその事業計画が成り立たないことになります。

もし銀行から融資できるという金額が希望額に足りていない場合には、事業計画そのものを見直すのか、不足する資金を別の調達先で準備するのか決めなければならないということです。

どのくらいの収益を見込め返済資金をねん出できるか

事業計画に基づいた返済内容になっているかも重要です。おおまかに毎月このくらいの金額なら返済できると決めてしまい、その返済金額から融資を受ける金額や返済期間を決めてしまうと、正しい返済計画にならない可能性が出てきます。

仮に銀行から融資を受ける目的が設備投資のためのなら、資金を借り入れることでどのくらいの収益が見込め、そこから返済資金をねん出できるのかまで踏まえて返済計画を立てなければならないのです。

手間はかかっても融資を受けるなら欠かせない資金繰り表

適切な返済計画を盛り込んだ事業計画を作成するのなら、しっかりと資金繰り表を作成しておくことをおすすめします。日々の現預金の入出金を資金繰り表につけて、今後の現金の増減など流れを予測していきましょう。

それにより、どのタイミングでどのくらい借りることができるのか、どのくらい借りるべきか、その借り入れ分を返済することができるかを一目で予測することができるはずです。

月ごとに損益計画などを作成し、作成した損益契約をベースとして資金繰り表で予定を立てていくことになれば手間はかかるかもしれません。

ただ、銀行からの借り入れで資金を調達することを考えるのなら、必要な作業として理解ししっかりと作成するようにしましょう。

資金を調達するなら銀行融資とビジネスローンのどちらがよい?

事業を継続させる上で資金を調達することは重要なことですが、たとえば融資を受けることを方法として検討する場合、銀行融資がよいのか、それともビジネスローンを利用するのか悩むこともあるでしょう。

そこで、銀行融資とビジネスローン、それぞれどのような特徴があるのか、どちらから借り入れるほうがメリットは高いのかご説明します。

 

個人向けのカードローンでは事業性資金に充てられない

個人向けの無担保ローンをカードローンといいます。カードローンの場合、使い道は自由とされていますが事業性資金として利用することはできません。事業性資金として利用するのなら、同じく無担保で利用できるビジネスローンを活用することになります。

ビジネスローンとは、事業者が事業資金を準備するためのローンのことで、銀行のプロパー融資を利用しにくい中小企業零細企業向けに銀行が始めたローン商品を指しています。

 

なぜビジネスローンができたのか

本来なら、銀行が独自の責任で貸し付けを行うプロパー融資のほうが金利負担を抑えることができます。

しかし、審査基準が厳しいため、中小企業や零細企業は利用しにくいことが特徴です。そこで、中小・零細企業にも貸し付けを行うため、審査条件を緩和する代わりに金利を高めに設定したビジネスローンが始まったという流れです。

 

同じビジネスローンでも銀行よりノンバンクの方が人気?

もともとビジネスローンは即日融資など、迅速性の高さも魅力の1つとして人気だったのですが、銀行は現在即日融資ができなくなっています。

そのため、信用保証協会に保証を引き受けてもらう形となる制度融資を選ぶ中小企業なども多く、ビジネスローンの存在意義がだんだんと薄れてきた状態です。

そこで信用保証協会の保証付の融資を受けることが難しい中小企業や、即日融資を希望する中小企業などの受け皿として、ノンバンクのビジネスローンが積極的に利用されるようになっています。

 

ノンバンクのビジネスローンなら即日融資も可能

ノンバンクのビジネスローンは、銀行のビジネスローンよりもさらに審査が甘く、即日融資を可能とするのですぐに資金を準備しなければならないケースにも対応可能です。

急な資金準備が必要になりがちな中小企業のニーズに対応しやすい資金調達の方法ですが、デメリットとして銀行のビジネスローンより金利が高めに設定されていることがあげられます。

 

銀行から融資を受ける場合の審査

ビジネスローンのほうが銀行融資よりも審査が甘めですが、では実際に銀行に借り入れを申し込んだ場合、どのような審査が行われるかご説明します。

審査は銀行の融資担当者が個別に行いますが、現地に訪問して経営者と面談を行います。提出された決算書、事業、販売されている商品などの確認が行われ、市場や業界、競合の優位性、経営者の資質など、さまざまな項目をいろいろな角度から評価していきます。

その評価をもとに、担当者が稟議書を作成するという流れです。

稟議書に記載される項目は、

・企業の基本情報
・決算数値
・融資条件
・適用される予定の金利
・保全状況
・返済能力
・他行からの借入状況
・稟議書作成者からのコメント

などです。

作成された稟議書は支店内で回覧され、支店長の中間決裁を経て本部長や役員が最終決裁を行います。多くの過程を経た上でやっと融資が決まる流れになっているため、審査に時間がかかってしまうわけです。

 

ノンバンクのビジネスローンで行われる審査

一方のビジネスローンは、データを統計的なモデルに基づき信用度を点数化するスコアリングシステムによる審査が行われます。審査を行ってもよいか、融資を可能とする金額や適用される金利などは自動的に算出される仕組みです。

担当者が申込情報や決算書の内容をもとにスコアリングシステムに入力し、判定を待つだけなので最短で1時間程度で融資の可否がわかるビジネスローンもあるほどです。

 

まとめ

急いで資金を調達したいという場合には銀行融資よりもビジネスローンのほうがメリットは高いですが、審査が柔軟な分、金利は高く設定されています。

もし即日資金を準備しなければならないという場合には、ノンバンクのビジネスローン以外にもファクタリングなどを活用する方法もありますので、返済負担のない資金調達の方法として検討してみるとよいでしょう。

ファクタリングで資金が調達できるまでの流れを知っておくこと

資金調達にファクタリングを利用する場合、どのような流れで資金を得ることができるのかご存知でしょうか。

利用したくても、実際の流れがよくわからないので不安を感じるという場合もあるでしょう。

そこで、実際にファクタリングを導入するまでの流れをご説明します。

 

まずは売掛債権が発生していることが必要

ファクタリングは売掛債権をファクタリングに売却し、現金化させる資金調達の方法ですので、まずは売掛金がなければ利用できません

保有している売掛債権があり、売却して現金化させることを希望するなら、ファクタリング会社に問い合わせを行います。

審査後、買取金額の見積もりを取得し、納得できれば契約という形です。

 

契約締結後に忘れてはいけないこと

無事に契約が締結された後、ファクタリング会社から売買契約に従い買取代金を受け取ることが可能となります。

ただ、売掛先も取引に加わる三社間ファクタリングなら問題ありませんが、二社間ファクタリングの場合は、自らが売掛先から期日に売掛代金を回収することが必要になります。

回収した代金は、そのままファクタリング会社に横流しする形となるので、この流れを忘れないようにしておくことが重要です。

 

どのファクタリング会社でも利用できるわけではない?

ファクタリングを利用する前に、ファクリング会社ではその売掛債権を買い取ることができるのか審査が行われます。

審査で重視されるのは売掛先の信用力ですが、ファクタリング会社によっては法人のみ対応可能としていたり、売掛債権の金額に下限を設けていたりと、利用する上で条件がある場合がある点にも注意しておきましょう。

 

必要書類は事前に準備しておくとスムーズ

利用会社や売掛先を審査する上で、必要な資料を求められますので事前に準備しておくとスムーズです。

ファクタリング会社によって違いはあるものの、多くは法人なら商業登記簿謄本、決算書、請求書、売掛金一覧表などです。ファクタリングを依頼するファクタリング会社に何が必要か確認しておくとよいでしょう。

契約前には最終確認が行われますが、このとき面談などが実施されることが一般的です。

その際、審査で必要となった書類以外にも必要となる書類が出てくる場合もあるので、その部分も確認しておくとスムーズです。

 

どのファクタリング会社に依頼するべきか

ファクタリングの流れはどのファクタリング会社でも大きな差はありません。

ただ、設定される手数料や利用対象とする事業者、買い取ってもらえる売掛債権の金額などは違いがありますので、利用を可能とするファクタリング会社を見極めることが必要です。

個人事業主でも利用可能というファクタリング会社もありますし、売掛債権の金額に下限を設けていないファクタリング会社もあります。

また、二社間ファクタリングでは債権譲渡登記を行うことが多いですが、ファクタリング会社によってはこの手続きを留保という形で対応してくれるところもあるので、柔軟な対応が可能なファクタリング会社なら、色々な悩みにも親身に対応してくれるはずです。

ファクタリングで資金調達を成功させるためには、このファクタリング会社選びが非常に重要となります。

 

効率的にファクタリング会社を選ぶために

自分で一社ずつ声をかけ、見積もりを取得してかかる費用や対応してもらえるサービス内容を確認していくのもよいですが、それにはかなりの手間と時間がかかります。

急いで資金を調達しなければならないという状況で、数多く存在するファクタリング会社にコンタクトを取ることはとても効率的とはいえません。

このような場合、一括で数社から見積もりを取得できる方法を上手く活用し、効率的に信頼できるファクタリング会社を探してみてはいかがでしょう。

借入とは何をあらわす言葉?事業継続に欠かせない資金調達のために

会社を経営している方、個人事業主として事業を営む方、いずれも事業を続ける上で必要な資金は欠かせません。そのために銀行やノンバンクからの借入を検討している方もいるでしょうが、そもそも借入とはどのようなことを意味する言葉なのでしょう。

他にもお金を借りる場面では、ローンや融資、借金など似た意味であると判断できる言葉がいろいろありますが、これらに違いはあるのでしょうか。

 

借入とローンの違いとは

借入とはお金を借りることを意味する言葉ですが、似た言葉にローンという言葉があります。どちらも同じ意味で使われることがありますが、実際には借入とローンには違いがあります。

事業を営む上で借入やローンを利用する場面もあるかもしれませんので、それぞれ何を意味する言葉なのか、異なる部分を理解しておくようにしましょう。

 

借入とは

まず借入とは、金銭だけでなくモノを借りることすべてを指した言葉ですが、基本的には金融機関などからお金を借りることを指します。

お金の借入では、返済する際に利息を追加し、借りた金額よりも多く返すことになります。

 

ローンとは

ローンは特定の商品を購入する際に金融機関などから融資を受けることを指します。

たとえば、住宅ローンや自動車ローンなど、モノを購入する上で自己資金では不足が生じる場合に利用します。

先に商品を手に入れ、その後、返済していく仕組みが主にローンといえるでしょう。

借入は金銭を借りることそのものを指す言葉ですが、ローンは商品と引き換えにお金を支払うという意味で使用されます。

 

●カードローンなど使途自由のローンもある

ただ、カードローンやフリーローンのように、使途は自由というケースもありますが、融資の申し込みの場面では何に使用する目的でローンを利用するのか申告することが求められます。

 

借入と借金に違いはあるのか

では借入と借金という言葉に違いはあるのでしょうか。

「借入をした」という場合、銀行やノンバンクからの返済プランが明確に決まった上でお金を借りたときに使用されます。

「借金をした」という場合、たとえば友人や家族などからお金を借りて、返済の計画や目途が明確に立っていないものも含みます。銀行のローンを利用した場面でも、銀行から借金をしたという使い方もするので、借金とはお金を借りたこと自体を総称して使う言葉であるといえるでしょう。

 

融資とは何を意味する言葉?

さらにお金を借りる場面で使用される言葉に、融資という言葉があります。

融資とは、お金を貸し付ける側が金銭を融通することを意味する言葉であるため、借りる側ではなく貸す側が使う言葉といえるでしょう。

たとえばノンバンクなどで「即日融資可能」という宣伝文句が使用されることがありますが、これはその日のうちにお金を貸すことができるという意味です。

 

いずれにしても借りたら返すが原則

言葉は違っても、どれもお金を借りることには変わりありません。借りたお金は必ず返さなければなりませんし、家族や友人などよほど親しい関係の方から借りる以外には、利息も発生するでしょう。

借りた金額よりも返す金額が多くなることはいうまでもありませんので、しっかりと返済計画を立てておかなければ一時的に手元の資金は潤っても、今度は返済に追われることになってしまいます。

お金を借りるときには、借りた後の返済計画が重要であることを再認識しておくようにしましょう。

 

まとめ

借入や借金とはいろいろな貸し付けやローンの総称として使うことが一般的です。

借入、ローン、融資など、いずれもお金を借りるという意味ですが、借入はするもの、ローンは利用するもの、融資は受けるものであるといえるでしょう。

ローンは、銀行やノンバンクなどが、お金を貸す目的で用意する金融商品を指す言葉としても使われますし、融資とはお金を貸す側が主体となって使用する用語であるといえます。

中小企業が資金を調達する方法|3つの分野から主な方法をご紹介

中小企業が資金を調達することを考えたとき、どのような方法を用いれば資金繰りを改善させやすいのか、必要な資金を準備できるのかで選ぶことになるでしょう。

資金調達の方法を大きく分けると、アセットファイナンス、デッドファイナンス、エクイティファイナンスの3つとなりますが、たとえばアセットファイナンスに該当するのはファクタリング、デッドファイナンスは銀行融資やビジネスローン、エクイティファイナンスはエンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資が含まれます。

それぞれどのような方法なのか確認し、自社にとってもっとも適した資金調達の方法はどれか選ぶようにしてください。

 

アセットファイナンス

中小企業などが所有している有形資産や無形資産を売却して資金を調達するという方法です。

資産を売却して現金化するだけなので、企業の信用力が低い状態でも利用することができる上に、保有する資産を貸借対照表から切り離すことも可能なので、財務体質の改善を図ることができることがメリットです。

ただし、売却価値のある資産を所有していなければ資金に換えることはできませんし、現金化できるのは資産価値の範囲内に留まります。

アセットファイナンスを代表するのはファクタリング

売掛債権をファクタリング会社など専門業者に売却し、売掛代金が入金されるより前に現金化す方法がファクタリングです。

利用の際に手数料はかかりますが、売掛債権という資産を売却して資金を得る方法のため、利用する会社の信用力はさほど重視されず、審査が柔軟であるのも利用しやすいとされる理由です。

ただし、信用力が高い売掛先の売掛債権を保有していることが必要となること、現金化できるのは売掛債権額の範囲内であることを理解しておく必要があるでしょう。

 

デットファイナンス

銀行融資や債権を発行することで資金を調達する方法なので調達先が豊富であることや、発生した利息の支払いは税務上損金扱いになるため、節税に繋がるのもメリットといえるでしょう。

ただし、毎月の返済金額には元金と利息が含まれるので、支払い分はキャッシュフローが減少していきます。

また、融資を受けた分、資金に応じた自己資本比率が下がるので、信用力も低下してしまう可能性があります。

デッドファイナンスを代表するのは銀行融資やビジネスローン

銀行からの融資には、銀行がリスクを抱える形で貸し付けを行うプロパー融資、信用保証協会が債務を保証した上で貸し付けが行われる制度融資があります。

起業家などが利用しやすい政府系金融機関である日本政策金融公庫などからの融資や、金利は高めに設定されているけれど貸し付けが迅速に行われるビジネスローンなどもデッドファイナンスに含まれます。

 

エクイティファイナンス

株式を発行して出資してもらうことにより資金調達する方法です。返済義務のない資金を調達でき、自己資本も増強されるため財務基盤を安定させやすくなることがメリットです。

ただし、株式数が増えてしまうと会社の経営権を握られてしまう可能性があります。また、収益が出れば株主に対して配当金を支払う義務も増えることを理解しておく必要があるでしょう。

エクイティファイナンスを代表するのは投資家からの出資

たとえばベンチャーキャピタルエンジェル投資家など、将来性のある起業家や企業に出資してくれる投資家から資金を得ることができれば、返済義務を抱えることなくビジネスのアドバイスやサポートも受けることができるでしょう。

ただし、必要以上に経営に関与されてしまうケースもあるので、事業に賛同した上で支援してくれるのか見極めることも大切です。

 

まとめ

中小企業が資金を調達する方法はいろいろありますが、いずれの方法も必要とする資金の額や目的に応じて使い分けが必要となります。

いずれの資金調達の方法もメリットとデメリットなどがあるので、内容をよく理解した上で決めるようにしてください。

貸付金債権と売掛債権は別のもの?それぞれの性質とその違い

財産に対して、ある人が他の人に対しての行為を請求する権利を債権といいます。債権にも色々な種類がありますが、人に対して請求する権利で、排他性を持たないことが原則とされています。

では、貸付金債権と売掛債権、どちらも同じような性質のものと理解できる部分もありますが、どのような違いがあるのかご説明します。

 

貸付金債権とは

貸したお金のことを貸付金といいますが、この言葉は他人や他社に貸したときだけ使用するのではなく、たとえば自社の従業員に対して企業が貸し付けを行った場合や、子会社などに貸した場合なども使われます。

貸したお金については返してもらう権利を得ますが、お金を返してほしいと返還請求できる権利貸付金債権といいます。

 

売掛債権とは

では、商取引で発生した売掛債権などはどうでしょう。売掛債権とは、売上が発生し、商品やサービスの販売・提供は完了しているものの、その代金をまだ回収していない状況でその支払いを請求できる権利です。そのため、考え方によっては貸し付けを行っているものとも取れることができます。

 

売掛債権も貸付金債権に含まれるのか

商品やサービスの売買によって発生する売掛金などについて、その代金を回収するために請求することができる権利です。

単に金銭の貸し付けを目的として手形が振り出されることもありますが、この場合は貸付金に含まれることとなるので貸付金債権に該当するといえます。

しかし、同じ手形でも売掛金を回収することを目的とした手形や、その他取引で発生した債権のうち支払期限が6か月以内など短期間で返済されるものは含まれないとされています。

 

貸倒引当金の算定を行う場面での売掛金と貸付金

貸付金債権と売掛債権は違った扱いになるわけですが、企業で貸倒引当金の算定を行う場面では、一括評価金銭債権にかかる貸倒引当金の対象となるのは売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権とされています。

 

売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権に該当しないものとは

ここで気になるのは、この「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に該当しないのはどのようなものかという部分です。法人税基本通達によると、該当しないものとして次のものが例として挙げられています。

 

●預貯金や公社債やこれらの未収利子、未収配当などに類する債権

預貯金などについては、寄託債権と返還請求を行うことがいつでも可能ですので、回収ではなく返還を予定する債権であることから該当しないとされています。

 

●一時的な預け金などに類する債権

不動産の賃貸借契約において発生する敷金や保証金は、入居中にトラブルが発生したときのための担保という性格を有している費用であり、支払うというよりは預けるお金といったものですので該当しないとされます。

金融商品会計基準において将来、返還される建設協力金など差入預託保証金については、返済期日までの支出を割り引いた現在価値を時価とし、その金額が貸付金として処理されることになります。ただ、あくまでも預託保証金であることに変わりはありませんので、税務上においては該当しないとされます。

 

●資産を取得する目的で支払った前渡金など

資産を購入するために支払った手付金や前渡金は、資産を実際に購入した時の購入代金に充てられる費用であるため、先に一部を前払いしていることになりますので該当しないとされます。

 

●将来精算される費用の前払金

前払給料、概算払旅費、前渡交際費など、一時的な立て替えや仮払いとして処理される前払いの費用は該当しません。

ただ、誰かのために立て替えて支払ったというケースにおいては金銭の貸借であると考えることができるため、もし仮払金や立替金で処理していたとしても、「売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権」に含まれることになりますので間違わないようにしましょう。

借金で事業資金を調達できないのは税金の滞納があるから?

税金を納めることは国民の義務とされており、個人でも法人でもかわりありません。ただ、中には資金繰りが厳しい状態で、本来納めるはずの税金を滞納してしまっている場合もあるでしょう。

そのような状況でも事業を営み続けるため、必要な事業資金などを借金で賄うことを考えているという方もいるかもしれません。しかし、税金を滞納していると、どこからも借り入れできなくなり、資金調達が叶わない状況に陥る可能性があります。

 

税金の滞納があると銀行から借金はできない

法人の場合、個人より納税しなければならない税金が多くなります。源泉税や社会保険料、法人税、消費税など、企業によって差はあるものの、納税額が高額になることはけっして珍しいことではありません。

多額の納税資金を準備できず、支払いが遅れてしまうと税務署などから督促を受けることになり、それでも支払えず滞納してしまっている企業も中にはあるでしょう。しかし、このように税金を滞納し続けたままでは、銀行の融資審査はまず通過できません。

銀行融資の審査において、合否を左右する大きな要因は決算書の数値です。財務状況に加え、納付期限を守らない経営者には、銀行も融資をしたいと思わないからです。返済能力も信用度もない経営者と思われないためにも、滞納した税金はできるだけ早く払っておくようにしておきましょう。

 

なぜ銀行は税金滞納の事実を把握できるのか

もし税金を滞納していたり、追徴課税が発生していても、その事実をそもそも銀行に知られることがあるのかと不思議に思う方もいるでしょう。

しかし、銀行に融資を申し込むときには、登記簿謄本や本人確認書類以外にも、直近2~3期分の決算書や税務申告書、勘定科目内訳明細や納税証明書などの提出を求められます。

注目したいのは納税証明書

銀行のプロパー融資なら納税証明書の提出は求められないケースもあるようですが、保証付き融資や自治体の制度融資、日本政策金融公庫の融資、ビジネスローンなどでは納税証明書が必要となります。

もし税金を滞納していれば、納税していることが証明できませんので、当然、納税証明書も交付されません。そのため、税金を滞納している事実を知られることになってしまいます。

 

決算書からも税金滞納の事実確認は可能

決算書からも税金の滞納は確認できますので、いずれにしても銀行融資の申し込みを行い、必要な書類を提出した時点で税金滞納は発覚することになるといえるでしょう。

 

税金滞納で税務署から取引先銀行に確認が!

さらに、税金を納税せずに滞納したままの状況が続くと、税務署は企業の取引先銀行に対し、取引状況の確認を行います。

取引状況の確認が行われたということは、税務署から理由を告げられなくても税金の支払いに何か問題が生じているとわかってしまいます。

税務署からの取引状況の確認をきっかけに、銀行は経営者に対してヒアリングなどが行うこととなり、結果として税金を滞納している事実が発覚することになる流れです。

これまでメインバンクとして取引を続けていた銀行だとしても、その後は追加で融資されることもなくなり、ますます資金不足に陥ってしまう可能性が出てきます。

 

滞納した税金が免除されることはない

このように、税金を滞納していると、銀行からの借金で事業資金をまかなうことはまず難しい状況となってしまいます。

税金を滞納していた場合、延滞金利子は年14.6%と高い割合で課税されることになります。滞納を続けていればいずれは資産を差し押さえられることになり、自己破産しようとも税金は免責の対象にはならず、納税義務から逃れることはできません

事業を継続させる上で、税金の滞納があると妨げになることは間違いありませんし、必ず支払わなければならない上に、納税するまで銀行融資なども利用できない状態が続きます。

 

税金を滞納していても利用できる資金調達の方法

税金の滞納があれば銀行から借金はできません。ではどうやって資金を調達し、納税資金を準備すればよいのかと頭を抱える経営者もいるようですが、このようなケースでもファクタリングであれば資金調達できます。

ファクタリングは、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、売掛金が入金される期日より先に現金化させる仕組みです。

滞納している税金があったり、債務超過などの状況であっても、ファクタリング審査で重視されるのは、利用者ではなく売掛先の信用力です。借金で資金をまかなうことができない事業者でも利用できる資金調達の方法なので、検討してみることをおすすめします。

先にお金を振り込ませようとする融資詐欺の手口や対応の手法とは?

資金繰りに困り果て、何とかして運転資金を調達しなければならないという立場につけこむように、融資するとみせかけ保証金や紹介料などを振り込ませ、実際には融資は行わない融資詐欺をご存知でしょうか。

ヤミ金業者の場合、法定利息を超えた暴利を請求しますが、金銭の貸し付けは行うので違う形でお金に困った方を騙そうとする手法です。振り込め詐欺の一種であり、融資するように装ってお金をだまし取ろうとします。

もし融資詐欺に出会ってしまっても絶対に請求された名目のお金は振り込んではいけませんが、騙されないためにもどのような対応を行ってくるのか確認しておきましょう。

 

甘い言葉でお金に困った方を誘惑しようとする

融資詐欺では、「誰でも簡単に○万円まで融資可能!」「審査不要で即日融資!」などといった甘い言葉で誘惑してきます。

さらにダイレクトメールの内容としては、通常の融資額よりも金額が大きく、しかも低金利で、収入や職業などの条件がまったくないことが特徴です。

すぐにでも資金を準備しなければならないけれど、どうやって資金を調達すればよいか頭を抱えて悩んでいる方が目に留まりやすいような様々なうたい文句で騙そうとします。

メールやチラシなどに、このようなありもしない都合のよい条件ばかり並べている場合には、まず怪しいと疑うようにしましょう。

 

他社の登録番号やロゴを不正使用

相手を騙すためには手段を選ばないため、実在している貸金業者の登録番号を勝手に使ったり、ロゴを不正使用することで、関連した金融業者だと思わせようとします。

 

利用者が安心したら様々な名目でお金を請求

利用者が安心したところで、融資詐欺の場合は先にお金を振り込ませようとします。その名目は、保証金、登録料、仲介料などで、あくまでも利用者の信用力を高めるために必要な資金であることをアピールしてくるようです。

たとえば、信用が不足しているため保証会社を付ける必要があると語り、そのためには保証金が必要なので指定の口座へ振り込むように要求されます。

 

紹介していなくても紹介料を請求してくるケース

また、融資を断った後に、関連の金融業者を紹介する名目紹介料を請求してくるケースもあります。紹介されるのは誰もが耳にしたことのあるような大手消費者金融などで、実際には大手消費者金融の社名を伝えるだけで、特に招待状を受け取れるわけでも口利きしている担当者を紹介してくれるわけでもありません。

もし大手消費者金融から借り入れができた場合には、紹介したから融資を受けることができたといって紹介料を請求してきます。

 

信用実績を作るお手伝い?ありとあらゆる手口

さらに、これまでローンやカードの利用履歴がなく、融資が受けられないことを利用して、信用実績を作るという名目で融資を行おうとする詐欺もあるようです。

1~2万円など少額の貸し付けに対してその倍額を返済させるという形で、次々に貸し付け金額と返済額が大きくなっていくパターンです。

「しっかりとした信用実績がないため融資ができないので、まずは実績を作るためのサポートをする」など、もっともらしいことをいって融資を行おうとします。

しかし金融業者では、信用実績を作るための融資を行うことはありませんので騙されないように注意しましょう。

 

もし詐欺に遭ってしまった場合の対応

先に述べた融資詐欺や、信用実績を作るための貸し付けを行おうとする詐欺などに遭った場合、気づいた時点でなるべく早く警察に通報し、弁護士や国民生活センターに相談するようにしてください。

もし融資詐欺の被害に遭ってしまうと、振り込んだお金を取り戻すことは難しくなるため、騙されないように心がけることが大切です。そもそもお金を借りために、融資を受ける前に保証金を請求されることはありません

怪しいと思ったら、メールやチラシなどに記載のあるオフィスの所在に本当に実在しているのか、インターネットなどで確認してみましょう。架空の所在地である場合や、レンタルオフィスの場所がそのまま記載されている場合もあります。

さらに、貸金業者として事業を営む場合、国や都道府県に届出を行って登録番号を取得しているはずです。他社の登録番号を勝手に使用している場合もあるので、金融庁の公式サイト登録貸金業者情報検索入力ページから、その番号が正しいのか、そもそも登録されている貸金業者なのか確認するようにしてください。

資金繰りに必要な資金をつなぎ融資でまかないたいときの注意点

つなぎ融資とは、事業を営む上で短期的な資金繰りに必要となる資金を調達することです。

健全な経営を目指すための必要経費や運転資金として、一時的に不足する資金を補うための融資を受けることは必要なことといえるでしょう。

日本では約7割の企業が、何らかの融資を利用していますが、このつなぎ融資もその1つといえます。

そこで、資金繰りを上手く回すためにつなぎ融資を利用するときには、何に注意しておけばよいのかご説明します。

 

つなぎ融資に銀行融資を利用することは適切なのか

つなぎ融資をどこから借り入れるのか考えたとき、すぐに思いつく金融機関といえば民間の銀行が挙げられるでしょう。

やはり金利が低く返済期間が長期で設定できることが魅力といえます。融資を利用しても返済負担を抑えることができるので、つなぎ融資としても利用できれば…と希望する経営者は少なくないはずです。

しかし、融資を受けるためには必ず審査に通過しなければなりません。銀行からいくら借り入れを行いたくても、審査という高いハードルを越えることができなければ、融資が実行されることはないでしょう。

低金利の金融機関からの融資を希望するのなら、その分、審査のハードルは上がるということです。

中小企業では銀行融資の審査に通らないことが多くみられますし、準備する必要のある書類も複雑です。仮に審査が通り借り入れが可能になったとしても、融資実行まで時間がかかり過ぎる点が問題となります。

 

本来、つなぎ融資なら貸し付けてもらいやすいはず

つなぎ融資を利用する理由は、商品やサービスを販売・提供したものの、その代金回収までの期間が長く、一時的に資金に不足が生じているからです。

将来的に売上代金が入金されることがわかっていれば、お金を融資する金融機関なども比較的資金を貸し付けしやすいはずです。

このような理由のつなぎ融資ではなく、会社経営が赤字ですでに他の金融機関などから融資を受けているといった状況では、本当にお金を貸して大丈夫なのだろうかと懸念される可能性が高くなります。

ただ、創業したばかりで初期投資が発生したタイミングや、設備投資を行ったタイミングなどで、一時的に赤字が生じている場合であれば、将来的に黒字となる可能性が見込まれると判断されることでつなぎ融資を利用できる可能性は高まります。

 

一時的なつなぎ融資ならビジネスローンでも問題はない

つなぎ融資は、銀行融資だけに頼る必要はありません。同じ銀行で利用できる貸し付けにも、ビジネスローンという事業者向けの融資もあります。

ビジネスローンは銀行だけでなく、ノンバンクなどでも利用できますが、どちらも銀行融資より金利は高めであり、同じビジネスローンでもノンバンクで利用するとさらに金利は上がります。

しかし、一時的な資金不足を補うために借り入れを行うのがつなぎ融資ですので、売上代金などの入金があったときにすぐ返済ができれば、金利負担もそれほど大きくなくて済みます。

ノンバンクのビジネスローンの場合、即日融資も可能とする金融業者もありますので、急に資金が必要になったという場面でも対応が可能となるでしょう。

 

借り入れを増やすことに抵抗があるのなら

つなぎ融資でも借金を増やすことには代わりありません。一時的でもやはり借り入れは避けたいという場合には、売掛金を現金化するファクタリングを検討してみましょう。

ファクタリングとは、自社が保有している売掛債権(売掛金)を、ファクタリング専門業者に売却して現金化するサービスのことです。

つなぎ資金を調達する方法としても適しているのは、借り入れではないため後に返済負担が生じないことです。

また、もともと入金される予定のお金を先に現金として入手できることも利用しやすい理由でしょう。ただ、ファクタリングを利用するときには手数料が発生しますので、高額な手数料を請求されないためにも、優良なファクタリング専門業者に依頼するようにしてください。

複数社から相見積もりを取得し、どこのファクタリング専門業者の手数料が安いか、サービスに見合う手数料設定になっているか確認の上、利用する業者を選ぶようにしましょう。

個人が資金を調達する方法|これなら個人事業主でも実行できる!

個人事業主が資金を調達しようと考えたとき、法人が利用する方法とは違った視点で検討することが求められます。

そこで、資力の乏しい個人事業主でもスムーズに資金を調達するためにはどのような方法を用いればよいのかご紹介します。

 

公的金融機関からの融資制度を利用する

個人事業主が多額の資金を必要としたとき、銀行融資の申し込みを検討することもあるでしょう。しかし、銀行融資の審査は想像しているよりも厳しく、なかなか審査を通過できないのが現状です。そこで、民間の金融機関ではなく、公的金融機関である日本政策金融公庫からの借り入れを検討することをおすすめします。

政府が100%出資して運営する日本政策金融公庫では、個人事業主や中小企業も安心して借り入れができる融資制度を設けています。

そもそも資力の乏しい個人事業主や中小企業など、銀行融資を利用しにくい事業者をサポートするために運営している金融機関ですので、要件を満たせば融資制度を利用できる確率は高まります。

日本政策金融公庫の融資制度の種類

税務申告を2度終えるまでの創業時なら新創業融資制度、創業1年目から7年目までなら中小企業経営力強化資金制度など、利用できる制度の種類もいろいろあります。

いずれも金利が安く、年利1~2.5%前後で借り入れが可能です。担保や保証人も必要ないので、誰に迷惑をかけることもなく資金を準備できます。

また、返済期間も5年以上と長期に渡るため、無理なく返済計画を立てることができることもメリットとなるでしょう。

いずれは銀行融資も可能に

日本政策金融公庫から融資を受け、返済を続け実績を作れば個人事業主としての信用力も高まり、民間の金融機関からも融資を受けやすくなるはずです。

 

個人事業主が安心して利用できる信用金庫からの融資制度

民間の金融機関は厳しくても、信用金庫なら貸し付けを行ってくれる場合もあります。そもそも信用金庫は、一定地域の中小工業者や勤労者に向けた金融機関のため、経営理念が銀行などとは異なります。

銀行では株主の利益が優先されますが、信用金庫は地域の方たちが利用者となり、地域が反映するための相互扶助が目的です。

そのため、取引先も個人事業主や中小企業がメインであり、利益第一主義ではないことが特徴です。

日本政策金融公庫の方が融資は受けやすく、金利も低めに設定されていますが、日本政策金融公庫の融資制度が利用できなかった場合でも信用金庫で借り入れが成功したケースも存在します。

信用金庫によって設定されている金利などは違いがありますが、相談してみることも方法の1つです。

 

補助金や助成金を活用して資金を調達する

返済を必要としない補助金や助成金で資金を調達できれば、資金繰りは改善される上にその後の返済負担に苦しむこともありません。

最もよい方法といえますが、国や地方自治体から提供されている補助金や助成金は、資金を調達したいと考えているタイミングで制度自体が設けられていると限らないことが難点です。

また、先に資金を調達できるのではなく、一旦は自らが立て替えて支払いを行い、その後入金が行われることが一般的です。

要件を満たせば利用できる制度ではありますが、一時的な立て替えが発生することと、事業に合う補助金や助成金制度が存在するのかが大きなポイントとなるでしょう。

 

まとめ

個人事業主が資金を調達しようと考えたとき、資力が弱いからこそ、なるべく金利などは低く返済負担を抑える方法を利用したいと思うものでしょう。

そこで候補に挙がるのは日本政策金融公庫や信用金庫からの借り入れであり、要件を満たすのであれば補助金や助成金など返済不要の資金調達方法も検討が必要です。

しかし、いずれの場合も金融機関を納得させることができる事業計画書などの作成が必要となるため、書類準備に手間がかかることは避けられません。一人で資金を調達しようと考えるのではなく、資金調達を専門とするコンサルタントなど専門家に相談することも検討することをおすすめします。